アルツ君の息子ヤッチです。
(^_^)/~
このところ、連チャンでアルツ君のいる施設へ面会に行っています。
というのも、姉の自宅がアルツ君の施設に近いということもあって、姉が会社帰りに毎日のようにアルツ君に面会に行っていたのですが、体調が悪いらしく、アルツ君のところへは行っておらず、会社も休んでしまっているようなのです。
アルツ君にこのことを教えると、心配して情緒不安定になってしまうかもしれないので、アルツ君にはこのことは内緒でヤッチがピンチヒッターで面会に行っているというわけです。
もちろん、キノコさんもアルツ君のところへちょこちょこ顔を出しています。
先日もお話しした通り、アルツ君、キノコさんのことが気になって気になって仕方ありません。
ですからキノコさんが顔を出さないわけには行きません。
そして、相変わらずのことですが、アルツ君は施設に入所しても、おしっこを上手くできません。
(ー_ー)!!
施設では、洗濯を専門にやっておられる職員さんもいらっしゃるのですが、施設の方から連絡が入り、アルツ君の着替えのズボンが不足しているので、ストックが有れば、持参してくれとの事…。
相当な枚数を持って行っているはずなのに、すさまじい消費量です。
施設では、紙パンツにパッドもつけているので、仮にお漏らしをしてもそんなにズボンが足りなくなるはずがありません。
紙パンツを履いていても、やはり自分でトイレに行き、そこで自分のムスコさんを出し、その時に失敗して、自分のズボンにおしっこを噴射しているとしか考えられません。
アルツ君のズボンは冬物以外はすべて持参しているので、ストックは有りません。
仕方ないので、安売りのズボンを買って施設に向かうことに…。
最近アルツ君に履いてもらっているのは、ジャージのようなハーフパンツばかり。
施設に入所してしまっているので、ほとんど外出することも無いので、ベルトループの付いたようなものは皆無です。
しかも、濡らすことが前提になっているので、速乾性の素材のものばかりです。
1枚くらいはまともなを持って行ってやろうと前閉じのジッパーの付いた物も購入しました。
『らくらくゆったりパンツ』というタグが付いていたので、迷わず、Lサイズをチョイスしました。
一時は太っていて、LLサイズじゃないと胴回りが入らない時がありましたが、最近ではたいていLサイズでOKです。
『ゆったり』なんてタグが付いているくらいですから、LLサイズを買って丈が長すぎるというリスクは回避できます。
会計を済ませてアルツ君の居る施設に向かいます。
施設に到着し、入館手続きを済ませて、3階に上がると、アルツ君、廊下に設置されているテーブルの前で椅子に腰かけ、お茶なんぞをすすっています。
施設は廊下にいくつかのテーブルを置き、そこをロビーのようにして利用しています。
介護士さんが事務をするナースステーションのような所から目の届く範囲なので、この方がもしかするとお世話をしやすいのかもしれません。
ヤッチの姿に気がついたアルツ君が声を掛けてきます。
アルツ君:「なんだ?もうお前学校終わったのか?」
アルツ君の中では時が止まってしまっているようで、アルツ君の頭の中ではまだヤッチは大学に通っていることになってしまっています。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
もう、20年以上も前なのに…。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
ヤッチ:「学校!?ああ、もう終わったよ。」
否定もせずに適当に流します。
アルツ君:「それはそうと、どうしてもお前に聞いて置きたいことが有るんだけどさ…。」
ヤッチ:「なに!?かしこまって。」
アルツ君:「いや、ここじゃなんだから、俺の部屋に来いや。」
何だか、アルツ君の顔は真剣そのものです。
???
ヤッチ:「まあ、いいからそこに座れよ。」
部屋に入るとベッドの前に有る椅子を指さし、ヤッチはそこに腰かけます。
ヤッチ:「何?なんか有ったのか?」
アルツ君:「いや、そうじゃないんだよ…。」
ヤッチ:「何?」
アルツ君:「いや、どうしてもわからないんだよ…。」
ヤッチ:「何だっていうの?」
アルツ君:「いや、ばあさん(キノコさん)のことだけど、ばあさんはいったいどこに居るんだ?」
ヤッチ:「はあぁ?」
アルツ君:「ばあさんだよ。俺のところにちっとも顔を見せないぞ。」
ヤッチ:「はあぁ?」
アルツ君:「もう、俺に愛想つかしてどっかにいなくなったんだろ?」
ヤッチ:「はあぁ。ばあさん!?ばあさんなら昨日もここへ来たはずだぞ!?」
アルツ君:「ウソをつけ。来てなんかいやしないぞ。」
ヤッチ:「いやいや。昨日も来ているよ。ばあさんから旦那さん(アルツ君)のところへ行ってきたっていう話も聞いてるもん。」
アルツ君:「じゃあ、ばあさんのやつ、うそをついてるんだな!?昨日は誰も来てないぞ!?」
ヤッチ:「いや、それは旦那さんの勘違いだと思うよ。お宅の奥さんは『毎日でもここに来たいけど、遠いから…。』って言ってたぞ。」
アルツ君:「そんなに遠くに住んでるのか?」
ヤッチ:「そうじゃなくて、ばあさんの足で歩いてくると、ここが遠いっていう意味だよ。」
アルツ君:「いったい、どこに住んでるんだ?」
ヤッチはここに来るたびにメモ用紙にキノコさんの住むアパートの住所を書いて帰って来ています。
時には地図を書いて説明もしたりしています。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
ヤッチ:「ほんとに来てないのか?」
アルツ君:「来てないと思うなぁ…。」
ヤッチ:「多分、と言うより絶対来てると思うよ。思い出せないかい?」
アルツ君:「無理だなぁ…。」
ヤッチ:「だったら来たか来ないかだってわからないじゃないか?明日あたりまたここへ来るんじゃないのか!?」
アルツ君:「どっから?北海道か?」
ヤッチ:「なんで北海道なわけ?」
アルツ君:「じゃあ、九州か?」
ヤッチ:「東京に居るし、歩いてもそう遠くない距離だよ。」
アルツ君:「ははあぁ!?じゃあ、サイパン島だな?」
ヤッチ:「何でさらに遠くなるんだよ。すぐそばだよ!!」
たぶん、アルツ君、キノコさんがサイパン島育ちということをどこかで記憶していたのでしょう…。
アルツ君:「すぐそばなら何で来ないんだ?」
ヤッチ:「俺からすればすぐそばの距離だけど、ばあさんは歳とって歩くのが大変になって来ているっていう意味だよ。」
アルツ君:「どっか身体でも悪いのか?いよいよボケたか?」
ヤッチ:「そうじゃなくて、どこも悪い所はないよ。」
問答がエンドレスになりそうだったのですが、ちょうどアルツ君をお世話して下さっている介護士さんが、部屋に入ってきました。
介護士さん:「○○さん、もうすぐ七夕だから、これに何かお願い事を書いて置いて!?」
そうおっしゃってアルツ君に短冊を1枚手渡し、すぐに部屋から出ていってしまいました。
アルツ君:「七夕かぁ…。」
ヤッチ:「そこにボールペンかマジックが有るから、何かお願い事でも書いてみたら…。」
アルツ君:「願い事かぁ…。」
アルツ君は、キャラ的にはこういったものを書く人間ではないのですが、なにやら真面目な顔つきで何かを考えています。
アルツ君が何やら、書きはじめました。

ヤッチ:「なんじゃ。こりゃああぁ!?」
ヤッチが笑いながら言葉を発します。
アルツ君:「何だって、お前知らないのか?これは短冊だよ。」
ヤッチ:「そうじゃないよ。その文字だよ。日本語じゃないよ。宇宙語か?」
アルツ君:「ははーん。ちょっと間違えただけだよ。」
なんとなく、書きたいことはわかるような気がします。
(*^_^*)
『がんばる』と『元気になる』が頭の中でドッキングしたようです。
ヤッチ:「よかったなぁ。短冊だから裏にも書けるよ。裏にもう一度ちゃんと書いてみれば!?」

またもや同じ文字を書いてしまい、訂正してやっと仕上がりです。
ただ、アルツ君のこの『元気になる』ですが、少々複雑な思いが有ります。
実はアルツ君…。
現在入所している施設(特別養護老人ホーム)を病院かなにかと勘違いしているようなのです。
もちろん、アルツ君に認知症などという認識は有りません。
ましてや進行性核上性麻痺の疑いなどということも…。
どこが悪いのかは本人にもわからないことのようですが、認知症以外の別の病気が有ってこれが完治すれば、退院すなわち施設から出られると思っているようなのです。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
アルツ君:「早いとこ、治さないとなぁ…。」
アルツ君、ぼそりとつぶやきます。
ヤッチ:「そうだねえ…。」
ヤッチも言葉が有りません。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
アルツ君、腰かけていた自分のひざを叩いてスクッと立ち上がり、少し高めの声をあげます。
アルツ君:「おいっ。七夕までには家に帰るからな!!」
アルツ君
さすがです…。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
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アルツ君の息子ヤッチです。
(^_^)/~
今日の東京地方は朝から蒸し暑く、日中も真夏のような暑さ。
。・゚(゚`Д)゙.アツィー
ちょっと日中に出歩くのはまだ暑さになれていない分遠慮したくなるような陽気です。
そんな暑い日中、お昼ちょっと前でしょうか…。
ヤッチの携帯が鳴ります。
主はキノコさんです。
ようやくらくらくホンの『電話をかける』、『電話を切る』に関しては、難なくこなせるようになり、今度はたいした用もないのに電話をかけたい盛りです。
(^_^;)
キノコさん:「もしもし、これからおじいちゃん(アルツ君)のところへ行こうと思うんだけど、何か持って行った方が良さそうなもの有る?」
ヤッチ:「えっ~!!この暑い中歩いて施設まで行くのか?」
キノコさん:「そうよ。だって歩いて行く以外に他に方法はないでしょ?」
ヤッチ:「まあ、そうだけど…、何もこんな暑い時に出て行かなくても、夕方に出かけるとか方法は有るでしょ!?」
キノコさん:「そうだけど、夕方出かけると、今度は帰りが遅くなっちゃうでしょ!?」
ヤッチ:「まあ、そうだけど…、途中で干からびちゃうんじゃないのか?」
キノコさん:「大丈夫よ。帽子被っていくから…。」
アルツ君の居る施設(特別養護老人ホーム)までは、自転車で行けば、15分くらいの距離で、ちょっと遠めのお買い物に出かけるような感覚ですが、歩いて行くとなるとちょっとハードルが高い感じの微妙な距離です。
ましてや高齢のキノコさんにとってはハードルをくぐり抜けるか、なぎ倒して行かねばならず、ちょっと周りが心配してしまうような距離でも有ります。
ヤッチ:「行くのはわかったけど、なるべく日陰を選んで歩いて行きなよ。」
キノコさん:「わかってるわよ。それにカートも押していくし…。」
キノコさんが言う『カート』とは、いわゆるシルバーカー、歩行器、手押し車といったものを想像してもらえば良いと思います。
カートにはカゴが付いていて、そこに荷物を入れることもできます。
ヤッチ:「慌てず、休み休み行きなよ。」
キノコさん:「それより、何かおじいちゃんに必要な物はない?」
ヤッチ:「そうだなぁ…。過去の記憶をよみがえらせる脳ミソかな!?」
「…。」
冗談の通じないキノコさん、反応が有りません…。
(・・;)
ヤッチ:「放送事故になっちゃうだろ!?冗談だよ、冗談。今のところ何も必要ないよ。」
キノコさん:「そう…。じゃあ、何も持たずに出かけて来るわね。」
ヤッチ:「気をつけてね。」
キノコさん:「むこうに少し長くいて、夕方少し涼しくなってから帰って来るわ。」
ならば、涼しい夕方に出かければいいのにと言いたいところですが、この辺はコントロール不能なところです。
(-_-;)
夕方になると少し風が出てきて、過ごしやすい感じになってきました。
ヤッチの部屋のインターホンが鳴ります。
ヤッチ:「はい。」
キノコさん:「あたし…。」
声の主はキノコさんです。
ヤッチ:「今開けるからちょっと待って。」
ヤッチはカギのかけてある部屋の戸を開けます。
キノコさん:「悪いんだけど、私の部屋のカギを貸してくれない?」
なにか有った時のためにお互い部屋の合鍵を持ち合っています。
キノコさんはヤッチの部屋のカギを持っています。
ヤッチ:「どうしたの?」
キノコさん:「カギは持って出たんだけど無くなっちゃったのよ…。」
ヤッチ:「落としたのかぁ??」
キノコさん:「多分、買い物をしてきたからその中に入ってるか、お財布の中を探せば有るんだと思うんだけど…。」
ヤッチ:「じゃあ、財布の中を見てみれば?」
キノコさん:「それが買い物の荷物の下なのよ。あんたに借りちゃった方が早いから…。」
ヤッチ:「無くなってたら大変だから、ちゃんと見た方がいいぞ。」
キノコさん:「後で荷物をカートから出したら見てみるわよ。先にカギを貸してちょうだい。」
ヤッチ:「じゃあ、今合鍵を持って行くから、自分の部屋の前で待ってて。」
キノコさん:「わかった。待ってるからね。」
キノコさんの部屋はヤッチの部屋とは棟は別ですが20m程度の距離です。
ヤッチはキノコさんの部屋の合鍵をバッグから取出し、キノコさんの部屋に向かいます。
自分の部屋を出るとキノコさんが部屋の前で舌を出しています。
近づいて行くとキノコさん、ニヤついちゃってます。
ヤッチ:「何?どうしたの?」
ヤッチがキノコさんにたずねます。
キノコさん:「部屋、開いてたわ…。」
ヤッチ:「ちゅうことはカギを掛けて行かなかったって事?」
キノコさん:「…。」
キノコさん、黙ってニヤついています。
ヤッチ:「何?」
キノコさん:「どうも、カギを持って行かなかったらしいわ。」
キノコさん、自分の部屋のカギはいつも部屋の扉にマグネットフックでぶら下げています。
(もちろん部屋の内側ですよ~)
ヤッチがキノコさんの前に立ちはだかるような形で、キノコさんの前に割り込み、キノコさんの部屋のドアを開けます。
キノコさんが持って出たというカギはしっかりと扉にぶら下がっています。
(-_-;)


ヤッチ:「最初から持って行っていないんじゃん!?泥棒によく入られなかったなぁ…。」
キノコさん:「だって、帰りがけにおじいちゃんがうるさかったから…。」
ヤッチ:「部屋のカギとは関係ないと思うよ…。」
キノコさん:「そうだけど…。」
ヤッチ:「泥棒に入られてないか?」
キノコさん:「大丈夫よ。取られるようなものなんてないから。」
ヤッチ:「それにしても、たまたまうっかりだとは思うし、有りがちな事だとは思うけど注意した方がいいよ。」
キノコさん:「そうねえ…。今日はたまたま暑かったから…。」
キノコさん
さすがです…。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
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アルツ君の息子ヤッチです。
(^_^)/~
先日、アルツ君の入所している特別養護老人ホーム(特養)の職員の方とアルツ君の今後のケアについての打ち合わせが有りました。
特養の男性係長さん、姉、ヤッチ、そして高齢者相談センターの職員さん二人の計5人で特養の会議室をお借りしての打ち合わせです。
アルツ君が正式にこの特養に入所してから1ヶ月を経過したところですが、まだきちんと特養の職員の方たちと話をしたことは有りませんでした。
特養の施設にどのようなサービスが有り、どんなサービスが受けられるのか、反対に施設側に家族側からどの程度までアルツ君のお世話を要求して良いものやら、これまで何も話をしていませんでした。
御存知のようにアルツ君は高齢者虐待防止法に基づく措置入所の形を取っていましたから、家族側からすると、アルツ君に何か介護サービスを受けさせたいといっても、直接特養の施設に対してお願いして良いものなのか、それても高齢者相談センターを通して施設側にお願いしなくてはならないのかはっきりしていませんでした。
特異なケースで入所したものですから、事前にどんなサービスが有るのかなどという予備知識も無かったわけです。
また一般の方のご家族が特養に入所する時と違うので、どうしても高齢者相談センターにお伺いを立てないと、特養とアルツ家で勝手になんでも決められません。
こういった不安を解消すべく、高齢者相談センターの配慮で、今回話し合いの場を設けていただいたわけです。
結論から先に申し上げてしまえば、結局アルツ家も一般の入所者と同じように、ある程度のことは高齢者相談センターを介さないで、特養とアルツ家で決めて良いという結論です。
ある程度以上のことが何なのかはわかりませんが、まあ普通になんでも施設と話し合いをしても良いということで考えても良いのではないでしょうか。
姉が気にしていることは、アルツ君の入所している3階のフロアにアルツ君の話し相手になれるような他の入所者さんが居ないこと…。
まだヤッチもすべての入所している方たちを把握しているわけではありませんが、まあ見渡す限り、アルツ君と会話が成立する人がいないように思えます。
失礼な話ですが、ほとんどの方は、車椅子で、声をかけても何をおっしゃってるかわからないか、反応の無い方たちがほとんどです。
フロアにはうめき声や奇声が飛び交っているというのが実際のところでしょうか…。
(・・;)
会話が成立するアルツ君がこの中に居ると、おかしな話ですが正常な人間にまで見えてきます。
(・・;)
最近では姉の方が施設に面会に行っている回数はおそらく多いので、この辺りが気になって仕方がない様子です。
ヤッチからするとアルツ君に面会に行ったりすると、アルツ君が、
「また誰か騒いでやがるな?」
と入所者さんのどなたかが奇声を上げているのを耳にすると、自分の居る部屋から廊下に出てフロアを見渡しているのを目にすることがよく有ります。
以前であれば、自ら重い腰を持ち上げて立ち上がるということも減っていたわけですから、これはこれで良い刺激になって、アルツ君の興味をひく対象物になっているし、脳も少しは動かしていることにはなります。
ただ確かにおしゃべりでお調子者のアルツ君にとって、話し相手が誰もいないというのは、やはりストレスになるかもしれません。
会話ができる施設の職員さんもたくさんの人の面倒をみなくてはならないので、アルツ君一人の話し相手になっているわけには行きません。
姉がこの辺のところを施設の係長さんに申し上げました。
係長さんが答えます。
係長さん:「実は急きょの入所だったので、たまたま空いているお部屋が3階だったということで、お父様の居室の変更ができないということではありません。」
今度は姉がたずねます。
姉:「失礼だということは重々わかっているのですが、2階のフロアは認知のある方が少ないと聞いたのですが…。もし、2階で有れば父の話し相手になってもらえる方もいらっしゃるのではないでしょうか?」
ここの施設は聞いたところによると、入所者が入っているフロアは2階と3階で、3階には認知症の方を入所させている様子で、2階には認知症ではないような方が入所しているとか…。
そのため、2階と3階では施設の嘱託医も違います。
3階は認知症専門の嘱託医で2階は何とアルツ君が以前自宅から通っていた主治医。
介護保険の主治医の意見書もこの先生に書いてもらっています。
そのため、この施設でも本来3階の認知症専門の先生の診察を受けるのではなく、二階の馴染みの主治医の診察を受けています。
係長さん:「わかりました。ちょっとだけお時間を下さい。居室の変更が可能かどうか調べてみます。」
施設の係長さんがこう答えます。
2階に移れたら移れたで寝たきりの方ばかりでまったく話し相手がいないなんてこともあるので、事前に下見に行く必要はありそうです…。
(^^ゞ
支援係長さん:「他に何かございますか?」
今度は高齢者相談センターの支援係長さんが切り出します。
もちろん、この支援係長さん、以前ヤッチと散々やり合った方でも有ります。
今度は特養の施設の係長さんに対してヤッチが質問をします。
ヤッチ:「父は2階の嘱託医になっている○○先生にお世話になっていると思うのですが、○○先生には紹介状を書いてもらって認知症専門の先生に診てもらっていた時期が有ります。進行性核上性麻痺の疑いが有ると診断を受けたのも紹介先のこの先生です。今は父が施設に入所したことで、この先生の手を離れています。今後、もし、進行性核上性麻痺の症状が進行するようなことが有れば、専門の先生に診ていただくこともできるのでしょうか?」
係長さん:「それはもちろんです。専門医の診察はもちろん、うちの嘱託医ではなく、その先生の所へ通院していただくことも可能です。現在の嘱託医の定期的な診察受けていただいて、病状に異変が見つかれば、ご家族様にご連絡するのはもちろん、専門の先生に診ていただく体制も取らせていただいています。」
ヤッチ:「ありがとうございます。姉は話し相手のことが気になっているようなのですが、私は別の事で気になっている事が有ります。実は父の歩行のことです。家族の面会が無いと屋外で散歩ということができないようなので、どうしても施設内を歩くだけでは足が弱ってくるような気がします。歩行訓練のようなことはやっていただけないんですかねえ?」
係長さん:「職員が屋外にお父様を外に連れ出して散歩すというのは、人員の関係で少々無理なところですが、場合によっては、リハのようなものも有りますが…。お父様、お見受けする限りでは元気に歩いておられる様子ですが…。」
これは少々はぐらかされた感じですが、あまり強く突っ込めないところ…。
(^_^;)
ヤッチ:「介護の職員さんも1対多の状況で忙しいとは思いますが、施設内でも良いですから、できるだけ歩くように声かけしていただけないでしょうか?父がここの施設にお世話になる前の施設では、施設内を歩くことを『仕事』と言って、結構歩いて歩行訓練をしていたようです。歩行が改善されたのもそのお蔭かもしれません。何か目的なり、興味をひくことを与えることで症状の進行は食い止められると私は思うのですが…。」
係長さん:「なるほど…。では、うちの介護職員のリーダーに○○というのがおります。○○に言って、声掛けをするように伝えておきます。そうそう、興味をひくというので気になったのですが、お父様は何か興味を持っておられることがお有りですか?」
『ボタモチ』と即答したいところでしたが、場の雰囲気がそういう雰囲気ではなかったので、ヤッチは他の事を思い浮かべます。
ヤッチ:「そうですねえ。これと言って見当たらない感じですが、あえて言うなら、植木とか庭木のことですかねえ…。」
係長さん:「そうですかぁ…。以前そう言った関係の職業に就かれていたとか…。」
ヤッチ:「元花屋で植木職人です。この施設ができて間もない頃に、この施設に植わっている木の剪定の仕事もさせていただいた言っています。父は『剪定の仕事』のことを『いたずら』と言います。『ここの木をいたずらさせてもらった』というのは『ここの木を剪定させてもらった』ということになります。」
係長さん:「相変わらず、面白いお父様ですねえ…。」
ヤッチ:「あまり、褒めすぎると木から降りられなくなります。」
またしても、場の空気を読まずに勢いでしゃべってしまったので、誰も反応してくれませんでした・
(; ̄ー ̄川 アセアセ
係長さん:「他には何か興味をお持ちのことは有りますか?」
ヤッチ:「釣りですかねえ…。でもここ何年かは釣りにも出かけていないので興味がまだ有るかは疑問ですね…。」
係長さん:「そうですかぁ。歌なんかはどうですか?」
今度は姉が口を挟みます。
姉:「そうそう。先日ここでカラオケ大会みたいものが有ったでしょ!?そのことをよく口にするのでカラオケなんかが興味が有るんじゃないかしら!?」
係長さん:「カラオケ大会というほどのものではなかったのですが…。ときどきこの施設でもやらせていただいています。」
姉:「歌は聴くのも歌うのも多分嫌いじゃないと思います。」
係長さん:「そうだ。うちの施設では音楽療法というものを取り入れているのですが…。」
姉&ヤッチ:「音楽療法?」
後になって知ったのですが、最近では『音楽療法』なるものを取り入れている施設も多いらしく、決して珍しいものではないそうな…。
ヤッチ、『音楽療法』なるものをこの時はじめて知りました。
(・・;)
係長さん:「そうです。しょっちゅうやっているわけではありませんが、歌が好きというので有れば、こういったものに参加されて見ては?」
ヤッチ:「音楽療法というのを存じ上げないのですが、いったいどんなものなんですか?」
『療法』などと聞くと、すぐにヤッチは医療めいたものを想像してしまいます。
頭の中にはメスや注射が飛び交います。
係長さん:「簡単に言ってしまうと、音楽を聴いてもらったり、歌を歌ってもらったりすることで脳を活性化してもらう療法です。時には楽器を演奏したりと…。専門の先生も付きます。」
ヤッチ:「先生も付くんですか?」
係長さん:「そうです。専門の先生が付いて、確か月に2回ほどやっていると思います。」
姉がちょっとためらいの表情を浮かべます。
姉:「費用については?」
実はアルツ君の懐の管理は家族ではなく、高齢者相談センターが行っているのです。
いずれ高齢者相談センターが後見人制度を利用して後見人をつけるということで手続きも進められ、今度はアルツ君の懐は選任された後見人さんが管理することになります。
現在はまだ財布の紐は高齢者相談センターが握っています。
姉が高齢者相談センターの支援係長さんの顔を見やります。
支援係長さん:「うち(高齢者相談センター)の方は大丈夫ですよ。」
今度は特養の係長さんが割って入ります。
係長さん:「いえいえ。これについて、うち(特養)が負担するというか、費用のことはご心配なく…。」
たぶん、介護保険で賄えるという意味合いなのかもしれません。
姉:「それなら、ぜひぜひ受けさせてもらいたいですね!!」
姉とヤッチの意見は一致です。
係長さん:「これはお父様がやりたいというのがもちろん前提ですが…。」
姉:「もちろん、確認しますが、多分『やりたい』って言うんじゃないでしょうか!?」
その他、施設についての説明などを受け、打ち合わせは終了しました。
打ち合わせを終え、姉とヤッチはアルツ君の部屋に戻ります。
部屋にはキノコさんも来ています。
アルツ君:「なんだよ。なんだよ。大勢して…。」
アルツ君が少し驚いた表情をしています。
姉が切り出します。
姉:「パパ。音楽教室に参加してみる?」
アルツ君:「なんだ?音楽教室って?」
姉:「歌を歌ったりするんだって。カラオケとかもやるんじゃない!?」
アルツ君:「へえ…。カラオケやるのか?カラオケは嫌いじゃないねえ…。」
姉:「やるかどうかはわからないけど、歌を歌ったりするんだって。月に2回有るらしいよ。」
アルツ君、まんざらでもない様子…。
アルツ君:「へえ…。2回も有るのか?」
姉:「そうだよ。歌のレッスンかもよ!?」
アルツ君:「何だか知らないけどなぁ…。やってやってもいいけど、俺は今さら歌手にはならないぞ!?」
アルツ君
さすがです…。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
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アルツ君の息子ヤッチです。
(^_^)/~
さて、今日はヤッチの友人のYさんのお話から…。
このYさん、ヤッチが日雇い派遣の仕事をしている時に知り合った友人です。
ヤッチとYさん、登録している派遣会社は同じでしたが、知り合った当初は違う支店に登録していました。
御存知の方も多いと思いますが、日雇い派遣の仕事はいざ仕事の現場に行ってみないと、仕事の詳しい内容もわからないし、どんな人と一緒に仕事をするのかもわかりません。
登録している派遣会社からはたとえば『引越し』とか『商品のピッキング』の仕事だとかは教えてもらっていますが、詳細は現地に行ってみないとわからないことが多いのです。
『道路の清掃の仕事』だと言われて実際に現場に行ってみると、マンションの共用部分の通路の清掃だったり、『フロアの清掃』と言われて行ってみると、だだっ広い工場丸々一棟の清掃だったり…。
とにかく、行ってみないとあたりの仕事かはずれの仕事がわからないのです。
そして、仕事を選り好みをしていると仕事を紹介してもらえず、その日の仕事にあぶれてしまうなんていうことも…。
日雇いの仕事の話をすると、尽きることがないので、また別の機会にさせてもらうことにして、とにかくヤッチは、派遣の仕事をはじめた当初は、仕事が有れば来るもの拒まずで、どちらかといえば、派遣会社に言われるがままに紹介された仕事をこなしていました。
派遣元の派遣会社の職員が、
職員:「今度新しいお客さん(依頼主=派遣先)を獲得したのですが、まだどんな仕事かわからないので、毒見役で行ってもらえないですかねえ?」
ヤッチ:「毒見役って…。死んだらどうするんだよ~。まあいいや、断ると他に仕事無いんでしょ?」
職員:「現状、ご紹介できる仕事はこの仕事以外には無くて…。」
おそらく、仕事は有るには有るのですが、そう言ってしまうと派遣会社の職員も選り好みばかりされてしまって、仕事が決まりません。
ヤッチ:「わかったよ。行けばいいんでしょ!?で何人現場?」
ある意味、責任の無い派遣の仕事ですから、大人数の現場の方が手抜きができます。
また皆が断るような仕事に自ら志願したという理由で、ヤッチも少々態度が横柄になります。
(^^ゞ
職員:「二人の現場です。」
ヤッチ:「俺ともう一人ということ?」
職員:「そうです。」
ヤッチ:「誰が来るかもうわかってるの?」
職員:「いえ、まだわかりませんが、多分他支店の方がお相手になると思います。」
二人の現場ということは少人数なので、派遣先の指揮命令者の監視が常について回ります。
オマケにヤッチと一緒に仕事をするもう一人がやる気が無いような人だったりすると、派遣先にも迷惑がかかりますし、仕事の生産性や能率も落ちます。
いったいどんな人が来るんだろう…。
携帯ばかりと仲良しで、全くコミュニケーション取れなかったらどうしよう…。
頼まれてもいない仕事を率先してやって、仕事が増えたりしないだろうか…。
まだ経験浅かったころは、仕事の前日は不安でいっぱいです…。
(-_-;)
日雇い派遣の仕事は現地や現場に直行するよりも、現場に近い最寄り駅の駅の改札出口などを待ち合わせ場所として集まり、その日に仕事するメンバーが全員そろったところで、現場に向かいます。
多くは初対面のメンバーなので、待ち合わせをしないと、全員揃っているかがわからないのです。
もちろんお客さんである派遣先の担当者も全員揃って来てもらえる方が都合がいいはず…。
二人現場で一緒に仕事をする相手の顔を知らないということは、待ち合わせ場所である駅の改札口等でその相手を探し出さなくてはなりません。
むこうも同じことですが、大きな駅の改札口でその相手を探すのは至難のわざ…。
(-_-;)
待ち合わせ時間よりも早めに到着して、本日の仕事相手を探します。
キョロ(゚∀゚≡゚∀゚)キョロ
「○○会社(登録している派遣会社の名前)の方ですか?」
「いえ。違います。」
こんなやり取りを幾度となく繰り返します。
たいていは雰囲気や、いで立ちでわかるのですが、慣れていない頃は悪戦苦闘です。
ヤッチとYさんとの最初の出会いも多分同じような感じだったと思います。
待ち合わせ時間が迫ってくると、どうやらそれらしき人物の姿を発見します…。
何だか人相の悪い強面…。
もしかして刑務所帰りの組長さん!?
顔にはひげをたくわえています。
思い切って声をかけます。
ヤッチ:「失礼ですが、○○会社の方ですか?」
Yさん:「そうです。」
ヤッチ:「現場は△△ですか?」
Yさん:「そうです。」
ヤッチ:「じゃあ、今日は一緒の現場ですね?よろしくお願いします。」
Yさん:「こちらこそ、よろしくお願いします。」
見かけによらず、礼儀正しいじゃないですか…。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
これがヤッチが最初に友人Yさんにはじめて会ったときの印象です。
友人Yさんがどう思っていたかは聞いたことは有りませんが、聞けば、Yさんも違う支店でしたが、毒見役で行ってくれと言われたそうな…。
『どんな奴が来るかわからないから、嫌だ』と最初は断ったそうですが、二つ返事で引き受けたそうな…。
で、結局その『どんな奴』はヤッチだったというわけです。
これ数年前の話なので、記憶が定かではありませんが、毒見役ではない普通の仕事もこなし、毒見役と言われて、現場に向かうと決まってYさんが待ち合わせ場所に居るじゃありませんか…。
これについてはYさんも同じだったらしく、変な奴が来ないといいなぁと思って待ち合わせ場所に向かうとその変な奴が居たというわけです。
何度も同じ現場で同じ仕事をするようになり、段々お互いのことを話すようになり、親密度が増します。
そのYさん、実は若い頃のバイク事故で右足が不自由です。
障害者手帳も持っていて、本来なら杖をついて歩かなくてはならない身の上だとか…。
ひざが上手く曲がらないので、自転車はこげません。
でも、足は引きづりますが、杖はついておらず、そんな人が派遣の仕事で事務所の引越しの仕事に来て、他の人まぎれているのですから驚くばかりです。
さすがに階段を使うような仕事は苦手ですが、仕事となれば文句は言っていられません。
そんなYさんと毒見役を繰り返していくうち、自宅も近かったせいや、年齢がヤッチよりちょっと若いだけということもあって、最近では仕事以外でもお付き合いするようになっています。
もちろん、Yさんは男ですから、結婚は前提としていませんし、ヤッチにもそういう趣味は有りません。
( ̄^ ̄)
ところがYさん、今年の3月にまたもや交通事故に遭ってしまいます。
なんでも知人のバイクの後ろに乗っていて、自宅まで送ってもらう途中に右折してきた自動車に衝突されてしまったのだとか…。
幸い、命に別状は有りませんでしたが、不運にも怪我をした箇所が昔の古傷と同一箇所…。
^_^;
骨折こそしなかったものの、何針も縫う大けがです。
そして、その時の後遺症でもともと曲がらなかった膝がますます曲がらなくなってしまいました。
(つд⊂)エーン
現在も通院リハビリ中で、落ちてしまった筋力を取り戻すべく奮闘中…。
ヤッチが顔面麻痺で入院中も自分のリハビリだと言って毎日のように自宅から歩いて見舞いに来てくれました。
最近は、今までリハビリしていた病院を変え、現在はヤッチのアパートの近くの病院でリハビリを続けています。
リハビリの病院とヤッチのアパートが近いせいもあって、都合が合えば、Yさんはリハビリ後にヤッチの部屋を訪れます。
御存知のように最近ヤッチはアルツ君の居る特別養護老人ホームにちょくちょく面会に行きます。
アルツ君のいる特別養護老人ホームはYさんの家とは逆方向…。
ヤッチ:「今日は旦那さん(アルツ君)のところに面会に行きますけど、Yさんも行きます?」
Yさん:「いいっすよ~。歩いて行くんですよね!?」
ヤッチ:「歩いて行くしか手段が無いんで…。」
Yさん:「大丈夫です。」
ヤッチ:「何が大丈夫なんですか?」
Yさん:「車に乗らないで施設まで歩いて行っても大丈夫です。」
ヤッチ:「ますます、Yさんの自宅から遠くなっちゃいますよ?」
Yさん:「大丈夫です。」
ヤッチ:「何が大丈夫なんですか?」
Yさん:「家から遠くなっても大丈夫です。」
ヤッチ:「じゃあ、行きますか!?」
Yさん:「歩いた方がリハビリなるんで行きましょう…。」
こうして最近では、Yさんもアルツ君の面会のお供になってくれています。
ちょっと前の記事でアルツ君がキノコさんのことをすぐに忘れてしまうという事を書いたと思いますが、アルツ君、Yさんのことは覚えているようです。
姉の話によると、アルツ君はYさんのことをちゃんと覚えていて、『いい人』と呼んでいるようです。
「あんないい人を俺が忘れるわけないだろっ!?」てな調子らしいです。
あんな『ヤクザ顔』の人を『いい人』なんて、少々ヤッチ的には問題有り!?発言のような気がしますが、『人は見かけによらぬもの』という事なのでしょうか…。
(●`w´●)ニァ・・
アルツ君のところに面会に行くと、アルツ君とYさんの会話はたいてい昔の古傷の話になります。
アルツ君:「どうですか?少しは良くなりましたか?」
アルツ君がYさんに話しかけます。
Yさん:「いやぁ…、ぜんぜんですよ。リハビリはしてるんすけどね…。」
アルツ君:「そっかぁ、なかなか良くなりませんかぁ…。俺も昔の古傷が時々痛むときが有るんだよなぁ…。」
アルツ君、若い頃に腕に大けがをして、未だにそこに傷跡が有ります。
それを腕まくりをして、Yさんに見せます。
Yさんも負けず嫌いな性格…。
自分の古傷を見せて、アルツ君にお披露目です。
Yさん:「俺もここの神経が切れて繋いでるんですよ。」
アルツ君:「あっそう…。そりゃ大変だった…。」
アルツ君、時折涙ぐんじゃったりしてます。
(・・;)
Yさん:「それより、井戸掘りはやらないんですか?」
Yさんがアルツ君に質問をします。
アルツ君、おそらく昔に井戸掘りの仕事をしたことが有るようです。
手掘りでの井戸掘りだったみたいですが、この頃これを何だか昨日の事のように話したりします。
それをYさんが覚えていて話を広げます。
アルツ君:「今はやってないよ。けっこう大変だからねえ…。」
Yさん:「いつ掘りますか?」
アルツ君:「そうだねえ…。」
Yさん:「何が必要ですか?何なら用意しますよ?」
アルツ君:「そうは言うけど大変だよ~。竹で弓を作るんだから…。」
ヤッチとYさんはアルツ君が『弓』と言いますが、どんなものを想像して良いのかわかりません。
(・ω`・?ハテナ?
アルツ君:「あんな竹でよく掘れると思うかもしれないけど、ぶち当たると噴水みたいに吹き出すんだよ。」
Yさん:「へえ~。そうなんすかあ?じゃあ俺はロープを用意しますから、○○さん(アルツ君)は竹を用意して下さい。今度来た時にロープを持ってきます。」
アルツ君半分本気にしちゃってます。
^_^;
アルツ君との面会はたいていは同じ話の繰り返しになってしまいますが、新たな話相手の登場でアルツ君もご満悦の様子です…。
(*^_^*)
ヤッチとYさんがアルツ君の施設に訪れた後、姉が同じ日にアルツ君のところに行ったようです。
姉からヤッチに電話が入ります。
姉:「今日、あんたパパのところに行った?」
ヤッチ:「行ったよ。」
姉:「ふ~ん、そうなの…。」
ヤッチ:「そうなのって、何?」
姉:「いや、パパが今日はあんたが来てないって言うから…。」
ヤッチ:「行ったんだけどなあ…。」
姉:「でさ、その時Yさんも一緒だったの?」
ヤッチ:「ああ。一緒だったよ。」
姉:「ああ、それでだあ!?」
ヤッチ:「どういうこと?」
姉:「いやね、パパがあんたは来ないって言ってたでしょ!?」
ヤッチ:「うん…。」
姉:「そしたらね、あんたが来ないとしたら誰が来たの?って聞いたら、『だれか違う人が来た』って言ってたから…。でもいい人だったって!?」
アルツ君
さすがです…。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
そして久しぶりに透明人間の登場です…。
(; ̄ー ̄川 アセアセ
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アルツ君の息子ヤッチです。
(^_^)/~
ここ数日、夜アルツ君が寝る頃になると不穏になると、アルツ君を担当している看護師さんから言われてしまいました。
どんなふうに不穏になるのか、失礼な話ですが、その看護師さんの言葉からはイマイチつかめず…。
(-_-;)
ならば、直接この目で確かめようとアルツ君のいる施設に行ってきました。
夜に不穏になるというのだから、本来は夜に行けば良いのですが、施設の面会時間の制限も有るので日中に出かけることに…。
エレベーターを利用してアルツ君がいる3階に。
エレベーターを降りるとすぐにロビーの様な所が有るのですが、今日は入所者さんが大勢います。
普段はテーブルが置かれ、入所者さんたちがテレビなどを観てくつろぐ所ですが、そのテーブルは片づけられ、入所者さんたちが車座になって、一点を見つめています。
なにか催し物でもやっているのかな!?
最初はそう思ったのですが、どうも違うようです。
すると今度はオルガンの音が聴こえてきました。
ヤッチはピンときました。
もしかして、これが音楽療法かな!?
やはり図星でした。
近くにいた施設の介護士さんにたずねると、やはり音楽療法をここでやっているとの事。
療法士さんらしき女性がピンクのてまりの様なものを持って大きな声をあげています。
じっくり観察していると、オルガンの音が鳴っている最中は療法士さんがそのてまりを入所者さんに渡して、てまりを受け取った入所者さんは音楽が鳴っている間、てまりを次々に隣りにいる入所者さんに手渡していきます。
そう、ちょうど椅子取りゲームのような要領です。
オルガンの音が鳴り止むと、療法士さんがてまりを持っている入所者さんに他の人にも聞こえるように色々な質問をしていきます。
その方への質問が終わると、隣の入所者さんにも質問をして、面白い答えが出ると、その話を広げているようです。
でも、音楽療法に参加すると言っていたアルツ君の姿は有りません。
車座になっている入所者さんはおそらくほとんどが女性で、男性は見当たりません。
しかも車椅子率の高いこと…。
30人から40人くらいはいらっしゃったと思いますが、車椅子以外の普通の椅子に腰かけている人はホントに数人といったところでしょうか…。
そんなことに気を取られていると、どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきます。
アルツ君:「おい、ここだよ。俺の部屋に行くのか?」
声の主はアルツ君です。
車座からけっこう距離のある位置の廊下にソファが有り、そこにアルツ君が腰かけています。
仲間に入れないのか遠巻きに楽しそうな車座をのぞき込んでいるという風にも見えます。
ヤッチが近寄ってアルツ君に声をかけます。
ヤッチ:「何?そんなところに座って…。参加しないのか?」
アルツ君:「いや、音が聴こえたから、何をやってるのか見に来ただけだよ。俺の部屋に行くのか?」
ヤッチ:「いや、ここでこんなに楽しそうなことやってるんだから、部屋に行ったって意味ないよ。」
アルツ君:「俺の部屋に行っても誰もいないぞ!?」
ヤッチ:「そんなことわかってるよ。それにしても何で加わらないんだ?みんな楽しそうにしてるぞ!?」
聞けば、アルツ君、音楽療法の誘いを介護士さんから受けたらしいのですが、『嫌だ』と言って誘いを断ってしまったようです。
そのくせ遠巻きに眺めているわけですから、参加したいに決まっています。
介護士さんに許可を受けて、ヤッチは近くに有った椅子を借り、車座の空いているスペースにその椅子を置いてしまいます。
そしてアルツ君に一声かけます。
ヤッチ:「ほらっ!行くべ!!」
アルツ君:「どこへ?」
ヤッチ:「どこって決まってんだろ!?あそこの椅子に座るのっ。」
アルツ君:「座ってどうするんだ?」
ヤッチ:「イマイチ盛り上がってないみたいだから、旦那さんが行って盛り上げて来てよ。」
アルツ君、拒絶する割にアルツ君の手を引くヤッチにホイホイついてきます。
ヤッチ:「じゃあ、頼むね!!」
ヤッチは車座から離れ、遠巻きに傍観です。
椅子取りゲームのようなゲームは続けられていて、療法士さん(先生)の質問も続いています。
タイミングよく、アルツ君のところへ質問の順番が回ってきます。
療法士さんがアルツ君に質問をします。
先生:「先日は七夕でしたが、どんなお願い事をしまいましたか?」
ヤッチの記憶ではアルツ君の願い事は『元気になりますように』です。
[関連記事:七夕に何を願う?]
アルツ君が答えます。
アルツ君:「そうだねえ…、確か『美味しいもんが食いたい』じゃなかったかなあ…。」
Σ(・ω・ノ)ノエー!Σ(*・ω・*)ウッソー!Σヾ(*・ω・)ノホントー!
先生:「それは良いお願い事ですね!?どんな食べ物がお好きなんですか?」
ヤッチは心の中で『ボタモチ』を連呼します。
アルツ君:「そうだねえ…、甘いものかな!?」
何を気取っちゃってんですかね!!
『ボタモチ』と答えろっー!!
先生:「甘い物は多分、皆さんもお好きですよね!?それでは最後に皆さんもよく御存知の歌を歌って終わりにいたしましょう。」
どうもヤッチが来たのは、この音楽療法が終盤に近い頃だったらしく、他に何か違うアプローチで入所者さんとコミュニケーションを取っていたのかもしれませんが、それを見ることはできませんでした。
(´uдu`)゚.+:。
歌詞が書いてある用紙を渡され、童謡をみんなで歌って音楽療法は終了です。
アルツ君が歌い終わって、ご満悦の表情でヤッチの方に戻って来ます。
実にこの辺はわかりやすいアルツ君…。
^_^;
ヤッチ:「音楽療法は月に2回しかやってないらしいから、チャンスを逃さず、参加しないと…。」
アルツ君:「そりゃあ、そうだけどやってたの知らなかったんだよなあ…。」
ヤッチ:「ま~たぁ~!?そんなこと言って最初から見てたんじゃないのかあ~?」
アルツ君:「いや、そんなことないぞ。たまたま音が聴こえたから来ただけだ。」
憶測ですが、参加したくて参加したくて仕方が無かったアルツ君は、なかなかきっかけがつかめずに、遠巻きで眺めていたような気がします。
ヤッチ:「まあ、仕方がないや。あんなに女性がたくさん居たら、旦那さんはモテモテだもんな!?」
アルツ君:「そんなことあるかいっ!!ばばあばっかりだぞ!?」
ヤッチ:「まあまあ。次回は最初から参加しなね?」
結局、この日はアルツ君は機嫌がよく、夜中に不穏になってしまうということの原因はつかめず…。
(^^ゞ
家に戻って、アルツ君の音楽療法のことをキノコさんに伝えます。
ヤッチがキノコさんに教えます。
ヤッチ:「旦那さん(アルツ君)、女性ばかりの車座で、照れ臭かったのか、輪に入ろうとしなかったけど、やっぱり歌が好きなのかねえ!?最後には楽しそうに歌ってたよ?」
キノコさんが、答えます。
キノコさん:「違うわよ。歌が好きなんじゃないわよ。女が好きなのよ!!」
キノコさん
さすがです…。
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