アルツ君は職人進行性核上性麻痺の疑いのある元植木職人のアルツ君(父)、アルツ君の愛妻キノコさん(母)、そしてアルツ君の息子ヤッチの日々の生活を紹介しています。
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普通を愛する職人

2014/08/06 (水)  カテゴリー: アルツ君
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室外機がない!?

こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

昨日、アルツ君のところへ面会に行ってきました。

今年の7月の半ばから空調設備が故障し、一時的にルームエアコンを各居室に設置し、暑さをしのいでいた特養ですが、昨日(たぶん?)ようやく空調設備の工事も終わり、日常を取り戻しつつあります。

とはいえ、外す予定になっていたルームエアコンは取り付けられたままです。

理由は、直したばかりの空調設備がまた故障したときの保険だそうです。

このルームエアコンの室外機に関して、アルツ君が『こわい』と言ったので、ヤッチは部屋の中から室外機が見えないように、段ボールを貼りつけました。

でも、もうその日のうちに、アルツ君が段ボールを外してしまったようです。

(-_-;)

関連記事:室外機をこわがる職人(2014/07/30)

そして、昨日、ヤッチが面会に行った時には、その室外機の姿は有りませんでした。

エアコンの室外機_01 ⇒ 室外機がない!?
画像はクリックで拡大できます。

どうやら、その後もアルツ君が室外機の存在をこわがったり、蹴飛ばしてしまったため、お隣の入所者さんの居室のほうへ、施設の職員さん(?)が移動したようです。

お隣の入所者さんの窓の外には大きな室外機が2機あることになるので、大変申し訳ない限りです。

m(__)m

そんなアルツ君、ヤッチが面会に行ったこの日、朝から随分と不機嫌だったようです。

アルツ君は廊下の『定位置』に腰かけていましたが、近づこうとするヤッチを女性職員さんが呼び止めます。

女性職員さん:「こんにちは。お父様なんですけど、今日は御気分がすぐれないようで…。」

ヤッチ:「なんか有ったのかな?」

女性職員さん:「いえ、特に…。ただ、お昼ご飯も、怒って全部ひっくり返してしまったんですよ…。」

ヤッチはアルツ君に近寄ります。

ヤッチ:「ちゃぶ台返しをやらかしたらしいな?なんか、気にいらないことでも有ったのか?」

アルツ君:「別に…。いつも通りですよ。普通だよ、普通…。」

アルツ君の表情はにこやかで、機嫌が悪かったことを想像できません。

???

ヤッチ:「ボタモチを持って来たんだけど、食うかい?」

アルツ君:「ボタモチ?それは食べてみたいもんですね~。」

ヤッチ:「あっ!入れ歯をしてないじゃないかよ!入れ歯、どうしたの?」

会話を聞いていらした女性職員さんが割って入ります。

女性職員さん:「そうなんですよ~。朝から何回かお声を掛けているんですけど、機嫌が悪くて、つけて下さらないんですよ…。」

アルツ君:「そのうち、(歯が)生えて来るさよ~。」

ヤッチ:「そのうちって、俺の髪の毛が生えるくらい難しい話だな?」

アルツ君:「お前のは、手遅れだ。」

ヤッチ:「うるせーよっ!小保方さんに交際を申し込むんだから、待ってろよ!だいたい、入れ歯してないと、ボタモチを食おうたって、食えないじゃないかよ?」

アルツ君:「飲んじゃえばいい…。」

ヤッチ:「入れ歯をつけて、食った方が美味いと思うけどな…。」

アルツ君:「そうかな…。」

ヤッチは女性職員さんが用意して下さった入れ歯を半ば強制的に、アルツ君に装着します。

そして持って来たボタモチを切り分け、アルツ君に渡します。

ヤッチ:「やっぱり、ボタモチは美味いべ?」

アルツ君:「普通だよ、普通…。」

ヤッチ:「そうか、感動が沸かないか…。じゃあ、これからボタモチは持って来ない方がいいか…。」

アルツ君:「そんなことはないぞ。持ってくりゃ、なんぼでも食うぞ。」

ヤッチ:「結局、ボタモチが好きなんでいらっしゃいますね…。それはそうと、マッサージはどうだった?気持ちよかったか?」

アルツ君、先日、姉が申し込んだマッサージを早速受けたようです。

これから定期的にマッサージ(主に足)を受けられるようです。

アルツ君:「普通だよ、普通…。」

ヤッチ:「あれ?俺がお嬢さん(姉)から聞いた話だと『気持ちよかった、あんまり気持ちが良すぎて、足から羽根が生えてきた。』って、言ったらしいじゃないか?」

アルツ君:「誰?俺がかよ?だいたい、俺は、あいつ(姉のこと)に何十年も会ってないぞ?」

ヤッチ「かっー。それにしても、ばあさん(キノコさん)やお嬢さんが、ここへ来たことを忘れちゃうのに、マッサージのことを覚えてるんだから、大した脳ミソだな?」

アルツ君:「それほどでもないさよ~。普通だよ、普通…。お前にも(脳ミソを)やろうか?」

ヤッチ:「最近、塩分を控えめにしてるから、遠慮しておくよ。」

アルツ君:「ははん!ご愁傷様。」

ヤッチ:「だけど、何でも普通なんだな?」

アルツ君:「当たり前さよ~。なんでも普通が一番なの!あんまり特殊だと、出っ張ったところを引っぱたかれることに、相場が決まってるの。」

ヤッチ:「言わんとしてることは、わからんでもないけど、ボタモチくらいは『うまい』、『おいしい』くらいを言ってやったら?」

アルツ君:「今日はそういうことは言わないの。」

ヤッチ:「『今日は』なんだぁ…???じゃあ、明日は?」

アルツ君:「明日は明日の屁が出る。屁はケツのアクビなり。」

ヤッチ:「あのさ…。もっともらしいことを言ってるつもりだろうけど、下ネタだぞ?」

アルツ君:「それほどでもないよ。普通だよ、普通…。」

ヤッチ:「まあ、いいや。話は変るんだけど、今日は旦那さんにプレゼントを持って来たよ。」

アルツ君:「なんだ?カネか?」

ヤッチ:「違うよ。絵本。」

アルツ君:「ちぇっ。絵本かよ…。そんな子供だましみたいなもん…。」

ヤッチ:「俺も最初はそう思ったんだけど、最近の絵本って、昔読んだのと違って、結末が違ったりするんだぞ?」

アルツ君:「ふん…。」

ヤッチ:「残酷なシーンがなくなってるんだぜ。今日、持って来たのは『はなさかじいさん』で、昔、読んだのと、あまり結末は変わらないようだけどな!?」

アルツ君:「ちぇっ。『はなさかじいさん』かよ…。」

アルツ君、ちょっとつまらなそうにして、口をモグモグしています。

ヤッチ:「あっ?旦那さん!もしかして、入れ歯が合わないのか?」

アルツ君:「いや、別に…。普通だよ、普通…。」

ヤッチ:「痛いのか?」

アルツ君:「痛くもかゆくもないぞ!?」

ヤッチ:「それにしちゃあ、入れ歯が動くな?ガバガバしてるような感じだな?」

アルツ君:「歯がガバガバじいさん(はなさかじいさん)!」

ヤッチ:「その大喜利のセンスを脳の記憶の領域に分けてあげられないかなぁ…。」

アルツ君:「高くつくぞ?」

ヤッチ:「今度、歯医者さんが来た時に、診てもらおう。」

アルツ君:「高くつくぞ?」

ヤッチ:「大丈夫だよ。その場でカネをふんだくるようなことはしないから。旦那さんはカネの心配をしなくても大丈夫。」

アルツ君:「じゃあ、いくらでも口を開けてやるぞ。」

ヤッチ:「その減らず口を歯医者さんに、ついでに削ってもらうように言っておくよ。」

アルツ君:「嫌だっ!」

ヤッチ:「冗談だよ。削ってもらうなら、全身だよ。」

アルツ君:「あーいうことを言ってやがるんだからなぁ…。」

ヤッチ:「話を元に戻すけど、『はなさかじいさん』の話を覚えてるか?」

アルツ君:「当たり前さよ~。」

ヤッチ:「おっ、たいしたもんだな~。俺はこの本を読むまで、思い出せなかったよ…。」

アルツ君:「しようもない奴だなぁ…、お前は…。」

ヤッチ:「どんな話だったっけ?」

アルツ君:「途中はよく覚えてないけど、おじいさんが、灰だか、粉をまくと、枯れた木に花が咲くっていうやつだろ?あれは桜の木だったかなぁ…???」

ヤッチ:「へー、すごいね~。よく覚えてるなぁ…。」

アルツ君:「そうだよ、お前も頭に灰だか、粉をまいてもらったらどうだ?」

ヤッチ:「うるせーよっ!!」

アルツ君

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ

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2014/08/06 | コメント (2) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

アルツ君の脳梗塞 ~ 入院10日目から12日目

2014/12/07 (日)  カテゴリー: 脳梗塞
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・入院10日目 ~ 12月04日(木)

アルツ君の入院を知った友人Yさんが、一緒に面会に行ってくれることになりました。

普段、ヤッチは自転車で病院に出かけていますが、この日はバスで…。

バスの終点は○○駅です。

久しぶりに降りた駅はすっかり様変わりしていて、ヤッチもオノボリさん状態です。

確か病院のパンフレットに病院まで徒歩10分と書かれていたような気がしますが、もう少し時間がかかったように思えます。

病院に着くと、アルツ君、御就寝中です。

少し間を置くと、目を覚ましたので、デイルームに居たYさんを呼びに行き、病室へ入ってもらいます。

Yさん:「こんにちは。」

アルツ君:「あーどーもー。」

少し片言の日本語ですが、ハッキリと聞き取れます。

Yさん:「俺のこと、覚えています?」

アルツ君:「うん…。すまんね…。ハヒヒヒヒ…。」

アルツ君、またしても『ケンケン泣き』です。

アルツ君の泣き方が変なのでYさんは、『笑っている』と言い張ります。

でも、ティッシュで何度もヤッチが涙を拭きとっているので、泣いているのは間違いありません。

このあと、少し会話をしましたが、今までに比べると、宇宙語が日本語に近づいている印象です。

特養に居る時もそうなのですが、Yさんが面会に来る日に限って、アルツ君、調子が良いようです。

やはり、家族ではない他人が来ると、頑張るからなのでしょうか…。

この日も帰り際にヤッチはYさんに、『おやっさん、全然元気じゃないですか。また○○さん(ヤッチのこと)にウソをつかれました。』と言われてしまいました。

確かに、この日は、呂律もよく回っていたし、覚醒レベルもよかった気がします。


・入院11日目 ~ 12月05日(金)

2014年12月05日のアルツ君

6人部屋なので、病室に入ると、いつもはにぎやかな感じですが、この日の病室はとても静かです。

病室では、看護師さんが一人、丸椅子に腰かけています。

ワゴンの上に書類を広げて、何か書き物をしているようです。

ヤッチ:「こんにちは。お世話になっています。」

病室の一番奥のアルツ君のベッドに向かいます。

なんだか、面会に訪れた時に、アルツ君が目を覚まして起きているという印象がなくなってきました。

この日のアルツ君も寝息を立てて、眠っています。

今までは、左手にミトンをして、両方の手首をベッドの手すりに固定され抑制されていましたが、この日は両方の手にミトンで、手首は固定されていません。

アルツ君のベッドの足元には、今まではなかったモニタが置かれています。

生体情報モニタと呼ばれるもののようです。

医療の現場によって、臨床モニタと言ったり、監視モニタ、単にモニタと言ったりと色々な呼び方が有るようです。

画面の一番上の波形のグラフは心電図、その下のグラフが呼吸です。(たぶん)

画面の左の数値は、上から順にアルツ君の最高血圧、最低血圧、平均血圧です。(たぶん)

画面の右の数値は、上から順に心拍数(または脈拍)、酸素飽和度です。(たぶん)

コードはアルツ君に繋がれていますから、間違いなく、アルツ君用のモニタです。

アルツ君が眠っているので微妙ですが、酸素飽和度以外の数値について、ちょっとどうなの?って感じですが、そばに看護師さんがいるので、スルーです。

ヤッチは、その病室で書き物をしている看護師さんにたずねます。

ヤッチ:「なんか、こんなの繋がってるけど、どうかしたんですか?」

看護師さん:「はい。実はお昼ご飯の後に吐かれてしまって…。それで、念のためということで付けさせていただいています。」

ヤッチ:「大丈夫なんですか?」

看護師さん:「はい。吐かれた後は回復されて…。」

二人のやり取りが耳に入ったのか、アルツ君が目を覚まします。

ヤッチは目を覚ましたアルツ君に小声で話し掛けます。

ヤッチ:「起こしちゃった?」

アルツ君:「うー。」

ヤッチ:「気持ち悪いのか?」

アルツ君:「わーんない…。(わかんない…。)」

ヤッチ:「お昼ご飯のあと、吐いたらしいけど、気持ち悪くない?」

アルツ君:「わーんない…。」

ヤッチ:「吐いたのは、覚えてる?」

アルツ君:「わーんない…。」

ふたたび、眠りについてしまいました。

ヤッチはアルツ君とこの会話をしただけで、帰って来てしまいました。


・入院12日目 ~ 12月06日(土)

この日もアルツ君のベッドの足元には、生体情報モニタが置かれています。

アルツ君、ウトウトしていますが、時折目を開けます。

アルツ君と目が合いました。

しかし、目を閉じてしまいました。

ヤッチ:「おいおい、息子が来たのに無視するなって。」

アルツ君:「わーんない…。」

ヤッチ:「息子の顔、忘れちゃった?」

アルツ君:「わーんない…。」

普段なら、『死んでも忘れるか!』くらいの返しが来るんですけどね…。

ヤッチ:「眠いのか?」

アルツ君:「わーんない…。死んじゃうの…。」

確かに、ヤッチの耳には『死んじゃうの…。』と聞こえました。

ヤッチ:「まさか、自分のことを言ってないだろうな?俺に『死んじまえ!』って言ってくれないと、俺の生活に支障をきたすんですけど…。」

アルツ君:「わーんない…。」

ふたたび、眠ってしまいました…。

完璧なガオです…。

気づくとアルツ君の足元に設置してあるモニタが赤く点滅しています。

音は出ていません。

ヤッチは病室で書き物をして座っていた看護師さんに声を掛けます。

昨日いらした看護師さんとは別の方のようです。

ヤッチ:「あの、これピカピカ点滅しているけど、そういう仕様?」

看護師さん:「あ、外れてるんだ!」

看護師さんは、そう言って立ち上がり、眠っているアルツ君の布団をちょっとめくり、足の指にクリップ上のものを付け直しました。

ヤッチ:「聞きたかったんだけどさ、これって何を見てるの?」

看護師さん:「昨日のことはお聞きになっていませんか?」

ヤッチ:「吐いたとかいうのは、聞いたけど?」

看護師さん:「はい、昨日、食事の最中に意識が遠のいてしまって…。」

ヤッチ:「それから吐いた?」

看護師さん:「はい。それで…。」

ヤッチ:「このモニタの左側って血圧だっていうのは予想がつくんだけど、右側の数値って、何を示してるの?」

看護師さん:「右側の二つ数字があるうち、上は心拍数です。」

ヤッチ:「正常値の範囲って、どのくらいなんですか?」

看護師さん:「お父様の場合、除脈が有るってお伺いしていますので、まあ、60有れば、まあまあよろしいかと…。下は酸素飽和度ですから、100に近いほど、正常ということになります。」

ヤッチは、心拍数を監視しているのか、血圧を監視しているのか、主に何について監視しているのかを知りたかったのですが、質問の仕方が悪かったようです…。

(-_-;)

それにしても、昨日の看護師さんはアルツ君が『食事の後、吐いた。』とはおっしゃいましたが、『食事の最中に意識が遠のいた。』まではおっしゃっていませんでした。

やはり、『意識が遠のいた。』って聞くと、色々考えちゃいますよね…。

ヤッチ:「それで、元気が無いんだぁ…。今日はリハビリをやったんですか?」

看護師さん:「いいえ。具合が悪くなってしまわれたので、昨日(12/05)から大事をとってお休みしていただいています。」

ヤッチ:「昨日は『回復した』って聞いてたんだけどな?」

看護師さん:「はい。意識が戻られてからは…。その後、レントゲンを撮らせていただいたんですけど…。」

ヤッチ:「大暴れ?」

看護師さん:「いえ…。大暴れは、されていませんでしたけが、ちょっとだけ興奮されていたご様子です。」



アルツ君が眠ってしまったので、病室を後にしました。


夜になって、ヤッチと同じようなことを聞いたのでしょう。

姉から電話が掛かってきました。

姉:「パパ、昨日、意識失って倒れたんだって?」

ヤッチ:「失ったかどうかはわからないよ。俺は『意識が遠のいた。』って聞いたんだから。」

姉:「そんなのどっちでも同じじゃん。で、『何が原因?』って、看護師さんに聞いたの?」

ヤッチ:「聞けるわけないじゃん。どうせ、聞けば、『病状説明は医師からお聞き下さい。』って言われるのが目に見えてるから。」

姉:「そうだよね~。なんかこの病院、気軽に聞けないオーラが出てるよね~。」

ヤッチ:「わざとそうしてるんじゃないの?医療過誤の問題とかが取沙汰される昨今だからさ…。」

姉:「まさか、また脳梗塞なんていうことないよね?」

ヤッチ:「あのさぁ…。俺は医者じゃないんだからさ…。まさに、『病状説明は医師からお聞き下さい。』と申し上げたいんですけど…。」

姉:「ごめん。あんたの方が私と違って、なんでもよく知ってるからさ~。お医者さんに聞くわけいかないかね?」

ヤッチ:「俺もそれを考えたんだけどさ…。入院している病院は脳外科が専門の病院だぜ!?そこの医者に『まさか、脳梗塞じゃないでしょうね?』なんて聞いたら、『プロをバカにする気か!』って言われそうだよ…。」

姉:「そうっか…。でも、心配だ…。」

ヤッチ:「まあ、ダイレクトに聞くと、医者のプライドを傷つけちゃうから、それとな~く、タイミング見計らって聞いてみるよ。」

姉:「うん、私じゃ無理だから、あんたに任せたわ。それにしてもパパ、大丈夫かね…。私の前で、泣きながら、『死ぬ』とか、『どうせ死んじゃう。』ばっかり言うんだよ…。」

ヤッチ:「俺の前でもだよ…。旦那さんがあんなこと言うの、俺ははじめて聞くかもしれない…。」

姉:「何とか、やる気出してもらわないとね…。」

ヤッチ:「それが、リハビリも中断してるらしいよ。」

姉:「えっ?そうなの?」

ヤッチ:「その、あなたが『意識を失って倒れた』って言った日から…。リハの中断は痛いよな…。」

姉:「ますますショックだわ…。夕食も出されてもほとんど残しちゃうから、パパ、ずいぶん痩せて来ちゃったよ…。」

ヤッチ:「ボタモチ、放り込めば、医者に怒られるだろうしな…。」

姉:「その前に飲み込めないって。私、夕飯の時、時々介助するけど、とろみのおかずをやっと飲み込んでるっていう感じだもの。」

ヤッチ:「まっ、俺らが暗い顔して面会に行ったら、ますます旦那さんの元気がなくなるから、明るい顔して行こう!明日になれば、旦那さんのことだから、『面会に来るなら、ボタモチぐらい持って来い!』って言ってくれるって!」

姉:「うん…。そうだね…。ありがと。」

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オナラが出ました ~ 入院14日目

2014/12/10 (水)  カテゴリー: 脳梗塞
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2014年12月08日のアルツ君

こんにちは。

アルツ君の息子ヤッチです。

2014年12月08日の月曜日です。

アルツ君が脳梗塞でK病院に入院してから、14日目です。

『毎度おなじみの…』になってきましたが、アルツ君、やはり眠っています。

点滴のチューブの都合上、アルツ君がどうしても布団をはだけてしまうので、姉が看護師さんにお願いして、アルツ君が寒がっている時は、ダウンベストを掛けてもらうようにお願いしています。

ダウンベストは姉が持参したものです。

となりの患者さんが、ナースコールで看護師さんを呼んだため、その声に反応して、アルツ君が目を覚まします。

少し間を置くと、アルツ君がヤッチと目を合わせます。

ヤッチ:「おはようございます。いつからバッドマンと抱き合ってたんだ?」

アルツ君:「ばあさんか?」

『バッドマン』と『ばあさん』を聞き違えているようです。

ヤッチ:「今日は口が上手く動いてるみたいだね?」

アルツ君:「わかんない…。」

ヤッチ:「言ってることが俺にもちゃんとわかるぞ。」

アルツ君:「わかんない…。」

脳梗塞を起こして入院する前のアルツ君の話し方に戻ったとは言えませんが、少し回復傾向にあるような気もします。

アルツ君:「わーいおんあがいうんだよ…。」

ヤッチ:「…。」

せっかく褒めたばかりなのに、ヤッチ、聞き取れません。

アルツ君:「わーいおんあがいうんだよ…。」

ヤッチ:「『悪い女が』か?」

アルツ君がうなずきます。

ヤッチ:「その『悪い女』がどうしたって?」

アルツ君:「いうんだよ…。」

ヤッチ:「『言う』のか?あ、そっか、そっか、『居るんだよ…。』か?」

アルツ君:「そう…。」

アルツ君には悪いですが、アルツ君の宇宙語をなるべく聞き返さないように翻訳することは、自分の脳を活性化してくれる良い面もありますが、反面、非常にカロリーを消費します。

ヤッチ:「その悪い女っていうのは、この病院の中にいるのか?」

アルツ君:「どーも。そーあしいや…。(どうもそうらしいや。)」

ヤッチ:「なんか、意地悪でもされたのか?」

アルツ君:「おーは、だまえうけどな…。(俺は黙ってるけどな…。)」

アルツ君、言葉は発しますが、毎回、意味不明のことを言います。

ヤッチ:「黙ってないで、言い返してやればよかったじゃないかよ?」

アルツ君:「どなああたんだおー…。」

ヤッチ:「『怒なられたんだよ。…』???」

アルツ君:「うん…。おーは、だまえうけどな…。(俺は黙ってるけどな…。)」

この病院には、耳の遠い高齢の患者さんも入院しています。

もしかしたら、看護師さんが、アルツ君の耳元で、少し大きな声で、『○○さん、起きて下さい。』などと言われたのかもしれませんね。

アルツ君、耳は良いほうなので、怒なられたように聞こえたのかもしれません。

それとも昨日の一件????

ヤッチ:「でも、よかったね。聴こえるっていうことは、生きてるっていうことだから。」

アルツ君:「わーんない…。(わかんない…。)

布団をめくると、ベッドの手すりに固定されていた両腕のベルトは外されています。

しかも両手にはめられていたミトンも外されています。

抑制(拘束)のかかっていない状態です。

回復傾向にあれば、段々暴れん坊になっていくはずのアルツ君ですから、それだけ体力が落ちているということでしょうか…。

ベッドの手すりには、看護師さん用に毎日の排泄についてと食事摂取についてのチェック表がぶら下がっています。

特養ではやや便秘気味のアルツ君でしたが、こちらに入院してからは問題なく、定期的に発射しているようです。

食事は、最近になって三食出されています。

この日の食事摂取量を見ると、

アルツ君の食事(栄養)摂取量
  • 朝 8/9
  • 昼 1/2
  • 夕食はまだ出されていないので空欄

看護師さんにお伺いしたところ、『朝 8/9』の『8』は主食、『9』は副食だそうです。

主食、副食、ともに全部完食すれば、『10/10』になるそうで、この場合は、省略して『10』と記入しているとの事でした。

また、左側に主食の摂取量、右側に副食の摂取量を記入するのが一般的なのだそうです。

『主菜』、『副菜』などの言葉もありますから、ヤッチには『主食』とは何なのか、『副食』とは何なのかまではわからず、数字を見て、視覚的に判断するしか方法がありません。

ヤッチ:「旦那さん、昼飯をあんまり食べてないようだけど、食欲が無いのか?」

アルツ君:「わーんない…。」

ヤッチ:「今、ボタモチを食べたいと思うか?」

アルツ君:「たべたーない。」

ん…。

ヤッチの問診では、かなり…、いや、おおいに、重症です。

ヤッチ:「はやいとこ、食欲出してもらってさ、風呂の浴槽、スレスレまでボタモチでイッパイにして、その中に思いっきり頭を突っ込もうぜ?」

アルツ君:「わーんない…。」

そんな会話をしていると、

ブッーー!!

音源はアルツ君です。

本人も気づいたのか、大きく口を開けて笑います。

舌の色がものすごいことになっていますが、アルツ君の久々の笑顔です。

ヤッチ:「実弾じゃないだろうな?」

アルツ君:「…。」

口を開けています。

ヤッチ:「メシもろくろく食ってないのに、なかなかやってくれるじゃねーかよ?」

アルツ君:「あ?」

ヤッチ:「いいのが出ましたね、でも?」

アルツ君:「出た、出たよん。」

ヤッチ:「…。」

アルツ君:「くさい…、臭い!」

ヤッチ:「毒ガスが出たね。」

アルツ君:「〇×△□※#…。」

ヤッチ:「漏らしたな?」

アルツ君:「〇×△□※#…。」

ヤッチ:「でもさぁ、毒ガスが出るっていうことは、ねえ?」

アルツ君:「くさいの出た…。」

ヤッチ:「調子が戻って来たっていうんじゃねーの?」

アルツ君:「なーかわーんない…。(なんだかわかんない…。)」

ヤッチ:「え?」

アルツ君:「なーかわーんない…。(なんだかわかんない…。)」

ヤッチ:「それさ…。布団めくったらさぁ…。ねえ…?すごいことになるんじゃねーの?」

アルツ君:「もー、屁の河童!!」

ヤッチ:「冗談言えるようになったじゃん。ちっとは?ね?大したもんだよ…。」

アルツ君:「〇×△□※#…。」

この会話のあと、しばらく一人でブツブツ何かを言っていましたが、そのまま眠ってしまいました。

この時の様子を途中からですが、動画に収めています。

YouTubeにアップしておきましたので、是非ご覧ください。

『屁の河童』の部分は注意していないと聞き取れないかもしれないので、この記事を歌詞カード代わりにご利用ください。(字幕の色は変わりません。)

動画はこちらです。



【お詫び】
動画のURLが正しくなかったようです。(余計なスペースが入っていました。)
修正したURLに書き換えました。
直接ご覧いただけるよう記事にも動画を貼りつけました。
なお、ガラケーでは動画の画面は表示されませんので、リンク先をクリックしてYouTubeに飛んでください。(2014/12/12)


アルツ君が眠ってしまったので、ヤッチも病室を後にしました。

夜になると、この日ヤッチの後にアルツ君のところへ面会に行った姉から電話が掛かって来ました。

姉:「さっき、パパのところへ行って来たんだけどさ…。」

ヤッチ:「…。」

姉:「パパ、夕飯を食べてくれないんだわ~。」

ヤッチ:「何でかね?」

姉:「ん…。ベッドのリクライニングを起こして、ベッドの上で食べるんだけどね!?」

ヤッチ:「それで?」

姉:「もう、リクライニングを起こしてるその時から不機嫌なんだわ…。」

ヤッチ:「俺が行った時は、ご機嫌だったけどね。」

姉:「ほんと?」

ヤッチ:「うん。オナラが出て、自分で大口開けて笑ってたくらいだったよ。『屁の河童』とか言って、機嫌が悪いようには見なかったぞ。」

姉:「ほんとに?今日は、私がパパに用意された食事を一口、口に入れた途端、『まずいっ!』って、もうそれっきり口を開けてくれないのよ…。」

ヤッチ:「あなたが介助しないで、看護師さんにやってもらえばいいじゃん。」

姉:「それが、前はずっとそうしてたんだけど、看護師さんにやってもらうと、『あ、今日はもう食べないわね。』って言って、さっさとパパの食事を片づけちゃうのよ…。」

ヤッチ:「うん…。」

姉:「パパが食べないと、どんどん痩せて来て、体力も落ちちゃうでしょ?だから、最近は、『私が時間かかっても食べさせます。』って言って食べさせてたんだけどね…。」

ヤッチ:「小学生の居残り給食状態だな…。休み時間にドッジボールできないぞ。ちなみに俺はドンガメ派だったけどな。」

姉:「でも、この頃は、食事がまずいのか、食べる気力を失ってるのか、私が介助しても、全然食べてくれないのよ…。」

うちの家庭…。

ヤッチのくだらない冗談をアルツ君以外、完全に無視します…。

グレてやる…。

ヤッチ:「で、その後は?」

姉:「食べないで、目を閉じて眠っちゃうのよ…。今日はがんばって半分近くまで食べてもらったんだけどね…。」

『それっきり口を開けてくれない。』と言っているのにどこから食べさせたのでしょうか…。

ヤッチ:「ん…。」

姉:「食べるにしても、一口入れて、それを飲み込むのがやっとっていう感じだもの…。」

ヤッチ:「体力が落ちてくれば、飲み込む力も弱くなってくるからな…。」

姉:「でしょっ~???」

ヤッチ:「そしたら、俺も旦那さんの夜飯時に行ってみるよ。朝飯と昼飯は面会時間外の時間帯だから、唯一、俺が食わせられるとすれば、夜しかないから。」

姉:「お願いできるかな…???私も行くけど…。」

ヤッチ:「食ってくれるかどうかは、行ってみないとわからないけど、まあ、とりあえず…。」

姉:「悪いけど、お願いします。」

なかなか難しいですね…。

脳梗塞と認知症のダブルですから、アルツ君の操縦にはテクニックが必要なようです。

脳梗塞になった人のお世話をヤッチもしたことがないので、自信がありません。

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アルツ君の脳梗塞 ~ 途中経過

2014/12/15 (月)  カテゴリー: 脳梗塞
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こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

今回も登場人物が多く、少々わかりにくい記事になりそうです。

誰の発言かをご注意してご覧くださるようお願い申し上げます。

乱文もご容赦ください。

さて、2014年12月12日の金曜日、アルツ君が脳梗塞で入院してから、18日目です。

アルツ君の入院しているK病院から、アルツ君の病状説明と今後について相談したいと連絡が入ったので、姉と一緒に出かけてきました。

約束した時間は正午です。

前回同様、病棟三階のナースステーションの中です。

前回病状説明をして下さったのは、K先生でしたが、今回はT先生。

その場に集まったのは、T先生、ソーシャルワーカー(社会福祉士)さん、ST(言語聴覚士)さん、OT(作業療法士)さん、姉、ヤッチの6人です。

ちょっと前置きになりますが、このソーシャルワーカー(社会福祉士)さんは、このK病院に籍を置き、K病院とアルツ君の入所している特別養護老人ホームとの連絡役、調整役となってくれる方です。

出来るだけアルツ君が早く施設に戻って生活できるように、社会福祉の立場から専門的援助して下さる方です。

もちろん、病院と施設との連絡役だけではなく、患者や患者の家族の相談にものって下さいます。

『ソーシャルワーカー』というと、広義になりますが、この病院にいらっしゃる方は『医療ソーシャルワーカー』という位置付けになるのかもしれません。

話を元に戻します。

挨拶から始まり、T先生はパソコンのモニタにアルツ君の入院した日の翌日、11月26日の脳のMRIの画像を表示させます。

T先生:「J病院から11月25日にいらしたということで…、で、まあ、その時にJ病院から預かった画像がですね…、ちょっと機械の中でご本人が動いてしまわれたため、あまり鮮明でなかったという事情があります。」

ヤッチ:「また、やらかしてしまったようですね…。」

T先生:「で、その翌日の11月26日にもう一度MRIを撮らせていただきました。」

姉:「はい。」

脳梗塞(2014/11/26時点)_01

この記事に表示させている画像はヤッチがK病院から以前いただいた画像を適当に貼り付けているだけで、T先生が実際に見せてくれた画像と違うかもしれません。

アルツ君本人の画像である事だけは間違いありません。

T先生:「で、ちょっと再確認になると思いますが…。画像の方は左右反対に写りますから、画面正面、右側が左脳、左側が右脳で、左右反対になります。それで、画面の右下の黒く抜けているところは、何年か前に脳梗塞をされていると思うんですが…。で、脳梗塞というくらいですから、脳の血管が詰まっちゃうわけですね。詰まっちゃうと、そこから先は血液が行かないですから、壊死しちゃう…。まあ、糖尿の方が壊死しちゃうのと同じになります。壊死して脳が溶けちゃったということが言えると思います。で、壊死しちゃったところはこういう風に画面では黒く写ってきます。それ以外の黒いところは、脳萎縮ですね…。失礼な話、86歳という年齢ですから、これは、まあ、しょうがないところだと思います。」

姉:「は…。」

画面を見て、ナッツ入りの丸い粒のチョコレートを思い出すのはヤッチだけでしょうか。

振ったら音がしそう…。

ん?ウイスキーボンボン?

T先生:「で、これが古い傷跡(脳梗塞)で、また別な撮り方をしますと…。」

T先生はパソコンの画像を別の画面に切り替えます。

脳梗塞(2014/11/26時点)_02


T先生:「これが脳梗塞をより鋭敏に映し出す撮り方なんですけど、画面の右、右半分くらいのところに白いところが見えると思いますが、ここが今回の脳梗塞です。で、左の側頭葉の脳梗塞です。」

ふたたび、T先生はさらに別の画像に切り替えます。

今回の病状説明の前日(12月11日)に撮ったアルツ君の脳のMRI画像です。

画像を入手していないので、お披露目することができませんが、同じようなアルツ君の脳のMRI画像です。

この記事に表示中の画像は白い部分がハッキリしていて、アルツ君の脳梗塞の箇所がちゃんとわかりますが、次にT先生が見せてくれた前日(12月11日)の画像は、白い部分はほとんどなくなり、ぼんやりとした点といった印象です。

T先生:「これで見ると、かろうじてちょっと白い部分がありますが…。これが何を意味するかというと、今回の脳梗塞が、まあ、ある程度終息したというところだと思います。『12月11日…、追加の…、MRIで脳梗塞は…、終息になっている。』ということです。」

T先生は、何かの書類にこのことを書きながらそうおっしゃいます。

姉とヤッチは、今回の病状説明について、急な病院からの呼び出しだったもので、ちょっとバクバクしていました。

ちょっと、一安心…。

ヤッチ:「白い部分がなくなっているということは、その部分の血流が再開していると考えていいんでしょうか?」

T先生:「いえ、ここはもう血流は途絶えちゃってます。だから、最終的には、たとえば来年MRIを撮ったとしたら、先ほど申し上げた過去の脳梗塞と同じように、黒くこの部分が写るかもしれないということです。」

ヤッチ:「そうなんだ…。」

壊死した脳の細胞を元通りにするのは、今の医療では無理なようですね…。

T先生が話題をかえます。

T先生:「それで…。今、ご入院の方も約2週間経っていますよね?点滴の方も、脳の浮腫み止めのお薬と、栄養剤みたいな点滴をちょっとやらせていただいているんですけど、これはどちらかというとですね…。今の問題点の話にもなって来るんですけど…、食欲にどうしてもムラが有るということで、念のため、一本栄養剤の点滴を入れているということでして…。で、食欲に関してでもですねぇ…。気分的な問題があるようでして…。それはもともとなんでしょうかねぇ…???」

姉:「はい、ご機嫌屋です。」

T先生:「そうですか…。ああ、なるほどね…。食欲の方も、朝夕は80~100%ぐらい食べられてるんですね。ただ、昼食の時にちょっとムラがあるようなんですね。ただ、日本人は元々江戸時代は一日二食だったし、86歳という年齢からすれば、その分摂っていればいいのかなぁと考えているんですけどね…。」

姉:「ただ、三食手付かずの時もあって、やせ細って心配だし…。生きる気力みたいのが無くなってきているような気がして…。」

T先生:「まあ、そうですよね…。」

姉:「三日前から、弟が夕食の時に来て食べさせるようになったら、その時は完食で…。(←たまたまです。)まあ、おだてながら、一時間かけて食べさせたんですけど…。看護師さんに一時間かけて、父の世話をしていただくのは、無理なのはわかってるし…。」

T先生:「ご理解ありがとうございます。」

姉:「ただ、食べないと、飲む力も弱くなってくるので、やはりそちらが心配でして…?もともと美味しいものを食べるのが大好きな人なものでして…。」

T先生:「まあ、おっしゃる通りですね…。だったら、差し入れとかいいよね?食事形態に何か問題ある?」

T先生がST(言語聴覚士)さんにたずねます。

STさん:「まだ、のどの力が弱いので、とろみのある物じゃないと飲み込みにくいので…。誤嚥(ごえん)のリスクが高い状態です。」

T先生:「あ、そう…。なんか好物とかあります?」

ヤッチ:「とにかく甘いもんが大好きなんで…。」

姉:「ボタモチが大好きです。」

STさん:「えっ!ボタモチ???水ようかんとかなら…。」

ヤッチ:「なんか、一番ヤバそうな感じだもんね?しかも『つぶあん』…。」

T先生:「でも、糖尿ないから、い~いよ~っ!」

STさん:「え?大丈夫ですか?わかりました…。」

ヤッチ:「じゃあ、三食…???」

T先生:「それはちょっとまずいかな…。」

姉:「ある程度、食べ物の相談はSTさんとあとで…?」

STさん:「わかりました。」

ヤッチ:「ただ、ボタモチを食べちゃうと、他の物を食べなくなる可能性が…?」

姉:「味覚はまだ有るんですよね?」

STさん:「そうですね…。」

ボタモチ談義で会話がとろみ剤の入った状態になってしまったところで、状況を察したT先生が割って入ります。

T先生:「ただ、食事って、楽しみでしょ!?そ・こ・で…。何て言うのかな…。人間、楽しみがないとやっていけないじゃないですか?ちょっと、暴論かもしれないけど、86歳でらっしゃるから…。これが50歳とかで、仕事に復帰しなきゃならないような場合、『そんな甘えたこと言うんじゃない!』って強くも言えるんだけど…。まあ、ごめんなさい、誤解を恐れずに言えば、平均寿命までは、もうあと何年かじゃないですか?あれ?もう越えているのかな?」

ソーシャルワーカーさん:「男性ですと、たぶん越えています…。」

T先生:「だっ・た・ら、『楽しみ』をメインにして、い・い・ん・じゃ・な・い・の・か・な?内科の先生なら、こういうこと言うと怒られるけど、僕なんか外科だから、そういう風に思っちゃうんですよね…。」

何気ない一言にヤッチ、感激です。

涙が出そうになりました。

T先生とヤッチも同じ意見です。

医師としてのお立場からのご意見はもちろんのこと、患者の立場からも考えていただけていることに感謝です。

アルツ君の入院当初は病院に対して『ちょっとどうなの?』という場面もありましたが、病院スタッフをはじめ、このT先生がアルツ君を診て下さっているのなら、家族としても安心です。

数々の非礼を土下座して謝りたい気分です。

姉:「そうおっしゃっていただけると、とてもうれしいです。では、先生のご意見も参考にして、後ほどSTさんとも食事について、相談させていただきたいと思います。」

STさんもうなずいていらっしゃいます。

T先生:「では、今回、どうして脳梗塞になっちゃったかというと、端的に申しまして『動脈硬化』です。」

ヤッチ:「はい…。」

T先生、今度はアルツ君の脳のMRAの画像、つまり脳の動脈の画像をパソコン画面に広げます。

T先生:「画像を見ていただくと、こういう血管が細いところが有るんですね。まあ、今回、左の脳梗塞ということですから、理に適っているんですが…。これの原因としては、左の『中大動脈の狭窄』です。『中大動脈』というのはそういう名前なんで、そういう動脈が有ると単純に考えてください。」

姉:「父の過度の興奮とかに関係は?」

T先生:「いや。これはどちらかというと、年齢の問題ですかね…。」

姉:「あ…。」

T先生:「ただですね…。○○さん(アルツ君)、そんなに血液のデータは悪くないんですよね?」

ヤッチ:「そうですね、毎回血液検査を受けると、問題ないと言われてきましたから…。」

T先生:「コレステロールも問題ない、尿酸も問題ない、糖尿もない…。」

姉:「そう、あんなに甘いもんを食べるのに…。」

T先生:「だけど、やっぱり、それは年齢なんですね…。画像を見ていただいてわかるように、右の脳に比べて左の脳の方が、血管が細いですよね?」

姉:「そうですね。」

T先生:「そうなると、これは道路と一緒なんです。広い道路と狭い道路とどっちが走りやすいかといったら、広い道路ですよね。血液も車の流れと一緒で、血液が渋滞して来ると、もしくはノロノロ運転とかになると、血液が固まっちゃうんですよ。なので、左の方に何回も脳梗塞を起こしちゃうっていうのは有るんですよ。」

姉:「ん…。」

T先生:「じゃあ、この狭くなった血管を全部広げるべきかっていったら、現実的にはそういうことはできないわけなんです…。だから、バイアスピリンですとか、血液をサラサラにするお薬を飲んで…。と、いっても今回飲んでいても起こっちゃったわけですが、それでもそういったお薬を飲むしかない…。」

▽引用
バイアスピリン
概説
血液を固まりにくくするお薬です。血栓や塞栓の治療に用います。
働き
血管内で血液が固まり、血流を止めてしまう状態を“血栓”といいます。また、血栓が流れ、その先の血管を塞いでしまうのが“塞栓”です。心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞)がその代表です。血管が詰まってしまうので、その先の組織が障害を受け機能を失ってしまいます。

このお薬の主成分はアスピリンです。アスピリンは少量で「抗血小板薬」として作用します。血小板の働きをおさえ、血液が固まるのを防ぐ作用です。おもに、狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳梗塞)などに用いるほか、川崎病にともなう心血管障害にも適応します。また、経皮経管冠動脈形成術(PTCA、PCI)においては、チエノピリジン系抗血小板薬との併用療法が推奨されています。

脳卒中では、脳の太い動脈がコレステロールなどで狭くなって起こる「アテローム血栓性梗塞」、あるいは頚動脈の硬化による「一過性脳虚血発作」に効果が高いと考えられています。一方、無症状の人や脳卒中を起こしたことのない低リスクの人に対する予防効果(1次予防)は必ずしも高くありません。

そのほか、流産の予防薬として応用することがあります。本当に効くのかはよく分かっていませんが、胎盤に血栓ができるのを防ぎ、胎盤循環をよくする作用が期待できます。抗リン脂質抗体が陽性の場合に有効とされます。
△引用

ヤッチ:「入院して最初の病状説明をお聞きしたときは、点滴の後は、こういった血液サラサラにする飲み薬を2剤にすると言われたんですけど…?」

T先生:「ふむふむ。今はアイトロール…、ごめんなさい、訂正です。まだ1剤ですね。バイアスピリンですね。1錠を朝一回です。そう…。そこも今日相談したかったんですけど、抗血小板剤を2剤にするかどうか…。で、その2剤っていうのもひとつの考え方なんですが…???」

ヤッチ:「はい…。」

T先生:「ただ、合併症といいますかですね、薬もハイリスク、ハイリターンなんですね。」

ヤッチ:「はい…。」

T先生:「アスピリン(バイアスピリンの主成分)っていうのは、すごい安全な薬なんですね。安全で効果のある薬がアスピリンなんですね。人類百何年飲まれている薬なんで、逆に言うと、百何年人体実験を繰り返していて、効果が有るから生き残っている薬なんです。」

ヤッチ:「はい…。」

T先生:「それよりもランクの上というか、それよりも強い血液サラサラ度というか、そういう薬は確かにあります。ただ、それを使うと今度は出血のリスクも考えないといけないので…。で、その出血のリスクというのは年齢が上がるごとに上がってくるというのも事実なので、バイアスピリン以外にもう1剤使う場合、出血のリスクをどう考えるかが、実はご相談したかったことなんです。」

姉:「まあ、年をとって、転びやすくなっているので、ケガもしやすいでしょうから、出血しやすくなるというのはどうも…。」

T先生:「うーん…。」

ヤッチ:「すみません、私の考えはちょっと違います。今までずっとバイアスピリンを飲んでいて…、過去にも脳梗塞が有って…、また今回、バイアスピリンを飲んでいるにも関わらず、脳梗塞を起こしたわけですから、このままだと、また脳梗塞を起こすんじゃないかと思うんですよね…。脳梗塞を繰り返す…。繰り返すだけの体力はきっとないと思いますし…。」

T先生:「まあ、おっしゃる通りだと思います。」

ヤッチ:「今度また脳梗塞を起こすようなことが有れば致命傷に成りかねないわけだから、出血のリスクを心配するよりも、将来の脳梗塞のことを心配した方がいいんじゃないかと思うんですよね…。できるだけ、ケガをさせないようにするとことは、ある程度までは人間の努力で防げますが、脳梗塞だけは防ぐといっても限界がありますからね。」

姉:「まあ、そうだね…。できるだけケガをさせないように見守るしかないかもね…。」

T先生:「じゃあ、今後うちのK(K先生)とも相談して、2剤で行く方向にしましょうか?」

ヤッチ:「薬の量をどのくらいにするとかは先生にお任せするしかないので…???」

T先生:「その辺のさじ加減は任せていただいて…。追加する方向で行きましょうか?」

姉:「そうですね。過去にも何回か倒れてるので心配ですからね。」

T先生:「過去にもそういうことが有ったんですか?」

ヤッチ:「はい。何度か救急搬送されたことが有って、意識がなくなった時は『迷走神経反射』だって言われて、入院せずに帰ってきたこともあります。」

T先生:「それはたとえば、トイレかなにかで倒れて?」

ヤッチ:「いえ、最近倒れたのは6月なんですけど、施設に理容車が来て、そこで散髪をしてもらっている最中です。髪を切られるので、緊張したんじゃないかって、搬送先の病院で言われて帰って来たんですけど…。」

T先生:「まあ、あり得ないことじゃないですね。」

ヤッチ:「その前は母の部屋に施設から一時帰宅している時に、気を失っています。何回かそういうことが有るので、先生がおっしゃられた『過去の脳梗塞』というのも、そのうちのどこかだと私は思っているんですけどね。ただ、毎回、倒れた後にケロッとしちゃうもんですから、見抜けなかったのかなぁと…。」

T先生:「なるほど…。確かにね、今回ではなく、過去のその脳梗塞を起こしている場所というのは、症状が出しずらい所なんですよ。今、お父様の言葉ってどう?」

T先生が話題を変え、STさんにたずねます。

STさん:「認知はありますが、年齢相応です。」

T先生:「あ、そう…。今回の脳梗塞って、どちらかというと、言葉がもっと強く障害されるのかなって画像をみて思ったんだけど…。思ったよりそうでもないよね?」

STさん:「最初のうちは錯語とか、失語症状が出てたんですけど、それはもう改善されて、年齢相応なのかなという印象です。」

姉:「でも、脳梗塞になる前は、私が施設に面会に行ったりすると、一時間以上一人でしゃべっていることもあったものですから…。」

T先生:「ああ、そうなんですか。それじゃあ、言葉のほうも、やっぱ落ちてるな。それはやはり脳梗塞の影響ですね。」

姉:「やはり、そうなんですか…。」

T先生:「で、今の問題点なんですが、あとで計画書にもサインをいただきますが…。実はリハビリについてなんですが、一応大きな目標としては、日常生活に復帰するということを掲げて、ストレッチ、筋力訓練、歩行訓練、日常生活動作訓練、起立訓練、耐久性向上練習といったものをやらせていただいているんですが、単純にいうと、やはりまだちょっと危なっかしいんですね。まだ…。で、安全のことを考えると、ご自宅では、失礼、施設の方では車椅子で生活をしていただくようになるかなと…。施設の方からは『それでもかまわない。』というご返答をいただいているんですが…。そうすると、施設でリハビリはできないのかな?」

ソーシャルワーカーさん:「施設内でリハビリはまずできないですね。」

姉:「当初は、こちらで3~4週間の入院と言われましたが、施設へ戻ると、リハビリは全くしていただけないですから、こちらにもう少し長くリハビリをしていただいた方が良いのかなぁと考えているんですよ。」

T先生:「まあね…。」

ヤッチ:「まだ、下肢、足の方も?」

T先生:「危なっかしいんですよ…。ふらついちゃうんでしょ?」

今度はOT(作業療法士)さんが答えます。

OTさん:「まあ、やっぱり縦介助で起立動作を見させていただくこともありますが、ふらつきが大きく出ることが多いです。覚醒状態によってちょっとムラが有るんですが、協力を得られない場合もあります。」

T先生:「それはなに?お父様にとって、『セラピスト(療法士)がこの人だったら、いいぞ~。』みたいなことはないの?」

(一同笑い)

STさん:「みんな、一定の…。」

T先生:「昨日はすごい良かったですよ。ね?昨日はほんとがんばってくれていて!」

ヤッチ:「あの…、特養にいる時もそうなんですけど、気分にムラが有って、先生のご専門じゃないけど、最近では前頭葉に問題が有るのかなぁと感じる時もあります。」

T先生:「まあね、まあね。それは多分にあるかもしれないですね。」

姉:「一回その人を嫌ったら、もうずーっとその人を受け入れようとしないんですよ。ほんとだったらその辺は忘れちゃうはずなのに、なんで覚えているんだろっていうことがよくあります。」

ヤッチ:「あの父の遺伝子を引き継いでいるんで、よくわかるんですけど…。僕のスカウターの反応では、療法士のお三人さん、全員合格点です。」

姉:「おまえ、また、こんなところでやめな。」

(一同笑い)

姉:「すみません。失礼な話で…。ものすごいぶっちゃけた話で恐縮なんですが…。」

T先生:「いや、いいですよ。まあ、話を戻すと、ご希望としては、もうちょっとリハビリをしたいと?」

姉:「そうですね。」

T先生:「どう?見込みとしては?」

OTさん:「そうですね、手のほうなんですけど、肩と腕はだいぶいいんですけど、指の動きがわずかに曲がるくらいなんで…。」

T先生:「まあ、梗塞の箇所が運動神経に掛かってますからね…。」

姉:「まあ、望み高いかもしれないんですけど、自分でスプーンで食べられるのなら、食べてもらいたいし…。食べられなくてもスプーンを握れるくらいの力が入るようになればしあわせかなぁと…。プライドの高い人だから、誰かに食べさせてもらうことに本人は屈辱を感じているっていうこともありますからね…。」

T先生:「確かに人間の基本的なものですからね。それを自分でやるというのも…。どうする?回復期?」

STさん:「いま、PT(理学療法士)から資料を預かってるんですけど、立つのも歩くのも中等度から重度の介助で、気分のムラで介助度一定しないということです。歩行中に急に座りこむということもあって、まだ伸びしろというのは不明とのことでした。このままの状態かもしれないし、落ちていく可能性もあるし…。まだちょっとわからない状態です…。」

T先生:「あとさ、受け入れ制の問題なんだけど、施設の方っていつまで待ってもらえるの?」

ソーシャルワーカーさん:「3ヶ月以上施設から離れると、自動的に『退所扱い』になってしまうので、全部荷物を施設から引き払わなければならなくなります。今のところはまだ大丈夫なんでが…。」

姉:「まあ、出来るだけ早く施設に戻してあげたいっていうのもあって難しいところです。ていうのは、本人耳がいいので、おそらく6人部屋だと、人の出入りも多いので、ちょっと誰かが声を出したりすると、それに反応してしまうので、深い眠りができていないんじゃないかと思うんですよ。」

ソーシャルワーカーさん:「施設側としては、日常生活を送ることで、身体を動かすことにもなって、それがリハにもつながるのでは?とおっしゃっています。慣れ親しんだ環境で過ごしていただけば、深い眠りも取れるし、あと一番は認知症が進んでしまう懸念があるので、なるべく早い段階で帰ってきてもらった方がよいということをおっしゃってました。」

T先生:「そうだな…。認知面な?それが一番大きいよな…?」

ソーシャルワーカーさん:「リハのことで言えば、認知面が下がっていくと、言っていることも入らなくなって来るし、食事面も下がって来ますし、なんかこう負のスパイラルに入ってしまう可能性が…。」

ヤッチ:「ただ、身体はこちらにいる方がリハをしていただいている分、本人とっては辛いでしょうけど、いいような気がします。施設はリハが無いから、ほったらかしっていうのも失礼ですけど、たとえば、介護士さんが『ベッドから起きましょうか?』っておっしゃった時に、本人が『いやだ。』って言えば、寝たきりのままになってしまう可能性はあると思います。そうすると我々家族が施設に面会に行って、少しフォローしていくしかないのかなってなってきますよね…。」

T先生:「まあ、今までのお話を総合して、私の意見を言わせてもらえば、ちょっと現実問題として、86歳というご年齢で今まで歩けていることの方が珍しいともいえるじゃないですか!?今後、車椅子の生活になっても、歩行に関しては、もうこれは歩けなくても仕方がないのかなと思います。」

ヤッチ:「父が脳梗塞になる前に、施設で座っていることが多くなって、ずっと椅子に腰かけているよりは車椅子の方が、施設内だけでも動き回れる分、行動範囲も広がるので、生活相談員さんにこのことを相談してみようかということを姉とも話し合っていたところなので、これについては、覚悟はできているつもりです。」

T先生:「で、僕としては、歩行よりも認知面が進んじゃうほうがコワイと思います。そうなると施設の方も早い段階で帰って来てくれとおっしゃってくれてるわけだし、先ほどの睡眠面も含めて、慣れた環境で過ごしていただくことを最優先すべきかなと考えます。だいたい、こういった施設、なかなか無いですよ?たいてい脳卒中とかになって患者さんが入院されると、施設の方にお伺い立てると、『まだ帰って来て欲しくない。』とか言って嫌がるところが多いんですから。お宅の施設はもう2週間経ったところで、『いつでも帰って来て下さい。』って言ってるのはすごいことですよ。」

姉:「そうなんですかぁ…。」

幾度となく施設のカーテンを引き剥がし、あれだけ大暴れしているアルツ君に対して、『いつでも帰って来て下さい。』とおっしゃってくださっているとは、これまた涙が出そうな話です。

ちょっとやってみましたが、『ケンケン泣き』にはテクが必要です…。

T先生:「特養は通院リハとかはできないの?」

ソーシャルワーカーさん:「ご家族が任意でお連れすることは可能ですけど、特養の職員さんがリハに連れて行くことは介護保険上無理ですね~。医療保険と介護保険の線引きがここにあるので、難しいですね。」

姉:「予定では入院は3~4週間と伺っていますけど、まあ、4週間として、それをあともう1週間延ばしてもらうというのが上限ですよね?」

T先生:「まあ、そうですね。で、施設に戻られて、環境が良くなって来れば、意欲の面も、ちょっと希望的な観測になっちゃうけど、上がってくるのかなと思います。」

ヤッチ:「まあ、気分にムラがあるのは承知の上で、施設に早く戻した方が良いのか、それともこちらでもう少しリハを続けた方がいいのかは我々には判断できない部分も有るので、こちらにお任せした方がいいんじゃない?」

姉:「そうだね…。じゃあ、その評価や入院の期間についてはこちらでしていただくということで…。お願いしてもよろしいでしょうか?」

ソーシャルワーカーさん:「あの、今お父様が入所されている施設のスタッフの方に、ここへ来ていただいて…。今の状態を直接みていただいて、どういう形で帰っていただくのがいいのかとか、生活面で住環境をどう整えて行くとかをスタッフの方と相談するのが一番良いのかなと思いますけど…??」

ソーシャルワーカーさん、ナイスアイデア!

一同賛成です!

ソーシャルワーカーさん:「では、施設のスタッフの方がお見えになったときに、僕の方ともお話しさせていただいて、どんな評価になったかを後日ご家族様にご報告させていただくというのではいかがでしよう?」

T先生:「それがいいかもしれないね?」

一同異議無しです。

病院側としては、アルツ君の認知能力の低下を考えた場合、早目に退院して施設に戻してあげた方がよいというお考え。

ヤッチとしては認知面も気になりますが、病院でみっちりリハビリをやって欲しいという考え。

姉はどちらが良いのか迷っている様子。

そこへソーシャルワーカーさんのナイスなご提案があり、病院側も家族側もその提案に賛成ということになりました。

アルツ君が部屋を空けている特別養護老人ホームの職員さんに病院にいらしていただき、特別養護老人ホームの職員さんに、まだアルツ君が病院でリハビリを続けた方が良いのか、それとも早目に施設に戻ってもらい施設でケアを受ける方が良いかを評価してもらい、そこで改めて退院の時期を考えるという方向です。

姉が今後の『リハビリテーション実施計画書』と『病状及び治療方針等ご説明書』という書類にサインして、ミーティングは終了です。

ヤッチが気になっていたことを最後にT先生にたずねます。

ヤッチ:「ちょっと気になることが有るのですが、もう一つだけ質問させてもらっても、よろしいでしょうか?」

T先生:「はい、どうぞ。」

ヤッチ:「先日、父が昼食中に意識が遠いて、嘔吐したということをお伺いしたんですが、これについては何が原因なんでしょうか?」

T先生:「確かに御心配はごもっともなことだと思います。昨日のMRIの画像の中には新たな脳梗塞の発現は見られないし、入院時の脳梗塞も終息に向かいつつあるので、これは脳梗塞から来たものではないと思います。迷走神経反射によって意識が遠のいたと考えてよいと思います。」

ヤッチ:「そうですか。ありがとうございました。」

この後、デイルームで、ソーシャルワーカーさんの立ち合いの元、デイルームでSTさんから、アルツ君の食事形態や差し入れする時の注意点をお伺いしました。

例えば、すりおろしたリンゴを姉が差し入れするのはどうかとお伺いしたところ、リンゴをすりおろすと、水分が出てしまうので、その水分にとろみをつけないと誤嚥のリスクが高まるといったことなどです。

さすがに、まだアルツ君、ボタモチを丸々一個食べることはできないので、STさんからアルツ君の食べられそうなものをピックアップした商品カタログのようなものをもらいました。

姉がその商品カタログをもらっていたので、ヤッチの手元にはなく、詳細についてはよくわかりません。

早くアルツ君がボタモチを頬張れるようになってほしいものです。

ヤッチの耳元では、すでに『口の中に無理やり放り込んでみれば?』と悪魔がささやいていますが…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ

【追記】
デイルームでSTさんからお話を伺った後、ヤッチは一旦帰宅し、再び夜、病院に来て、アルツ君の食事介助をしました。

三日連続完食していたアルツ君ですが、やはりそう毎回完食してもらえるという風には行きませんでした。

アルツ君にしては珍しくネガティブ発言を繰り返し、やはり自分の右手の指が思うように動かないことにショックを受けている様子です。

夕食を摂る時もあまり気分が乗らない様子で、半分程度しか食べてもらえませんでした。

夕食前の風景を撮影しましたので、どうぞご覧ください。

アルツ君の泣き声と笑い声、全く一緒です。

どちらもケンケンです。

ヤッチの話し方について、ちょっと不謹慎だろと思われる方もいらっしゃると思いますが、アルツ君だからできる会話です。

ご理解いただけるとうれしいです。




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2014/12/15 | コメント (2) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

プリズナー(PRISONER)

2019/10/17 (木)  カテゴリー: 兄
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献花台にお供えした花2019年10月15日

兄が亡くなってから、ヤッチの頭の中に、ある言葉が、時折、テロップのように流れます。

『バッカなやつだな…。』

これ、決して兄を軽蔑しているわけではなく、もう少し早く、病気のことを教えてくれれば、よかったのにという感情が入っています。

また、自分に対して、向けられた言葉でもあるような気がします。

父母が亡くなった時には、もちろん、さび(み)しい、悲しいという気持ちがありました。

しかし、今回の一件では、これとは何か別の感情が、あるような気がします。

言葉に表せないような感情に支配され、さびしい、悲しいという感情と絡みあって、なんだか窮屈な感じがします。

そして、上記の言葉以外に、ヤッチの頭の中には、なぜかわかりませんが、やたらと、大好きだったミュージシャン、柳ジョージさの曲が流れます。

ヤッチの高校生くらいの頃でしょうか、彼の曲をよく聴いていました。

その頃は、まだ柳ジョージ&レイニーウッドというバンドで、グループで活動していたと思います。

彼の楽曲は、40年以上?経った今でも、歌詞を覚えていて、口ずさむことができるものもあります。

酒好きだった柳ジョージさんは、2011年10月10日に、腎不全で、63歳という若さで、お亡くなりになります。

晩年は、結構、やせ細っていた印象です。

この辺りが、兄と被って、ヤッチの頭に浮かぶのかもしれませんね。

関連記事:
アルツ君バテバテ

柳ジョージさんのしゃがれ声のブルースは、秀逸です。



心に染みます。

忘れかけた 心の痛みと~

古い回帰の上を 彷徨うか~

悪銭で 買える幸せを~

錘ぎながら 生きていこうか~

人はみんな PRISONER~



教えてくれ 何をすればいいのかを~

何処へ 行けばいいのか…

Uta-Netより引用


ただ、あまりに染みすぎて、ちょっと暗い気分になってしまったので、一昨日(10月15日)、気分転換のため、午後から必要かどうか疑わしい髪の毛を切りに、床屋さんに行ってきました。

そして、その足で、電車に乗り、父母の眠る樹木墓地に行ってきました。

兄が亡くなったことを報告しに…。

シンボルツリー2019年10月15日001

記事にはしていませんが、何度か樹木墓地へ足を運んでいます。

あいにくの曇天です。

どうも、ここに来るときは、晴天ではない日ばかり。

芝生の中央にあるシンボルツリーの『カツラの木』は、もう色づき始めています。

もしかすると、この夏に、水分を十分貯えられなかったので、早めに色づいているのかもしれません。

どこかからか、キンモクセイの香りも漂ってきます。

シンボルツリー2019年10月15日002


ヤッチは線香に火をつけ、献花台に花を供えます。

そして、シンボルツリーに向かって、手を合わせます。

ここからは、ヤッチの妄想の中での、アルツ君、キノコさんとの会話です。

便宜上、姉の名前をA子、兄の子供の名前をB子ということで…。

妄想の始まり ▼

ヤッチ:「おいおい。今まで曇り空だったのに、手を合わせた途端に、雨かよ。旦那さん(アルツ君)、また、俺にいやがらせで、水を掛けてんだろ?」

アルツ君:「水なら、ましなほうだ。ショ〇ベンだ。ハハハ。」

ヤッチ:「汚いなー。たく…。さっき、床屋に行ってきたばかりだから、直に、冷たさが、伝わるじゃないかよ。」

アルツ君:「歓迎だよ。歓迎。俺のショ〇ベンは、育毛剤だ。」

ヤッチ:「手遅れだよ!ところでさあ、お兄さんがこの10月3日に亡くなったよ。」

キノコさん:「あら、まー。(キノコさんの口癖)」

アルツ君:「あいつは、いくつだ?」

ヤッチ:「7月に66歳になったばかり。」

キノコさん:「具合でも悪かったの?」

ヤッチ:「『食道がん』だってよ。」

キノコさん:「いつから?」

ヤッチ:「いつからかは、わからないけど、今年(2019年)の4月には、医者から、『腹をくくれ』って、言われたらしいよ。」

キノコさん:「『らしい』とは?」

ヤッチ:「A子にも、俺にも、教えないでほしいって、お兄さんが口止めしてたから、死んだ後に、福祉事務所の人から聞いたんだよ。」

キノコさん:「あんたたち、仲が悪かったからね…。私は、一番、それを心配していたのよ…。」

ヤッチ:「そうだよな。一番の親不孝者は俺だよな。それに一番の醜い仕打ちをお兄さんにしちまったよな…。でも、今となっては、どうにもできないし…。」

アルツ君:「酒好きだったから、どうせ、飲みすぎたんだろ?」

ヤッチ:「最近は、どうかわからんけど、若い時のツケが回ってきたんだろうな…。」

キノコさん:「あんたと違って、辛い物のほうが好きだったからね…。それでなんだわ…。この春、ここに、顔を見せた時(父母の納骨の時)、声が小さかったのね…。かわいそうに…。」

ヤッチ:「旦那さんとキノコさんの納骨の時、車で一緒に来たのに、お兄さん、一人、電車で帰っちゃったんだよ。」

キノコさん:「あら、そうだったの。」

ヤッチ:「たぶん、自分が『がん』だっていうことを、今思うと、俺らに悟られないようにするためだったんだろうな…。」

アルツ君:「お前らは、兄弟で何をやってるんだかな…。だいたい、あいつも、鍛え方が足りないんだよ…。」(『鍛え方が足りない』は、アルツ君の口癖)

ヤッチ:「いやいや、『がん』は、鍛えても、治らんでしょ。でも、この一年はよく頑張ったと思うよ。人に内緒にしていて、さぞ、辛かっただろうし、心細かったと思うよ。」

アルツ君:「ちっ。だったって、死んじまったら、何にも、なんないじゃんかよ。」

ヤッチ:「自分だって、死んでるじゃん!」

キノコさん:「それで、もう、お骨にしたの?」

ヤッチ:「10月8日に燃してきて、A子のところにいるよ。あー、そうそう…。B子に連絡がついて、B子も来てくれたよ。」

アルツ君:「B子?かっー!懐かしいなぁー!俺も会いたかったなー!」

ヤッチ:「そうだよな…。旦那さんにとっても、キノコさんにとっても、かわいい孫だから、会いたかったよな…。」

キノコさん:「元気だった?」

ヤッチ:「うん。当たり前の話だけど、綺麗になって、立派な大人女性って感じだったよ。」

アルツ君:「今度、ここへ連れてこい。」

ヤッチ:「ん…。そうしたいとは思っているけど、もう20年以上も、会ってなかったんだぜ。」

アルツ君:「それがどうした?」

ヤッチ:「B子は20年以上、お父さんがいない生活を送ってきたわけじゃないか…。悲しいかな、自分のお父さんは、いないんだという人生の方が長いんだぜ。今さら、お父さん風や、おじさん風を吹かせても、迷惑なんじゃないかなと、思って…。」

アルツ君:「で?」

ヤッチ:「B子には、B子の生活が有って、これ以上、うちの家系と関わり合いを持ちたくないんじゃないかと思ってさ…。」

キノコさん:「どうして、そう思うの?」

ヤッチ:「B子の電話番号しか聞けなかったよ。○○に住んでいるとは聞いたけど、詳しい住所まで聞けなかったよ。そのつもりは、B子にはなかったのかもしれないけど、俺には、B子の『聞かないでくれ』オーラが見えたよ。」

キノコさん:「そうなの…。」

ヤッチ:「あれこれ、今の生活を詮索されるのが嫌なんじゃないかなと思って…。B子はB子で、遠慮しているかもしれないけどな。もしかすると、お父さんが、亡くなったことを知らせない方が、よかったんじゃないかと、今になって思うよ…。」

アルツ君:「お前は、とんだお節介野郎だな。」

ヤッチ:「たしかに…。B子のほうから、過去を含め、自分自身のことや心境を話してくれると、ありがたかったんだけど、そんな感じじゃなかったしな…。今、どんな気持ちでいるのか、わからずじまい…。」

アルツ君:「相変わらず、『女ごころ』のわからないやつだな!」

ヤッチ:「秋だし、だから、独り身なんですけど…。B子に、俺から時折、声を掛けてあげるのが、B子にとって幸せなことなのか、それとも、そっとしておくのが、幸せなのか、俺にはわからないよ…。ありがた迷惑になってもまずいし…。しかも、だいたい俺の子供じゃないしな…。」

キノコさん:「(お兄さんの)お墓は決まったの?」

ヤッチ:「まだ。A子さんが、ここ(樹木墓地)へ申し込みをするって言ってた。」

キノコさん:「じゃあ、ここに来るのね?」

ヤッチ:「ここしか、ないからね…。」

アルツ君:「じゃあ、そん時に、B子を連れて来い!」

ヤッチ:「そうしたいと思ってるけど、俺たちと一緒に、ここへ来るのは、嫌がるかもな…。B子から『納骨の日が決まったら、ぜひ連絡をください。』とは、言われなかったから…。」

アルツ君:「でも、電話番号、わかってるんだろ?」

ヤッチ:「ああ、わかってるよ。一応、納骨の日が決まれば、連絡してみるけど、あまり期待しないで。もしかすると、B子一人で、別の日に、来てくれるかもしれないよ。」

アルツ君:「お前の頭と同じか…。期待、薄…。」

ヤッチ:「うるせーよ!旦那さんだったら、期待、無し…じゃないかよ。」

アルツ君:「俺は今、フサフサだぞ。」

ヤッチ:「芝生をカツラにしてるからな。冬になると、枯れるぞ。」

アルツ君:「西洋芝なら、常緑だ。」

ヤッチ:「あいかわらずだな。今日は、台風19号の影響で、旦那さんの好きだった『ボタモチ』が、売ってなかったよ。今度来るときは、キノコさんの好きな『練り切り』と、旦那さん定番の『ボタモチ』を持ってくるよ。じゃあ、また来るよ。」

アルツ君:「ああ、お前は来なくてもいいけど、『ボタモチ』だけは、死ぬほど、持って来いよ。」

ヤッチ:「だから、死んでるし…。」

妄想終わり▲

父母が存命なら、こんな展開になったであろうフィクションです。

ヤッチは墓地を後にし、電車の駅へ向かいます。

帰りの電車の中で、ややご高齢とお見受けする女性同士の会話が耳に飛び込んできます。

Aさん:「最近、さらに老眼が進んで、どうも携帯電話のボタンの変なところを押すことが多くなっちゃって。」

Bさん:「使えるだけマシよ。私なんて、使い方もよくわからないから、電話番号を携帯電話に登録するとき、息子のお嫁さんに、入れてもらってるのよ。『かける』か、『とる』だけの機械よ。」

Aさん:「年を取るって、嫌ね~。」

Bさん:「それで、お嫁さんに言われちゃったのよ。『お義母さんの携帯電話のアドレス帳、病院の電話番号ばかりですね。』って。」

Aさん:「きっと、私たちが、死ぬ頃は、病院の電話番号で、アドレス帳が、埋め尽くされているかもしれないわね。ホホホ。」

たしかに…

(; ̄ー ̄川 アセアセ

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2019/10/17 | コメント (4) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top
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