site_title進行性核上性麻痺の疑いのある元植木職人のアルツ君(父)、アルツ君の愛妻キノコさん(母)、そしてアルツ君の息子ヤッチの日々の生活を紹介しています。
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試写会に行った職人

2011/07/29 (金)  カテゴリー: アルツ君
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こんにちは

アルツ君の息子ヤッチです
(^_^)/~

我が家は東京23区のはずれにある高級住宅街にあります。

ヤッチ自身はどこに住んでるの?と聞かれるとビバリーヒルズと答えていますが、だれも相手にしてくれません。
(^_^;)

まだキャベツ畑なんかもあってなかなかのどかな田園風景も残っています。

そんな我が家の洗濯物を干す場所は2階にあるベランダです。

断っておきますが、狭いからなわけではなく、自家用車の駐車スペースを広くとるための合理的な設計上の問題からです。
(同じことじゃんっ!)

洗濯は普段キノコさんがやるのですが、キノコさんもご高齢のため湿った洗濯物を二階に持って行くだけの力がありません。

したがって洗濯カゴを二階のベランダに持って行けるのはアルツ君かヤッチということになります。

いつもの役割分担はアルツ君です。

学級委員のキノコさんがアルツ君の体力維持のためにやらせていることです。

時間はかかりますがアルツ君が階段を一段ずつ登り二階まで持って行きます。

今日は普段当番のはずのアルツ君は体調不良を訴え、これをボイコット…。

消去法の末、任務はヤッチとなりました。

もちろんヤッチがやれば片足ケンケンでも10秒で終了です。
(^^)/

キノコさんは洗濯物を干すために二階に登り、ヤッチはモーニングエスプレッソ(いなげや1パック118円)を飲むために下へ降ります。

茶の間への階段を降りていくとアルツ君が階段の一番下に腰かけています。

身体の固くなってきているアルツ君はよくこの場所で靴下を履いています。

本人からすると身体の曲げ具合がここに座るとちょうど良いのでしょう。

最近かなりお気に入りの場所になっています。

二階から降りてくる人間からするとかなり邪魔になります。

今日も苦労して靴下を履いているのかな?

「うまく履けた?」
(^.^)/~~~

???

返事が返ってきません。

いつもなら

「当たり前だろっ!子供じゃあるまいしっ!」

と返ってきます。

アルツ君のお気に入りの横ポッケ付のカーゴパンツはなんだかずり落ちているように見えます。

トイレにでも行ったのかな?

アルツ君のお尻は半ケツ状態です。

「半ケツになってるよ!紙パンツ丸見えだぞ!」

返事が返ってきません…

???

アルツ君が腰かけている階段に少しスペースがあるのでそこに足をかけてアルツ君の横を通り抜けアルツ君の正面に回ります。

息はしていますがまったく血の気がありません…!

「具合悪いのっ?返事してっ!」

アルツ君の肩に手をかけるとTシャツがビッショリ!!

よく見ると額には大量のあぶら汗!!

ビックリするくらいの汗を流しています。

今日の東京は蒸し暑かったとはいえまだ朝ですからそんなに汗が出るほど気温は上がっていません!

近づくとかなり肩で息をし、呼吸もあらい状態です!

さすがにいつも冷静巾着、クール&ダーティーのヤッチもあわてますwww!!

「お~い!声聞こえるかっ!?しっかりして!!」

脳に関して重篤の場合は下手に動かしてはいけないというどっかで聞いた言葉がヤッチの頭をよぎったのでアルツ君の肩に置いた手を動かすのをとどまりました。

代わりにほっぺをつねります。

「お~い!これ感じるかっ?」

まったく反応がありません…。

職人の半ケツになったお尻がどんどんづり落ちてとうとう階段下のフロアに…。

「お~い!しっかりしろっ!!」

人間テンパると近くにいるのに「お~い!」という言葉が増えるもんだなと変な関心をしつつ、

「お~い!お~い!!」

職人の額の汗を近くにあったタオルでぬぐうと今度はどんどん体が冷たくなっていきます。

\(◎o◎)/!

手足が尋常じゃないほど急速に冷えていく感じです…。

自分の方がエキサイトして体温が上昇して相対的にアルツ君の身体が冷えているように感じるのかもしれませんが…

その時は夏の暑い時期のスーパーでトマトを品定めするときに手に取ってみる時のあのトマトの感触に近いものがありました。
(頬にあてたら気持ちいい…)

これはヤバい…。

二階にいるキノコさんを呼びます!!

「お~い!!ちょっと降りてきて!!」

こんな時も「お~い!」です…。
(・_・;)

お~い日も安心どころの騒ぎではありません。
m(__)m

ヤッチの脳裏に救急車が浮かびます…!

キノコさんが二階から降りてきます。

「ちょっと旦那さん(アルツ君)の調子が変だから救急車呼ぼうっ!!」

キノコさんは降りてきたばかりなので状況がまだ理解できていない様子。

「洗濯が忙しいのよ…。なんなの?」

「洗濯なんて言ってる場合じゃないよっ!!旦那さんがどんどん冷たくなってるよっ!」

キノコさんも尋常じゃない状況に気づいたのでしょう…。

「ちょっとおじいちゃん!しっかりして!!」

今度はアルツ君の閉じている眼から大量の涙が溢れ出しました。

優しい家族の愛情に感動している涙とは違うようです。

「涙がすごいよ!早いとこ救急車呼ぼう!!」

ヤッチがキノコさんをせかします。

キノコさんもかなり動揺しているのか

「そうは言うけど歯医者さん断ってないし…」

そう今日はアルツ君の入れ歯が合わなくなってきていたので歯医者さんに予約を入れていたんです。

「なにわけのわからないこと言ってんだよ!こんな状況で行けるわけないしょっ!?」

「それもそうだけど…」

今考えるとキノコさん自分で何をしていいのかわからなかったんでしょうね。
(*^_^*)

「いいから救急車呼ぶよ!!」

ヤッチがこう叫ぶとキノコさんは反応の無いアルツ君に

「救急車呼ぶわよ?いい?」

「聞いたって答えるわけないだろっ!いいから呼ぶよっ!」

ヤッチは携帯電話をポケットから取り出します。

「ちょっと待って!」
(ねるとん紅鯨団はとうの昔です!!)

「なに?」

「ちよっとだけ待ってよっ!おじいちゃんあっちの部屋にまず連れて行きましょっ!」

いつもならもう119番しているところです。

キノコさんのために何回この携帯で救急車を呼んだかわかりません。
(キノコさんも結構病弱…)

携帯で119番通報すると必ず自分の携帯の番号を聞かれるので、すでに自分の携帯の番号を復唱し、シュミレーションはできています。

「火事ですか?救急ですか?」もOKです。

でもなぜかこの時キノコさんの一言に従ってしまったんですね…。

今考えてもその理由が見つかりません…。

???…(=_=)

キノコさんが茶の間へアルツ君を運ぼうと言ったとき、「うん。そうしよう。」

そう思ってしまいました…???。
(-_-)

へたり込んでまったく力のないアルツ君を3メートル運ぶのは容易なことではありませんでした。

酔いつぶれて動けなくなった女の子を何回か運んだことはありますが、自分の父親とこんだけ密着プレーするのは40年以上ぶりかもしれません。

しかもやっぱり男だけにゴッツイです。
(・・;)

ベアハッグないしはフロントス―プレックスの形をとり、職人の両脇の下にヤッチの両手を通して職人の背中で自分の手を結びます。

キノコさんにはヤッチの肩にアルツ君のあごが乗るように促します。

「『せ~の!』で持ち上げて動かすからなるべくのけぞらないように支えてて!」

たぶんキノコさんには設計図はできていないと思います。

「とにかくじいさま(アルツ君)のあごが俺の肩に乗るようにだけ注意してて!」

せーのっ!!!

なるべく自分の腰を痛めないようアントニオ猪木の『風車の理論』をイメージしてアルツ君と一緒に立ち上がります。

というか無理やりアルツ君を抱き上げます!

アルツ君のひげがヤッチの肩に食い込みます…。

「じいいさまは舌噛んでない?大丈夫?」

「大丈夫!」

キノコさんの頼りない返事が返ってきます。
(キノコさんは自分の口をモゾモゾ…)

「そのまま一気に連れてっちゃうよ!」

ガブリ寄りの態勢です。

まわしをとれない分負担がかかります。

一気に土俵際までアルツ君を持って行き茶の間のソファに寝かします。

ヤッチの完全勝利です。
\(^o^)/

この体の取り方で本当によかったのかは疑問が残りますが、とにかく思いついた方法がこれしかありませんでした。

祝杯ムードに酔いしれるまもなく、半ケツ状態のまま運んで一緒について来てしまったカーゴパンツ君をアルツ君の膝元からはぎとります。

キノコさんがアルツ君に声をかけます。

「おじいちゃん!!大丈夫?起きて!!」

正直に言います…。

ヤッチはこの時アルツ君はもう起きないのではないか!?…

あの冷たくなった職人の腕の感触は今でも焼きついています。

ずいぶん細くなっちゃたなあ~。




ところが…。




アルツ君…。




意識を取り戻しちゃいました。
(^.^)/~~~


「だいじょうぶだよ~」

頼りない細い声ですがそう言って目を開け我に返ったようです。

この後アルツ君はずっとソファに横たわり熟睡状態…。






昼過ぎに再びやっと目をさまし最初に吐いたセリフが

「何だか大勢来てな~。何だかボタモチ食いたくなっちゃった。」

意味不明の言葉ですが、ヤッチがアルツ君に声をかけます。

「やっと目が覚めたね!誰か川の向こうで呼んでなかった?」

「呼んでたような気もするな~。」

「じゃあ試写会でよかったじゃん!」

この後のアルツ君はいつもの自分を取り戻し、夕食についても普通に食べていました。

でもやっぱり救急車呼ぶのが正解なんじゃないかなあ…。

はたしてこれでよかったのか~

どう思います…???


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