アルツ君の息子ヤッチです。
(^_^)/~
更新をさぼっていましたが、アルツ君は風邪もひかずに元気に特養で過ごしています。
時折、昔手術をした腕の古傷が寒さで痛むことがあるようですが、それ以外は特に変わり無しと言ったところでしょうか。
2億4000万のアルツ君ファンには大変恐縮ですが、今日は私ヤッチの顔面神経麻痺の話題です。
m(__)m
検索サイトから、顔面神経麻痺の事でこのブログにいらっしゃる方が大変多いので、少しでもお役に立てるようにと、ヤッチの備忘録を兼ねて今日はこの話題を中心に書かせていただきたいと思います。
さて、ヤッチが顔面神経麻痺で入院したのが、2012年の5月。
退院後は、入院していた大学病院で、リハビリを一年間。
リハビリを続けている間にほとんど麻痺も無くなり、顔の非対称も解消されて行きました。
しかしながら、口を丸め込む仕草をすると、麻痺していた側の左まぶたが、自分の意志とは関係なく閉じてしまうという後遺症が残ってしまいました。
いわゆる顔面神経麻痺後の病的共同運動というやつです。
一年間のリハビリ後は、おでこの脂肪腫やほおにできた脂漏性角化症を除去する小手術などを受けて、今日に至っています。(顔面神経麻痺とは直接関係ありません。)
今年(2014年)の5月になれば、発症から2年が経過ということになります。
ここまでは、何度もブログに訪問下さっている方には聞き飽きている話だと思いますが、先日、この除去手術のその後の経過を診てもらうため、形成外科を受診してきました。
先日と言っても、先月1月20日の話なんですけどね…。
(^^ゞ
おでこの脂肪腫と頬の脂漏性角化症の除去手術が去年(2013年)の8月なのに、ずいぶん診察まで間が空いていると思われるかもしれませんが、実は、去年の11月にも、左のこめかみ辺りにも脂漏性角化症が大きくなっているのが見つかって、小手術を受けていたんです。
ちょいと切って、縫い合わせるだけの手術で、たいしたことでは無いと思ったので、ブログの中でチラッとお話しをしましたが、記事として大々的に取り上げていませんでした。
m(__)m
で、その間、何回か傷口の治り具合を診てもらうために、大学病院のM子先生の診察を受けていました。
M子先生は形成外科の先生なので、脂肪腫の除去手術などは、おそらくお手の物なんでしょうが、ヤッチは別件で、この顔面神経麻痺後の共同運動が何とかならないか相談していました。
そして、今年(2014年)になって、この大学病院の本院に専門の先生がいらっしゃるということで、M子先生に紹介状を書いてもらうことになっていました。
これも以前にも書いたことですが、ボツリヌス療法を受けるための紹介状です。
ボツリヌス療法というのは、ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンを注射して、緊張している筋肉を麻痺させ、筋肉の緊張によって起こる眼瞼痙攣(がんけんけいれん)や片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)の症状を改善する治療方法です。
ボトックス®注射を打つという表現の方がピンときますかね。
顔のシワ取りのためにこのボトックス®注射を打つなんていうことが、美容整形外科の広告や女性週刊誌にもよく出ているんではないでしょうか。
顔のシワ取りについては、美容的な意味合いが強いので、ボトックス®注射は健康保険の保険適用にはならないようですが、ヤッチのような顔面神経麻痺後の病的共同運動のような場合は健康保険の適用範囲になるようです。
ボツリヌス菌は、御存知のように、食中毒の原因菌の一つであまりにも有名な細菌です。
そして、ボツリヌス菌はボツリヌス毒素という強力な神経毒を放つため、生物兵器に利用されたりするちょっとおっかない菌でもあります。
後々わかったことですが、ボツリヌス療法に使われるボトックス®はボツリヌス毒素を精製して作られた製剤です。
ボトックス®注射を打ったからといって、ボツリヌス菌が体内に入るわけではないようです。
食中毒を起こして体内でボツリヌス菌が繁殖することも無いようです。
そう聞いても正直まだ怖いですが…。
(^_^;)
またボトックス®というのは、登録商標で、アメリカのアラガンインコーポレーテッド(米国アラガン社)が開発し、日本でこの登録商標の使用が許可されているのは、アラガン・ジャパン株式会社(アラガン社)とグラクソ・スミスクライン株式会社(グラクソ社)のみだそうです。
ボトックスの文字の後に登録商標マークの『R』を付していますが、ブラウザによっては、正常に表示されていない場合があります。その際は置き換えてご覧ください。
余談になりますが、顔のシワ取りに使用されるのは、正確にはボトックス®ではなく、ボトックスビスタ®という製品で、日本では現在アラガン社のみが販売しているようです。
眼瞼痙攣(がんけんけいれん)というのは、目の周りの筋肉が痙攣して、目が開けにくくなったり、まばたきが上手くできなくなる病気。
眼瞼痙攣(がんけんけいれん)の発症の原因は、脳の運動を制御するシステムが機能障害を起こすことによって生じると考えられていますが、どうやらなぜ発症するかは完全には解明されていないようです。
眼瞼痙攣(がんけんけいれん)の初期症状としては、まぶたが不快に感じたり、目がチカチカする、まばたきが多くなるなどがあるようです。
症状が進行すると、まぶたが頻繁に痙攣したり、自分の意思で目を開けていられなくなることもあるような…。
ヤッチも朝起きると、頻繁ではないのですが、片目だけ自分の意志で開けられない時があって、ちょっと焦る事が有ります。
手でこじ開けていますが…。
また、ギュッと目を閉じた後に目を開けると、片目だけピクピク動くことがあるようです。
自分では確認できないのでわかりませんが…。
片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)というのは、顔の片側が自分の意志とは関係なく、ピクピクと痙攣したり引きつったりする病気です。
片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)の初期症状としては片目の周囲が軽くピクピクと痙攣する程度ですが、次第にこの範囲が広がるようです。
症状が進行すると、顔が引きつってゆがんだりします。
片側顔面痙攣(へんそくがんめんけいれん)の原因は血管が脳内から分岐した顔面神経を圧迫することによって起こるといわれていますが、ヤッチのような顔面神経麻痺の後遺症も否定できないのではないでしょうか。
なんだか紛らわしいですが、顔面神経麻痺の場合は、神経が麻痺している状態なので、片側顔面痙攣のように発症中は痙攣するようなことはないんじゃないでしょうかね…。
後述しますが、ヤッチの顔面神経麻痺後の後遺症である病的共同運動も眼瞼痙攣や片側顔面痙攣と類似の症状なので、ボツリヌス療法が有効なそうで、どちらかというと、『片側顔面痙攣』として処理されるようです。
すいません…。
文章を書くのが下手くそなので、もう画面を閉じたくなりましたよね?
勝手に閉じてしまった場合は『画面痙攣』かもしれません。
ここからは、会話形式で話しを進めましょう。
1月20日のM子先生の診察日からです。
M子先生:「どうなさいますか?」
ヤッチ:「ボトックス®のことですか?」
M子先生:「はい。脂肪腫や脂漏性角化症については、傷口の方も順調にふさがっているので、私の方の治療はこれで終了なんですが…???」
ヤッチとしては、きれいなM子先生なので、まだ365回は通院したい気持ち…。
(-_-;)
ヤッチ:「先生に(ボトックス®の)面倒をみてもらうわけにはいかないんですかね?」
M子先生:「ごめんなさい、私の方はこちらは専門ではないんですよ~。」
ヤッチ:「そうなんですか…。」
M子先生:「お茶の水にあるここの病院の本院にボトックス®専門の先生がいらっしゃるので、紹介状を書いて差し上げますけど…?」
ヤッチ:「治療を受けようか受けまいか、色々考えたんですけど、一度その専門の先生に診察していただいてから、ボトックス®をやるかどうかを考えるという選択肢も有りですよね?」
M子先生:「もちろん、診察が先で、それからでないと治療は受けられませんから。」
ヤッチ:「そしたら、紹介状を書いていただこうかな!?」
M子先生:「ただ…。」
ヤッチ:「なにか?」
M子先生:「ただ、その先生の診察は木曜日の午後からなんですけど、ものすごく混んでるんですよ~。」
ヤッチ:「どこの病院でも同じですからね…。」
M子先生:「その先生のお名前はH先生と言うんですけど、その先生、いつも夜の10時ぐらいまで診察していらっしゃるんですよ~。初診で行かれるので、多分予約の患者さん優先になると思います。どのくらいお待たせするかわかりませんよ?」
ヤッチ:「まあ、待つのは慣れていますから、終電覚悟でお伺いしたいと思います。」
M子先生:「それでは、紹介状を書かせていただきますので、診察室の外でお待ちください。」
…ということで、M子先生に紹介状を書いてもらい、2月6日に本院へ行ってきました。
お茶の水にある大学病院と言ったら、数えるほどしかありません。
画像をご覧いただけば、ヤッチがどこの病院に行ったかバレバレの話ですが、午後の診察受付は午前11時30分からと事前の電話で聞いていたので、この時間に合わせて総合受付に行ってきました。
顔面神経麻痺で分院に入院する前に、こちらの本院で検査を受けていたので、診察券を持っています。
受付はスムーズに済みました。
総合受付を済ませ、今度は3階にある形成外科の外来受付です。
問診票を書くように言われます。
う~ん…。
PCや携帯だと『麻痺』って簡単に書けますけど、手書きだとなかなか出てきませんね…。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
なんとか書き終えて、受付の女性職員さんのところへ持って行きます。
受付女性:「先生の診察は午後1時からになります。1時になったら、形成外科の診察室前でお掛けになって、お待ちください。」
時刻はちょうど正午ごろ…。
診察時間が始まるまでには間があります。
ヤッチは昼食を済ませます。
適当に時間を潰し、1時ごろに形成外科の診察室前に設けてある長椅子に腰かけます。
どこの病院もそうだと思いますが、診察室付近にその日担当する医師の氏名がリスト表示されています。
診察室のドアに医師の氏名のプラカードが貼られていたりもします。
ヤッチはこの日の担当の医師の氏名を確認します。
この日、二人の医師の外来診察があるようです。
どうやら、紹介してもらったH先生の他にもう一人外来診察があるようです。
ん?
なんだよ、なんだよ~。
もう一人は、M子先生じゃないですか~。
H先生とM子先生が本日の診察日のようです。
『M子先生も野暮だな~。紹介状なんて無くて、口頭で済むじゃん!!』と心の中でつぶやきます。
保険請求の関係もあるので、紹介状を書くのはやむを得ない話と言えばやむを得ない話ですが…。
大きな大学病院ですから、本院と分院の両方の診察を担当するなんて、当たり前の話と言えば、当たり前ですし…。
(^_^;)
しかも、モニターに診察の待ちの人数が表示されていましたが、M子先生の方がH先生より待ち人数が多い…。
『何だよ、何だよ、M子先生、人気者じゃん!!』とまたしても心の中で…。
ヤッチは待っている間、M子先生の待ち人数がH先生より常に上回るよう応援して時間を過ごします。
(^_^;)
いつものようにくだらない妄想を張り巡らせていると、ヤッチの名前が呼ばれます。
ヤッチは診察室の中に入ります。
M子先生の話しで、担当して下さるのは男性のH先生とお伺いしていましたが、座っていらしたのは、女性の先生。
仮称A先生にしましょうか。
A先生:「荷物をそこにあるカゴにお入れいただいて、こちらにおかけください。」
ヤッチは言われた通り、バックをカゴに入れ、A先生の横に設けてある丸椅子に腰かけます。
ヤッチ:「はじめまして。よろしくお願いします。」
A先生:「こちらこそ。診察なんですが、H先生が後から参ります。その前に、私の方でいろいろとお伺いをして、問診をさせていただきます。問診の後にH先生から今後についてのお話があると思います。」
ヤッチ:「わかりました。よろしくお願いします。」
A先生:「まず、問診票を拝見させていただきましたが、特に気になる事というのは…?」
ヤッチ:「やはり、口を丸め込むと片目が閉じてしまうことですかね。なれてきていると言ってしまえば、それまでですが、やはり気にならないわけではないので、ストレスになりますかね~。」
A先生:「それは、御存知かと思いますが、麻痺してた神経が徐々に回復していく過程で、本来動かなくてもよい神経に誤って繋がった事が原因なんですね。簡単に申し上げると混線して神経が繋がってしまったということになります。」
ヤッチ:「その非行少年を更生させることはできないかと、今日はお伺いしたんですけど…?」
A先生:「他に気になっているというか、お気づきの症状はございますか?」
ヤッチ:「口を丸め込むときもそうなんですが、左側の表情筋を動かすと耳の中で風切り音のような音が聴こえます。」
A先生:「風切り音?」
ヤッチ:「実際に耳の中に風が入って来るわけではないんですが、高速道路を自動車で走っているときに、いきなり誰かが窓を開けた時のような音です。ただ、生活音があるような所では気にならないんですが、静かな部屋などで食事をしていると、ものを噛むたびに不快な音がします。リハビリの時にSTさんから、もしかしたら、アブミ骨耳鳴りではないかと言われたことがあります。」
A先生:「他には?」
ヤッチ:「うつむいて文字を書いたりしていると、左目の目玉が落ちそうになる感覚におそわれます。長時間、物書きはできないですね…。」
A先生:「なるほど…。」
ヤッチ:「それと関係するのかどうかわかりませんが、朝起きた時に、時々自力で左目を開けられない時があります。」
A先生:「顔がこわばったりしますか?」
ヤッチ:「今の冬の時期はどうしてもこわばります。時々顔をかきむしりたくなります。」
A先生:「それは朝が多いですか、夜が多いですか?」
ヤッチ:「圧倒的に朝です。朝起きた時は、顔半分が溶けてしまっているような感覚です。」
A先生:「口を開けた時に片目だけ涙が出たりということは?」
ヤッチ:「食事中にたまにウルウルすることはありますが、気になるほどポロポロしたりはしないですね。」
A先生:「それではお顔を実際に見させていただきますね?」
ヤッチ:「はい。」
A先生:「まゆを上げておでこにシワを寄せて下さい。」
ヤッチはおでこにシワを寄せます。
A先生:「これは、まず問題なくできますね?」
ヤッチ:「そうですね。」
A先生:「目を軽く閉じてください。」
ヤッチは目を閉じます。
A先生:「ギュッと目を閉じてください。」
ヤッチはギュッと目を閉じます。
A先生:「目を開けた時に、少しだけ左のまぶたの下がピクピクっとなりますね。」
ヤッチ:「自分じゃ思い切り目を閉じるなんていうことを普段しないですからね!?」
入院中やリハビリの時に耳鼻科の診察の時にやった事とほとんど同じです。
記事がますます長くなってしまうので省略です。
おそらく顔面神経麻痺の程度調べる柳原法やHouse-brackmann法を用いて評価しているのかと…。
関連記事:顔面神経麻痺のリハビリ~2013年03月
A先生の言われた通りのことをすべてできるには出来ますが、顔がピクピク動いてしまったり、片目が閉じてしまう時があります。
(^_-)
特に『ウー』と口を尖らせたり、『への字口』をすると顕著になります。
鼻を膨らませると、下のまぶたが連動して動くのは自分でも感覚として伝わって来ます。
よく耳を動かすことのできる人がいますが、あれに似た感覚かもしれません。
A先生:「お顔の写真を撮らせていただいてもよろしいですか?」
ヤッチ:「はい。どうぞ。」
表情を作るように言われ、何枚か写真を撮りました。
A先生:「私の問診は以上です。H先生はすぐにいらっしゃると思いますので、そこでもうしばらくお待ちください。」
誰も居なくなった診察室で、ヤッチはカルテを覗き込みますが、何が書いてあるのかサッパリわかりませんでした。
そこへA先生とは別の白衣を着た女医さんが診察室に入って来ます。
M子先生です。
M子先生:「あら?今日診察にいらしたんですか?」
ヤッチ:「はい。先日はありがとうございました。」
M子先生:「あ、いえ…。ずいぶんと待たされましたか?」
ヤッチ:「いえいえ、先生に夜の10時なんて聞いていましたけど、まだ外は明るいですよ。むしろ早く診てもらえたような気がしますよ。」
M子先生:「それは良かったですね。それでは…。」
M子先生は足早に診察を出て行かれました。
代わってA先生とH先生が診察室の中に入って来ます。
H先生:「今日診察させていただく、Hと申します。」
ヤッチ:「よろしくお願いします。」
H先生:「共同運動が出るということですけど、ひどくなっていますか?」
ヤッチ:「どうなんでしょうかね…。麻痺から徐々に感覚が戻って来ているので、感覚が戻った分、ひどくなっているようにも感じますが…。」
H先生:「ボトックス®の話しは聞きましたか?」
ヤッチ:「いえ。」
H先生:「簡単に申し上げると、ボトックス®注射というのは、あなたのように、本来動かなくてもよい顔の筋肉に少量ずつ注射をして、緊張した筋肉のこわばりを取ってあげるんです。言葉が悪いかもしれませんが、本来動かなくても良い筋肉に『動かなくていいよ。』と騙すと言ったらわかりやすいかな~。」
ヤッチ:「はい…。」
H先生:「最初に申し上げておきますが、注射を打てば必ず治るというものではありません。」
ヤッチ:「対症療法ということですよね?」
H先生:「そうです。注射を打つと、早い人では、2、3日。一般的には2週間前後で薬が効いて来ます。打ってその日のうちに効力が出るとは限らないんです。」
ヤッチ:「そうなんですか…。」
H先生:「で、2週間前後すると、あなたのように片目が閉じてしまうなどの症状が徐々に緩和されて行きます。」
ヤッチ:「…。」
H先生:「ただ、この薬の効力が半永久的に続くのではなくて、徐々に効果が薄れてきます。だいたい薄れて来るのが3~4か月です。」
ヤッチ:「はい…。」
H先生:「個人差はありますけど、3ヶ月、4か月したら、また注射を打って、これを繰り返します。そうだな~、この繰り返しを3回から4回やると、今まで気になっていたところが気にならなくなるかな…。」
ヤッチ:「ということは、このボトックス®なるものをやってみないとわからないっていうことになりますか…?」
H先生:「うん、でも、きっとよくなりますよ!」
ヤッチ:「…。」
H先生:「ただ、薬をどこにどのくらいの量入れていくかが、とても難しいんですよ。入れ過ぎると、完全にその部分が麻痺しちゃうからね。」
ヤッチ:「なるほど…。」
H先生:「先ほど、A先生も診たと思うけど、私にももう一度お顔の方を拝見させて下さい。」
先ほど、A先生の問診の時と同じようにH先生がヤッチの顔の動きを細かくチェックします。
H先生:「あごの下辺りの首筋が凝るっていうことはない?」
ヤッチ:「リハビリの時に『イー』を発音する時、私の場合、首筋にスジが出るので、STさんから気をつけるように言われているせいか、意識している分凝るということはないですね…。」
H先生:「そうですか…。その首筋辺りにも薬を入れたらいいかなと思ったんだけどな…。」
ヤッチ:「自分ではどこがどう間違って繋がちゃってるんだかサッパリわからないんで…。」
H先生:「それは皆さんそうですから、御心配されなくても良いですよ。(ボトックス®を)やってみますか?」
ヤッチ:「今日はそのつもりでお伺いしたので…。」
H先生:「そうするとですね。薬(ボトックス®)を発注しないとなりませんね。だいたい発注してから2週間後に薬が届きますから、その時また改めてお顔を細かくチェックしましょう。どこにどう薬を入れていくかもその時に。」
ヤッチ:「わかりました。お願いします。」
大きな病院なのに薬を発注してからでないと、処置できないというのもおかしな話です。
やはり性質上、薬は厳重に管理され、医療機関にストックしておくというわけにはいかないのかもしれません。
後でわかったことですが、ボツリヌス療法はどこの医療機関でも受けられるわけではなく、規定の講習実技セミナーを受講した医師のいる医療機関に限られるようです。
H先生はA先生にたずねます。
H先生:「『同意書』はお渡しした?」
A先生:「いえ、まだです。」
H先生:「それじゃあ、ご説明をして、次回の予約日も決めておいて?」
A先生:「はい。わかりました。」
H先生は診察室を出て行かれました。
A先生が今度はヤッチに向かって話しかけます。
A先生:「今、H先生からお話があったと思いますが、お薬の方は2週間後にこちらの医療機関に届くことになっています。」
ヤッチ:「みたいですね。」
A先生:「そうしますと、次回の診察は2週間経ってからということになりますけど、ご予約はいつになさいますか?」
ヤッチ:「2週間後というのは20日ですか?」
A先生:「そうです。それ以降ですと、先生の診察日は木曜日だけですから、2月は27日が診察日になります。」
ヤッチ:「20日に予約を取ることはできますか?」
A先生:「はい。大丈夫ですよ。ただ、ご予約の診察時間が17時以降でないと、空がありません。」
ヤッチ:「もう少し早い時間は無い?」
A先生:「申し訳ありませんが…。しかも17時に予約をお取りしても、実際の先生の診察は最短でもその2時間後くらい先になるかと…。」
ヤッチ:「お忙しい先生のようですから、仕方ないですね。では20日に予約を入れていただけますか?」
A先生:「わかりました。20日ですね。今予約票をお出しします。それと、この同意書に署名と印を押していただきたいのですが…?」
ヤッチ:「今ですか?」
A先生:「いえいえ、次回の診察日に持参していただければ結構ですよ。念のため、訂正印を押してもらうこともあるので、印鑑もご持参ください。」
A先生に渡されたのは、『ボトックス®による治療に対する同意書』というものです。
A3の用紙で3枚綴りになっています。
手入力でこのブログにアップしようかどうか迷いましたが、大変そうなのでやめました。
PDFファイルでアップしますので、ご興味のある方はリンクを貼っておきますので、ダウンロードしてみてください。
ここに書かれているボトックス®の説明の方がヤッチの説明よりずっとわかりやすいかも!?
『ボトックス®による治療に対する同意書』(PDFファイル)
A先生は話を続けます。
A先生:「H先生のお話にもあったように、ボトックス®というのは、一部の神経を麻痺させて、本来動かなくてもよい筋肉の動きを止めるものです。」
ヤッチ:「そのようですね。」
A先生:「もちろん薬の量が少なすぎても効かないし、多すぎると今度は眼瞼下垂(がんけんかすい)といってまぶたが下がって来てしまう副作用もあります。ただ、H先生のお話にもあったように、効果が段々と薄れてきますから、仮に薬が多く入ってまぶたが下がるような事が有っても、徐々にそれは元に戻ってくるので…。」
ヤッチ:「眼瞼下垂(がんけんかすい)ですか…。でも、了解です。ここは四谷ではないと信じます。」
A先生:「今、同意書をお渡ししましたが、仮に20日になって、『やっぱり受けたくない』とお思いになられた時はキャンセルされても結構ですから。」
ヤッチ:「わかりました。」
こうして、大学病院の本院でのボツリヌス療法の診察は終了です。
次回は2014年2月20日です。
まだ、同意書にサインをしていませんが、一度はボトックス®なるものを受けてみることに決めました。
20日の診察が終わったら、また記事にしたいと思います。
ボトックス®について、家に帰ってから、いろいろ調べてみました。
どうやら、ボトックス®の持つボツリヌス毒素は運動神経と筋肉の連絡を遮断することで、緊張した筋肉を弛緩させる働きがあるようです。
運動神経と筋肉の連絡役を買って出るのは神経伝達物質であるアセチルコリン。
つまりこのアセチルコリンの働きを弱めることで、ヤッチの片目が勝手に閉じてしまうのを封じ込めようという薬です。
アセチルコリンです…。
どっかで聞いたことありません???
そうです。
皆さん、よくご存知のアルツハイマー型認知症に処方されるアリセプトです。
アリセプトは、脳内のアセチルコリンがアルツハイマー型認知症では減少するため、このアセチルコリンを分解してしまうアセチルコリンエステラーゼという酵素を阻害し、アセチルコリンをできるだけ温存させてやろうという目的で作られた薬です。
関連記事:アリセプトとメマリーを理解しよう!!(
プラスマイナスで表現するなら、アリセプトはアセチルコリンをプラスにする薬。
ボトックス®はアセチルコリンをマイナスにする薬。
ん…。
顔よりヤッチの脳は大丈夫なんでしょうか????
(; ̄ー ̄川 アセアセ
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こんばんは。
アルツ君の息子ヤッチです。
(^_^)/~
皆さまから、冷ややかな目を向けられそうですが、記事のタイトルの通り、はい、私、ヤッチ、またしても特養(特別養護老人ホーム)の職員を一喝、そう、おもいっきり怒鳴り飛ばしてしまいました。
しかも、アルツ君の目の前で…。
(-_-;)
これから書かせていただく内容には、不適切な表現や不快な表現が多数あります。
あらかじめご了承していただいた上、ご覧下さい。
さて、昨日、火曜日にアルツ君のところへ面会に行った時に事件は起こりました。
ヤッチは、アルツ君の居室を訪ねる前に、同じフロアにある生活相談員さんがいらっしゃる事務所に立ち寄りました。
実は、最近アルツ君の排泄ケアについて、どうも手抜きをされている気がしてならなかったんです。
アルツ君、最近リハパン(リハビリパンツ・紙パンツ)の上にもう一枚厚手のパッド(尿とりパッド)をつけています。
ヤッチが面会に行くと、かなりの高確率でこの尿とりパッドがグッショリなんです。
実際にリハパンを履いて用を足したことがある方はお分かりだと思いますが、いくら高分子吸収ポリマーが水分を吸収するといっても、大変不快なものです。
それに尿とりパッドを重ね履きするのですから、介護者の負担は軽減されると思いますが、被介護者に取ってみれば、さらに不快であることが想像できます。
ひどい時は、履いているズボンが濡れていることも…。
で、このことを相談しようと生活相談員さんのところへ…。
ヤッチ:「こんにちは。今大丈夫ですか?」
生活相談員さん:「はい、大丈夫です。なにか?」
ヤッチ:「実は親父の排泄ケアのことなんですけど。」
生活相談員さん:「どうかいたしましたか?」
ヤッチ:「前回のケース会議(サービス担当者会議)で、排泄についても介助が必要だということで、定期的に声掛けをしてもらって、トイレに連れて行くとか、リハパンの交換をしてもらうっていうことを約束してもらっていますよね?」
関連記事:サービス担当者会議~2013年
生活相談員さん:「そうですね。」
ヤッチ:「ケース会議の後しばらくは、俺が面会に来ていても、職員さんが親父の居室に入ってきて、声を掛けて下さるということもあったんだけど、どうも最近それも皆無に近い状態なんで…。」
生活相談員さん:「すいません。それは改めなくてはいけませんね。」
ヤッチ:「先日、あそこのナースステーションのカウンターの上に、多分職員さんが置き忘れたんだと思うけど、『排泄ケアチェック表』が置いてあったんだよね。」
生活相談員さん:「はい、入所している方の排泄について、きちんとやったかどうか職員がこれでチェックすることにしています。多分、職員が無造作にそこに置き忘れたのかと…。」
ヤッチ:「見ちゃいけないもんだと思ったので、マジマジ覗き込まなかったけど、『ああ、これでちゃんと管理して下さってるんだぁ。』とも思ったんだけど、どうも俺には排泄ケアがちゃんとなされていると思えないんだよね…。」
生活相談員さん:「と、おっしゃいますと?」
ヤッチ:「ケース会議の時に13時とか14時に定期的な声掛けをするということを伺ってるので、多分その時間にリハパンやパッドを一度は取り替えて下さってるとは思うんだけど、俺が来ると最近またリハパンがビッショリなんだよね…。」
生活相談員さん:「そうですか…。」
ヤッチ:「俺が面会に来るのはだいたい14時から15時が多いじゃない!?定期的な声掛けからそう長い時間経過してないわけですよね?なのに、あのパッドの重さはとても短時間にやらかしちゃった重さじゃないよ。」
生活相談員さん:「そうだったんですか…。けっこう頻繁にそういうことがありますか?」
ヤッチ:「悪いけど、最近は毎回安打に近いね。仮に『排泄ケアチェック表』できちんと管理しているといっても、職員がチェックするわけで、親父の確認印だとか、サインをもらうわけじゃないですよね?悪い言い方をすれば、職員がケアをしていなくても、ケアをしたとチェックしちゃえば、ケアされたことになっちゃわない?」
生活相談員さん:「う~ん…。」
ヤッチ:「悪いけど、また疑いのまなざしだよ。」
生活相談員さん:「わかりました。現場の人間にも確認を取り、早急に改めたいと思います。」
ヤッチ:「同じことを何度も言わせないでね。というより、俺自身が同じことを何度も言う病気になってるかもしれないけど!?」
イヤミ混じりの言葉を残し、ヤッチはアルツ君の居室に向かいます。
居室に近づくと、アルツ君居室のドアのところで、ぴょこんと首だけ出しています。
アルツ君:「おい、お前、どこに行ってきたんだ?」
ヤッチ:「『どこへ行ってきた』って…。それだけは教えられないな~。」
アルツ君:「かー!!ケチ臭いこと言ってやがるなぁ~。ばあさん(キノコさん)はどうした?」
ヤッチ:「ばあさんは川に洗濯か、洗濯機と一緒に回ってるんじゃないのか?」
アルツ君:「かっー!!洗濯!?それよりお前、手に何を持ってるんだぁ?」
ヤッチ:「これ?これはね…。ボ…???」
アルツ君「ん?ボタモチ?」
ヤッチ:「速いし、目ざといね~。」
アルツ君:「当たり前さよ~。まだ目が有るんですから。」
ヤッチ:「節穴だろ?」
アルツ君:「うるさい!!」
ヤッチ:「これを食べたら、歩く練習を兼ねて、向こうの棟まで行って、そこで『大江戸捜査網』を観ようぜ?」
そう、アルツ君と外に散歩に出かけられない時は、施設の別棟まで行って、そこで一緒にテレビを観ることにしています。
現在、テレ玉(テレビ埼玉)で、松方弘樹主演の時代劇、『大江戸捜査網』を再放送しています。
おそらく、30年以上前の作品で、ドラマの後半のチャンバラシーン直前にナレーションで『隠密同心 心得の条』という名ゼリフが流れます。
▽引用
△引用隠密同心 心得の条
隠密同心 心得の条
我が命我が物と思わず
武門の儀、あくまで陰にて
己の器量伏し
ご下命いかにても果すべし
なお
死して屍(しかばね)拾う者なし
死して屍(しかばね)拾う者なし
アルツ君:「行こう!!行こう!!」
外は先日降った雪が残っていて、公園に散歩というわけには行かないようです。
アルツ君にボタモチのパッケージのフタを開け、渡します。(フタを渡したんじゃないですからね。)
アルツ君:「かー!!いいねえ~。」
さっそくほおばります。
ヤッチ:「美味いか?」
アルツ君:「いわずもがな~。」
ヤッチ:「死んでもいいくらいか?」
アルツ君:「いわずもがな~。」
ヤッチ:「死して屍拾う者なしだぞ?」
アルツ君:「うるさい!!」
アルツ君が食べ終わったところで、ヤッチはアルツ君のリハパンの確認作業に入ります。
ヤッチ:「じゃあ、食べ終わったところで、着替えをして、大江戸捜査網を観に行こうぜ。」
アルツ君:「なんで、着替えるんだ?これでいいじゃんかよ。」
ヤッチ:「パンツもきれいなのを履いて行かないと、松方さんに失礼だろ?」
アルツ君:「そうかぁ…?」
ヤッチはアルツ君の後ろからリハパンを覗き込みます。
ん????
パッドが前の方にズレてしまっています。
お尻に当っていない状態…。
前から見ると、完全にパッドがリハパンの外にはみ出してしまっています。
アルツ君が力ずくで引き出したような形跡ではありません。
ヤッチ:「旦那さん、悪いけどパッドを交換するよ。ズボンとパンツを下ろすよ。」
パッドだけ交換すれば良さそうな気配なので、アルツ君につかまり立ちしてもらって、ズボンとリハパンをひざ上付近までずり降ろします。
クローゼットから、パッドの予備を取り出します。
????
在庫が一枚…。
これを使ってしまうとゼロ…。
(-_-;)
念のために居室のトイレの様子も確認します。
トイレの床はアルツ君のおしっこで洪水状態…。
まあ、アルツ君とテレビを観ている間に、職員が気づいてトイレの掃除もするでしょうし、パッドも補充するでしょう…。
古いパッドをアルツ君のリハパンから取り除きます。
う~ん…。
相変わらずグッショリですねえ…。
(-_-;)
重さからして、三回は失禁しているかな…。
(-_-;)
新しいパッドに交換です。
アルツ君ですが、相変わらず裸足のままのスギちゃん状態…。
アルツ君に洗濯したての靴下を履かせ、室内履きのカカトを入れて準備完了です。
↑この辺、あとで重要なポイントになるのでよく覚えておいてください。(遅延再生)
(^^ゞ
ヤッチ:「スーパーカー(歩行車)は使わないで歩くんだよ?」
アルツ君:「わかってる。」
居室を出て、廊下をアルツ君と歩きはじめます。
途中、廊下で女性職員さんに声を掛けられます。
女性職員さん:「あら?○○さん(アルツ君のこと)、浮かない顔をしているわね?」
アルツ君:「そんなこともないよ。普通だよ。普通…。」
この女性職員さんはアルツ君の居るフロアでのいわばチーフリーダー的な存在。
気さくに声を掛けて下さるので、アルツ君にも好印象のようです。
ヤッチは女性職員さんに向かって話しかけます。
ヤッチ:「ちょっと、あっちの棟までテレビを観に行ってきます。」
女性職員さん:「わかりました。お気をつけて。」
再びアルツ君と歩きはじめます。
少しすると、段々アルツ君の歩行が小刻みに…。
???
ヤッチ:「調子でも悪いのか?」
アルツ君:「いや…、別に…。」
アルツ君がボタモチを食べていた時の表情とは程遠く、返事にも覇気がありません。
ヤッチはさっき女性職員さんから、声を掛けられた時のことを思い出しました。
『○○さん、浮かない顔をしているわね?』…。
ヤッチはひらめきます。
ヤッチ:「旦那さん、トイレか?」
アルツ君がそっとうなずきます。
ヤッチ:「大、小?どっち?」
アルツ君:「大…。」
居室まで戻らないと近くにトイレは見当たりません。
ヤッチ:「部屋に戻ろう。我慢できるか?」
アルツ君:「わからん…。」
ひょっとして…????
ヤッチは、アルツ君の背後に回りこみ、リハパンの中を覗き込みます。
ヤッチ:「そういうことかぁ…。」
ヤッチは独り言を言います。
アルツ君:「まだ、出てないだろ?」
ヤッチ:「出てないというより、出切ってる…。部屋にゆっくり戻ろう。急がなくていいよ。」
遅かりし由良之介状態なので、急いでも無駄です。
(-_-;)
歩行速度は行きの半分くらい…。
ヤッチにもアルツ君が不快な状態で歩いているのが伝わってきます。
何だか早く気づいてあげられなくて申し訳ない気持ちです。
m(__)m
ようやく居室近くまで戻ってきたので、職員に声を掛けます。
といっても、フロアに職員の姿は見当たりません。
ヤッチ:「誰かいらっしゃいますか~!!」
ヤッチはフロアで少し大きな声を上げます。
どなたかの居室から若い男性職員が出てきます。
ヤッチ:「申し訳ないんだけど、トイレ介助お願いできる?」
ヤッチは自分のお尻を二度ほど叩いて、アルツ君が大の失禁していることをジェスチャーで示します。
男性職員:「わかりました。すぐお伺いします。お部屋でお待ちください。」
ヤッチはアルツ君の大の失禁の時は、ノロウイルスのことも考えて、自分では介助しません。
必ず、職員にやってもらうようにしています。
あたりまえの話なんですけどね…。
(-_-;)
アルツ君が座ってしまうと気持ちが悪いと言うので、居室でアルツ君に立ったまま職員が来るのを待ってもらいます。
しばらくして、声を掛けた男性職員が居室に入ってきます。
彼はアルツ君の腕を支え、トイレへ誘導します。
居室にあるトイレにはドアや扉は無く、シャワーカーテン一枚で仕切られています。
ヤッチは二人の背後から見守りです。
男性職員がそのシャワーカーテンを開け、トイレの電気をつけた瞬間、トイレの床に光るものが見えました。
はい…。
まだ掃除が済んでいなかったんですねえ~。
(-_-;)
光る物体はいつしたのかはわかりませんが、アルツ君のおしっこです。
(-_-;)
ヤッチは背後から男性職員に声を掛けます。
ヤッチ:「床が濡れているから、すべらないようにね。」
男性職員:「わかりました。」
床が濡れたままということは、当然クローゼットの中のパッドのストックもゼロのはず…。
(-_-;)
男性職員がアルツ君に声を掛けます。
男性職員:「○○さん、トイレに腰かけられますか?」
アルツ君:「このまま座っていいの?」
男性職員:「はい、ズボンを履いたまま、とりあえず座りましょう。」
アルツ君がトイレの便器に腰かけます。
男性職員:「上のズボンを脱いでしまいましょう。」
そう言って、男性職員はまずアルツ君の室内履きを脱がし、そのままアルツ君の足をトイレの床に置きます。
後ろからトイレの様子を見ていたヤッチは、とっさに大声を上げます。
ヤッチ:「お前!今、俺が『床が濡れている』って言ったばかりだろうがっー!」
男性職員:「え?なんでしょう?」
ヤッチ:「『なんでしょう?』じゃないよっー!それじゃあ、靴下が濡れるだろうがっー!何を考えてるんだよっー!」
男性職員:「す、すいません!」
ヤッチ:「『すいません』じゃないよっー!濡れてなくたって、いきなり直に足を置かないだろうがっー!常識の問題だろがっー!」
男性職員:「す、すいません!!すぐに床を拭かせていただきます。」
ヤッチは、はたと自分が怒鳴っているのがアルツ君の目の前である事に気づきます。
アルツ君、自分が怒られているのかと思い、ションボリしています。
(´・ω・`)
旦那さん、ごめん…。
m(__)m
男性職員もおそらく20代前半と思われるので、怒鳴られたことなんて無いのかもしれません。
完全に舞い上がってしまっています。
ヤッチは業務に支障をきたすので、しゃべるのをやめました。
というより、アルツ君の落ち込んだ表情を見てショックを受けたというのが正解かもしれません。
m(__)m
ヤッチは男性職員にクローゼットの中にパッドが無いことだけを伝え、アルツ君のお世話が済むまでしばし沈黙です。
男性職員のアルツ君のトイレ介助が済んだようです。
男性職員はアルツ君をベッドに腰かけさせます。
アルツ君は『寝る…。』とだけ言い残し、横になりそのまま寝てしまいました。
(-_-;)
完全にヤッチが引き金を引いちまったようです…。
_| ̄|○
この日のうちに、生活相談員さん、チーフリーダーの女性職員さん、ヤッチの三者で話し合いをしました。
この若い男性職員のとった行動についても話しましたが、排泄ケア全般が主な内容です。
特養側は謝るばかり…。
内容は御察しがつくと思うので省略します。
(-_-;)
最後にヤッチはこの二人に申し上げました。
ヤッチ:「ここに旦那さんを入所させてしまったのは、俺の『虐待』が原因です。すべての責任は俺に有ります。でもね、施設に居るほうが自宅に居るより幸福だという役所の判断で、ここに入所したんです。この施設に旦那さんを預けて良かったと思えるような施設になって下さいよ。そして、それ以上に、旦那さんがここへ来て良かったと思える施設になって下さいよ…。」
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こんばんは。
アルツ君の息子ヤッチです。
(^_^)/~
日中、雪の中、アルツ君のところへ面会に行ってきました。
アルツ君、廊下に設けられた自分の『定位置』に腰かけています。
ヤッチより先にアルツ君が話しかけてきます。
アルツ君:「今日、ばあさんは(ここに)来てないんだろ?」
ここ特養に居るのは、アルツ君なわけで、ヤッチではないのですから、キノコさんが来ているか来ていないか、ヤッチはわからないわけです。
なのに、アルツ君、最近必ずと言ってよいほどこの質問をしてきます。
まあ、キノコさんの安否を知る人間としてヤッチを認識しているのですから、必ずしも悲観すべき認知力の低下ではないような気もしますが…。
ヤッチ:「旦那さん、今日外の景色眺めたか?」
アルツ君:「眺めなくたって、雪が降ってることくらい、目ん玉に飛び込んできますよ。」
ヤッチ:「素晴らしい視力ですね~。ばあさんならこの雪じゃ外に出られるわけないよ。」
アルツ君:「兵糧攻めにあってるのか…。あーあ、そんなこと言ってたら、腹減っちゃったなぁ…。」
ヤッチ:「昼飯食ったんだろ?」
会話をしていると、女性職員さんが、ヤッチに話し掛けてきます。
女性職員さん:「あの…、お父様なんですけど…。」
ヤッチ:「はい?こんにちは。なんでしょう?」
女性職員さん:「今日の昼食なんですけど、お父様、昼食を半分ほど残されてしまって…。」
食欲旺盛のアルツ君ですが、たまには食欲が無いことだって有るでしょう…。
ヤッチ:「そうだったんですか…。」
女性職員さん:「今日のメニューに酢の物があって、もしかすると、それがお気に召さなかったのかなあと思って…。」
ほとんど好き嫌いのないアルツ君ですが、最近は吸引力が無くなってきたせいか、蕎麦だけ嫌がるようになっています。
特養で蕎麦が食事メニューに組まれている時は、外してもらうようにお願いしていますが、それ以外の制限はありません。
ヤッチは、アルツ君に問いかけます。
ヤッチ:「旦那さん、酢の物嫌いだったっけ?」
アルツ君:「俺は、何だって食べますよん。」
ヤッチ:「そうだよな?ゲテモノ食いで有名だもんな?」
アルツ君:「カラスだけは美味いと思ったこと無いな…。」
女性職員さん:「ただ、昼食後、お部屋をお訪ねしたときに、洗面所にどうも食べたものを全部吐かれてしまったみたいで…。」
ヤッチ:「え?そうだったんですか?」
女性職員さん:「はい…。」
ヤッチ:「それでかぁ…。」
女性職員さん:「ん?と、おっしゃいますと?」
ヤッチ:「いや、俺がここに来た時に、父が『腹減っちゃったなぁ…。』って言っていたものですから。」
女性職員さん:「あ、そういうこと?なるほど。」
ヤッチ:「血圧だとか、熱だとかは大丈夫なんですか?」
女性職員さん:「はい、それは、看護師さんを呼んでチェックしてもらいましたので…。特にお風邪をひいているとかそういうことではないようです。」
アルツ君を見るかぎり、特に顔色が悪いわけでもなく、ヤッチの目からもいつもと変わらぬ様子に見えます。
なんだって、最近頻繁にリバースするようになっちゃったんでしょうかね~。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
逆流性食道炎が完治していないのでしょうか…。
食事のたびに誤嚥を繰り返しているのでしょうか…。
ヤッチはアルツ君に話し掛けます。
ヤッチ:「旦那さん、まさか妊娠してないよな?」
アルツ君:「バカ!!何で男の俺が妊娠するんだ!!」
ヤッチは今度、女性職員さんにお伺いします。
ヤッチ:「父に食べてもらおうかと思って、ボタモチを持って来たんですけど、そんなことじゃあ、食べてもらうわけにはいかないですよね?」
これにはアルツ君のほうが先に反応します。
アルツ君:「んっ!!ボタモチ?何で食っちゃいけないんだ?」
女性職員さんも同調します。
女性職員さん:「いえ、昼も何も食べていらっしゃらないことになるし、お父様の食欲が有って、食べたいとおっしゃるなら、むしろこちらでも食べていただきたいと思っています。」
アルツ君:「はは~んだ!!」
ヤッチ:「しかしさぁ、何だってまあ、このタイミングでボタモチを持ってくるかねえ~。孝行息子が世の中にはいたもんだぁ~ね~。なっ、旦那さん?」
アルツ君:「俺に息子なんていたっけか?」
ヤッチ:「目の前にいるじゃんかよ。ボタモチを持って来てくれる気の利く息子がよ。」
アルツ君:「お前が気が利くんじゃなくて、気が利くのはボタモチだろっ?」
アルツ君
さすがです…。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
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こんばんは。
アルツ君の息子ヤッチです。
(^_^)/~
金曜日(2月21日)、アルツ君のところへ面会に行ってきました。
アルツ君、ご機嫌斜めのご様子…。
居室の扉は開け放たれたまま…。
ヤッチが居室を覗きこむと、アルツ君の方が先にヤッチの存在に気づきます。
ベッドに腰かけた状態で、ヤッチに向かって大声を張り上げます。
アルツ君:「お前、何でここへ来たっーーー!帰れっ!」
ヤッチ:「おいおい、来るなりずいぶんご挨拶だなぁ。どうかしたの?」
アルツ君:「うるさいっーーー!帰れっ!」
ヤッチ:「帰ってもいいけど、どうしてそんなに怒っているのか理由を聞かせてよ?何か気にいらないことでもあった?」
アルツ君:「お前ね、気にいらないもクソもあるかよ!ここ(特養)のカネは誰が払ってると思ってんだ?俺は何にも聞いていないんだぞっーーー!」
もちろん、アルツ君が特養に入所している費用はアルツ君の年金で賄われ、そのお金のついては、成年後見人である司法書士のI先生が管理しています。
アルツ君にも、理解しているかどうかは不明ですが、一応これまでの経緯については説明済みです。
どうしても最近の記憶がだるま落としのようにスポンと抜けて落ちて、遠い過去の記憶と現在が直結してしまい、時折、この遠い過去の記憶だけを頼りに話しをする傾向が顕在化しています。
最近のエピソードを記憶していないのですから、アルツ君にとっては、みな『聞いていない』ということになってしまいます。
『思い込み』と単純に決めつけてしまうのはちょいと酷な状況でもあります。
ヤッチ:「旦那さん、ここのお金はちゃんと払っているから心配いらないよ。お金の管理もI先生がきちんと管理してるから…。」
アルツ君:「I先生?そんな先生、俺のところに一度だって顔を見せたことがないじゃないかっ!」
ヤッチ:「そうかぁ…。顔を見せてないかぁ…。そいつはまずいなぁ…。俺から脅しの電話でも入れておくかぁ…???」
実際には、I先生も月に1、2回アルツ君の面会に来て下さってるんですけどね…。
(-_-;)
アルツ君:「そんなことをしたって、来るもんかよ!だいたい、ばあさん(キノコさん)だって、イッペンも俺のところになんて来てやしないぞ。親父がここに居るんだから、女房がここに来るのは当たり前だろうがっ!」
ヤッチ:「月曜日にここに来たって、ばあさんから聞いてたけど…???」
アルツ君:「月曜日だか何だか知らないけど、俺は顔を見てないって言うんだよっ!」
ヤッチ:「ばあさんの奴、ウソをつきやがったかぁ…。そいつはばあさんに説教してやる必要がありそうだなあ…。」
本当の大ウソつきはヤッチですがね…。
(-_-;)
アルツ君:「説教したって、無駄だね!ばあさんの顔なんて忘れたね。」
ヤッチ:「ばあさんの奴は執念深いから、旦那さんの顔を死ぬまでおぼえてるんじゃないのか?」
アルツ君:「ふん!俺なんて居ない方がいいね…。」
ヤッチ:「あれあれ、重症だね…。相当辛そうだね…。どうしてそう思うんだろう?」
アルツ君:「わからん!」
ヤッチ:「ばあさんにも話に乗ってもらうかあ???」
アルツ君:「そんなこと、俺が知るかって言うんだよ!どこで遊んで歩いてるかわかるもんかっ!」
ヤッチ:「よし!わかったっ!それじゃあ、これからばあさんのところへガサ入れ(家宅捜索)に行こう!」
今でも、なんでこの言葉を発したのか、よくわかりません…。
とっさの一言っていうやつです。
たぶん、アルツ君のストレスを解消するには最善の方法だと思ったんでしょう…。
アルツ君:「どうせ、行ったって居やしませんね!」
キノコさんのアパートにヘルパーさんが1時間ほど来て、その後は在宅だという情報をヤッチは入手しています。
ヤッチ:「居るか居ないかニギるか?もし、キノコさんが家に居たら、俺が旦那さんの代わりで、ここの女性職員さんにしばらくの間、お風呂で体を洗ってもらうっていうのはどう?」
アルツ君:「どうせ俺の勝ちに決まってら!」
ヤッチ:「よーし!その言葉、忘れずにちゃんとおぼえておけよ!じゃあ、今から外出の許可を取ってくるから!」
忘れずにおぼえておけと言ったところで無理なのはわかっていますが…。
(-_-;)
ヤッチは生活相談員さんの事務所を訪ねます。
ヤッチ:「お忙しいところすいません…。」
生活相談員さん:「こんにちは、どうかなさいましたか?」
ヤッチ:「実は親父のことなんですけど、今から母の家に連れて行こうかと思いまして???」
生活相談員さん:「また、なんで?」
ヤッチ:「どうも最近、雪の影響もあって外に連れ出す機会が少ないので相当ストレスが貯まっているみたいなんですよね…。親父が二言目には『ばあさんどうした?』の話になるので、いっそ母のアパートまで連れ行くのはどうかと思いまして…???」
生活相談員さん:「なるほど…。」
ヤッチ:「ただ、母のアパートに連れていくのはいいとして、ここへまた帰ってきて、興奮してしまうと悪循環になってしまうので、まずお伺いを立ててからにしようかなと?」
生活相談員さん:「そうですね…。ただ、こちらもお父様を散歩にお連れすることができれば良いのですが、なかなかできないでいるので、確かにお父様が不機嫌でずっといられるのも忍びないです…。」
ヤッチ:「母のアパートに連れて行っても、ここに戻ってきたら、記憶がおそらく飛んじゃうと思うんですよね…。連れて行ったことが、逆効果になって、戻って来て余計にわめき散らしたんじゃあ、こちらにもご迷惑がかかるんじゃないかと思ってね…。」
生活相談員さん:「お車かなにかでお母様のところへ?」
ヤッチ:「いえいえ、ちょっと寒くて無謀ですが、こちらの車椅子をお借りして徒歩で…。」
生活相談員さん:「実は私もお父様のことで、ちょっとその辺のところが気になっていたところです。失礼ですが、吉と出るか凶と出るかはわからないこととしても、私が承諾したということでお母様のところにお連れしてみては?」
ヤッチ:「ホントに?」
反対されるような気がしていたので、逆に拍子抜け…。
(-_-;)
生活相談員さん:「多分、寒い中風を切って、時間を掛けてお母様のお宅に行かれるのですから、お父様がお母様のお宅に行かれたことはお忘れになっても、なんだろ、冷たい風を切ったという心地よい感覚だけはお父様の心に残るのではないでしょうか。」
ヤッチ:「そう、おっしゃっていただけるとうれしいです!それじゃあ、さっそく準備して出かけてきますわ。夕飯までには戻るようにしますから。」
生活相談員さん:「了解です。」
この後、生活相談員さんもアルツ君のお出かけ準備を手伝って下さいました。
アルツ君のためにと持参したボタモチもありましたが、キノコさんのアパートで食べてもらうこととして…。
準備完了です。
(^_^)/~
ヤッチ:「それじゃあ、ガサ入れに出発しよう!」
この時にはだいぶアルツ君の興奮は治まっていました。
時刻にすると、もう午後3時を回っていましたから、キノコさんのアパートの部屋で長居はできません。
アルツ君を車椅子に乗せ施設のエントランスを出ます。
エントランスを出たあたりで、アルツ君のさっきまでの機嫌の悪さは何だったんだろうというくらい上機嫌になっています。
ヤッチ:「いつもの公園に行くのとは違って、これから30分くらいかかるからな?」
アルツ君:「そんなに遠いのか?」
ヤッチ:「ばあさんはいつも押し車(シルバカー)を押して、エッチラオッチラ施設まで一人で歩いてくるんだぞ?」
アルツ君:「かー!!そんなに長いこと歩くのか?」
ヤッチ:「そうだよん~。だから毎日、旦那さんに顔を見せに来るっていうのも無理な話だよ。」
アルツ君:「そうだなぁ…。」
ヤッチ:「暖かくなったら、旦那さんが今度はばあさんの家まで歩いて行ったらいいよ。それまでに少し足を鍛えてな?」
アルツ君:「俺はいつだって歩けるさ。」
ヤッチ:「じゃあ、何で今車椅子に乗ってんだ?」
アルツ君:「お前に遠慮してるんだよ。」
ヤッチ:「それは遠慮と言わないと思うが…。」
アルツ君:「まあまあ、そのうち歩くさ。」
ヤッチ:「ばあさんの家までの道のりをよく覚えておけよ。まだ、一回も曲がってないよな?」
アルツ君:「そうだなぁ…。今のところ真っ直ぐだな…。」
ヤッチ:「少し意地悪をして、俺が車椅子をクルクル回してやろうか?」
アルツ君:「まだ、しっかりしてるんだから、そんなことでわからなくなったりしませんよ!」
ヤッチ:「ところで昨日のオリンピックで、スケートを観たか?」
アルツ君:「知らん。」
ヤッチ:「そうか観てなかったか…。浅田真央ちゃんがトリプルアクセルを決めたんだけどなぁ…。」
アルツ君:「なんだ、そのトリプルなんとかって?」
ヤッチ:「フィギアスケートのジャンプだよ。三回転回るんだよ。」
アルツ君:「かー。目が回りそうだな。」
ヤッチ:「実際には三回転じゃなくて三回転半なんだって!?しかもトリプルアクセルっていうのは後ろ向きじゃなくて、前向きで踏み切るからすごく難しいんだってよ。」
アルツ君:「へー。」
ヤッチ:「この車椅子でトリプルアクセル決めてみるか?着地したら、後ろ向きになってるから、バック走行になるぞ?」
アルツ君:「いやだっ!」
ヤッチ:「そう固いこと言わないで、何ならトリプトゥループにトリプルルッツ、トリプルサルコウにステップシークエンスの連続技なんていうのはどう?」
アルツ君:「お前、横文字とチャンバラしてないで、ちゃんと運転してくれよな?」
ヤッチ:「大丈夫だよ。ここ少しゆるい坂道になってるから、手ぐらい放したって…。」
アルツ君:「ばかっ!」
いつものごとくくだらない会話をしていると、キノコさんのアパートに近づいて来ます。
ヤッチ:「イチョウの木をおぼえているか?」
アルツ君:「ああ、お乳イチョウのことだろ?」
『お乳イチョウ』というのは、イチョウの木が老木なると、枝から気根(きこん~空中で生やす根)を出し、それがちょうどお乳が垂れ下がっているように見えることからこの名が付いたようです。
ポトスなども土の無いところで、茎の付け根から気根を出しますよね。
ヤッチ:「おっ、さすがだね~。そのイチョウの木のすぐにそばにキノコさんの部屋があるんだよ。」
アルツ君:「そうだったけか?」
ヤッチ:「キノコさんの部屋の前が駐車場で、そこにイチョウの木が植わってるんだよ。」
アルツ君:「は~はん、ばあさん、毎日眺めてやがるのか?」
冬なので今は落葉していますが、イチョウの木が見えてきました。
↓過去の画像ですが、まだ葉の有る時のイチョウの木の画像です。
ヤッチ:「キノコさんの部屋に行く前にイチョウの木を眺めて行くか?」
アルツ君:「別に構いませんよん。」
ヤッチは駐車場の中に入ります。
ヤッチ:「ここが俺の部屋だよ。夏にベランダでミニトマトを作ってたのおぼえてるか?」
アルツ君:「あー、あの金にならないような小こいトマトだろ?」
ヤッチ:「失礼な奴だな…。まあ、おぼえているから勘弁してやろう…。」
面白いもので、アルツ君の記憶、変なところはインプットされています…。
(-_-;)
ヤッチはイチョウの木の下までアルツ君の車椅子を押します。
アルツ君:「ずいぶんと垂れ下がってやがるな~。相当古い木だぞ?」
ヤッチ:「樹齢にして何年くらいなんだろ?」
アルツ君:「わからないけど、これだけお乳が垂れ下がっているから古いのは確かだ。」
ヤッチ:「よし、ばあさんの部屋に行くか?」
アルツ君:「居るのかなぁ…。」
ヤッチ:「旦那さんが来るのをきっと待ってるよ。」
(事前に電話連絡済みです…。)
通路を通ってキノコさんの部屋に向かいます。
アルツ君:「はは~。ここは何となく覚えがあるな~。」
ヤッチ:「旦那さん、いつだったか大晦日にここでグルグル巻きにされて救急車で運ばれたじゃんかよ?」
アルツ君:「そうだよ~。あれは10年前くらいだったよな~。」
おぼえているから、まあいいか…。
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ヤッチはキノコさんの部屋のドアをノックします。
すぐさま部屋のドアが開きます。
キノコさん:「どうぞ、いらっしゃいませ。」
アルツ君:「お、お前。居たんだ…。」
キノコさん:「なんで?居たら悪かった?」
アルツ君:「いや、そういうわけじゃないけど、遊びにでも行ってるのかと思って…。」
キノコさん:「そんなに遊びまわってや、しないわよ。」
アルツ君を車椅子から降ろし、キノコさんの部屋に導き入れます。
アルツ君はキノコさんの用意した椅子に腰を下ろします。
ヤッチはキノコさんに話し掛けます。
ヤッチ:「むこう(施設)で、旦那さんに食べてもらおうと思って、(ボタモチを)買ったんだけどさ。ここで食べて。」
そう言って、ヤッチはボタモチのパッケージをキノコさんに手渡します。
キノコさん:「それじゃあ、お茶を入れなくちゃねえ…。」
アルツ君がヤッチとキノコさんのやり取りをじっと見ています。
アルツ君がキノコさんに話し掛けます。
アルツ君:「おお、お、おい…、そ、それはお前が食うのか?」
キノコさん:「食べたりしませんよ。今、お茶を入れてあげるから、全部お食べなさい!」
アルツ君がうれしそうな表情を浮かべます。
(o^―^o)ニコ
アルツ君:「お前、それにしても狭っこい部屋に居るな…。ここがお前の家か?」
キノコさん:「そうよ、全部身のまわりのことは自分でしないといけないんだから。ここでご飯も食べるし、ここで寝るのよ。」
アルツ君:「こんな狭いところで?」
キノコさん:「そうよ。あんたのところ(特養)と比べたら狭いでしょ?」
二人のご歓談なのでヤッチは席を外し、自分の部屋で一服です。
30分ちょいでしょうか…。
ヤッチは再びキノコさんの部屋を訪ねます。
あまり、長居をしてしまうと、寒くなるし、暗くなってしまいます。
アルツ君とキノコさんがにこやかに会話を楽しんでいるようです。
アルツ君をキノコさんのところに連れて来て正解だったかな?
ヤッチ:「旦那さん、暗くならないうちに戻ろう?」
アルツ君:「もう帰るのか?」
ヤッチ:「悪いけど、夕飯時には帰るってむこうには言ってあるからさぁ…。」
アルツ君:「もう、そんな時間かぁ…。」
キノコさん:「泊めてあげたいけど、ここじゃ二人で寝られないでしょ?」
アルツ君:「そうだよな…。ちょいと狭すぎるなぁ…。」
キノコさん:「自分で歩けるなら、ちょこちょこ来なさい。いつでも戸を開けて待ってるから。」
アルツ君:「開けっ放しだと寒いぞ?」
キノコさん:「まあ。そういう減らず口はすぐに出るのね?」
アルツ君:「普通だよ。普通…。」
ヤッチはアルツ君のリハパンのチェックに入ります。
アルツ君、さぞかしやらかしてると思いきや、リハパンの中の尿とりパッドは無傷…。
施設を出る時にも確認しましたが、無傷…。
そして、この後、施設に戻ってすぐに確認したときも無傷…。
尿意って、こんなに感情に左右されるものなんでしょうか…。
準備を整え、施設へ戻ります。
途中、見送ろうとするキノコさんをアルツ君が制します。
アルツ君:「転びでもしたら大変だから、そこでいい。」
うん…、何とも大人の発言。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
ヤッチは車椅子を押し始めます。
陽が傾きかけています。
車椅子を押しながらヤッチはアルツ君に質問をします。
少しでも記憶を定着させようという試みです。
ヤッチ:「今日はどこに行ってきた?」
アルツ君:「ばあさんの家。」
ヤッチ:「お、素晴らしい!で、楽しかった?」
アルツ君:「…。」
ヤッチ:「楽しかったかって聞いてるんだけど?」
アルツ君:「ああ、楽しかったよ…。」
ヤッチ:「どこへ行ってきた?」
アルツ君:「同じこと、何度も言わせるな。ばあさんの家!」
ヤッチ:「ばあさんの家で何か食べたよな?何だっけ?」
アルツ君:「食ったかぁ…???」
ヤッチ:「たぶん、食べたと思うよ。」
アルツ君:「そう言われれば、なんか食ったような気もするなぁ…。」
ヤッチ:「旦那さんの大好物だよ?」
アルツ君:「スズメか?」
ヤッチ:「また、そっちかよ!」
アルツ君:「なに、食ったかなぁ…。」
ヤッチ:「じゃあ、ヒントあげるな。ボ…?」
アルツ君:「ボ?」
ヤッチ:「そう、ボ○○○…。」
アルツ君:「ん…。ボーフラか?」
アルツ君
さすがです…。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
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こんばんは。
アルツ君の息子ヤッチです。
(^_^)/~
前後してしまいますが、アルツ君とキノコさん宅にガサ入れに行った日の前日、2月20日(木)にボトックス®注射を受けてきました。
以前の記事で書かせていただいた通り顔面神経麻痺後の病的共同運動を治すため。
ボツリヌス療法によるボトックス®注射です。
関連記事:顔面神経麻痺後のボツリヌス療法 01

繰り返しになりますが、ヤッチの顔は、顔面神経麻痺の後遺症で、現在も口を丸め込んだり、舌を出すと、勝手に左目が閉じてしまいます。
これを緩和するにはボトックス®注射が有効だということを教えていただき、今回がその第一回目の施術です。
担当して下さる大学病院のH先生の診察時間は午後からで、ヤッチの診察予約時間はこの日の17:00~18:00となっていました。
H先生の診察は非常に混んでいるため、事前に診察予約時間より2時間くらい待たされるということを伺っていましたが、やはり言われた通り2時間ほど待たされ、診察室に呼ばれたのは午後7時を回っていました。
診察室からH先生が直接顔を出し、ヤッチの名前を呼びます。
H先生:「どうぞ、おかけください。」
ヤッチ:「よろしくお願いします。」
H先生:「前回診察させていただいた時と比べて何かお変りはありましたか?」
ヤッチ:「いえ、特にありません。」
H先生:「それでは、先日お話ししたように、実際にボトックス®注射をして行きますね。その前にもう一度お顔を診させて下さい。」
ヤッチはメガネを外します。
H先生:「『イー』ってやってみてください。」
ヤッチは先生に言われた通り口を動かし、『イー』の発音をします。
H先生:「もっと、力強くできますか?」
ヤッチは、少し首に筋が出るくらい大きく口を拡げます。
H先生:「今度は『への字口』をやってみてください。」
右側の口角は下がりますが、左側は麻痺しているのか、筋力が無いのか上手く力が入りません。
H先生:「目以外にどこか気になっているところが有ったんでしたっけ?」
ヤッチ:「左の下唇が少し飛び出しているのが気になるのと、未だに自分の顔なのに、中心がどこに有るのかわかりません。」
H先生:「なるほど…。確かに下唇がこっち(右)に比べると、ほんの少しだけど、飛び出しているかなぁ…。」
ヤッチ:「締りが無いというか、だらしないというか…。」
H先生:「右はシワが寄るので、右についてはまず問題ないと思いますよ。左側の唇の方に(ボトックス®を)打ってもいいんだけど、薬が効きすぎちゃうと、今度は完全に麻痺して動かせなくなっちゃうんだよなぁ…。少しだけお薬を入れてみますか?」
H先生:「すいません…。私にはよくわかりません…。」
H先生:「薬を入れてもあまり唇に変化が無いかも知れないけど、やるだけやってみますか?」
ヤッチ:「お願いします。」
H先生:「それでは、そこにあるベッドに頭をこちら側にして寝て下さい。」
診察室に設けてあるベッドにヤッチは横たわります。
先生がヤッチにアイスノンのようなものを手渡します。
H先生:「少しは痛みが和らぐと思うので、左の目のところにこれを当てておいてください。」
この時、ヤッチは先生のおっしゃっていることが理解できませんでした。
しかし、言われたとおり、目の上にアイスノンを載せます。
ヒンヤリとした感覚が目に伝わってきます。
ヤッチは仰向けの姿勢で左目にアイスノンを載せているので、H先生の姿は死角となり、様子をうかがい知ることはできません。
何かゴソゴソとやっている気配だけは伝わってきます。
たぶんボトックス®注射の準備をしているのでしょう。
時間にして3分くらいでしょうか…。
H先生の声がかかります。
H先生:「それではお注射をしますね。」
ヤッチは目の上に載せていたアイスノンを先生に渡します。
H先生:「目を閉じていて結構ですので、楽にしていてください。」
ヤッチ:「わかりました。」
H先生:「少し痛いかもしれませんよ。」
ようやくアイスノンの意味がわかりました…。
(-_-;)
H先生:「最初は目の方から薬を入れますよ。」
まぶたの近辺を想像していたのですが、最初の一発目はまぶた近辺というよりも、ほお骨の上あたりから来ました。

ならば、アイスノンをここにも当てておくべきだったと後悔します。
痛~い!
ヤッチは3年2組ですが、先に予防接種を受ける3年1組にケンちゃんがいます。
ヤッチのクラスが予防接種を受ける段になって、ヤッチはケンちゃんに廊下ですれ違いざまに質問します。
ヤッチ:「ケンちゃん、注射痛かった?」
ケンちゃん:「ぜ~んぜん!痛くもかゆくも無かったよ!」
やはり、ケンちゃんは嘘つきです…。
(つд⊂)エーン
たぶん注射針は細いと思いますが、ヤッチの皮膚に伝わってくる感覚は相当太いように感じました。
あの昔ながらの金色のガビョウをほおに押し当てられたような感覚です。
針先も短く感じます。
覚悟して注射に臨んでいるので、飛び上がったり悲鳴をあげたりすることはありませんでしたが、もし、知らない誰かが後ろからブスリとやったら、確実に振り向き様にそいつをぶん殴っています。
この後、目の周りに何か所か注射を打ちました。
どこに何か所打ったかをおぼえておこうと思ったのですが、あっちこっち打たれたので、正直ちゃんとおぼえていません。
m(__)m
目の周辺はたぶん5か所くらいじゃないかな程度の記憶しかありません。
よく覚えているのは、下まぶたに薬を入れた時です。
クマができたりするあのかなりやわらかい皮膚がある部分にズブリです。
眼球を串刺しにされるんじゃないかという感覚です。
なぜか、幼い頃、肉屋さんで買ってもらって食べたウズラフライを思い出しました。
あやつ、そういえば、最近見かけなくなりましたね?
目の周辺の注射が終わり、今度は唇です。
唇に直に注射が来るのかと思いきや、これも少し離れた下アゴ辺りからです。
腹話術の人形のアゴのラインを想像してもらえれば良いかと思います。
この一発も結構痛かった…。
(-_-;)
アゴへの注入が終わると、先生がヤッチの下唇を何度もプルプルと触診します。
筋肉の動きを確かめているのでしょう…。
今度は下唇近くにボトックス®を打ちます。
画像では2ヶ所打ったようにアップさせていただきましたが、もう一か所くらい注射を打ったかもしれません。
これまた、よく覚えていません。
m(__)m
H先生:「ガーゼを差し上げますから、これで少し顔を覆って抑えていてください。」
『注射が終わった』とも聞かされていなかったので、まだ何か他の事をやるのかなと思いました。
でも、このガーゼは、結果的に止血のためのものだったようです。
しばらくしてH先生がガーゼで顔を覆ったヤッチに声を掛けます。
H先生:「ガーゼを外して結構ですよ。ほんとは絆創膏を貼ってもいいんだけど、返って見映えが悪くなっちゃうでしょ?」
ヤッチ:「は…。」
そんなに血ダルマなの?
鏡をまだ見ていないので顔の状態は何もわかりません。
H先生:「それでは今日はこれでおしまいです。ゆっくり起き上がって下さい。」
ヤッチはベッドから起き上がりながら、先生にたずねます。
ヤッチ:「洗顔とかお風呂はどうなんでしょうか?」
H先生:「いつも通りで構いませんよ。何も制限はありません。」
ヤッチ:「あ、そうなんですか。ありがとうございます。」
H先生:「あと、この薬、今日はまだ効いて来ないと思います。2、3日したら効いて来ると思います。」
ヤッチ:「はい…。」
H先生:「で、薬の効き具合を1週間から2週間後に、もう一度診させてください。ご都合の方はいかがですか?」
ヤッチ:「先生のご都合に合わせます。」
H先生:「て、言っても僕の方が1週間後は予約がイッパイなんだよな…。」
3月6日に予約を入れてもらいました。
診察室出て、会計を済ませると、ヤッチはトイレに駆け込みます。
顔の状態の確認です。
大学病院のトイレの洗面台の鏡を覗き込みます。
注射を打ったところがヒリヒリします。
どちらかというと、すり傷を負ったときのような痛みです。
ということは、麻痺もしていないということになります。
麻酔を打ったときのように、自分の身体が自分の身体でなくなるような感覚もまったくありません。
唇をつまんでも自分のお肉じゃないお肉をつまんでいる変な触感も有りません。
鏡に写った自分の顔も、特に注射を打つ前と何ら変わりません。
ほお骨の上に挿した注射針のところも、かすかに血の跡が付いていましたが、拭ってしまえば跡形もありません。
時折、顔を動かして、感触を確かめながら帰路につきました。
そして…。
ボトックス®を受けたのが、2月20日です。
この記事を書いているのが、2月23日。
H先生は、2、3日したら薬が効いて来るとおっしゃっていましたが、ヤッチの顔、表情に何ら変化は現われていません。
共同運動も残ったままです。
アルツ君と違って、薬があまり効かない体質なのでしょうか…。
う~ん…、
早く
人間になりた~い!
by妖怪人間
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