こんばんは。
アルツ君の息子ヤッチです。
(^_^)/~
金曜日(2月21日)、アルツ君のところへ面会に行ってきました。
アルツ君、ご機嫌斜めのご様子…。
居室の扉は開け放たれたまま…。
ヤッチが居室を覗きこむと、アルツ君の方が先にヤッチの存在に気づきます。
ベッドに腰かけた状態で、ヤッチに向かって大声を張り上げます。
アルツ君:「お前、何でここへ来たっーーー!帰れっ!」ヤッチ:「おいおい、来るなりずいぶんご挨拶だなぁ。どうかしたの?」
アルツ君:「うるさいっーーー!帰れっ!」ヤッチ:「帰ってもいいけど、どうしてそんなに怒っているのか理由を聞かせてよ?何か気にいらないことでもあった?」
アルツ君:「お前ね、気にいらないもクソもあるかよ!ここ(特養)のカネは誰が払ってると思ってんだ?俺は何にも聞いていないんだぞっーーー!」もちろん、アルツ君が特養に入所している費用はアルツ君の年金で賄われ、そのお金のついては、成年後見人である司法書士のI先生が管理しています。
アルツ君にも、理解しているかどうかは不明ですが、一応これまでの経緯については説明済みです。
どうしても最近の記憶がだるま落としのようにスポンと抜けて落ちて、遠い過去の記憶と現在が直結してしまい、時折、この遠い過去の記憶だけを頼りに話しをする傾向が顕在化しています。
最近のエピソードを記憶していないのですから、アルツ君にとっては、みな『聞いていない』ということになってしまいます。
『思い込み』と単純に決めつけてしまうのはちょいと酷な状況でもあります。
ヤッチ:「旦那さん、ここのお金はちゃんと払っているから心配いらないよ。お金の管理もI先生がきちんと管理してるから…。」
アルツ君:「I先生?そんな先生、俺のところに一度だって顔を見せたことがないじゃないかっ!」
ヤッチ:「そうかぁ…。顔を見せてないかぁ…。そいつはまずいなぁ…。俺から脅しの電話でも入れておくかぁ…???」
実際には、I先生も月に1、2回アルツ君の面会に来て下さってるんですけどね…。
(-_-;)
アルツ君:「そんなことをしたって、来るもんかよ!だいたい、ばあさん(キノコさん)だって、イッペンも俺のところになんて来てやしないぞ。親父がここに居るんだから、女房がここに来るのは当たり前だろうがっ!」
ヤッチ:「月曜日にここに来たって、ばあさんから聞いてたけど…???」
アルツ君:「月曜日だか何だか知らないけど、俺は顔を見てないって言うんだよっ!」
ヤッチ:「ばあさんの奴、ウソをつきやがったかぁ…。そいつはばあさんに説教してやる必要がありそうだなあ…。」
本当の大ウソつきはヤッチですがね…。
(-_-;)
アルツ君:「説教したって、無駄だね!ばあさんの顔なんて忘れたね。」
ヤッチ:「ばあさんの奴は執念深いから、旦那さんの顔を死ぬまでおぼえてるんじゃないのか?」
アルツ君:「ふん!俺なんて居ない方がいいね…。」
ヤッチ:「あれあれ、重症だね…。相当辛そうだね…。どうしてそう思うんだろう?」
アルツ君:「わからん!」
ヤッチ:「ばあさんにも話に乗ってもらうかあ???」
アルツ君:「そんなこと、俺が知るかって言うんだよ!どこで遊んで歩いてるかわかるもんかっ!」
ヤッチ:「よし!わかったっ!それじゃあ、これからばあさんのところへガサ入れ(家宅捜索)に行こう!」
今でも、なんでこの言葉を発したのか、よくわかりません…。
とっさの一言っていうやつです。
たぶん、アルツ君のストレスを解消するには最善の方法だと思ったんでしょう…。
アルツ君:「どうせ、行ったって居やしませんね!」
キノコさんのアパートにヘルパーさんが1時間ほど来て、その後は在宅だという情報をヤッチは入手しています。
ヤッチ:「居るか居ないかニギるか?もし、キノコさんが家に居たら、俺が旦那さんの代わりで、ここの女性職員さんにしばらくの間、お風呂で体を洗ってもらうっていうのはどう?」
アルツ君:「どうせ俺の勝ちに決まってら!」
ヤッチ:「よーし!その言葉、忘れずにちゃんとおぼえておけよ!じゃあ、今から外出の許可を取ってくるから!」
忘れずにおぼえておけと言ったところで無理なのはわかっていますが…。
(-_-;)
ヤッチは生活相談員さんの事務所を訪ねます。
ヤッチ:「お忙しいところすいません…。」
生活相談員さん:「こんにちは、どうかなさいましたか?」
ヤッチ:「実は親父のことなんですけど、今から母の家に連れて行こうかと思いまして???」
生活相談員さん:「また、なんで?」
ヤッチ:「どうも最近、雪の影響もあって外に連れ出す機会が少ないので相当ストレスが貯まっているみたいなんですよね…。親父が二言目には『ばあさんどうした?』の話になるので、いっそ母のアパートまで連れ行くのはどうかと思いまして…???」
生活相談員さん:「なるほど…。」
ヤッチ:「ただ、母のアパートに連れていくのはいいとして、ここへまた帰ってきて、興奮してしまうと悪循環になってしまうので、まずお伺いを立ててからにしようかなと?」
生活相談員さん:「そうですね…。ただ、こちらもお父様を散歩にお連れすることができれば良いのですが、なかなかできないでいるので、確かにお父様が不機嫌でずっといられるのも忍びないです…。」
ヤッチ:「母のアパートに連れて行っても、ここに戻ってきたら、記憶がおそらく飛んじゃうと思うんですよね…。連れて行ったことが、逆効果になって、戻って来て余計にわめき散らしたんじゃあ、こちらにもご迷惑がかかるんじゃないかと思ってね…。」
生活相談員さん:「お車かなにかでお母様のところへ?」
ヤッチ:「いえいえ、ちょっと寒くて無謀ですが、こちらの車椅子をお借りして徒歩で…。」
生活相談員さん:「実は私もお父様のことで、ちょっとその辺のところが気になっていたところです。失礼ですが、吉と出るか凶と出るかはわからないこととしても、私が承諾したということでお母様のところにお連れしてみては?」
ヤッチ:「ホントに?」
反対されるような気がしていたので、逆に拍子抜け…。
(-_-;)
生活相談員さん:「多分、寒い中風を切って、時間を掛けてお母様のお宅に行かれるのですから、お父様がお母様のお宅に行かれたことはお忘れになっても、なんだろ、冷たい風を切ったという心地よい感覚だけはお父様の心に残るのではないでしょうか。」
ヤッチ:「そう、おっしゃっていただけるとうれしいです!それじゃあ、さっそく準備して出かけてきますわ。夕飯までには戻るようにしますから。」
生活相談員さん:「了解です。」
この後、生活相談員さんもアルツ君のお出かけ準備を手伝って下さいました。
アルツ君のためにと持参したボタモチもありましたが、キノコさんのアパートで食べてもらうこととして…。
準備完了です。
(^_^)/~
ヤッチ:「それじゃあ、ガサ入れに出発しよう!」
この時にはだいぶアルツ君の興奮は治まっていました。
時刻にすると、もう午後3時を回っていましたから、キノコさんのアパートの部屋で長居はできません。
アルツ君を車椅子に乗せ施設のエントランスを出ます。
エントランスを出たあたりで、アルツ君のさっきまでの機嫌の悪さは何だったんだろうというくらい上機嫌になっています。
ヤッチ:「いつもの公園に行くのとは違って、これから30分くらいかかるからな?」
アルツ君:「そんなに遠いのか?」
ヤッチ:「ばあさんはいつも押し車(シルバカー)を押して、エッチラオッチラ施設まで一人で歩いてくるんだぞ?」
アルツ君:「かー!!そんなに長いこと歩くのか?」
ヤッチ:「そうだよん~。だから毎日、旦那さんに顔を見せに来るっていうのも無理な話だよ。」
アルツ君:「そうだなぁ…。」
ヤッチ:「暖かくなったら、旦那さんが今度はばあさんの家まで歩いて行ったらいいよ。それまでに少し足を鍛えてな?」
アルツ君:「俺はいつだって歩けるさ。」
ヤッチ:「じゃあ、何で今車椅子に乗ってんだ?」
アルツ君:「お前に遠慮してるんだよ。」
ヤッチ:「それは遠慮と言わないと思うが…。」
アルツ君:「まあまあ、そのうち歩くさ。」
ヤッチ:「ばあさんの家までの道のりをよく覚えておけよ。まだ、一回も曲がってないよな?」
アルツ君:「そうだなぁ…。今のところ真っ直ぐだな…。」
ヤッチ:「少し意地悪をして、俺が車椅子をクルクル回してやろうか?」
アルツ君:「まだ、しっかりしてるんだから、そんなことでわからなくなったりしませんよ!」
ヤッチ:「ところで昨日のオリンピックで、スケートを観たか?」
アルツ君:「知らん。」
ヤッチ:「そうか観てなかったか…。浅田真央ちゃんがトリプルアクセルを決めたんだけどなぁ…。」
アルツ君:「なんだ、そのトリプルなんとかって?」
ヤッチ:「フィギアスケートのジャンプだよ。三回転回るんだよ。」
アルツ君:「かー。目が回りそうだな。」
ヤッチ:「実際には三回転じゃなくて三回転半なんだって!?しかもトリプルアクセルっていうのは後ろ向きじゃなくて、前向きで踏み切るからすごく難しいんだってよ。」
アルツ君:「へー。」
ヤッチ:「この車椅子でトリプルアクセル決めてみるか?着地したら、後ろ向きになってるから、バック走行になるぞ?」
アルツ君:「いやだっ!」
ヤッチ:「そう固いこと言わないで、何ならトリプトゥループにトリプルルッツ、トリプルサルコウにステップシークエンスの連続技なんていうのはどう?」
アルツ君:「お前、横文字とチャンバラしてないで、ちゃんと運転してくれよな?」
ヤッチ:「大丈夫だよ。ここ少しゆるい坂道になってるから、手ぐらい放したって…。」
アルツ君:「ばかっ!」
いつものごとくくだらない会話をしていると、キノコさんのアパートに近づいて来ます。
ヤッチ:「イチョウの木をおぼえているか?」
アルツ君:「ああ、お乳イチョウのことだろ?」
『お乳イチョウ』というのは、イチョウの木が老木なると、枝から気根(きこん~空中で生やす根)を出し、それがちょうどお乳が垂れ下がっているように見えることからこの名が付いたようです。
ポトスなども土の無いところで、茎の付け根から気根を出しますよね。
ヤッチ:「おっ、さすがだね~。そのイチョウの木のすぐにそばにキノコさんの部屋があるんだよ。」
アルツ君:「そうだったけか?」
ヤッチ:「キノコさんの部屋の前が駐車場で、そこにイチョウの木が植わってるんだよ。」
アルツ君:「は~はん、ばあさん、毎日眺めてやがるのか?」
冬なので今は落葉していますが、イチョウの木が見えてきました。
↓過去の画像ですが、まだ葉の有る時のイチョウの木の画像です。
ヤッチ:「キノコさんの部屋に行く前にイチョウの木を眺めて行くか?」
アルツ君:「別に構いませんよん。」
ヤッチは駐車場の中に入ります。
ヤッチ:「ここが俺の部屋だよ。夏にベランダでミニトマトを作ってたのおぼえてるか?」
アルツ君:「あー、あの金にならないような小こいトマトだろ?」
ヤッチ:「失礼な奴だな…。まあ、おぼえているから勘弁してやろう…。」
面白いもので、アルツ君の記憶、変なところはインプットされています…。
(-_-;)
ヤッチはイチョウの木の下までアルツ君の車椅子を押します。
アルツ君:「ずいぶんと垂れ下がってやがるな~。相当古い木だぞ?」
ヤッチ:「樹齢にして何年くらいなんだろ?」
アルツ君:「わからないけど、これだけお乳が垂れ下がっているから古いのは確かだ。」
ヤッチ:「よし、ばあさんの部屋に行くか?」
アルツ君:「居るのかなぁ…。」
ヤッチ:「旦那さんが来るのをきっと待ってるよ。」
(事前に電話連絡済みです…。)
通路を通ってキノコさんの部屋に向かいます。
アルツ君:「はは~。ここは何となく覚えがあるな~。」
ヤッチ:「旦那さん、いつだったか大晦日にここでグルグル巻きにされて救急車で運ばれたじゃんかよ?」
アルツ君:「そうだよ~。あれは10年前くらいだったよな~。」
おぼえているから、まあいいか…。
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救急搬送される職人ヤッチはキノコさんの部屋のドアをノックします。
すぐさま部屋のドアが開きます。
キノコさん:「どうぞ、いらっしゃいませ。」
アルツ君:「お、お前。居たんだ…。」
キノコさん:「なんで?居たら悪かった?」
アルツ君:「いや、そういうわけじゃないけど、遊びにでも行ってるのかと思って…。」
キノコさん:「そんなに遊びまわってや、しないわよ。」
アルツ君を車椅子から降ろし、キノコさんの部屋に導き入れます。
アルツ君はキノコさんの用意した椅子に腰を下ろします。
ヤッチはキノコさんに話し掛けます。
ヤッチ:「むこう(施設)で、旦那さんに食べてもらおうと思って、(ボタモチを)買ったんだけどさ。ここで食べて。」
そう言って、ヤッチはボタモチのパッケージをキノコさんに手渡します。
キノコさん:「それじゃあ、お茶を入れなくちゃねえ…。」
アルツ君がヤッチとキノコさんのやり取りをじっと見ています。
アルツ君がキノコさんに話し掛けます。
アルツ君:「おお、お、おい…、そ、それはお前が食うのか?」
キノコさん:「食べたりしませんよ。今、お茶を入れてあげるから、全部お食べなさい!」
アルツ君がうれしそうな表情を浮かべます。
(o^―^o)ニコ
アルツ君:「お前、それにしても狭っこい部屋に居るな…。ここがお前の家か?」
キノコさん:「そうよ、全部身のまわりのことは自分でしないといけないんだから。ここでご飯も食べるし、ここで寝るのよ。」
アルツ君:「こんな狭いところで?」
キノコさん:「そうよ。あんたのところ(特養)と比べたら狭いでしょ?」
二人のご歓談なのでヤッチは席を外し、自分の部屋で一服です。
30分ちょいでしょうか…。
ヤッチは再びキノコさんの部屋を訪ねます。
あまり、長居をしてしまうと、寒くなるし、暗くなってしまいます。
アルツ君とキノコさんがにこやかに会話を楽しんでいるようです。
アルツ君をキノコさんのところに連れて来て正解だったかな?
ヤッチ:「旦那さん、暗くならないうちに戻ろう?」
アルツ君:「もう帰るのか?」
ヤッチ:「悪いけど、夕飯時には帰るってむこうには言ってあるからさぁ…。」
アルツ君:「もう、そんな時間かぁ…。」
キノコさん:「泊めてあげたいけど、ここじゃ二人で寝られないでしょ?」
アルツ君:「そうだよな…。ちょいと狭すぎるなぁ…。」
キノコさん:「自分で歩けるなら、ちょこちょこ来なさい。いつでも戸を開けて待ってるから。」
アルツ君:「開けっ放しだと寒いぞ?」
キノコさん:「まあ。そういう減らず口はすぐに出るのね?」
アルツ君:「普通だよ。普通…。」
ヤッチはアルツ君のリハパンのチェックに入ります。
アルツ君、さぞかしやらかしてると思いきや、リハパンの中の尿とりパッドは無傷…。
施設を出る時にも確認しましたが、無傷…。
そして、この後、施設に戻ってすぐに確認したときも無傷…。
尿意って、こんなに感情に左右されるものなんでしょうか…。
準備を整え、施設へ戻ります。
途中、見送ろうとするキノコさんをアルツ君が制します。
アルツ君:「転びでもしたら大変だから、そこでいい。」
うん…、何とも大人の発言。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
ヤッチは車椅子を押し始めます。
陽が傾きかけています。
車椅子を押しながらヤッチはアルツ君に質問をします。
少しでも記憶を定着させようという試みです。
ヤッチ:「今日はどこに行ってきた?」
アルツ君:「ばあさんの家。」
ヤッチ:「お、素晴らしい!で、楽しかった?」
アルツ君:「…。」
ヤッチ:「楽しかったかって聞いてるんだけど?」
アルツ君:「ああ、楽しかったよ…。」
ヤッチ:「どこへ行ってきた?」
アルツ君:「同じこと、何度も言わせるな。ばあさんの家!」
ヤッチ:「ばあさんの家で何か食べたよな?何だっけ?」
アルツ君:「食ったかぁ…???」
ヤッチ:「たぶん、食べたと思うよ。」
アルツ君:「そう言われれば、なんか食ったような気もするなぁ…。」
ヤッチ:「旦那さんの大好物だよ?」
アルツ君:「スズメか?」
ヤッチ:「また、そっちかよ!」
アルツ君:「なに、食ったかなぁ…。」
ヤッチ:「じゃあ、ヒントあげるな。ボ…?」
アルツ君:「ボ?」
ヤッチ:「そう、ボ○○○…。」
アルツ君:「ん…。ボーフラか?」
アルツ君
さすがです…。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
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