アルツ君は職人進行性核上性麻痺の疑いのある元植木職人のアルツ君(父)、アルツ君の愛妻キノコさん(母)、そしてアルツ君の息子ヤッチの日々の生活を紹介しています。
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アルツ君の診察について

2012/04/29 (日)  カテゴリー: 診察
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こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

ずいぶん長いこと更新をさぼってしまいました。

(^^ゞ

言い訳になってしまいますが、自分の引越しはわけなく終わったのですが、キノコさんの引越しがことのほか手こずってしまいました。

御存知のように重い荷物を持てないキノコさん…。

新しい部屋に運び込まれた段ボール(荷物)の山を自分で処理することができません。

ヤッチ自身の部屋の荷物を後回しにして、まずはキノコさんの部屋の荷物の処理です。

何日かかけて、ようやく不自由のない状態まで持って行き、今度は、住所変更などの役所関係の手続きや銀行口座などの変更の届け出です。

最近は、本人確認書類などが厳しくなり、キノコさんの代理でヤッチが届け出をすることもできないものが有り、そういう時はどうしてもキノコさんと一緒に出掛けなくてはなりません。

83歳という高齢も有り、役所一つに行くのも1日がかりになってしまいます。

生活保護を受けるようになると、国保などから外れることになり、被保険者証というものは有りません。

そう…。

身分証明書になるようなものが、少なくなってしまいます。

代わりに生活保護を受けるようになると、『生活保護受給証明書』というものをもらいます。

A4の再生紙に区長の印が押された極々簡単な証明書です。

これが身分証明書になるかと思いきや、意外に認めてくれないところが多いんですね。

それでも、たいがいのところの手続きは何とか済ますことができ、少し落ち着いてきたところでしょうか…。


さて、『記事にする』と申し上げておきながら、長らく更新せずに、ブログを放置したままになってしまいましたが、今日は1ヶ月も前にになる4月9日のアルツ君の診察について書いてみたいと思います。

診察は、普段掛かり付けの近所の主治医ではなく、認知症関連を診て下さっているドクターによる診察です。

未だ高齢者虐待防止法の保護下のアルツ君なので、アルツ君は保護されている施設から高齢者相談センターの職員さんが、診療所まで連れてきます。

ヤッチはアルツ君の診察の予約時間に合わせて自宅から診療所に向かいます。

予約時間は、お昼前の11:50。

中途半端な時間だったのでお昼ご飯は食べられません。

ちょうど予約時間に診療所に到着です。

まだアルツ君は来ていないようです。

診療所の廊下が待合室になっているのですが、席が空いておらず、廊下の突き当たりまで行き、ようやく空いている席をみつけます。

アルツ君、どんな感じで登場するのでしょう…。

少し、ヤッチも緊張した面持ちで、アルツ君の登場を待ちます。

しばらくすると、自動ドアの外にアルツ君の姿が見えます。

男性の職員が同伴しているようです。

自動ドアがアルツ君の姿に反応して開きます。

職員さんに付き添われ、アルツ君が診療所の中に入ってきます。

大勢の患者さんが待合室に腰かけているので、ヤッチもまぎれてしまって、アルツ君はヤッチの姿に気がつかない様子です。

ヤッチはアルツ君に向かって軽く手を振ります。

それに気づいたのか、たまたまだったのかわかりませんが、アルツ君がヤッチに気づいたようです。

その途端にアルツ君の表情が険しく変わります。

アルツ君:「お前っ!何でこんなところにいるんだっ!またばあさんかぁっ!」

入り口付近から、廊下の一番突き当りにいるヤッチに向かって、アルツ君が絶叫したものですから、一斉に中にいた患者さんが、アルツ君に注目です。

アルツ君:「なんでお前がこんなところにいるんだっ!」

以前記事にさせていただいた高齢者相談センターでの面会の時と同じように、アルツ君、大興奮です。

ちょっと殴りかからんばかりの勢いすら有りました。

ヤッチ:「まあ、まあ…。座ろうよ。」

ヤッチが近づいてきたアルツ君に声をかけます。

アルツ君:「なんで俺がこんなところに腰かけなくちゃいけないんだっ!ここは病人が来るところだろっ!俺はどこも悪くなんかないぞっ!」

ヤッチ:「まあ、まあそう言わずにとりあえず、座ってみようよ。」

アルツ君:「座ってる暇なんかないんだぞっ!俺は忙しいんだっ!」

ヤッチ:「そっか…。忙しんだぁ…。なんの仕事をしてるんだい?」

アルツ君:「そんな大した仕事なんてしてないさ。それより何で俺がこんなところに来なくちゃならないんだ?」

ヤッチ:「仕事するにしても、どっかぶっ壊れてたら、仕事続けられないだろ!?病気になっていないかの定期点検だよ。車で言えば、車検みたいなもんだよ。」

アルツ君:「お前ね。車検を受けるにしても、金がいるんだぞ。金も銭も無いと何にもできないんだぞ。お前はわかってるのか?」

アルツ君、興奮気味ではありますが、ちょっとだけ落ち着きを取り戻したようです。

ヤッチ:「お金のことは心配しないでも大丈夫だよ。それより桜の花は見たのか?来る途中、ちょうどいい感じに咲いてたんじゃないのか?」

アルツ君:「桜もへったくれもあるかっ!!ああぁあ…。世の中おしまいだっ…。」

ヤッチ:「今居るところで何か有ったのか?」

アルツ君:「何にも有りゃしないさ。それより、俺は家には帰らないからな!今居るところもいつまで居られるかわからないんだからっ!」

ヤッチ:「それじゃあ、行くところが無くなっちゃうじゃないか。」

アルツ君:「そんなこと、俺の知ったことか…。」

怒鳴り疲れたのか、アルツ君、急に静かになって、目を閉じてしまいました。

ちょうどその時、高齢者相談センターの支援係長さんが、待合室に入ってきました。

どうも、車を駐車場に入れに行っていたらしく、空が無くて、てこずっていたようです。

アルツ君が目を開け、またもや興奮です。

アルツ君:「なんで、大勢して俺をこんなところに連れて来やがるんだっ!!」

アルツ君が、スクッと立ち上がりました。

今までに見たこともない軽い動きです。

ヤッチ:「何?どうしたの?」

アルツ君:「うるさいっ!!俺は帰るっ!!」

ヤッチ:「帰るってどこへ?」

アルツ君:「うるさいっ!!どこへ行こうが知ったこっちゃないっ!!」

ヤッチはアルツ君の腕をつかもうとしましたが、アルツ君、それを振りほどいて、出口に向かおうとします。

ヤッチ:「ちょっと、待とうよ。」

ヤッチはアルツ君を後ろから羽交い絞めにして逃げられないようにします。

高齢者相談センターの職員さんが二人も見ているというのに、思い切り後ろからホールドしてしまいました。

当然、高齢者虐待防止法を熟知している職員さん二人は、アルツ君に静止の声をかけるだけで、指一本触れようとはしませんでした。

ヤッチ:「とにかく、もう少しで先生に呼ばれるから、先生にどこが悪いのかはっきり聞いてみようよ。どこも悪くないなら、すぐに帰れるよ!」

アルツ君:「ふん、医者なんて、悪くなくたって、悪い所見つけるんだよ。それが商売だからな。」

ヤッチ:「それならそれで、突き返してやればいいさ。ちょっとだけ待とうよ。」

アルツ君:「ふん、仕方ないなぁ…。」

しばらくすると、診察室からドクターが顔を出し、アルツ君の名前を呼びます。

ドクター:「外で元気な声を出していたのは、○○さん(アルツ君のこと)でしたかあ…。どうですかぁ?調子はどうですか?」

診察室に入ったアルツ君に、ドクターが声をかけます。

アルツ君:「悪いっ!!」

ドクター:「どこが悪いんですかねえ?」

アルツ君:「どこもかしこも悪いよ。」

ドクター:「そうですかあ…。ここはどこだかわかりますか?」

アルツ君:「どこだかわからないねっ。家になんか帰れるわけがないっ!!」

今度はドクターが高齢者相談センターの職員さんにアルツ君の最近の状況についてたずねます。

そう…。

ヤッチは前回の診察からずっとアルツ君と生活を共にしていないので、この1ヶ月の病状は全くわかりません。

支援係長さんが、答えます。

支援係長さん:「施設では穏やかなご様子ですよ。施設ではコミュニケーションも取れて、歩行訓練を『仕事』だと思っていらして、一生懸命歩いていらっしゃいますよ。ただ、やはり夜中に頻尿は有るようです。」

少し腑に落ちない発言に感じました。

施設では穏やかで、家族に会うと興奮してしまうのは、なぜ故と言いたいところでしたが、今回の診察は、ヤッチはあくまでもオブザーバー…。

ドクター:「仕事ですかぁ…。今日は桜の花がきれいに咲いていたんじゃないですか?」

アルツ君:「桜なんて俺には関係ないよ…。」

アルツ君、この日は興奮しているせいなのか、小刻みだった歩行も改善されて前のめりだった腰も幾分伸びて、身長が高くなったようにも見えます。

眼球障害も出ていないようです。

興奮ということを除けば、ドクターからすると可もなく不可もなくと言ったところでしょうか。

何だか変な雰囲気になり、一同沈黙の状態になります。

アルツ君は待合室で待つように促されます。

高齢者相談センターの男性職員が付き添い、アルツ君は待合室へと。

診察室にはドクターと支援係長さん、ヤッチの三人が残ります。

支援係長さんが切り出します。

支援係長さん:「○○さん(アルツ君)ですが、先生の診断はいったいどういったものなのでしょうか?」

ドクター:「ご家族にはお話ししたのですが、まだそちらにはお教えしていませんでしたっけ?正直、ハッキリしたことは言えませんねえ…。」

支援係長さん:「進行性核上性麻痺(難病)ではないのですか?」

ドクター:「そうですねえ…。絶対的に進行性核上性麻痺とは言い切れないところが有りますねえ…。これは今後、どういう症状が出てくるかで変わってくるかもしれません。転倒が多いということでパーキンソン関連疾患のどれかだということは言えると思います。画像を見る限りではPSP(進行性核上性麻痺)の疑いが強いですね。大脳皮質基底核変性症なんていうのも考えられますから…。純粋のアルツハイマーではないということだけは確かです。アリセプトに対してもたくさん使うと薬剤過敏が有るので、使える薬が無いのが現状というところでしょうかね。ドーパミンなどもPSPだとすると効かない可能性の方が大きいですね。PSPだと前頭葉に障害が出やすいということも言えます。」

支援係長さん:「そうですか…。今後注意しなければいけないことは何でしょうか?」

ドクター:「これもご家族には申し上げましたが、一番気をつけなければいけないのは転倒ですかね。」

支援係長さん:「先生、今日は先生に書いてもらおうと思って書類をお持ちししたんです。難病申請の書類です。この書類、難病の種類によって書類も全部違うんですね?」

ドクター:「それは、やめときましょうよ。どの道生保(生活保護)で全額公費負担になるんだし…。」

ドクターは明らかに書類を書くのが面倒だといった表情です。

支援係長さん:「いえいえ、一応書いていただかないと…。」

ドクター:「でも、書く項目を正確に埋めていくと、今の○○さんの症状からは、申請が通らない可能性がありますよ…。」

ここで、明らかに支援係長さん、ヤッチに『席を外せ』というアイコンタクトです。

それを察してヤッチも待合室に戻ります。

アルツ君は目を閉じたまま、待合室の長椅子に腰かけじっとしています。

何だか、毎日一緒に過ごしていたのに、ずいぶん長い時を刻んでしまったような錯覚に陥りました。

いつもなら、冗談の一つも交えるのに、その日は全くそんな気分にもなれずにいたのを記憶しています。

まだ、アルツ君は、移送された施設(最初に保護された施設とは別の施設)で特別養護老人ホームの空を待っている状態だと聞きます。

現在アルツ君がいる施設での面会はヤッチはもちろんのこと、他の家族も許されていません。

4月26日に今、アルツ君の居る施設ではなく、高齢者相談センターの会議室でふたたびアルツ君と面会することができました。

次回は、この様子について書きたいと思っています。

長らく、ブログを放置したままになってしまい、心配してコメントを下さった皆さん、ありがとうございました。

また少しずつ記事を書き足して行きますので、よろしくお願い申し上げます。

まだ、笑えるような記事は書けそうもないので、少々堅苦しいかもしれませんが、気長に待っていて下さいね。

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2012/04/29 | コメント (8) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

アルツ君、特別養護老人ホームへ入所

2012/05/25 (金)  カテゴリー: アルツ君
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こんにちは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

ついにアルツ君の特養入所が決まったようです。

姉が高齢者相談センターの支援係長から電話をもらいました。

施設のある場所は、旧自宅にとても近い場所。

ヤッチやキノコさんが現在住んでいる場所からも、交通手段はありませんが、徒歩で通える圏内です。

でもここ…。

実は、アルツ君とキノコさんが、高齢者虐待防止法によって、最初に保護された場所であり、しばらくの間寝泊まりをした場所でもあります。

そして、認知症のアルツ君、すっかり忘れていると思いきや、なんとしっかり覚えていると言うんですね~。

当然ながら、興奮はおさまらず、「何で俺はこんなところに放り込まれなければいけないんだ?何か俺が悪いことでもしたのかっー!」と叫んでいるそうな…。

高齢者相談センターの支援係長さんの話しによれば、全く手をつけられない様子だとか…。

また土地勘も残っているため、「自宅に帰る」とも言っているようです。

もちろん、アルツ君が帰れる自宅など、もう有りません。

結局、アルツ君には、なぜ保護されたのかをこれまで伝えずに来ましたが、やはり真実を伝えなければいけないという話しが浮上して来ているようです。

誰がこのことを切り出すのかは、まだ保留になったままのようです。

もしかすると、ヤッチが退院後に話しをしなければならなくなるかも…。

ちなみにヤッチの退院は5月29日(予定)に決まりました。

残念ながら、今のところステロイド点滴の効果は出ておらず、退院後のリハビリと自主トレに期待するしかないようです。

まだ、点滴は何日間かやる予定ですので、効果が出ると良いのですが…。

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2012/05/25 | コメント (8) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

アルツ君との面会解禁

2012/06/02 (土)  カテゴリー: 高齢者虐待防止法
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こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

昨日の記事でも書かせていただきましたが、昨日はアルツ君の入所している特別養護老人ホームで面会をしてきました。

そして今日の昼もアルツ君のところに遊びに行ってきました。

昨日は、高齢者相談センターの職員さんが同席することが条件での面会です。

キノコさん、姉、そしてヤッチの三人でこの特養に出向きました。

どこぞの記事の中で書いたかもしれませんが、この特別養護老人ホームは、高齢者相談センターがアルツ君とキノコさんを最初に保護した所で、しかも旧自宅から徒歩でも通えるところでもあります。

ここに最初に二人は保護され、キノコさんは、この場所から別の養護老人ホームに向かう途中で、その施設に入所する前に脱走して、旧自宅に舞い戻った次第です。

アルツ君は現在の特別養護老人ホームがが本決まりになるまでの間、別の施設で寝泊まりをしていました。

結局、アルツ君は古巣のこの施設がおそらく住民票を移す最後の場所になると思います。

キノコさんによると、最初に保護され、二人が寝泊まりしていたのは、この施設の3階。

今回、アルツ君の入所が決まったこの施設の部屋もどうやら3階のようです。

ならば、アルツ君、最初から移送されなくてもよかったんじゃないという疑問もわきますが、お役所の事情はこちらにはわからないので、ここには触れないでおきましょう。

さて、アルツ君の入所している施設は現在キノコさんやヤッチのアパートからは交通手段が有りません。

ヤッチは愛車のメルセデスちゃん(2輪ですが何か?)があるので、愛車に乗れば10分~15分の距離ですが、自転車に乗れないキノコさんにはちょっとロケーションがよく有りません。

バスを乗り継いで行く方法があるのですが、バス停まで歩く距離を考えると、アルツ君のいる施設まで歩いてしまった方が早いというちょっとキノコさんには可愛そうな場所です。

後々、ベストな行き方を考えるとして、最初の面会には、姉に自転車でアパートまで来てもらい、アパート前にタクシーを呼び、三人で施設に向かうという方法を選択しました。

何を生活保護受給者がタクシーなんて利用しやがってという御叱りを受けてしまいそうですが、今回はご容赦のほどを…。

(^^ゞ

初乗りに毛が生えたくらいの料金でアルツ君の居る特養に到着です。

高齢者相談センターの職員さんと約束した時刻よりもずいぶん早くに着いてしまいました。

施設で待たせてもらえばいいさと言うことで、施設の門を叩くことに…。

訪問者カードのようなものを書かされ、来客者であることがわかるように首にかける名札のようなものをもらいます。

施設内のロビーのような所に通され、しばし待機です。

何だかキノコさんが落ち着かない様子です。

ヤッチがキノコさんに声をかけます。

ヤッチ:「何?トイレか?」

キノコさん:「違うわよ。知った人がいないか眺めてるのよ。」

キノコさん、ここに2週間程度お世話になっているので、確かに顔見知りの職員さんが居てもおかしくない状況です。

顔見知りの職員さんを発見することなく、高齢者相談センターの職員さんの到着です。

こっちは、もう何回も会っている支援係長さんとアルツ君担当の男性職員です。

支援係長さん:「遅くなりました。それでは参りましょうか。」

支援係長さんの声がかかります。

5人で3階へと向かいます。

アルツ君の居る部屋に案内されました。

姉がヤッチに声を掛けてきます。

姉:「最初に私がパパの部屋に入るわ。ママとあんたはちょっと待ってて。」

そう…。

今日はアルツ君と面会という大事な日でもありますが、事実を隠すことなく、アルツ君にすべて伝えるという重要なミッションが待ち構えている日でもあります。

つまり、アルツ君がなぜ故、この施設に入所しなければならないのか、高齢者虐待防止法によって措置入所になったのだということを本人にはっきりと伝える日なのです。

ヤッチとキノコさんは入所している利用者さんがくつろぐテレビのあるロビーのような所に腰を下ろします。

ほどなく、高齢者相談センターの職員さん二人もこの場所に腰を下ろします。

おそらく、アルツ君と姉を二人っきりにするため、席を外したのかと…。

しばらくして、姉がキノコさんとヤッチを呼びに来ました。

姉:「中に入って。」

アルツ君の部屋にキノコさんと入ります。

高齢者相談センターの職員さんは席を外したままです。

アルツ君、バスタオルを抱えて号泣しています。

ヤッチ:「なんだよ。なんだよ。らしくないな~。花粉症か?」

ヤッチがアルツ君に話しかけます。

アルツ君:「そんなんじゃないわいっ!」

アルツ君、ますますバスタオルを抱え込みます。

ヤッチ:「じゃあ、何だっていうの?」

アルツ君:「ちょっと、湧水を掘り当てただけだ。」

ヤッチは今度は姉に話しかけます。

ヤッチ:「話したの?」

姉も涙を浮かべ、こくりとうなずきます。

ヤッチ:「旦那さん(アルツ君のこと)は、何も悪くないよ。もう心配することは何も無いんだよ。」

アルツ君の嗚咽はおさまりません。

ヤッチ:「隠したって仕方ないから、ハッキリ言うよ。もう今まで住んでた家は無いよ。みんな今はバラバラで生活してるよ。区のお世話になって不自由のない生活だよ。もう旦那さんがお金の心配をする必要も無いんだよ。」

アルツ君:「お前たちはどこにいるんだ?」

ようやくバスタオルを外し、アルツ君が顔を見せます。

ヤッチ:「今まで居たところから、ちょっと離れたところに引っ越したんだよ。奥さん(キノコさん)も俺もアパートを借りてるんだよ。」

アルツ君:「金はどうした?」

ヤッチ:「引越しの金かい?それなら区がみんな出してくれたんだよ。今のアパートの家賃も区が出してくれてるんだよ。」

アルツ君:「兄貴はどうした?」

ヤッチ:「お兄さんも区のお世話になってるよ。生活保護ってわかるかい?全員生活保護のお世話だよ。」

アルツ君:「そっか…。生活保護か…。俺はどうなってるんだ?」

ヤッチ:「旦那さんは、若い時にいっぱい働いたから年金だよ。この施設で生活するためのお金も旦那さんの年金で賄ってるんだよ。」

アルツ君:「俺に年金なんて有ったのか?」

ヤッチ:「あるじゃん!サラリーマンをやってった時もあるんだから、年金が出てるよ。だから、借金してここに入るわけじゃないんだから、胸張っていいんだよ。若い時一生懸命働いたご褒美だよ。勲章だよ。」

アルツ君:「バカ言え、俺はまだ若いぞ!?」

ヤッチ:「そうは言ったって、もう働かなくてもいいんだよ。もうのんびりしていいんだよ。」

アルツ君:「だからって、遊んでてここで飯がずっと食えるわけないだろ?」

ヤッチ:「それが食えるんだよ。もう何も心配しなくてもいいんだよ。俺がもっとしっかりしてれば、みんなで一緒に住めたんだけど、力が足りなかったよ。それだけは勘弁してくれよ。旦那さんはこの先ここでずっと生活していくことになると思うよ。ほんと申し訳ない。済まなかったね…。」

お恥ずかしい話ですが、麻痺している左目からいつの間にやら涙なるものなんぞ流れたりして…。

アルツ君:「そっか…。だけどほんとに金のことは大丈夫なんだな?」

ヤッチ:「さんざん、金で苦労したんだから、もう追っかけ回されることは無いと思うよ。旦那さんに関してはまず、何か有っても区が面倒みてくれるから、心配しなくても大丈夫。」

アルツ君:「そっか…。」

すこし、間が開いた所でキノコさんが声をかけます。

キノコさん:「ボタモチ食べる?○○(姉のこと)が買ってきてくれたのよ。」

アルツ君:「俺は甘いもんが好きだからな~。」

ようやく、アルツ君が落ち着きを取り戻しました。

この記事ではかなり省略して書かせてもらっていますが、ここに行きつくまでは、結構同じような問答の繰り返し状態です。

姉:「パパ、ボタモチ食べるの久しぶりでしょ?」

姉が今度は声をかけます。

アルツ君、何だかまたまた泣きべそです。

たぶん、アルツ君のこんなに涙を流す姿を見るのははじめてかもしれません。

姉:「ああ、いい子だ、いい子だ。ボタモチ食べな。」

まるで赤ん坊をあやすような姉の言動…。

姉にフォークで一口大にしたボタモチを口に運んでもらっています。

涙を流しながらも、ものすごい勢いでパクついっちゃってます。

^_^;

一つ食べ終わったところで、アルツ君のいつもの笑顔と落ち着きが戻って来ました。

恐るべし、ボタモチパワー…。

アルツ君が今度はヤッチに話しかけてきます。

アルツ君:「お前は何でそんなにひげをぼうぼうに生やしてるんだ?それにその顔は何だ?ひん曲がってるじゃないか?お前、ボクシングでも始めたのか?」

ヤッチ:「ボクシングなんてやるわけないだろ。旦那さんの心がねじ曲がってるから、そう見えるだけだよ。」

姉:「パパね。この子ね。顔の半分が動かなくなって入院してたんだよ。しゃべり方も少し変でしょ?口が上手く回らないんだって。」

アルツ君、せっかく笑顔が戻ったのに、姉の余計なひと言にまたまたバスタオルのお世話になっちゃってます。

(^^ゞ

ヤッチ:「なんだよ。なんだよ。そんなにタオルのお世話になってばかりだと俺みたいに顔がひん曲がるぞ。」

アルツ君:「ふんっ!お前はへそも曲がってるんだろっ!」

あー言えばこー言う節の復活です。

(*^_^*)

この後は、アルツ君もかなり混乱はあるものの、落ち着きを取り戻しました。

家族で今までの出来事をしばし語り合い…。

(*^_^*)

そして、今日はアルツ君に身のまわり品で不足しているものを届けに行ってきました。

そうです…。

ヤッチの入院生活、無駄にはなっていなかったんです。

自分で有るといいなと思っていたものを入院中、売店で買ったり、お見舞いに来てくれた人に差し入れしてもらったグッズをそっくりそのまんまアルツ君に横流ししてきました。

ちなみにヤッチが入院中、ウェットティッシュを差し入れしてもらいましたが、使い切れずに退院してしまったので、アルツ君のベッドサイドに置いてきました。

たぶん、心当たりがある方は「あっ!俺だ。」と思っているはず…。

しっかり横流ししてきたので、あしからず…。

それから、面会初日のアルツ君ですが、姉に後で聞いたところ、いつの間にやらボタモチ二つ完食していたそうです。

今日の帰り際に何か他に足りないものは無いかアルツ君に聞いてみました。

アルツ君:「そうだなぁ、今までずーとボタモチを口にしてないから、足りないって言えばそれくらいかなぁ…。」

アルツ君

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ

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認知症に効果がある音楽療法

2012/07/07 (土)  カテゴリー: 音楽療法
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こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

先日、アルツ君の入所している特別養護老人ホーム(特養)の職員の方とアルツ君の今後のケアについての打ち合わせが有りました。

特養の男性係長さん、姉、ヤッチ、そして高齢者相談センターの職員さん二人の計5人で特養の会議室をお借りしての打ち合わせです。

アルツ君が正式にこの特養に入所してから1ヶ月を経過したところですが、まだきちんと特養の職員の方たちと話をしたことは有りませんでした。

特養の施設にどのようなサービスが有り、どんなサービスが受けられるのか、反対に施設側に家族側からどの程度までアルツ君のお世話を要求して良いものやら、これまで何も話をしていませんでした。

御存知のようにアルツ君は高齢者虐待防止法に基づく措置入所の形を取っていましたから、家族側からすると、アルツ君に何か介護サービスを受けさせたいといっても、直接特養の施設に対してお願いして良いものなのか、それても高齢者相談センターを通して施設側にお願いしなくてはならないのかはっきりしていませんでした。

特異なケースで入所したものですから、事前にどんなサービスが有るのかなどという予備知識も無かったわけです。

また一般の方のご家族が特養に入所する時と違うので、どうしても高齢者相談センターにお伺いを立てないと、特養とアルツ家で勝手になんでも決められません。

こういった不安を解消すべく、高齢者相談センターの配慮で、今回話し合いの場を設けていただいたわけです。

結論から先に申し上げてしまえば、結局アルツ家も一般の入所者と同じように、ある程度のことは高齢者相談センターを介さないで、特養とアルツ家で決めて良いという結論です。

ある程度以上のことが何なのかはわかりませんが、まあ普通になんでも施設と話し合いをしても良いということで考えても良いのではないでしょうか。

姉が気にしていることは、アルツ君の入所している3階のフロアにアルツ君の話し相手になれるような他の入所者さんが居ないこと…。

まだヤッチもすべての入所している方たちを把握しているわけではありませんが、まあ見渡す限り、アルツ君と会話が成立する人がいないように思えます。

失礼な話ですが、ほとんどの方は、車椅子で、声をかけても何をおっしゃってるかわからないか、反応の無い方たちがほとんどです。

フロアにはうめき声や奇声が飛び交っているというのが実際のところでしょうか…。

(・・;)

会話が成立するアルツ君がこの中に居ると、おかしな話ですが正常な人間にまで見えてきます。

(・・;)

最近では姉の方が施設に面会に行っている回数はおそらく多いので、この辺りが気になって仕方がない様子です。

ヤッチからするとアルツ君に面会に行ったりすると、アルツ君が、

「また誰か騒いでやがるな?」

と入所者さんのどなたかが奇声を上げているのを耳にすると、自分の居る部屋から廊下に出てフロアを見渡しているのを目にすることがよく有ります。

以前であれば、自ら重い腰を持ち上げて立ち上がるということも減っていたわけですから、これはこれで良い刺激になって、アルツ君の興味をひく対象物になっているし、脳も少しは動かしていることにはなります。

ただ確かにおしゃべりでお調子者のアルツ君にとって、話し相手が誰もいないというのは、やはりストレスになるかもしれません。

会話ができる施設の職員さんもたくさんの人の面倒をみなくてはならないので、アルツ君一人の話し相手になっているわけには行きません。

姉がこの辺のところを施設の係長さんに申し上げました。

係長さんが答えます。

係長さん:「実は急きょの入所だったので、たまたま空いているお部屋が3階だったということで、お父様の居室の変更ができないということではありません。」

今度は姉がたずねます。

姉:「失礼だということは重々わかっているのですが、2階のフロアは認知のある方が少ないと聞いたのですが…。もし、2階で有れば父の話し相手になってもらえる方もいらっしゃるのではないでしょうか?」

ここの施設は聞いたところによると、入所者が入っているフロアは2階と3階で、3階には認知症の方を入所させている様子で、2階には認知症ではないような方が入所しているとか…。

そのため、2階と3階では施設の嘱託医も違います。

3階は認知症専門の嘱託医で2階は何とアルツ君が以前自宅から通っていた主治医。

介護保険の主治医の意見書もこの先生に書いてもらっています。

そのため、この施設でも本来3階の認知症専門の先生の診察を受けるのではなく、二階の馴染みの主治医の診察を受けています。

係長さん:「わかりました。ちょっとだけお時間を下さい。居室の変更が可能かどうか調べてみます。」

施設の係長さんがこう答えます。

2階に移れたら移れたで寝たきりの方ばかりでまったく話し相手がいないなんてこともあるので、事前に下見に行く必要はありそうです…。

(^^ゞ

支援係長さん:「他に何かございますか?」

今度は高齢者相談センターの支援係長さんが切り出します。

もちろん、この支援係長さん、以前ヤッチと散々やり合った方でも有ります。

今度は特養の施設の係長さんに対してヤッチが質問をします。

ヤッチ:「父は2階の嘱託医になっている○○先生にお世話になっていると思うのですが、○○先生には紹介状を書いてもらって認知症専門の先生に診てもらっていた時期が有ります。進行性核上性麻痺の疑いが有ると診断を受けたのも紹介先のこの先生です。今は父が施設に入所したことで、この先生の手を離れています。今後、もし、進行性核上性麻痺の症状が進行するようなことが有れば、専門の先生に診ていただくこともできるのでしょうか?」

係長さん:「それはもちろんです。専門医の診察はもちろん、うちの嘱託医ではなく、その先生の所へ通院していただくことも可能です。現在の嘱託医の定期的な診察受けていただいて、病状に異変が見つかれば、ご家族様にご連絡するのはもちろん、専門の先生に診ていただく体制も取らせていただいています。」

ヤッチ:「ありがとうございます。姉は話し相手のことが気になっているようなのですが、私は別の事で気になっている事が有ります。実は父の歩行のことです。家族の面会が無いと屋外で散歩ということができないようなので、どうしても施設内を歩くだけでは足が弱ってくるような気がします。歩行訓練のようなことはやっていただけないんですかねえ?」

係長さん:「職員が屋外にお父様を外に連れ出して散歩すというのは、人員の関係で少々無理なところですが、場合によっては、リハのようなものも有りますが…。お父様、お見受けする限りでは元気に歩いておられる様子ですが…。」

これは少々はぐらかされた感じですが、あまり強く突っ込めないところ…。

(^_^;)

ヤッチ:「介護の職員さんも1対多の状況で忙しいとは思いますが、施設内でも良いですから、できるだけ歩くように声かけしていただけないでしょうか?父がここの施設にお世話になる前の施設では、施設内を歩くことを『仕事』と言って、結構歩いて歩行訓練をしていたようです。歩行が改善されたのもそのお蔭かもしれません。何か目的なり、興味をひくことを与えることで症状の進行は食い止められると私は思うのですが…。」

係長さん:「なるほど…。では、うちの介護職員のリーダーに○○というのがおります。○○に言って、声掛けをするように伝えておきます。そうそう、興味をひくというので気になったのですが、お父様は何か興味を持っておられることがお有りですか?」

『ボタモチ』と即答したいところでしたが、場の雰囲気がそういう雰囲気ではなかったので、ヤッチは他の事を思い浮かべます。

ヤッチ:「そうですねえ。これと言って見当たらない感じですが、あえて言うなら、植木とか庭木のことですかねえ…。」

係長さん:「そうですかぁ…。以前そう言った関係の職業に就かれていたとか…。」

ヤッチ:「元花屋で植木職人です。この施設ができて間もない頃に、この施設に植わっている木の剪定の仕事もさせていただいた言っています。父は『剪定の仕事』のことを『いたずら』と言います。『ここの木をいたずらさせてもらった』というのは『ここの木を剪定させてもらった』ということになります。」

係長さん:「相変わらず、面白いお父様ですねえ…。」

ヤッチ:「あまり、褒めすぎると木から降りられなくなります。」

またしても、場の空気を読まずに勢いでしゃべってしまったので、誰も反応してくれませんでした・

(; ̄ー ̄川 アセアセ

係長さん:「他には何か興味をお持ちのことは有りますか?」

ヤッチ:「釣りですかねえ…。でもここ何年かは釣りにも出かけていないので興味がまだ有るかは疑問ですね…。」

係長さん:「そうですかぁ。歌なんかはどうですか?」

今度は姉が口を挟みます。

姉:「そうそう。先日ここでカラオケ大会みたいものが有ったでしょ!?そのことをよく口にするのでカラオケなんかが興味が有るんじゃないかしら!?」

係長さん:「カラオケ大会というほどのものではなかったのですが…。ときどきこの施設でもやらせていただいています。」

姉:「歌は聴くのも歌うのも多分嫌いじゃないと思います。」

係長さん:「そうだ。うちの施設では音楽療法というものを取り入れているのですが…。」

姉&ヤッチ:「音楽療法?」

後になって知ったのですが、最近では『音楽療法』なるものを取り入れている施設も多いらしく、決して珍しいものではないそうな…。

ヤッチ、『音楽療法』なるものをこの時はじめて知りました。

(・・;)

係長さん:「そうです。しょっちゅうやっているわけではありませんが、歌が好きというので有れば、こういったものに参加されて見ては?」

ヤッチ:「音楽療法というのを存じ上げないのですが、いったいどんなものなんですか?」

『療法』などと聞くと、すぐにヤッチは医療めいたものを想像してしまいます。

頭の中にはメスや注射が飛び交います。

係長さん:「簡単に言ってしまうと、音楽を聴いてもらったり、歌を歌ってもらったりすることで脳を活性化してもらう療法です。時には楽器を演奏したりと…。専門の先生も付きます。」

ヤッチ:「先生も付くんですか?」

係長さん:「そうです。専門の先生が付いて、確か月に2回ほどやっていると思います。」

姉がちょっとためらいの表情を浮かべます。

姉:「費用については?」

実はアルツ君の懐の管理は家族ではなく、高齢者相談センターが行っているのです。

いずれ高齢者相談センターが後見人制度を利用して後見人をつけるということで手続きも進められ、今度はアルツ君の懐は選任された後見人さんが管理することになります。

現在はまだ財布の紐は高齢者相談センターが握っています。

姉が高齢者相談センターの支援係長さんの顔を見やります。

支援係長さん:「うち(高齢者相談センター)の方は大丈夫ですよ。」

今度は特養の係長さんが割って入ります。

係長さん:「いえいえ。これについて、うち(特養)が負担するというか、費用のことはご心配なく…。」

たぶん、介護保険で賄えるという意味合いなのかもしれません。

姉:「それなら、ぜひぜひ受けさせてもらいたいですね!!」

姉とヤッチの意見は一致です。

係長さん:「これはお父様がやりたいというのがもちろん前提ですが…。」

姉:「もちろん、確認しますが、多分『やりたい』って言うんじゃないでしょうか!?」




その他、施設についての説明などを受け、打ち合わせは終了しました。

打ち合わせを終え、姉とヤッチはアルツ君の部屋に戻ります。

部屋にはキノコさんも来ています。

アルツ君:「なんだよ。なんだよ。大勢して…。」

アルツ君が少し驚いた表情をしています。

姉が切り出します。

姉:「パパ。音楽教室に参加してみる?」

アルツ君:「なんだ?音楽教室って?」

姉:「歌を歌ったりするんだって。カラオケとかもやるんじゃない!?」

アルツ君:「へえ…。カラオケやるのか?カラオケは嫌いじゃないねえ…。」

姉:「やるかどうかはわからないけど、歌を歌ったりするんだって。月に2回有るらしいよ。」

アルツ君、まんざらでもない様子…。

アルツ君:「へえ…。2回も有るのか?」

姉:「そうだよ。歌のレッスンかもよ!?」

アルツ君:「何だか知らないけどなぁ…。やってやってもいいけど、俺は今さら歌手にはならないぞ!?」

アルツ君

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ



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2012/07/07 | コメント (6) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

妾(めかけ)を囲う職人

2012/07/17 (火)  カテゴリー: 認知症の症状
▲ Page Top
こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

連日、茹だるような暑さが続いています。

東京も梅雨明けしたようですね。

そんな暑いさなか、アルツ君のいる施設に面会に行ってきました。

午後の一番暑い盛りに自転車を漕いで行ってしまったので、帰ってきたら、腕が真っ赤です。

^_^;

アルツ君の部屋は今日は引き戸が閉まったままです。

いつもは、開けたままのことが多いのですが、昼寝でもしているのでしょうか。

コンコンとノックすると、中から声が聞こえてきます。

アルツ君:「おうっ!!」

ヤッチは引き戸を開けます。

アルツ君、ベッドからちょうど起き上がったところみたいです。

ヤッチ:「寝てたのか?」

アルツ君:「いや、ちょうど寝ようかなと思ったところだ。何にもやることないからなぁ…。」

この言葉を聞くと、ヤッチも返答に困ります。

(-_-;)

ヤッチ:「今日は外はものすごく暑いよ。」

アルツ君:「夏だからな。」

ヤッチ:「おっ。夏だってわかるんだ!?」

アルツ君:「わかるさよ~。これで冬だなんて言ったらボケてるって言われるぞ!?」

ヤッチ:「いや。じゅうぶんボケてるよ。」

アルツ君:「それより、ばあさんはどうした?」

アルツ君が言う『ばあさん』とはもちろん最愛の妻であるキノコさんの事です。

最近、アルツ君の記憶の中ではしばしばキノコさんが行方不明になります。

ヤッチ:「ばあさん!?ばあさんなら家に居るよ。」

アルツ君:「そっかぁ…。仕事に行ったんじゃないのかぁ…。」

ヤッチ:「仕事なんてもともとしてないじゃないかよ。だいだいいくつだと思ってんだよ?」

アルツ君:「俺よりちょっと若いくらいだろっ!?」

ヤッチ:「じゃあ、いくつ?」

アルツ君:「38。」

ヤッチ:「えっ~。38がそんなにハゲ散らかしてるわけないだろっ。八十いくつの間違いだろっ!?」

アルツ君:「そうだっけっ!?八十いくつだっけ?」

ヤッチ:「84。」

アルツ君:「そうかぁ…。そんななるのかぁ…。じゃあ、ばあさんも結構な歳だなぁ…。」

ヤッチ:「そういうことになるねえ~。」

キノコさんも9月になると、アルツ君と同じ84歳になります。

アルツ君:「で!?俺は今日、家からここに来たんだよな!?」

ヤッチ:「はあ?」

アルツ君:「朝は家に居たんだよな?」

ヤッチ:「家ってどこ?」

アルツ君:「俺の家だよ。」

ヤッチ:「俺の家はわかるけど、俺の家なんて有るのか?」

アルツ君、すでにここ特養に住所を移して、以前住んでいたアルツ家はもう大家さんにカギを返してしまっています。

アルツ君が高齢者虐待防止法で保護されている間の出来事ですから、事情は説明して有りますが、覚えてはいないようです。

しかし、その間、アルツ君は自宅などには帰っていません。

アルツ君:「家くらい有るさよ~。」

ヤッチ:「どこに有るんだ?」

アルツ君:「道路沿いだよ。」

ヤッチ:「いや、だいたい家は道路沿いだろ!?」

アルツ君:「きれいな道路沿い…。」

ヤッチ:「多分、今日は家から来てないと思うよ。ずっとここに居て、そのベッドで寝てたと思うよ。」

アルツ君:「いや、そうじゃないなぁ…。確かここにすっ飛んできたはずだ。」

ヤッチ:「すっ飛んで来たって!?だいたい走れるのか?」

アルツ君:「そうだよなぁ…。じゃあ、どっから来たんだろ!?」

ヤッチ:「だから、ずっとここに居たって!!。昨日も一昨日もその前からずっとここに居たって!!」

アルツ君:「俺がか?こんな山奥に!?ここをどこだと思ってんだよ。山の中だぞ!?」

ヤッチ:「はあ?」

アルツ君:「だから、ここは山の中!!」

ヤッチ:「何で急に山の中になっちゃうのかなぁ…。ここは東京だぞ!?しかも23区内!!」

アルツ君:「ウソっ~!!」

ヤッチ:「ウソじゃないよ、ホントだよ。周りを見渡してごらんよ?」

アルツ君:「木がいっぱい有るなぁ!?やっぱり山奥だ。」

ヤッチ:「山奥じゃないよ。山なんてどこにも見えないじゃないか。」

アルツ君:「そうか???」

ヤッチ:「そんなに疑うなら、廊下の窓から景色を眺めてごらんよ?山なんてどこにもないから…。」

アルツ君と一緒に廊下に出て、一番景色が良く見える窓のところに行きます。

ヤッチ:「なっ?山なんて無いだろ?」

アルツ君:「ホントだ。山が無くなってる。」

ヤッチ:「無くなってるんじゃなくて、最初から無いよ。」

アルツ君:「そうだったっけ!?で、ばあさんはどこに居るんだ?」

ヤッチ:「さっき、言ったじゃないか、家だよ。」

アルツ君:「そうじゃないよ。どこに居るのかって聞いてるんだよ。」

ヤッチ:「ああ、そういう事かぁ。あそこに高圧線が見えるだろ!?あの2本目の高圧線の辺りかな!?」

アルツ君:「ぶら下がってるのか?」

ヤッチ:「何でぶら下がるんだよ。ぶら下がってたら、この世にいないよ。」

アルツ君:「そうかぁ…。で、何してるんだ?」

ヤッチ:「だから家に居るよ。洗濯物でも取り込んでる頃じゃないのかな!?」

アルツ君:「えっー!?ばあさんだぞ!?」

ヤッチ:「そうだよ。ばあさんが洗濯物を取り込んじゃいけないなんて法律有る?」

アルツ君:「無いかも知れないけど、俺は仕事に出かけてるとばかり思ってた。」

ヤッチ:「またそれかよ。」

アルツ君:「でさあ、改まって聞くけど、キノコ(キノコさん)はどうした?」

↑便宜上、キノコと書きましたが、アルツ君、この時キノコさんの本名を下の名前で呼んでいます。」

ヤッチ:「はあ?」

アルツ君:「キ・ノ・コ!!」

ヤッチ:「だからさあ…。それは今言った通り洗濯物を取り込んでるって…。」

アルツ君:「それはばあさんの事だろっ!?俺の行ってるのはキノコがどこに居るんだっていう事だよ。」

ヤッチ:「だから、あの高圧線のところだよ。」

アルツ君:「バカ言えっ!!一緒に居るわけないだろっ!!」

???

……

やっと、わかりました…。

アルツ君ですが、どうも『キノコさん』と『ばあさん』を別物と考えているようです。

(-_-;)

一方は若いキノコさん…。

もう一方はばあさんのキノコさん…。

短期記憶の欠落、現実と過去、幻視と夢が錯綜してアルツ君の頭の中で物語が暴走しているようです…。

(-_-;)

もしかすると、アルツ君の元へキノコさんの30~40年くらいも前の写真を届けてしまったからかもしれません。

(-_-;)

まだキノコさんも背筋が伸びてハツラツとしている頃の写真です。

施設の職員さんの話によると、その写真の一枚を大事そうに持ち歩いて、職員さんが見せてくれと言っても、見せてくれなかったそうです。

知っているという事は結局見たんでしょうけど…。

( 一一)

ヤッチ:「いったいどういうこと?もしかして、『キノコ』っていう名前の人物は『ばあさん』より若い?」

アルツ君:「そうだよ。うんと若いさ…。」

ヤッチ:「もしかして、『ばあさん』と『キノコ』の二人いる?」

アルツ君:「そうだよ。俺がこんなところに居るから、居場所がわからなくなっちゃったんだよ…。」

ヤッチ:「お言葉を返すようで、悪いんですけど、『ばあさん』と『キノコ』は同一人物だぞ!?」

アルツ君:「え?そうなのか?うっそっ…!?」

ヤッチ:「う~ん…。多分、キノコさんの昔の写真を見たんじゃないのか?」

アルツ君:「ああ。見たよ…。写真は見たけど、ばあさんはあんなに若くないぞ!?」

ヤッチ:「そうじゃないよ。写真が古いんだよ!!若い『キノコさん』が今は『ばあさん』になってるんだよ!!『キノコさん』と『ばあさん』は同一人物だよ。」

アルツ君:「へー。そうなのかー!!こりゃまた驚いた…。」

アルツ君、首をうなだれちゃってます…。

(-_-;)

ヤッチ:「驚いたのはこっちだよ。だいたい妾を囲えるほどの甲斐性ないだろっ!?」

アルツ君:「まあ、そりゃそうだ…。じゃあ、『キノコ』はあんなに、ばあさんになっちゃったのか!?」

ヤッチ:「だいたい、自分の歳を考えればわかるだろがっ。」

アルツ君:「まあ、そりゃそうだなぁ…。そうか。そういう事だったのかぁ…。」

ヤッチ:「やっとわかったようだね!?どう、スッキリした?」

アルツ君:「ああ、わかった。スッキリしたよ。で、ばあさんはどこに居るんだ?」

ヤッチ:「さっきも言った通り、高圧線のところっ。」

アルツ君:「バカっ!!それは『ばあさん』だろっ!?俺の言ってるのは『キ・ノ・コ』っ!!」

時として、こっちの思考の方がやられちまいそうです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ

アルツ君

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ

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