アルツ君は職人進行性核上性麻痺の疑いのある元植木職人のアルツ君(父)、アルツ君の愛妻キノコさん(母)、そしてアルツ君の息子ヤッチの日々の生活を紹介しています。
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『死』を口にする職人、アルツ君

2015/12/16 (水)  カテゴリー: アルツ君
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KraftTape

こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

お久しぶりです。

長いこと、更新せずにさぼっていました。

心配して下さる方もいらっしゃるので、アルツ君の近況を書きたいと思います。

アルツ君ですが…。









安心してください。

生きてますよ。

パンツは穿いてませんよ。

オムツです。

去年(2014年)の11月に脳梗塞で倒れ、1か月ほど入院したアルツ君ですが、かれこれ1年が経過しようとしています。

今年の初めには、医師から余命1ヶ月とか2か月とか言われていましたが、施設の職員さん方やたくさんの方の支援のおかげ、そしてご覧くださっている皆さんの応援のおかげでここまでやってくることができました。

ありがとうございます。

脳梗塞の再発や誤嚥性肺炎などにならなければ、新年を迎えられそうな雰囲気も出てきました。

以前にも書かせていただいた内容の繰り返しで恐縮ですが、アルツ君、決して右肩上がりの回復傾向とは言えませんが、現状維持、もしくはなだらかな下り坂といったところでしょうか。

食事摂取量も水分摂取量も相変わらず少ないままですが、麻痺していた右腕は、リハビリをしているわけでもないのに結構な頻度で動かすようになりました。

指先は丸まったまま、まだ動かすことはできませんが、時々右腕を上げて物を掴むような仕草も見せます。

ちょっと気になるのは、とにかく明るいアルツ君だったのが、ここへきてますますネガティブトークが増えてきたこと。

『死んだほうがいい…。』、『死んじゃう…。』、『もう長いことはない。』、『もう、ダメだって…。』など、さらに後ろ向きの発言が増えて来ています。

食事時はもちろん慢性的に誤嚥している様子なので、むせるたびにそんな言葉を口にすることが多くなってきました。

まあ、むせた時の咳反射はまだまだ小さな子供を通りの向こうまで吹き飛ばすくらいの威力はあるので大丈夫でしょう。

ちょっと盛りすぎ?

以前に比べれば、声も小さくなってしまいましたし、発する言葉を100パーセントこちらが理解できることも少なくなってきましたので、やはり徐々に劣化しているのは確かなことかもしれません。

そんなアルツ君ですが、今まで居た居室から別棟の居室に引越ししました。

前々回の記事で施設(特別養護老人ホーム)の空調のことを記事にさせていただきましたが、大規模な空調の工事が今年の11月くらいから始まりました。

施設の各所に設置されている業務用の大型エアコンの室外機、室内機ともに入れ替えするかなり大規模な工事です。

同時に施設内の照明器具も白熱灯や蛍光灯のものをLED照明に切り替える工事らしいです。

詳しいことはわかりませんが、工事費用について、東京都から補助金が下りるらしく、空調工事の費用負担にはLED照明の切り替えが条件になっているようです。

こんな話を聞くと、2020年度を目処に地球温暖化対策のために白熱灯と蛍光灯の製造と輸入が禁止されるかもしれないなんていう話が、まんざら嘘でもなさそうな気配ですね…。

今まで蛍光灯だったものをLED照明にするためには器具本体をかえなくてはなりませんから、けっこうな予算なんでしょうね~。

もう4年とか5年後には蛍光灯も白熱灯が使えなくなるということは、ヤッチの部屋の蛍光灯をLED照明に切りかえる費用を誰かが出してくれるんでしょうか?

大家さんが負担してくれるのかな…。

ちょっと話がそれましたが、アルツ君の居室の引越しの話に戻ります。

アルツ君の居る施設では、エアコンなどの空調設備のほかに冬場は床暖房が入ります。

床暖房については工事をしないので、エアコンが工事で使えなくなる間、床暖房で居室の暖を取ろうというのが当初施設の考え方だったようです。

でも、やはり暖冬とはいえ、床暖房だけでは、寒い…。

ご家庭なら、エアコンを使わず、ホットカーペットだけで過ごせというような話です。

寝たきりのアルツ君が寒さを訴えます。

同じような意見が他の利用者さんからも出たため、アルツ君のように自分で寒さ対策のできない利用者さんはすでに空調工事の終わっている居室へ移動してくれないかという施設側の提案を受けました。

環境が変わることでアルツ君が不穏になることを懸念しましたが、本人の了解も取り、家族側は二つ返事でOKしました。

元の居室に戻ることを前提としているので、身の回り品だけを持って移動です。

もちろん本人も。

引越しは施設のスタッフさんが全部やって下さいました。

今まで過ごしていた居室は南側でしたが、移動先の居室は北側です。

今度はご支援いただくスタッフさんも棟が違うため、顏ぶれも変わります。

実は新しい居室に引越ししてから、1週間経っています。

特にアルツ君の気分的なものに変化は無いようです。(こちらに移ってからの方がアルツ君の笑顔が増えたかも?)

移動先の居室はベッドの位置が逆向きになるので、介助する側、される側もちょっと戸惑います。

今までヤッチはアルツ君の左側から食事介助などをしていましたが、今度は右側になるので、左右反対の動きをしなくてはならなくなるので、今ようやく慣れてきたところです。

アルツ君も呼びかけると、最初は習慣で、いつもと同じ方を向いて、あさっての方を向くなんていうことが多々ありましたが、ここへ来てようやく呼びかけた方を向くようになってきました。

よいことなのか悪いことなのかはわかりませんが、ヤッチ自身の脳トレにはなっているようです。

移動先の居室は利用者さんが集うデイルームからは少し離れた場所にあるため、とても静かです。

耳のよいアルツ君なので、質の良い睡眠を得るにはいい環境なのですが、反面、夕食時は特に食べている途中で寝てしまうことがますます多くなってきました。

ヤッチ:「旦那さん、眠いの?食べたいの?」

アルツ君:「両方…。」

ヤッチ:「贅沢な悩みだな。口の中に食いものを入れたまま寝ちゃうと、ネズミが口の中に入るぞ。」

アルツ君:「ふん…。ネズミも食べちゃう…。」

ヤッチ:「トロミがついてないから、無理だべ。」

アルツ君:「もうダメなんだって…。」

ヤッチ:「ネズミを食おうなんていう心意気があるんだから、まだまだ大丈夫だって。」

アルツ君:「ん…。もう長くないって言われた…。」

ヤッチ:「言った奴を俺がミキサーにかけてやろうか?」

アルツ君:「もう、足もなくなってきた…。」

ヤッチ:「旦那さん、それを毎回言ってるけど、どうして『死人』イコール『足が無い』なんだ?」

アルツ君:「わかんない…。」

ヤッチ:「大丈夫だよ。足はまだ付いてるよ。これ、感じるだろ?」

ヤッチはアルツ君のすねを軽く指先で叩きます。

アルツ君:「反対の足が無いって…。」

今度は反対の足を少し強めに叩きます。

アルツ君が反射的に足を動かします。

ヤッチ:「なっ?あるだろう?」

アルツ君:「みたいだな…。でも、もう要らないって…。」

ヤッチ:「鍛えなおせば、足の2本や3本、また生えてくるって。明日からジョギングでもやるか?」

アルツ君:「もういいって…。死んだ方がいいんだって…。」

ヤッチ:「なんでそんなに死にたいわけ?顔を見ると多分俺より血色がいいぞ?」

アルツ君:「そんなもん捨てちゃえ。」

ヤッチ:「いや、粗大ごみのシール貼っても持って行ってくれないよ…。」

アルツ君:「そうかぁ…。」

ヤッチ:「昔から寝れば治るって言ってたんだから、ちょっと寝ればスカッとするよ。じゃあ少し寝よう!」

アルツ君:「うん。死んじゃう…。サイナラ…。」

毎度のことなんですが、食事の途中で眠ってしまうアルツ君です。

しかも、前半でギブアップし、それから20分から、長いときは1、2時間くらいすると目を覚まし、記憶はリセットされ、また掟上今日子さん状態で食事を摂ります。

完食するまで何度もこれを続けるのも一つの手かもしれませんが、食事によってエネルギーを補給するものなのに、食事を摂るのにエネルギーを消費するのでは意味がないことなので、見極めが難しいです。

たいてい、アルツ君、『寝る』と言ってからしばらく独り言を言って、それからいびきをかき始めます。

ヤッチは独り言を言っているアルツ君にもう一枚毛布を掛け、足元をさすります。

いったん居室の灯りも消します。

ヤッチ:「ギーコ、ギーコ…。」

アルツ君の足首あたりに毛布の上から手刀を入れます。

ヤッチ:「ギーコ、ギーコ…。」

アルツ君の独り言が止みます。

ヤッチ:「ギーコ、ギーコ…。」

アルツ君:「…。」

ヤッチ:「ギーコ、ギーコ…。」

アルツ君が暗闇の中で目を開けます。

アルツ君:「うん…?何してるんだぁ?」

ヤッチ:「旦那さん、さっき『要らない』って言ってたからさ…。ギーコ、ギーコ…。」

アルツ君:「バカっ!そんなことしたら、死んじゃうだろっ!」

アルツ君

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ


追記
上記の記事はアルツ君がすぐに眠くなってしまうという話題ですが、本人は眠いはずなのに中々眠れない時もあるようです。
別の日にアルツ君が眠れない時、ヤッチとの会話を録音したものがありましたので、YouTubeにアップしました。
音声のみの記録です。
時刻にすると、18時前後で、一般的にはまだ寝るような時刻ではありませんが、食事をすこし摂った後、居室の灯りを消し、いったん寝てもらおうとして、目の閉じ方を忘れてしまったアルツ君とヤッチとの会話です。
お聞きになればおわかりになると思いますが、ヤッチがアルツ君の眠ろうとしているのを邪魔していると申し上げた方がよいかもしれませんね~。
何のオチもない普通の会話記録ですが、文字の情報だけでは伝わらないこともあるので、普段アルツ君とヤッチがどんな感じでやり取りしているのかをアップしてみました。
アルツ君は脳梗塞、ヤッチは顔面神経麻痺の後遺症で、二人とも滑舌がよくありませんがどうか御容赦下さい。(音声も小さいです。)
ちなみに、意味不明の箇所が多々ありますが、アルツ君の言っていることをヤッチも全部聞き取れているわけではありません。




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2015/12/16 | コメント (6) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

What You Want

2015/12/21 (月)  カテゴリー: キノコさん
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sheepskinboots

こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

ずっと母キノコさんのことを書いていなかったので、キノコさんについて書きたいと思います。

ご存知の方も多いかもしれませんが、我が母キノコさん、父アルツ君が特別養護老人ホームに入所が決まるのとほぼ同時期にアパートで独り暮らしを始めました。

ヤッチの部屋のあるアパートは2棟同じような建物が建っていますが、キノコさんはその別棟に住んでいます。

アルツ君と同じ生まれ年で、現在(2015年)87歳です。

キノコさんもヤッチも時折互いの部屋を訪れたりしますが、ほとんどのキノコさんとのコミュニケーションツールは電話です。(しゃべり相手が少ないせいか、電話をすると、なかなか電話を切らせてくれましぇん。)

目と鼻の先に居るというのに、逆に直接会う頻度は少なくなるものですね~。

そんなキノコさんですが、今までは介護保険の要支援1でしたが、今は要介護2です。

週に2回程度、介護保険を使って、部屋の掃除など、ヘルパーさんにいらしていただいて訪問サービスを受けています。

要介護2になったことは、今年の秋にキノコさんのケアマネさんから聞かされました。

どうして要支援1から要介護2なったのか、ケアマネさんからお伺いしていませんが、多分足腰がだいぶ弱ってきていることではないかと…。

電話で話をしていても、話が長いことを除けば、物忘れなど認知機能の衰えは感じません。

ただ、歩行がおぼつかなくなってきていて、アルツ君が特別養護老人ホームに入所してからしばらくは、自分でシルバーカーを押し、自分の足で面会に出かけていましたが、今は車椅子で送迎しないと無理…。

まあ『老化』という言葉でかたづけてしまえばそれまでですが、歩けなくなってきた主たる原因を考えた場合、ヤッチ的にはキノコさんのハンマートゥが原因じゃないかと思うんですよね。

これが治りさえすれば、以前と同じようにとはいかないまでも、また少しは歩けるようになるんじゃないかと考えています。

ご存知かもしれませんが、ハンマートゥというのは、足の指が曲がったまま元に戻らなくなった状態のことです。(金づちのつま先~直訳)

キノコさんの場合は足の中指が特に大きく曲がってしまっています。

ハンマートゥの原因の一つにサイズの合わない靴を履いているせいだというのがありますが、キノコさんもどうやらこの口です。

足のアーチ構造を修復しないかぎりり根治しないという話も…。

ヤッチが言ったところで、言うことを聞きやしませんからね~。

かかとのすり減った靴も後生大事に取っておいて中々捨てないタイプ…。

サイズの大きい靴を購入し、冬場は靴下を2枚重ね履きするので、当然、夏場などの暑い時期は同じ靴でもユルユルの図式です。

足の指が曲がったままで、痛くないのならまだ生活に支障をきたすことは無いのかもしれませんが、キノコさんの場合は、曲がった足の指の腹にマメ(タコ?)のようなものができてしまい、歩くたびにそこが刺激され、痛むのだそうです。

また、足の指が曲がってつま先が膨らむので、靴を履くと足の指の背のほうも圧迫されて痛むようです。

足の指が痛むのであればどうしたって歩く機会は減ってきますし、治癒したとしても歩く筋力を取り戻すのは容易なことではありません。

一応、定期的な内科の診察の時に、かかりつけの先生の診察を受けていますが、なかなか治りません。

外出するときも、福祉用具で購入した室内履き(サンダルに近い?)のような、つま先が開いた靴を履いています。

さすがにこの靴では雨の日や寒い冬の日ではかわいそうな状況…。

第一つま先の開いた靴を屋外で履けば、ケガの危険が伴います。

なので、ヤッチ、先日、キノコさんにブーツをプレゼントしました。

楽天市場でネット購入し、キノコさん宛の住所に送ってもらうよう手続きしました。

足型に合った介護用の靴も検討しましたが、足型に合っているとはいえ、窮屈な靴を履かせてしまってはますます歩く機会が減るのではないかと考え、この際、リハビリは捨ておいて、防寒のみを重視したムートンブーツです。


ムートンブーツ
ムートンブーツ レディース
1,280円(税込、送料込)
(2015年12月現在の価格)

ムートンといってもフェイク(合成皮革)です。

値段は税込み、送料込みでな、なんと1,280円(2015年12月現在)。

これなら、ワンシーズンで履きつぶしても納得いく金額です。

表記はありませんでしたが、本体価格にしたら、500円とか600円の品物かもしれませんね。

ヤッチなら高価なものをプレゼントするだろうと思ったそこのアナタ、それは大きな間違いです。

当然UGGやEMUのものでもありません。

色は定番色のキャメルやベージュにしようか迷いましたが、『派手じゃない?』と言われそうな気配もあるので、無難な黒を注文することに…。

ネット購入だと、実際の色や履き心地、風合いなどを確かめられないのが難点ですが、黒ならイメージに近いものが届くだろうというヤッチの安易な発想です。

ロングだと年寄りなので脱ぎ履きが難しいだろうと、できるだけショートのものを探していたら、ベリーショートを発見、さっそくクリックです。

サイズについてですが、キノコさんは普段24.0cmの靴を履いています。

これがぴったりのサイズなのかは疑わしいところですが、このショップでは、S、M、L、LLから選択するようになっていたので、レビューを読んで、やや大きいかなと思われるLサイズ(24.0~24.5cm)を購入です。

大き過ぎれば中敷きで調整です。

キノコさんには本人宛てに荷物が届くことを事前に教えておきました。

まさか頼んだ翌日に商品が届くと思っていませんでしたが、翌日の夜にキノコさんから電話がヤッチの元へ。

キノコさん:「あんたが頼んでくれたブーツが届いたんだけど、お金を払わなくていいの?」

ヤッチ:「清算済みだよ。」

キノコさん:「あら、悪いじゃないの。払うわよ。」

ヤッチ:「一足早いクリスマスプレゼントでいいよ。1,280円だけどな~。」

キノコさん:「え!そんな値段なの?送料も入れて?」

ヤッチ:「そうだよん。」

キノコさん:「そんな値段には見えないけどね…。」

ヤッチ:「え?よくなかった?」

キノコさん:「違うわよ。逆よ。とってもそんな値段に見えないくらい素敵なブーツっていう意味よ。」

ヤッチ:「じゃあ、128,000円にしとく?」

キノコさん:「…。」

↑ 冗談が通じない職人の妻…。

ヤッチ:「で、履いてみたの?」

キノコさん:「いや、まだ。あんたに見せてからのほうがいいかと思って…。」

ヤッチ:「別に俺が履くんじゃないからいいのに…。」

キノコさん:「でも、私の部屋に来て見てよ。」

ヤッチ:「わかった。じゃあ、今そっちに行くよ。」

ヤッチは自分の部屋を出てキノコさんの部屋に行きます。

ヤッチ:「どう?お気に召さなかった?」

キノコさん:「いやあ、そんなことないわよ。とっても素敵よ。梱包されてた箱だって、とても丈夫そうで立派よ。」

ヤッチ:「つったって、靴の箱でしょ?」

キノコさん:「まあ、そうだけど…。それにこのブーツ、本革みたいね?」

ヤッチ:「本革じゃないよ。合成皮革だよ。」

キノコさん:「だから、本革なんでしょ?」

ヤッチ:「違うよ。合成皮革っていうのは、ニセモノの革ですよっていう意味だよ。」

キノコさん:「あら、やだ。『革にあい成りました。』って、どこかに書いてあったから。」

ヤッチ:「夫婦で漫才やるのは結構な話だけど、ボケが二人じゃ成立しないぞ?」

キノコさん:「失礼ね。まだ、頭のほうはしっかりしてるわよ。」

ヤッチ:「…。で、ちょっと履いてみなよ。きつくて入らなかったら、返品する都合もあるからさ。」

ヤッチは椅子に腰かけているキノコさんに部屋の中でムートンブーツを履かせます。

ヤッチ:「柔らかそうな素材だから、あまり長くて履きにくかったら、折り返して履いてもよさそうだな…。で、どう?痛くない?」

キノコさん:「痛くないわ。フカフカして温かいわ。」

ヤッチ:「ちょっと、立って歩いてみん?」

キノコさんが立ち上がります。

ヤッチ:「どう?痛くならない?」

キノコさん:「うん。平気だわ。靴下をもう一枚履いたら、多分ピッタリよ。」

ヤッチ:「まーた、そんなこと言ってるのかよ。もう一枚履くなら、足の皮の内側に履けよ。」

キノコさん:「…。」

ヤッチ:「どう?明日から履いてどっか行って来れば?」

キノコさん:「なんだかもったいないようだわね…。」

ヤッチ:「中のボアが抜けるって書いてあったから、冬が終わるころには、俺の頭のようにテニスコートの外に落ちてるテニスボールだよ。」

キノコさん:「そうかしら?箱だって立派だし、高級なんじゃない?」

ヤッチ:「満足いただけた?」

キノコさん:「満足、満足。この箱なら、お裁縫道具を入れるのにちょうどいいわ。」

欲しいのは箱かいっ!

キノコさん

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ




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2015/12/21 | コメント (0) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

おお、味噌か?

2015/12/31 (木)  カテゴリー: アルツ君
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年越しそば

こんにちは。

アルツ君の息子ヤッチです。

一昨日のお昼過ぎのことですが、アルツ君の居室の室温調節が上手くいかなくて、アルツ君の背中がビッショリになるなんていう出来事がありました。

脱水状態でグッタリしてしまって、体調が戻らなければ、入院も考えなくてはいけないところでしたが、幸い翌日の昨日(変?)は元気に復活。

多分、サバイバルゲームに参加させたら、アルツ君、優勝間違いなしですね。

さて、そんなアルツ君ですが、今年(2015年)の初めには、医師から『看取り』を勧められ、余命宣告までされてしまいました。

特別養護老人ホームのほうからも『看取り介護』を勧められました。

『看取り介護』と『介護』が具体的にどのように違うか知りませんが、家族側は『待ってくれ。』と反対。

施設の人たちにとっては、有りがちなパターンなのかもしれませんが、『看取り介護』はいまだにピンと来ない言葉です。

お叱りや誤解を恐れずに申し上げるならば、余命宣告などという言葉も、医師が保険を掛けていう言葉なんじゃないかと…。

汚い言い方をするなら、「先生、『大丈夫』だって言ってたじゃないですか?」と家族に泣き叫ばれないための口実ではないかと。

アルツ君の病状は、今年の初めとあまり変わってはおらず、でも生きてますからね…。

どうも、ヤッチは『看取り』という言葉が好きになれません。

将来これを本当にしなくてはならない時が来るのかもしれませんが、多分ヤッチの頭の中では疑問形のまま、時間が流れるのだと思います。

漠然としていますが、はっきり申し上げてしまえば、人間の死を他人が決めてよいのか?という大命題です。

って、固い話はやめにしましょうか?

そもそも自分が勝手に書いておきながら、いい加減な奴です。

m(__)m

一昨日の翌日の昨日(変?)もアルツ君のところに面会に行ってきました。

ほとんど毎日3時前(夜中じゃないよ!)に面会に行き、一旦帰宅し、再度夕食の介助に出かけるというのをこの一年間続けてきましたので、『面会に行ってきました。』という言葉もそろそろ省略させていただこうかと考えています。

一昨日は居室の扉が閉まっていて、陽の当たる車内のような状態になっていましたが、この日は扉が開いています。

空調も問題なさそうです。

居室の前まで来ると、ヤッチが持って行った昭和の流行歌のCDに合わせてアルツ君が歌っています。

ヤッチ:「おっ、今日はいい声が出てるね~。」

アルツ君がピタリと歌うのを止めます。

ヤッチ:「なんだよ、なんだよ。そんなに息子に歌声を聴かせるのが恥ずかしいか?」

ちなみに誰が訪れてきたかわからなくなってきているアルツ君に『息子』であることをアピっています。

これもちなみにですが、今『おとずれて』とキーボードに打ち込んだら、『音ズレて』と変換されてしまいました。

アルツ君:「もったいないって…。」

ヤッチ:「まーた、部屋に入って来るなり一本取りやがって。三本勝負だからな。」

アルツ君:「あーどうぞ!かまいませんよん!」

ヤッチ:「この間、テレビでやってたけど、歌を歌ったり、口を大きく開けるのは悪いことじゃないらしいぞ?脳が活性化するんだってよ?」

アルツ君:「ワニも頭いいのか?」

ヤッチ:「今のは『技あり』だな。でも、バンバン歌ったほうがいいらしいぞ。そのかわり喉から血を出すまでやるなよ。」

アルツ君:「『有効』にもなりません…。」

ヤッチ:「うるせーよ。でも、大丈夫だよな。旦那さんがあくびをするとき、最近スンゴイでかい口を開けてるもんな?」

アルツ君:「いやいや…。」

ヤッチ:「あのね、ほめてないよ。あくびで地球の空気全部持っていかないでくれよ?」

アルツ君:「は~あ~ん!」

ヤッチ:「言った端から、あくびでご挨拶ですか?最近、俺が夜寝ていると、時々『へっ!』って息が詰まるのは旦那さんがあくびして俺の吸う空気を奪ってるからだな。」

アルツ君:「ちゃんと、残してます…。」

くだらない話をしながら、アルツ君に持って来た杏仁豆腐を召し上がってもらいます。

前日、ほとんど水分を摂っていなかったせいなのか、完食です。

ヤッチ:「今日は、調子がいいみたいだな?失礼!いつもに増して調子がおよろしいようで?」

アルツ君:「それほどでもないよ…。あっ?」

居室の扉が開いているので、時折、廊下から入所者さんや職員さんの声が飛び込んできます。

ヤッチ:「しかし、よく聞こえる耳だね?二つもいらないんじゃないの?」

アルツ君:「ばかー。」

ヤッチ:「扉、閉めておこうか?」

アルツ君:「あ、誰か来る。」

ヤッチ:「座頭市のオファーでも来そうだな…。」

アルツ君の言ったことは本当でした。

だれも乗っていない空の車椅子を押した施設の女性職員さんが居室の前に姿を現します。

寝ているアルツ君の視野には入りません。

どうも隣の居室か、そのまた隣の居室の入所者さんに用があったようです。

廊下でその女性職員さんが大きな声で声かけをします。

女性職員さん:「お待たせしました~!お迎えに上がりました~!」

アルツ君:「おーい。まだ、生きてますよ~。」

アルツ君

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ


今年一年

お世話になり

誠にありがとうございました。

どうぞ、よいお年をお迎えくださいませ。

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