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スマホ版 アルツ君は職人

進行性核上性麻痺の疑いのある元植木職人のアルツ君(父)、アルツ君の愛妻キノコさん(母)、そしてアルツ君の息子ヤッチの日々の生活を紹介しています。[スマホ版]

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明日へ向けて

https://alzheimers.blog.fc2.com/blog-entry-271.html
一昨日は、キノコさんのあざの治療を受けてきました。

色々と手続き上、面倒な過程を踏まないと、キノコさんの治療は受けられない状態でしたが、何とか福祉事務所で、治療を受けられるようにしていただいてきました。

高齢者相談センター(地域包括支援センター)やキノコさんの生活保護の担当ともいろいろとありましたが、あまりこの辺について、記事にしてしまうと、読んでいる方に不快感を与える内容なので割愛させていただきます。

今のヤッチは役所に噛みつくよりは、明日のわが身を考えようという気持ちに切り替わりつつあります。

かなり冷静さを欠く発言を役所の人にもしてきましたし、このブログでも不適切な内容が有ったことを反省しています。

今さらですが、やはり、お金もなければ、住む家も無いのですから、行政の手を借りなければ、生きて行けません。

もうこれ以上、役所批判は止めようと思います。

一昨日のキノコさんの治療の手続きの中で、高齢者相談センターの支援係長とも話しあう機会が有り、その時、ヤッチは施設を拒むキノコさんに独居(一人暮らし)も有りなのではないのかという提案もしてきました。

高齢者相談センターにこの考えはなかったらしく、少しビックリした様子でした。

キノコさんはまだ介護保険上、要支援の身の上なので、身の回りのことはじゅうぶん自分でこなすこともできます。

生活保護のお世話になりながら、独居の生活ならば、ヘルパーさん(介護保険)を使うことが可能です。

体力的にかなり不安ではありますが、脱出までしてきた施設の生活よりは精神的な負担はこちらの方が軽いはずです。

これを高齢者相談センターに提言してきました。

そして、家に帰り、キノコさん、兄、姉、ヤッチの4人で今後について話し合いました。

まずはキノコさん…。

養護老人ホームなどの施設での生活について…。

自ら脱出してきたくらいですから、この選択肢はなくなりました。

では、キノコさん、兄、ヤッチの3人の生活は?

これについては、ヤッチがどうしても兄との同居が嫌です。

この選択肢も無し。

兄とキノコさんとの生活は?

当初はこれがベストかなと思ったのですが、兄は口では構わないと言うものの、言葉の端端にあまり気が進まないオーラが出ています。

また、ヤッチ的に兄の金銭感覚に疑問が有るので、不安は残ります。

キノコさんも最初はこれを望んでいたようですが、なんとなく浮かない表情です。

ヤッチがキノコさんに問いただします。

ヤッチ:「今ここで、自分の気持ちをはっきりと言わないと、後で脱走はできないんだよ。嫌なら嫌とはっきり言わないと後悔するからね。」

キノコさんの答えは兄との生活はやはり嫌だとの事…。

今度はヤッチとキノコさんの生活について…。

ヤッチはウェルカム状態です。

これには姉が異議を唱えます。

姉:「お前は自分だけのことを考えなさい。もうお前にこの家の犠牲になってもらうのは、私の方がつらくなるから…。お願いだから我慢して。キノコさんも分かってあげて。」

キノコさんも首を縦に振ります。

少ない選択肢ではありますが、残るはキノコさんの独居(一人暮らし)です。

果たして、一人暮らしが高齢のキノコさんに出来るのか?

まわりに家族が居るから、自分のことができているように思えるだけで、実際に一人になったらどうなの?

でも、意外や意外…。

キノコさんにとってはこの選択肢が一番『アリ』だったようです。

キノコさん:「一人だって大丈夫よ。」

姉:「ほんとに?お金の事だって、何でも自分でやって行かなくちゃならないのよ。強がり言って、後で『やっぱり…。』はできないんだからね。」

切り出したのは姉です。

キノコさん:「わかってるわよ。」

姉:「ほんとにわかってるのかしら?後で、気が変わって施設が良かったなんて言わない?」

キノコさん:「二度とあんなところに行くもんですかっ。」

一人暮らしをするくらいなら、施設の方が楽なんじゃないかとも思えるのですが、彼女の価値観なので仕方ありません。

少ない選択肢の中で本人のベストな選択なのですから、それを尊重しないわけにはいきません。

姉:「じゃあ、住むなら家族誰かのそばに住むのがいいわね。しかもパパのいるところに気軽に足を運べる場所がいいわね。明日物件探しに行ってみようか?」

思い立ったが吉日の姉です。

アルツ君はまだどこに居るかわからないんですけどね…。

逆らえる相手は誰も居ません。

「あんた(ヤッチのこと)のアパートを探してくれた不動産屋さんに行こう!もう一人お客さんを連れてきましたって言うのよ。」

さっそく次の日、姉、キノコさん、ヤッチで不動産屋さんに向かいます。

不動産屋さんに行くと、ヤッチにアパートを紹介してくれた社員さんもいます。

ヤッチはその社員さんに声をかけます。

ヤッチ:「北朝鮮からの脱北者を連れてきました。母なんですけど、亡命を希望しています。」

不動産屋さんキョトン顔です。

不動産屋さんには脱走のことは教えていませんでしたが、これまでの経緯については説明しています。

社員さん:「ほんとですか?帰って来られたのですか?」

ヤッチ:「帰ってきたのではなく、脱走もしくは逃げ出してきたんですよ。」

社員さん:「マジですか?」

ヤッチ:「そうなんですよ。それで迷える子羊の物件を探して欲しいんですよ。しかもまたもや生保(生活保護)前提です。」

社員さん:「失礼ですが、お一人で生活されるのですか?」

ヤッチ:「83歳、多分、棺桶に片足がどっぷりつかっていますが何か?」

社員さん:「ほんとですかぁ…。有るかな…。」

ヤッチ:「足ならまだ有りますよ。無いのは住む家ですよ。」

83歳と言う高齢に加え、生保ですから狭き門は必至です。

社員さん:「うん…。」

ヤッチ:「これを探すことができれば、宅建を返上して、司法試験に合格できるよ。ちょっと探していただけませんか?」

不動産屋さんの店内があわただしい雰囲気に変わります。

なんと、社員の皆さん総出で物件探しに当たってくれています。

電話をかける人、パソコンをパチクリする人、片っ端から物件情報をピックアップする人…。

でも、出てきた物件はたった3件だけです。

今の御時世、高齢者と言うだけで敬遠されてしまうようです。

でも、物件が有っただけでも喜ばないといけないかもしれません。

今度は不動産屋さんの車でそのピックアップされた物件巡りです。

最初の1件目。

駅から最寄り駅まで徒歩1分のナイスなロケーションです。

商店街の中ほどの少し奥まった路地を入ったところです。

通勤の人には申し分のない物件です。

少々間取りが狭い感じは有りますが、高齢者の一人暮らしなら、さほど気にならない程度です。

ただ、残念なことに、洗濯機置き場が見当たりません。

室内、玄関前の外、ベランダにも水道や電気のコンセントが見当たりません。

不動産屋さんにも問い合わせてもらい、確認してもらいましたが、やはり洗濯機置き場は最初から無いようです。

洗濯好きのキノコさんにはちとかわいそうな部屋となってしまいました。

近くにコインランドリーも無いので、やはり物理的に無理が有ります。

ヤッチ:「近くに、桃が流れてくる川でも有ればいいんだけどなぁ…。」

ヤッチがため息を漏らします。

駅まで徒歩1分なのに部屋が空いているのはこのせいかもしれません。

この部屋はボツとなりそうです。

次は2件目の物件。

不動産屋さんの車に乗っていると、何だか見覚えのある風景。

そうです。

ヤッチの決めたアパートのすぐ近くです。

案内された物件は、ヤッチの決めたアパートから200mくらいのところに有りました。

外観もとてもきれい…。

日当たりもよく、ベランダも広いのでちょっとした家庭菜園でもできそうな感じです。

カギを管理会社の人が持ってくると言うので少し待ちます。

しばらくすると、管理会社のお姉さんが来てカギを開け、部屋を見せてくれました。

おっと!!

中もきれい…。

お姉さんもきれい…。

ヤッチ:「なんだよ、こっちの方が俺が決めた物件より良かったじゃん!!」

ヤッチはちょいと後悔の言葉を漏らします。

もちろん、後悔した要素の中にお姉さんがきれいだったことが一つに有ることは否めません。

ただ、この物件…。

生活保護の条件となっている賃料53,700円を4,300円オーバーてしまいます。

つまり、福祉事務所が認めても、4,300円は自己負担になってしまいます。

また、賃料が高すぎるということで、許可が出ない可能性も有ります。

キノコさん、この物件が気に行っている様子です。

バス、トイレが別で、綺麗なフローリングだし、ロフトも付いています。

高齢のキノコさんがロフトにハシゴで登るのはとても無理だし、危険なので、必要ないと思いますが、綺麗な内装にキノコさんは一目惚れのようです。

姉が不動産屋さんに声をかけます。

姉:「母と弟の二人がそちらで仲介していただくんだから、(家賃のほう)何とかなりませんか?」

やや無謀とも思える値切り交渉です。

それでも、自己負担額を3,000円にまで縮めることに成功しました。

微妙ではありますが、この金額なら、福祉事務所も認めてくれそうな感じも有ります。

物件を見終ったあと、管理会社のお姉さんが、「一階にもう一部屋空き部屋が有りますよ。」の一言にヤッチの後悔はマックスです。

しかし、すでにヤッチが決めてしまった物件には、もう大家さんに家賃の振込口座を書いてもらうお願いまでしている状態なので、後戻りすることはできません。

先にヤッチの決めた物件は保証協会の審査が有るので、この審査が通らなかった時には、新たにこっちを押さえてもらおうということになり、3件目に移動です。

3件目はまだ部屋に人が住んでいます。

近日中に退居予定の物件なので、中を見ることはできません。

しかし、中を見なくても結果は出ています。

日当たりが悪すぎです。

しかも、1階とは言え、段差が有り過ぎて、とても高齢者向きではありません。

何よりも、キノコさんは、2件目の綺麗なお姉さんの居た物件に心づもりを決めているらしく、3件目の物件に興味を示しません。

結局、消去法の末、ヤッチの先に決めた物件にそう遠くない2件目の物件にキノコさんの新居を移す予定に…。

これを福祉事務所が認めてくれなければ、また振り出しに戻らなくてはなりません。

そして、その前に、福祉事務所がキノコさんの独居を認めてもらえないと、生活保護の受給の仕方そのものを考え直さなくてはなりません。

月曜日にキノコさんと福祉事務所に出向き、生活保護の受給申請をするつもりです。

またまた、通る通らないによって、新たな選択を迫られることになってしまいました。


そして最後にアルツ君のことです。

脱走してきたキノコさんの話によると、高齢者相談センターで兄とキノコさん、アルツ君が面会したその日に、アルツ君はこれまで保護されていた施設とは違う、別の施設に移送されたようです。

キノコさんとアルツ君もその日を境に会っていません。

そして、アルツ君が特養(特別養護老人ホーム)に移送されたと記事に書かせていただきましたが、まだ特養に移っているわけではなく、特養の空きを待つために、さらに新たな施設で保護されているようです。

今回の脱走で、キノコさんのヤッチの虐待は取り消される形になりましたが、ヤッチはアルツ君に対しては、虐待者のままです。

賛否分かれるところですが、身の潔白を晴らそうとすると、アルツ君は特養には入れなくなってしまいます。

また帰る家も無くなります。

特養には入所待ちの方がたくさんいて、そう簡単には入所できないと聞きます。

アルツ君の『進行性核上性麻痺』という病気の進行が進めば、在宅介護では手におえないという事実も有ります。

このまま、ヤッチがアルツ君に対して虐待者のままでいれば、アルツ君は手厚い保護を受けることができるわけです。

複雑な心境ですが、ヤッチは虐待者のままでいようと考えています。

家族の意見もこれで一致しています。

高齢者相談センターの異例の配慮で、アルツ君の保護されている施設ではなく、高齢者相談センター内ならヤッチを含め家族全員がアルツ君と面会できるように段取りを組むという回答もいただき、これも月曜日にどうかと聞かれています。

家族全員の意見をまとめて返答するように言われています。

ヤッチはずいぶん長い時間、アルツ君の声を聞いていないし、顔を見ていません。

家族の意見調整はまだしていませんが、ヤッチは当面の間アルツ君と面会するのは辞退しようと考えています。

アルツ君の顔を見たら、今のままでは、心変わりしてしまうのが怖いです…。

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