アルツ君の息子ヤッチです。
(^_^)/~
以前の記事で、アルツ君の居る特別養護老人ホームで、1月5日に施設の送迎で『初詣』に行くということを、ちょっとだけお話ししました。
入所している人や家族からの希望を募り、家族や身元引受人の了解のもと、施設が用意した車で、施設近くの神社に出かけるというものだったようですが、姉がアルツ君に同伴するというので、ヤッチは行きませんでした。
最近になって、この話しを姉から聞く機会が有ったのですが、なんと、参加者はアルツ君を含め、三人だけだったそうな…。
施設でマイクロバスか観光バスを手配して出かけるようなものをヤッチは想像していたのですが、これじゃあ、おそらく施設のワンボックスカーで十分な感じです。
アルツ君の居るフロアは三階で、このフロアは認知症を持つ方がほとんどです。
でも、二階は介護保険を利用しているものの、認知症の症状の無い方が多く入所しているということを聞いたことがあります。
二階と三階を合わせて入所している人は、100名前後(?)はいらっしゃるはずなのに、全体の中で参加者は三人ですからね…。
なんともさびしい話です…。
(ノД`)シクシク
さて、アルツ君のところに面会に行ってきました。
毎度のことになりつつあり、驚きもしないことになりつつあることですが、この日もアルツ君、クローゼットの引き出しの中のものを全部放り出し、ベッドの上に拡げています。
ヤッチ:「また公共工事かい?まだ年度末じゃないぞ?」
アルツ君:「なんか、美味いもんが有るんじゃないかと思ってほじくってたんだよ…。」
ヤッチ:「予算の無駄遣いだし、そんなところに、食い物は入ってないぞ~。」
アルツ君:「そうか…。なんか有るんじゃないかと思ってさぁ…。」
ヤッチ:「そんなことじゃないかと思って、美味いもんかどうかはわからないけど、『ボタモチ』っていうもんを買って来たんだけどさ…。」
アルツ君:「ボタモチ!?お前、それは昔から、美味いもんって決まってるぞ!?」
ヤッチ:「昔って、いつからよ?」
アルツ君:「俺が生まれる前からだ。」
ヤッチ:「何年前の話しだよ?」
アルツ君:「38年前だ。」
ヤッチ:「頭の中で、サバが群れをなして泳いでるんじゃないのか?」
アルツ君:「そんなことはどうだっていいから、早くよこせ!!」
ヤッチ:「毎度のことながら、持って来てくれた人間に敬意はないの?」
アルツ君:「ないっ!!いいから食わせろっ!!」
ヤッチ:「食わせてもいいけど、後で散歩だぞ?」
アルツ君:「散歩は負けとけ!!」
ヤッチ:「動かないと、体の中がもち米だらけになるぞ~?」
アルツ君:「なおさら、いいですね~。」
毎度のことながら、アルツ君にとって、ボタモチに勝る食べ物は無いようです…。
(-_-;)
アルツ君:「かっー!!ボタモチを食べるのなんて何年ぶりだろ?500年ぶりかな?」
ヤッチ:「年数、増えてない?」
アルツ君:「気のせいだろ?」
あっという間に完食です。
ヤッチ:「あっという間だな?」
アルツ君:「あっという間は大げさだろ?せめて『あー』くらいにして下さいよ。」
ヤッチ:「同じようなもんじゃんかよ。食い終わったなら、次は運動だな!?」
アルツ君:「ちょっと待てよ~。」
アルツ君、ボタモチのパッケージ(トレー)をペロペロ舐めています。
ヤッチ:「トレーが解けるぞ~。」
アルツ君:「また、いつ食えるかわからないからな。」
ヤッチ:「焼き場に行った後は、骨壺にボタモチをメーイッパイ詰めてやるよ。」
アルツ君:「アンコを多目にして下さいよん。」
ヤッチ:「そんなことより、運動しよう!!」
アルツ君:「外はダメだぞ。」
ヤッチ:「なんで?」
アルツ君:「天気が悪い。」
ヤッチ:「快晴じゃないかよ。」
アルツ君:「そうか!?」
ヤッチ:「でも、外には行かないよ。晴れているけど、外はものすごく寒いから。施設の廊下をちっとばかし歩こうよ。そのかわり、スーパーカーは使わないよ?」
スーパーカーとは、アルツ君の利用させてもらっている『歩行車』のこと…。
アルツ君:「ああ、いいですよん。その前になんか腹ごしらえしておいた方がいいかなぁ…。」
ヤッチ:「今、食ったべっ!!」
アルツ君:「そうだっけ?」
ヤッチ:「そう!!」
最近の東京は、晴れていても気温が低く、普段は温室に居る高齢者の散歩にはちょっと不向き…。
(-_-;)
施設の別棟まで、施設内をアルツ君と歩いて行くことに…。
別棟までの距離は大したものではありませんが、最近ほとんど歩いていないアルツ君にとっては、これとて結構長い距離になります。
途中、たくさんのお仲間たちと出くわし、そのたびに二言三言、会話(成立していませんが)を交えながら、ようやく別棟の廊下の突端まで来ました。
ここには椅子やテーブル、そしてテレビも有り、くつろげるスペースが有ります。
不思議といつ来ても、ここには人が居ません。
カーテンを開ければ、見晴らしの良い景色も拡がります。
ヤッチはカーテンを開けます。
ヤッチ:「あそこに高圧線の鉄塔が見えるでしょ?」
アルツ君:「ああ、見える。」
ヤッチ:「ばあさん(キノコさん)はあの鉄塔の先からいつもここまで歩いてくるんだぞ?」
アルツ君:「鉄塔に住んでるのか?」
ヤッチ:「『先』の意味が違うでしょ。」
アルツ君:「それにしても、ずいぶん遠いなぁ…。」
ヤッチ:「歩いて30分って言ってだぞ。でも、ばあさんの足なら、もっとかかるかもな?」
アルツ君:「削れて、来るまでに足が無くなっちゃうんじゃないか?」
ヤッチ:「そう、この間、ここに来るのに、往復して、足のマメがつぶれたって言ってた。足の裏がハゲちゃったらしいぞ?」
アルツ君:「かー、お前の頭と同じかよ?」
ヤッチ:「うるせーよ!!自分がタネをまいたんだろがっ!!」
アルツ君:「それじゃあ、当分、ばあさんのやつ、美味いもん持って来られないな…。」
ヤッチ:「えっー!!そっち?ばあさんの足の心配はしてやらないの?」
アルツ君:「ハゲは治らん!!」
ヤッチ:「…。」
くだらない話をして、少し休んだところで、元の廊下をひき返します。
途中、大きなデイルームのような所を横切るのですが、そこでは菓子パンの販売が始まっていました。
外部の業者さんが、デイルームのテーブルに色々なパンをならべ、これを利用者に販売するわけですが、毎日ではなく、月に二回程度。
アルツ君とさっきここを通ったときは、まだパンを販売していなかったのですが…。
(-_-;)
すでに、アルツ君が菓子パンの販売に気づき、目を光らせています。
( 一一)
ヤッチ:「あちゃ~。余計なことしてくれやがるぜ。」
ヤッチは菓子パンの販売が、なるべくアルツ君の視界に入らないように、アルツ君に身体を寄せて歩きます。
徐々に菓子パンを販売しているところが近づいてきます。
施設の職員さんも入所者さんに頼まれてパンを買いに来るのでしょう、その姿も目に入ります。
おやつ時とあって、なかなかの盛況ぶり…。
ヤッチは無言でそこを通り抜けようとします。
アルツ君:「おい、こんな美味そうなもんを見て、知らんぷりするやつがあるかよ。」
ヤッチ:「バレた?だって、さっきボタモチ食ったじゃないかよ~。」
アルツ君:「食ってないぞ!?それにボタモチとパンじゃ、お前、胃袋が別に決まってるんだろ!?こんな美味そうなもんを見せつけられて、素通りしようとしてやがるんだから…。」
そこへタイミング悪く、アルツ君担当の女性職員さんが、アルツ君を見つけ、アルツ君に声を掛けます。
女性職員さん:「○○さん(アルツ君のこと)もいかがですか?お金はいりませんよ。」
パンの代金は後で介護保険の請求の時に、支払われる仕組み…。
いわば、後払いです。
アルツ君:「へい、へい。それはそれは…。」
ヤッチ:「今食ったら、夕飯食えなくなるぞ?」
アルツ君:「いんんだよ、その時はその時で考えれば。それにお前とは胃袋の鍛え方が違うんだから。」
もう、完全におもちゃ売り場にいる子ども状態…。
(-_-;)
ヤッチ:「今日は特別だぞ?好きなものを自分で選びな?」
すでにアルツ君、自分のチョイスしたパンの袋を握りしめています。
テーブルの隅の方に陳列してあった食パン、一斤です…。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
ヤッチ:「いやいや、なんぼなんでもこれは無理でしょ。食パンだぞ?しかも一斤…。」
アルツ君:「でかい方が食い応えがあるからな!?」
ヤッチ:「いやいや、ジャムもバターも無いのに、それで食っても美味くないでしょ?アンパンとかクリームパンとかにすればぁ?」
アルツ君:「ちぇっ、ケチなこと言ってやがる…。」
ヤッチ:「いや、俺だってボタモチ食った後は、菓子パン一個だって辛いぞ?」
アルツ君:「だから、お前とは鍛え方が違うんだってっ!!」
アルツ君、完璧に戦闘モードです。
ヤッチ:「アンパンかなにか、小さいのを一つにしておけば?」
アルツ君:「アンパンは食いたいと思わないんだなぁ…。」
ヤッチ:「へー、珍しいな?じゃあ、何?」
アルツ君:「わからん。」
パンを販売している販売員の女性にヤッチはたずねます。
ヤッチ:「菓子パンの種類ですけど、アンパン以外に何が有るんですか?」
販売員さん:「いろいろありますよ。今日のおススメは『かぼちゃパン』かしら!?」
ヤッチ:「『かぼちゃパン』だってよ?旦那さん、かぼちゃ好きじゃないか?」
アルツ君:「そうだな…。かぼちゃなら、美味そうだな。」
ヤッチ:「でも、買ってもいいけど、食べるのは半分にしな?そうじゃないと食べ過ぎになっちゃうから?」
アルツ君:「ちぇっ。」
ヤッチ:「一個買って、それを半分食べな。残った半分は、夕飯の後、胃袋と相談して、食べられたら食べればいいじゃん?」
アルツ君:「はいはい、わかりましたよっ!!」
ようやく、アルツ君、納得してくれたようです。
ヤッチ:「じゃあ、あの販売員さんに『かぼちゃパン下さい』って、自分で頼みな?」
アルツ君がお客さんの群れに割って入ります。
アルツ君:「お~い!!かぼちゃのパンちょうだいよ。」
販売員さん:「は~い。おいくつ?」
アルツ君:「二つ。」
アルツ君
さすがです…。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
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こんにちわ。
相変わらず甘いものには目がないって事なんですねえ。
きっと、ヤッチさんの分も買ったつもり。そして、それは忘れるというパターンでは。まあ、食欲があるって事はいい事ですからね(^_-)-☆
よしこさん、こんばんは。
なるほど、そういう考え方もありましたか!?
でも、わが子を千尋の谷に突き落として、コンクリートミキサー車を発注する男ですから、現実はそう甘いものではありませんでした。
この後、『これは俺のパンだから』と言って、買った二つのかぼちゃパンを一人で完食です。
施設で出された夕食も残すことなく、食べたようです。
食欲有り過ぎです。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
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