兄が亡くなってから、ヤッチの頭の中に、ある言葉が、時折、テロップのように流れます。
『バッカなやつだな…。』
これ、決して兄を軽蔑しているわけではなく、もう少し早く、病気のことを教えてくれれば、よかったのにという感情が入っています。
また、自分に対して、向けられた言葉でもあるような気がします。
父母が亡くなった時には、もちろん、さび(み)しい、悲しいという気持ちがありました。
しかし、今回の一件では、これとは何か別の感情が、あるような気がします。
言葉に表せないような感情に支配され、さびしい、悲しいという感情と絡みあって、なんだか窮屈な感じがします。
そして、上記の言葉以外に、ヤッチの頭の中には、なぜかわかりませんが、やたらと、大好きだったミュージシャン、柳ジョージさの曲が流れます。
ヤッチの高校生くらいの頃でしょうか、彼の曲をよく聴いていました。
その頃は、まだ柳ジョージ&レイニーウッドというバンドで、グループで活動していたと思います。
彼の楽曲は、40年以上?経った今でも、歌詞を覚えていて、口ずさむことができるものもあります。
酒好きだった柳ジョージさんは、2011年10月10日に、腎不全で、63歳という若さで、お亡くなりになります。
晩年は、結構、やせ細っていた印象です。
この辺りが、兄と被って、ヤッチの頭に浮かぶのかもしれませんね。
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柳ジョージさんのしゃがれ声のブルースは、秀逸です。
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心に染みます。
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悪銭で 買える幸せを~
錘ぎながら 生きていこうか~
人はみんな PRISONER~
…
教えてくれ 何をすればいいのかを~
何処へ 行けばいいのか…Uta-Netより引用
ただ、あまりに染みすぎて、ちょっと暗い気分になってしまったので、一昨日(10月15日)、気分転換のため、午後から必要かどうか疑わしい髪の毛を切りに、床屋さんに行ってきました。
そして、その足で、電車に乗り、父母の眠る樹木墓地に行ってきました。
兄が亡くなったことを報告しに…。
記事にはしていませんが、何度か樹木墓地へ足を運んでいます。
あいにくの曇天です。
どうも、ここに来るときは、晴天ではない日ばかり。
芝生の中央にあるシンボルツリーの『カツラの木』は、もう色づき始めています。
もしかすると、この夏に、水分を十分貯えられなかったので、早めに色づいているのかもしれません。
どこかからか、キンモクセイの香りも漂ってきます。
ヤッチは線香に火をつけ、献花台に花を供えます。
そして、シンボルツリーに向かって、手を合わせます。
ここからは、ヤッチの妄想の中での、アルツ君、キノコさんとの会話です。
便宜上、姉の名前をA子、兄の子供の名前をB子ということで…。
妄想の始まり ▼
ヤッチ:「おいおい。今まで曇り空だったのに、手を合わせた途端に、雨かよ。旦那さん(アルツ君)、また、俺にいやがらせで、水を掛けてんだろ?」
アルツ君:「水なら、ましなほうだ。ショ〇ベンだ。ハハハ。」
ヤッチ:「汚いなー。たく…。さっき、床屋に行ってきたばかりだから、直に、冷たさが、伝わるじゃないかよ。」
アルツ君:「歓迎だよ。歓迎。俺のショ〇ベンは、育毛剤だ。」
ヤッチ:「手遅れだよ!ところでさあ、お兄さんがこの10月3日に亡くなったよ。」
キノコさん:「あら、まー。(キノコさんの口癖)」
アルツ君:「あいつは、いくつだ?」
ヤッチ:「7月に66歳になったばかり。」
キノコさん:「具合でも悪かったの?」
ヤッチ:「『食道がん』だってよ。」
キノコさん:「いつから?」
ヤッチ:「いつからかは、わからないけど、今年(2019年)の4月には、医者から、『腹をくくれ』って、言われたらしいよ。」
キノコさん:「『らしい』とは?」
ヤッチ:「A子にも、俺にも、教えないでほしいって、お兄さんが口止めしてたから、死んだ後に、福祉事務所の人から聞いたんだよ。」
キノコさん:「あんたたち、仲が悪かったからね…。私は、一番、それを心配していたのよ…。」
ヤッチ:「そうだよな。一番の親不孝者は俺だよな。それに一番の醜い仕打ちをお兄さんにしちまったよな…。でも、今となっては、どうにもできないし…。」
アルツ君:「酒好きだったから、どうせ、飲みすぎたんだろ?」
ヤッチ:「最近は、どうかわからんけど、若い時のツケが回ってきたんだろうな…。」
キノコさん:「あんたと違って、辛い物のほうが好きだったからね…。それでなんだわ…。この春、ここに、顔を見せた時(父母の納骨の時)、声が小さかったのね…。かわいそうに…。」
ヤッチ:「旦那さんとキノコさんの納骨の時、車で一緒に来たのに、お兄さん、一人、電車で帰っちゃったんだよ。」
キノコさん:「あら、そうだったの。」
ヤッチ:「たぶん、自分が『がん』だっていうことを、今思うと、俺らに悟られないようにするためだったんだろうな…。」
アルツ君:「お前らは、兄弟で何をやってるんだかな…。だいたい、あいつも、鍛え方が足りないんだよ…。」(『鍛え方が足りない』は、アルツ君の口癖)
ヤッチ:「いやいや、『がん』は、鍛えても、治らんでしょ。でも、この一年はよく頑張ったと思うよ。人に内緒にしていて、さぞ、辛かっただろうし、心細かったと思うよ。」
アルツ君:「ちっ。だったって、死んじまったら、何にも、なんないじゃんかよ。」
ヤッチ:「自分だって、死んでるじゃん!」
キノコさん:「それで、もう、お骨にしたの?」
ヤッチ:「10月8日に燃してきて、A子のところにいるよ。あー、そうそう…。B子に連絡がついて、B子も来てくれたよ。」
アルツ君:「B子?かっー!懐かしいなぁー!俺も会いたかったなー!」
ヤッチ:「そうだよな…。旦那さんにとっても、キノコさんにとっても、かわいい孫だから、会いたかったよな…。」
キノコさん:「元気だった?」
ヤッチ:「うん。当たり前の話だけど、綺麗になって、立派な大人女性って感じだったよ。」
アルツ君:「今度、ここへ連れてこい。」
ヤッチ:「ん…。そうしたいとは思っているけど、もう20年以上も、会ってなかったんだぜ。」
アルツ君:「それがどうした?」
ヤッチ:「B子は20年以上、お父さんがいない生活を送ってきたわけじゃないか…。悲しいかな、自分のお父さんは、いないんだという人生の方が長いんだぜ。今さら、お父さん風や、おじさん風を吹かせても、迷惑なんじゃないかなと、思って…。」
アルツ君:「で?」
ヤッチ:「B子には、B子の生活が有って、これ以上、うちの家系と関わり合いを持ちたくないんじゃないかと思ってさ…。」
キノコさん:「どうして、そう思うの?」
ヤッチ:「B子の電話番号しか聞けなかったよ。○○に住んでいるとは聞いたけど、詳しい住所まで聞けなかったよ。そのつもりは、B子にはなかったのかもしれないけど、俺には、B子の『聞かないでくれ』オーラが見えたよ。」
キノコさん:「そうなの…。」
ヤッチ:「あれこれ、今の生活を詮索されるのが嫌なんじゃないかなと思って…。B子はB子で、遠慮しているかもしれないけどな。もしかすると、お父さんが、亡くなったことを知らせない方が、よかったんじゃないかと、今になって思うよ…。」
アルツ君:「お前は、とんだお節介野郎だな。」
ヤッチ:「たしかに…。B子のほうから、過去を含め、自分自身のことや心境を話してくれると、ありがたかったんだけど、そんな感じじゃなかったしな…。今、どんな気持ちでいるのか、わからずじまい…。」
アルツ君:「相変わらず、『女ごころ』のわからないやつだな!」
ヤッチ:「秋だし、だから、独り身なんですけど…。B子に、俺から時折、声を掛けてあげるのが、B子にとって幸せなことなのか、それとも、そっとしておくのが、幸せなのか、俺にはわからないよ…。ありがた迷惑になってもまずいし…。しかも、だいたい俺の子供じゃないしな…。」
キノコさん:「(お兄さんの)お墓は決まったの?」
ヤッチ:「まだ。A子さんが、ここ(樹木墓地)へ申し込みをするって言ってた。」
キノコさん:「じゃあ、ここに来るのね?」
ヤッチ:「ここしか、ないからね…。」
アルツ君:「じゃあ、そん時に、B子を連れて来い!」
ヤッチ:「そうしたいと思ってるけど、俺たちと一緒に、ここへ来るのは、嫌がるかもな…。B子から『納骨の日が決まったら、ぜひ連絡をください。』とは、言われなかったから…。」
アルツ君:「でも、電話番号、わかってるんだろ?」
ヤッチ:「ああ、わかってるよ。一応、納骨の日が決まれば、連絡してみるけど、あまり期待しないで。もしかすると、B子一人で、別の日に、来てくれるかもしれないよ。」
アルツ君:「お前の頭と同じか…。期待、薄…。」
ヤッチ:「うるせーよ!旦那さんだったら、期待、無し…じゃないかよ。」
アルツ君:「俺は今、フサフサだぞ。」
ヤッチ:「芝生をカツラにしてるからな。冬になると、枯れるぞ。」
アルツ君:「西洋芝なら、常緑だ。」
ヤッチ:「あいかわらずだな。今日は、台風19号の影響で、旦那さんの好きだった『ボタモチ』が、売ってなかったよ。今度来るときは、キノコさんの好きな『練り切り』と、旦那さん定番の『ボタモチ』を持ってくるよ。じゃあ、また来るよ。」
アルツ君:「ああ、お前は来なくてもいいけど、『ボタモチ』だけは、死ぬほど、持って来いよ。」
ヤッチ:「だから、死んでるし…。」
妄想終わり▲
父母が存命なら、こんな展開になったであろうフィクションです。
ヤッチは墓地を後にし、電車の駅へ向かいます。
帰りの電車の中で、ややご高齢とお見受けする女性同士の会話が耳に飛び込んできます。
Aさん:「最近、さらに老眼が進んで、どうも携帯電話のボタンの変なところを押すことが多くなっちゃって。」
Bさん:「使えるだけマシよ。私なんて、使い方もよくわからないから、電話番号を携帯電話に登録するとき、息子のお嫁さんに、入れてもらってるのよ。『かける』か、『とる』だけの機械よ。」
Aさん:「年を取るって、嫌ね~。」
Bさん:「それで、お嫁さんに言われちゃったのよ。『お義母さんの携帯電話のアドレス帳、病院の電話番号ばかりですね。』って。」
Aさん:「きっと、私たちが、死ぬ頃は、病院の電話番号で、アドレス帳が、埋め尽くされているかもしれないわね。ホホホ。」
たしかに…
(; ̄ー ̄川 アセアセ
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「必要かどうか疑わしい髪の毛を切りに」
相変わらず,自分を絶妙なバランスで落とされますね(^▽^;)
私は髪が多すぎていつも困っているのですが,
秋になって怖いぐらい抜けます。
さすがに怖くなってきました(;・∀・)
ヤッチさんの妄想,ついつい見入ってしまいました。
そして,アルツ君とキノコさんは,お空にいてもお兄さんの死は知らなかったのかと衝撃を受けました。
(入り込んでいる証拠)
同じ樹木墓地に入ったら,アルツ君とキノコさんとお兄さん,沢山お話しされるんでしょうね♪
ちかちゃん、こんばんは。
あらら。
5さいから、抜け毛とは、深刻ですね。
まあ、抜け毛レベルなら、また生えるので、心配いりませんね。
私のように、抜け毛ではなく、「消失」、「滅失」レベルになると、開き直った生き方を選択しなくては、なりませんので、ご注意ください。
一応、初期段階のリハビリとして、中村アンちゃんがテレビに、出演していたら、出来るだけ画面に向かって、メンチを切るようにしてください。
(医学的な根拠はございません。)
街中で、「お怪我はありませんか?」という声に、過度に反応するようになると、手遅れです。
人生は夢のごとく
二枚貝の夢の泡の中なのか
それでも地球は回っていて
色々な人生があって
でも人はそれぞれの星の生きざまの様に
無駄な人生などおそらく一つもない
と、夜空を見上げるのでした
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