アルツ君の息子ヤッチです。
(^_^)/~
我が家は、東京23区のはずれにある高級住宅街にあります。
ヤッチ自身は、『どこに住んでるの?』と聞かれると、ビバリーヒルズと、答えていますが、だれも相手にしてくれません。
(^_^;)
まだキャベツ畑なんかもあって、なかなかのどかな田園風景も残っています。
そんな我が家の洗濯物を干す場所は2階にあるベランダです。
断っておきますが、狭いからなわけではなく、自家用車の駐車スペースを広くとるための、合理的な設計上の問題からです。
(同じことじゃんっ!)
洗濯は、普段、キノコさんがやりますが、キノコさんも、ご高齢。
湿った洗濯物を二階に持って行くだけの力がありません。
したがって、洗濯カゴを二階のベランダに持って行けるのは、アルツ君かヤッチということになります。
いつもの役割分担はアルツ君です。
学級委員のキノコさんが、アルツ君の体力維持のために、やらせていることです。
時間はかかりますが、アルツ君が階段を一段ずつ登り、二階まで持って行きます。
今日は、普段当番のはずのアルツ君は体調不良を訴え、これをボイコット…。
消去法の末、任務はヤッチとなりました。
もちろん、ヤッチがやれば、片足ケンケンでも10秒で終了です。
(^^)/
キノコさんは、洗濯物を干すために、二階に登り、ヤッチはモーニングエスプレッソ(いなげや1パック118円)を飲むために、下へ降ります。
茶の間への階段を降りていくと、アルツ君が階段の一番下に腰かけています。
身体の固くなってきているアルツ君は、よくこの場所で靴下を履いています。
本人からすると、身体の曲げ具合が、ここに座るとちょうど良いのでしょう。
最近、かなりお気に入りの場所になっています。
二階から降りてくる人間からするとかなり邪魔になります。
今日も苦労して靴下を履いているのかな?
ヤッチ:「うまく履けた?」
(^.^)/~~~
???
返事が返ってきません。
いつもなら
「当たり前だろっ!子供じゃあるまいしっ!」
と返ってきます。
アルツ君のお気に入りの横ポッケ付のカーゴパンツは,なんだか、ずり落ちているように見えます。
トイレにでも行ったのかな?
アルツ君のお尻は半ケツ状態です。
ヤッチ:「半ケツになってるよ!紙パンツ丸見えだぞ!」
返事が返ってきません…。
???
アルツ君が、腰かけている階段に少しスペースがあるので、そこに足をかけて、アルツ君の横を通り抜け、アルツ君の正面に回ります。
息はしていますが、まったく血の気がありません…!
ヤッチ:「具合悪いのっ?返事してっ!」
アルツ君の肩に手をかけると、Tシャツがビッショリ!!
よく見ると、額には、大量のあぶら汗!!
ビックリするくらいの汗を流しています。
今日の東京は蒸し暑かったとはいえ、まだ朝ですから、そんなに汗が出るほど、気温は上がっていません!
近づくと、かなり肩で息をし、呼吸もあらい状態です!
さすがに、いつも冷静巾着、クール&ダーティーのヤッチも、あわてますwww!!
ヤッチ:「お~い!声聞こえるかっ?しっかりして!!」
脳に関して、重篤の場合は、下手に動かしてはいけないというどっかで聞いた言葉が、ヤッチの頭をよぎったので、アルツ君の肩に置いた手を動かすのをやめました。
代わりにほっぺをつねります。
ヤッチ:「お~い!これ感じるかっ?」
まったく反応がありません…。
職人の半ケツになったお尻が、どんどん、ずり落ちて、とうとう階段下のフロアに…。
ヤッチ:「お~い!しっかりしろっ!!」
人間テンパると、近くにいるのに『お~い!』という言葉が増えるもんだなと変な関心をしつつ…。
ヤッチ:「お~い!お~い!!」
職人の額の汗を近くにあったタオルでぬぐうと、今度は、どんどん体が、冷たくなっていきます。
\(◎o◎)/!
手足が尋常じゃないほど、急速に冷えていく感じです…。
ヤッチの方がエキサイトして、体温が上昇し、相対的に、アルツ君の身体が、冷えているように感じるのかもしれませんが…。
その時は、夏の暑い時期のスーパーで、トマトを品定めするときに、手に取ってみる時の、あのトマトの感触に近いものがありました。
(頬にあてたら気持ちいい…。)
これはヤバい…。
二階にいるキノコさんを呼びます!!
ヤッチ:「お~い!!ちょっと降りてきて!!」
こんな時も『お~い!』です…。
(・_・;)
お~い日も安心どころの騒ぎではありません。
m(__)m
ヤッチの脳裏に救急車が浮かびます…!
キノコさんが、二階から降りてきます。
ヤッチ:「ちょっと旦那さん(アルツ君)の調子が変だから、救急車呼ぼうっ!!」
キノコさんは降りてきたばかりなので、状況がまだ理解できていない様子。
キノコさん:「洗濯が忙しいのよ…。なんなの?」
ヤッチ:「洗濯なんて言ってる場合じゃないよっ!!旦那さんが、どんどん、冷たくなってるよっ!」
キノコさんも尋常じゃない状況に気づいたのでしょう…。
キノコさん:「ちょっと、おじいちゃん!しっかりして!!」
今度は、アルツ君の閉じている眼から、大量の涙が溢れ出しました。
優しい家族の愛情に感動している涙とは、違うようです。
ヤッチ:「涙がすごいよ!早いとこ救急車呼ぼう!!」
ヤッチがキノコさんをせかします。
キノコさんもかなり動揺しています。
キノコさん:「そうは言うけど、歯医者さん断ってないし…。」
そう、今日はアルツ君の入れ歯が、合わなくなってきていたので、歯医者さんに予約を入れていたんです。
ヤッチ:「なに、わけのわからないこと、言ってんだよ!こんな状況で、行けるわけないしょ!」
キノコさん:「それもそうだけど…。」
今、考えると、キノコさん、自分で何をしていいのか、わからなかったんでしょうね。
(*^_^*)
ヤッチ:「いいから救急車呼ぶよ!!」
ヤッチが、こう叫ぶと、キノコさんは反応の無いアルツ君に呼びかけます。
キノコさん:「救急車、呼ぶわよ?いい?」
ヤッチ:「聞いたって、答えるわけないだろっ!いいから呼ぶよっ!」
ヤッチは携帯電話をポケットから取り出します。
キノコさん:「ちょっと待って!」
(ねるとん紅鯨団は、とうの昔です!!)
ヤッチ:「なに?」
キノコさん:「ちよっとだけ、待ってよっ!おじいちゃん、あっちの部屋に、まず連れて行きましょっ!」
いつもなら、もう119番しているところです。
キノコさんのために、何回この携帯で、救急車を呼んだかわかりません。
(キノコさんも結構病弱…。)
携帯で119番通報すると、必ず自分の携帯の番号を聞かれるので、すでに自分の携帯の番号を復唱し、シミュレーションはできています。
『火事ですか?救急ですか?』の問いに対する返事もOKです。
でも、なぜかこの時、キノコさんの一言に従ってしまったんですね…。
今、考えても、その理由が見つかりません…。
???
キノコさんが、茶の間へアルツ君を運ぼうと言ったとき、『うん。そうしよう。』
…そう思ってしまいました…。
(-_-)
へたり込んで、まったく力のないアルツ君を3メートル近く運ぶのは、容易なことでは、ありませんでした。
酔いつぶれて,動けなくなった女の子を何回か、運んだことはありますが、自分の父親と、こんだけ密着プレーするのは、40年以上ぶりかもしれません。
しかも、やっぱり男だけにゴッツイです。
ベアハッグないしはフロントス―プレックスの形をとり、職人の両脇の下に、ヤッチの両手を通します。
職人の背中のところで、ヤッチの手を結びます。
キノコさんには、ヤッチの肩に、アルツ君のあごが乗るように促します。
ヤッチ:「『せ~の!』で持ち上げて、動かすから、なるべく、のけぞらないように、支えてて!」
たぶん、キノコさんには設計図はできていないと思います。
ヤッチ:「とにかく、じいさま(アルツ君)のあごが、俺の肩に乗るようにだけ注意してて!」
せーのっ!!!
なるべく、自分の腰を痛めないようアントニオ猪木の『風車の理論』をイメージして、アルツ君と一緒に立ち上がります。
というか、結局、力に物を言わせて、無理やり、アルツ君を抱き上げます!
アルツ君のひげが、ヤッチの肩に食い込みます…。
ヤッチ:「じいいさまは、舌を噛んでない?大丈夫?」
キノコさん:「大丈夫!」
キノコさんの頼りない返事が返ってきます。
(キノコさんは自分の口をモゾモゾ…。)
ヤッチ:「そのまま一気に、連れてっちゃうよ!」
ガブリ寄りの態勢です。
まわしをとれない分、負担がかかります。
一気に,土俵際までアルツ君を持って行き、茶の間のソファに寝かします。
ヤッチの完全勝利です。
\(^o^)/
この体の取り方で、本当によかったのかは、疑問が残りますが、とにかく、思いついた方法が、これしかありませんでした。
祝杯ムードに酔いしれるまもなく、半ケツ状態のまま運んで,一緒について来てしまったカーゴパンツ君をアルツ君の膝元からはぎとります。
キノコさんがアルツ君に声をかけます。
キノコさん:「おじいちゃん!!大丈夫?起きて!!」
正直に言います…。
ヤッチは、この時、アルツ君はもう起きないのでは、ないか…???
あの冷たくなった職人の腕の感触は、今でも残っています。
ずいぶん細くなっちゃたなあ~。
ところが…。
アルツ君…。
意識を取り戻しちゃいました。
(^.^)/~~~
アルツ君:「だいじょうぶだよ~。」
頼りない細い声ですが、そう言って目を開け,我に返ったようです。
この後,アルツ君はずっとソファに横たわり熟睡状態…。
…
…
昼過ぎに,再びやっと目をさまし,最初に吐いたセリフが、、、
アルツ君:「何だか大勢来てな~。何だかボタモチ食いたくなっちゃった。」
意味不明の言葉ですが、ヤッチがアルツ君に声をかけます。
ヤッチ:「やっと目が覚めたね!誰か、川の向こうで、呼んでなかった?」
アルツ君:「呼んでたような気もするな~。」
ヤッチ:「じゃあ、試写会でよかったじゃん!」
この後のアルツ君は、いつもの自分を取り戻し、夕食についても、普通に食べていました。
しかし、やっぱり救急車呼ぶのが正解なんじゃないかなあ…。
救急車を呼ばなくても、お医者さんに診てもらった方がよかったのではないか…。
はたして、これでよかったのか…。
どう思います…???
ブログランキングに参加中です。
応援をお願いします。
ツイートする
キーワード検索 : 紙パンツ 洗濯 救急車 試写会 ボタモチ
FC2スレッドテーマ : 認知症の介護 (ジャンル : 福祉・ボランティア)
© 2021 アルツ君は職人
Unauthorized copying prohibited.
この記事のURL: https://alzheimers.blog.fc2.com/blog-entry-54.html
コメント:を投稿する 記事: 試写会に行った職人
- お気軽にご質問やコメントをどうぞ!
(過去の記事でも大歓迎。) - コメント本文以外の表示させたくない項目は空欄でも構いません。
- 非公開(ヤッチだけが読める)を選択すると、コメント内容は記事に表示されません。
- プレビューボタンを押すと送信前の表示を確認できます。 (送信されません。)
Comment