site_title進行性核上性麻痺の疑いのある元植木職人のアルツ君(父)、アルツ君の愛妻キノコさん(母)、そしてアルツ君の息子ヤッチの日々の生活を紹介しています。
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土壌改良

2013/05/02 (木)  カテゴリー: 下の話
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こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

キノコさんの足の骨折ですが、だいぶ痛みも取れて、まだ屋外を自由に歩き回れるというほどには至っていませんが、比較的順調に回復してるのではないでしょうか。

一方のアルツ君ですが、こちらは歩行がずいぶんと怪しくなってきました。

(-_-;)

屋内であれば、壁や柱、手すりといったものが有るので、何とか自立歩行できますが、屋外では、ちょいと介助なしに歩いてもらうには、みている方が怖くなってしまうほど…。

すぐに前のめりに地面に突進しそうになります。

(-_-;)

介助して歩くにしても、屋外では、まあ5メートルも歩いたら、休憩を挟まないと歩けないヤバヤバぶりになってきました。

(-_-;)

昨日もアルツ君のところに面会に行ってきました。

そうそう…。

報告が遅くなりましたが、以前から施設側にお願いしていたメマリー(認知症の薬)の断薬の件ですが、4月9日にゼロ(服用をストップ)にしたとの連絡を受けました。

[関連記事:何でメマリー飲んでるの?(スマホ版はこちら)]

かれこれ一年がかかりで断薬っていうやつです…。

まあ、アルツ君の歩行が衰えてきたことと、メマリーの服用をストップしたこととは、あまり関係はなさそうな気はするんですけどね…。

前々から少しずつ、歩ける距離が短くなって来て、病気が進行しているというよりも、じわりじわりと老化が進んでいるのでないかというのが、アルツ君に対してのヤッチの印象です。

これで認知症関連の薬はすべてストップしたので、キノコさんや姉とも相談の上、改めて大きな病院で診察を受けようかというポジショニング…。

これまで、病名を特定することは、さほど重要なこととは思っていませんでしたが、今回の一件以来、改めてアルツ君の居る特養の嘱託医と対等の立場で話し合いができるようにするためにも、病名も明らかにしておくことの方が良いのかなと思っています。

もう一度、診察を受ければ、アルツ君の歩行が悪くなってきたことも、病気によるものなのか、老化なのか、薬によるものか、ある程度はわかってくるのではないんでしょうか。

さて、ヤッチが特養に着くと、いつものようにアルツ君、『定位置』に腰かけています。

ヤッチ:「今日は他の人達(入所者さん達)は、だーれもいないね?ずいぶんと静かだこと。」

ヤッチが面会に行ったのはお昼の2時ごろだったので、皆さん、お昼寝タイムなんでしょうか…。

廊下に設けられているテーブルには、珍しくアルツ君の姿しかありません。

アルツ君:「きっと連休だからだろ?ゴールデンウィーク、ゴールデンウィーク…。」

ヤッチ:「お?よくそんな横文字知ってるね?すごいじゃん。それにゴールデンウィークなんて、季語がわかるんだ?」

アルツ君:「バカ言っちゃ~、いけないよ。お前より何年長く生きてると思ってるんだ?」

ヤッチ:「その分、俺より早く死ぬんだろ?」

アルツ君:「バカ!!こんなにピンピンしてる親を殺す奴があるかっ!!」

ヤッチ:「それがいるんだなぁ~、目の前に…。今日は外に散歩行こうぜ?」

アルツ君:「やだ!!」

ヤッチ:「どうして?」

アルツ君:「朝、外に散歩に行ってきた。」

特養ではまず、職員さんが屋外に散歩に連れて行ってくれるようなことは有りません。

ヤッチ:「一人で?」

アルツ君:「ああ、そうだよ。金をもらおうと思ったんだけど、あの奥さん、居ないんだよなぁ…。」

過去の植木職人時代の記憶と結びついて、庭木の剪定代金でも集金に行ったつもりなのでしょうか…。

ヤッチ:「それなら、俺が今度代わりに自転車で集金に行ってきてやるよ。マージン9割で…。」

アルツ君:「バカ!!それじゃあ、俺の取り分無くなっちゃうじゃないか!!」

ヤッチ:「それだけ、頭が回転するならまだ死ぬことはないよ、散歩に行こう!!散歩。」

アルツ君:「やだ!!」

ヤッチ:「どうして…?」

アルツ君:「行きたくないものは行きたくないの!!」

こんな時のアルツ君、ヤッチの長年の勘ではパンツの中が大洪水…。

(-_-;)

ヤッチ:「じゃあ、ボタモチ食ったら行くか?」

アルツ君:「うん?ボタモチ?ボタモチがあるのか?」

ヤッチ:「俺が手ぶらで来る人間だと思うか…?」

アルツ君:「思う!!」

ヤッチ:「失礼だなぁ…。じゃあ、持って来たボタモチは俺が家に持って帰って食うよ…。」

アルツ君:「そう言うなよ…。せっかく持って来たなら、俺に食われた方がボタモチも幸せだぞ?」

ヤッチ:「そうかなぁ…。まあ、いいや。部屋(居室)で食べよう!!」

歩行がおぼつかなくなっているのに、こんな時だけアルツ君、スッと立ち上がります。

アルツ君が先陣をきって、居室に戻ります。

ヤッチ:「食べる前に手を洗っとこう?ついでに紙パンツも取り替えるべ?」

アルツ君:「なんでパンツを換えなきゃならんのだ?」

ヤッチ:「まあ、まあ。綺麗な姿で食ってやるのが、ボタモチに対しての礼儀ってもんだろ?」

アルツ君:「まあ、どっちでもいいや。そう言うんだったら、ついでに換えとくか…。」

ヤッチ:「『ついで』って言うのはボタモチに対して失礼だけどな!?」

アルツ君が洗面所で手を洗い終わってから、アルツ君の紙パンツを交換します。

やっぱり、グッショリです…。

(-_-;)

アルツ君、交換し終わると、即座にボタモチ君に食いつきます。

ヤッチ:「そんなにパクついて、喉に詰まらせるなよ。俺の望み通りになっちゃうから…。」

アルツ君:「そう簡単には問屋は卸してくれないんだなぁ…。それにしてもボタモチはいつ食っても美味いなぁ~。何年ぶりだろ?こんなに美味いものを食ったのは?」

ヤッチ:「ご満悦?」

アルツ君:「うん。」

ヤッチ:「死んでもいい?」

アルツ君:「うん。…ってバカ!!」

ヤッチ:「出陣の準備は整ったな。じゃあ、食い終わったところで散歩に行こう!!」

アルツ君:「仕方がない…。行ってやるか~。」

ヤッチ:「公園まで行ってみようよ。それに公園の前の畑のわけのわからん花の正体もわかったぞ?」

アルツ君:「へーわかったのか?」

特養のすぐそばには遊具のある公園が有ります。

そしてその公園の前に畑が有ります。

気付いたのは3月のはじめくらいでしょうか。

あたたかく穏やかな日にアルツ君と散歩に出かけた時に、この公園の前に何やら得体の知れない作物が植わっています。

植えられたのは、3月よりもっと早い時期のようで、葉の茂りは少ないものの、十分に根を張っているような印象です。

アルツ君、一応農家の出身ですから、農作物にも詳しい方…。

でも、アルツ君に聞いても、何だかわからないという始末…。

最初は雑草かなと思ったのですか、ウネまで作って、株が規則正しく植えられているので雑草とも違うよう…。

まだその時は花も咲いておらず、ニンジンの葉っぱにしては、ちょっとゴツゴツしている様子です。

最近では紫色の花が咲きはじめ、株もかなり大きくなって、どうやらつる性の植物であることも見ればわかるようになってきました。

アルツ君と公園に行くたびに、『何を作っているんだろう?いるんだろう?』と二人でわからずに、時間だけが経過していました。

そんな時にいつもこのブログにコメントをくださるよしこさんがこの得体の知れないものについての記事を書いておられました。

介護についての記事も書いていらっしゃって、きれいな写真満載の素晴らしいブログですので、是非のぞいてみてくださいね!!


ヤッチ:「どうやら、あそこ(畑)に植わってるのは、『ヤハズエンドウ』ってものらしいぜ。」

アルツ君:「ヤハズエンドウ…。聞いたことないなぁ…。」

ヤッチ:「まあ、このところの暖かさでどのくらい大きくなってるか見に行ってみようよ?」

アルツ君:「そうだな?行ってみよう!!」

アルツ君と散歩に出発です。

アルツ君、施設を出たあたりから、一歩踏み出すたびに、おならをプップッっと…。

ヤッチ:「毒ガス振りまいてるけど、大丈夫なのか?途中下車の旅にならないだろうな?(施設に)戻るなら今しかないぞ?」

アルツ君:「大丈夫だよ~。悪い虫が付かないように撒いているだから…。」

ヤッチ:「なら、いいけど…。」

アルツ君:「行って帰るくらいの燃料くらいはあるわい!!」

ヤッチ:「そのために使うものじゃないと思うんですけど…。」

施設の建物を出ると、公園は間近に見えているのですが、アルツ君にしてみると相当な距離に感じるようです。

何度か休憩を入れ、ようやく公園の入り口にたどり着きました。

公園の入り口に敷石が有り、そこへアルツ君に腰をおろしてもらいます。

敷石のあるところからは道路を挟んで、例のヤハズエンドウ(自分ではそう思い込んでいます…)の畑が有ります。

アルツ君:「かー!!ずいぶんとデカくなりやがったなぁー!!」

このセリフを聞く限りでは、以前にもここに来たという記憶が残っているようです。

アルツ君:「花もいっぱい咲いてるな?ラベンダーみたいだ。」

grass01
 [ 拡大する ]


携帯の写メなのでイマイチ花の咲き乱れる様子は伝わらないと思いますが…。

ヤハズエンドウと思しき作物はゆうにひざ上くらいまで育ち、畑の地肌は見えないほどこんもりと育っています。

grass02
 [ 拡大する ]


grass03
 [ 拡大する ]


アルツ君:「花が咲いてるっていうことは実が成るんだろうけど、美味いものなのかな…。」

ヤッチ:「どうなんだろうな?つるが出てるから、支柱立てればもっと花着きも良くなると思うけどなぁ…。」

アルツ君:「まだ、実は付いて無いようだなぁ…。」

ヤッチ:「あ、あそこの人がいる!!ここ(の畑)の人じゃないか?俺が何を作ってるんだか、聞いてくるよ。」

アルツ君:「ああ、聞いて来てごらん。」

ヤッチ:「そこに座っててよ。今聞いてくるから。」

ヤッチとアルツ君の居る位置からはかなり離れた距離ですが、畑の所有者と思われる方がご夫婦で農作業をしています。

失礼ですがかなりご高齢のご夫婦です

ヤッチはその方たちの方へ駆け寄ります。

ご主人と思われる方は畑の中央付近に行ってしまったので声をかけられません。

奥さんと思しき方に声をかけます。

ヤッチ:「お忙しいところすいません。ちょっとお伺いしたいのですが、あそこに植えてらっしゃる作物は出荷するための作物ですか?」

奥さん:「ああ、あれは違います。」

ヤッチ:「えっ?違うんですか?でも失礼ですけど、雑草ではないんですよね?」

奥さん:「はい、あれは『(畑の)土壌改良』のために植えているんです。」

ヤッチ:「そうなんですか…。土壌改良…。植わっているお花の名前をお伺いできますか?」

奥さん:「わかりません。」

かなり忙しく作業されていたのと、強い断定形の返答だったので、これ以上話しかけることはできませんでした…。

(-_-;)

もう少しいろいろと聞きたかったのですが、アルツ君のところに戻ります。

アルツ君、敷石に腰かけ、ヤッチの帰りを待ち受けています。

アルツ君:「何だって?」

ヤッチ:「出荷するために作ってるんじゃないんだって。畑の土壌改良をするために植えてるんだって。」

アルツ君:「土壌改良?へー、これが土壌改良になるのかね!?埋め込んで腐葉土にでもするのかなぁ…。」

ヤッチ:「そこまで聞けなかったんだけど、花を咲かせたら、畑の養分が吸い取られちゃう気もするけどね…。」

アルツ君:「わかった!!そうと決まれば戻ろう!!」

ヤッチ:「えっ?まだ公園の中に入っていないじゃん?」

アルツ君:「そうだけど、俺もケツの土壌改良が必要だ。」

アルツ君

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ

緑肥とは…

(概要)
緑肥(りょくひ)とは、栽培している植物を、収穫せずそのまま田畑にすきこみ、つまり、植物と土を一緒にして耕し、後から栽培する作物の肥料にすること、またはそのための植物のことである。

(背景)
戦後、硫安(硫酸アンモニウム)、尿素など、安価な化学肥料が大量生産されるまでは、窒素肥料になる物は貴重品で、人間の糞尿、捕れすぎた魚や、食用にならない海藻(ホンダワラなど)とともに、肥料としてよく利用されていた。根瘤バクテリアとの共生により、空中の窒素を同化するマメ科のクローバー、ルピナス、ウマゴヤシ、レンゲソウなどが多く用いられていた。

(緑肥作物)
緑肥として栽培される例として、次の植物がある。マメ科、イネ科の植物が多く見受けられる。雑草を利用することもある。
  • エンバク
  • ライ麦
  • トウモロコシ
  • エビスグサ(決明子、ハブ茶の原料)
  • マリーゴールド
  • レンゲソウ
  • ヤハズエンドウ
  • クローバー
  • 大豆

訂正とお詫び

よしこさんからコメントをいただきました。(コメントNo.1773

記事の中で公園前の畑に植えられている植物をヤッチはヤハズエンドウと書かせていただきましたが、いただいたコメントを拝読すると、どうやらクサフジという同じマメ科の植物のようです。

記事中のヤハズエンドウをクサフジと読みかえてご覧ください。

(ヤハズエンドウ → クサフジ

ここに訂正とお詫びを申し上げます。

m(__)m

ヤッチ…、元花屋なんですけどね…

(; ̄ー ̄川 アセアセ



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2013/05/02 | コメント (4) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

食欲不振の職人

2013/05/08 (水)  カテゴリー: アルツ君
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こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

アルツ君、連休中、ずっと風邪をひいて寝込んでいました。

熱はなく、のどの痛み、咳、鼻水といった典型的な風邪の症状です。

昨日も面会に行ってきましたが、かなり調子は戻って来ていますが、鼻声のままです。

引きはじめはずいぶん辛そうな様子でした。

先週の金曜日ごろでしょうか、ヤッチが特養に面会に行くと、居室近くのカウンター越しに、女性職員さんから呼び止められます。

ヤバい…。

いよいよ告られるのか…。

…と一方的な妄想をいだきつつ…。

女性職員さん:「あの…、○○さん(アルツ君のこと)なんですけど、朝から体調が悪いご様子で…。お昼ご飯も食欲が無いらしく、残されてしまいました。普段は残されるようなことはないんですけどね…。」

よその施設のことは良く知りませんが、ここの施設の職員さんは入所者さんの名前を下の名前で呼びます。

普通なら『お父様』とか『お父さん』と呼びそうな感じですが、なぜか姓名の名の方を口にします。

ヤッチ:「そうだったんですか…。で?」

女性職員さん:「今は居室でお休みになられています。」

ヤッチ:「熱が有るのかな?」

女性職員さん:「いえ、こちらで測らせていただきましたが、平熱でした。今日は医師の巡回も有る日なので、先生に診てもらったところ、『風邪だろう』ということでした。」

ヤッチ:「ありがとうございます。お世話をかけます。じゃあ、部屋で寝てるのかな?」

女性職員さん:「はい、多分…。」

ヤッチ:「じゃあ、ちょっと様子をみさせてもらいますわ。」

女性職員さん:「ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」

ヤッチは居室に向かいます。

アルツ君の居室は閉まった状態…。

ヤッチは、いつもなら開け放たれたままの居室の扉をノックします。

アルツ君:「おう!!」

居室の中からアルツ君の声が聴こえてきます。

ヤッチは居室の扉を開けます。

居室の中では、パンツ一丁のままベッドに腰かけて、スエットのズボンをモゾモゾしているアルツ君の姿が…。

床には、何枚もの、履き古したと思われるスエットのズボンがきれいに拡げられています。

どうやら小失禁を繰り返して、ズボンを濡らしてしまい、それを地べた(床)に干しているのでしょう…。

(-_-;)

ヤッチ:「何だかずいぶんと、お店を拡げてるけど、フリーマーケットでもやるのか?」

アルツ君:「そうじゃないんだよ…。雨が降ったらしく、ズボンが濡れたから干してやってるんだよ…。」

ヤッチ:「ずいぶん、鼻声だなぁ?声もガラガラしてるようだな?」

アルツ君:「大丈夫だ。声変わりだ。」

ヤッチ:「早いとこ、ズボンを履かないと寒いぞ?」

アルツ君:「そうなんだけど、履こうと思ったら、こいつも濡れているんだよな…。」

アルツ君、股間のところだけ色の変わったズボンを手に持っています。

ヤッチ:「股のところだけ濡れてるところをみると、集中豪雨かぁ…。それをまた履いちゃうとますます雨がひどくなるから、新しいのに履き換えようよ?」

アルツ君:「新しいのなんて有るのか?」

クローゼットにはたくさんスエットのズボンがしまわれています。

ヤッチ:「ここにイッパイ入ってるよ。」

ヤッチはクローゼットを開け、クローゼットの中を見せます。

床に何枚ものスエットのズボンが散乱しているということは、自分でもクローゼットを開けているはずなんですけどね…。

(-_-;)

アルツ君:「あらっ。本当だ…。」

ヤッチ:「早いとこ、ズボンを履こうぜ。」

ヤッチはクローゼットの中から、一枚を取り出し、アルツ君の手に持っているものと交換します。

アルツ君:「これ…、どうするんだ?」

ヤッチ:「どうするって、履くんでしょ。パンツ一丁じゃないかよ。」

アルツ君:「アレ?本当だ…。誰が持って行ったんだ?」

ヤッチ:「持って行く人間は、きっと秋葉原にもいないと思うよ。寒いから早いとこ履いちゃおう!!」

この日の朝晩は冷え込んでいましたが、日中は暖かい日でした。

おそらく、この寒暖差で季節外れの風邪をひいたのだと思います。

熱は無いとはいえ、どうもアルツ君、だるいのか動きが緩慢…。

ヤッチがズボンを履かしにかかります。

アルツ君はベッドに腰を下ろしたままです。

紙パンツはなんとか自力で履き換えた様子です。

ヤッチ:「左足、持ち上げられるか?」

アルツ君:「ああ…。」

ヤッチ:「そっちは右足だよ。オカワリ!!」

何だか、足を上げるにもダルそう…。

(-_-;)

もう片方も足を通し、スエットのズボンをスルスルとアルツ君の太もも付近までたくしあげます。

ヤッチ:「ケツを持ち上げられるか?」

アルツ君:「俺のケツは重いぞ。」

ヤッチ:「そこにベッドの手すりが有るから、そこにつかまってゆっくり腰を持ち上げてみな?立てそうなら立ってもいいよ。そのかわり転ぶなよ。」

この日は腰を浮かすのもやっと…。

立ち上がったのは良いものの、ズボンを引き上げようとするヤッチの肩にアルツ君の上半身がのしかかって来ます。

ヤッチ:「熱でも有るんじゃないか?ずいぶん辛そうだな?」

アルツ君:「大丈夫だ…。まだ沸騰してないから…。」

ヤッチは相撲で言えば、もろ差しの状況…。

しかもアルツ君をかなり抱え込んでいる状況なので、そのまま、胸を合わせるようにして、アルツ君のズボンをへそ上くらいまで思いっきり引き上げてやりました。

アルツ君:「おいおい、無茶するなよ~。ケツが引きちぎれるぞ。」

ヤッチ:「足が長くなっていいじゃん。」

アルツ君:「まったく無茶しやがるな~。」

ヤッチ:「それより、今日は外に散歩と思ってたけど、無理そうだな…。」

アルツ君:「そうだな。天気悪いしな?」

ヤッチ:「いやいや、外は晴れてるよ。天気悪いのは旦那さんだよ。」

アルツ君:「そっか?俺かぁ…。」

ヤッチ:「食欲もないらしいじゃないか?昼ご飯も残したらしいぞ?」

アルツ君:「誰~?俺が~?俺は食欲なら有るぞ?」

ヤッチ:「でも、ここの職員さんが(昼食を)残したって言ってたぞ?」

アルツ君:「そんなはずはないだろう??俺は食欲はあるぞ、きっと俺に食わしたくなかったんだろう。」

ヤッチ:「そっちの『はず』のほうがないだろう?じゃあ、食欲はあるのかぁ?」

アルツ君:「あるさよ~。だから力が入らないんだ。」

ヤッチ:「おかしいなぁ…。職員さんも食欲が無いから、心配してたんだけどな…。イチゴを持って来たけど食うか?」

アルツ君:「イチゴなら大歓迎ですねぇ~。」

風邪をひいていると聞いていなかったので、ボタモチのチョイスも有りましたが、この日はイチゴで大正解だったようです。

もちろん、施設の職員さんには、食べさせて良いかの許可も取っています。

ヤッチ:「じゃあ、食べるか?」

アルツ君:「食う!!食う!!」

いつものようにジップロックに入れたイチゴをアルツ君に容器ごと渡します。

アルツ君:「かー!!美味いね~。これは北海道産か?」

ヤッチ:「なんで?」

アルツ君:「冷たいから…。」

ヤッチ:「何でも冷たきゃ北海道だって決めるのは北海道の人に失礼だぞ。冷蔵庫に入れてたんだよ。」

アルツ君:「冷蔵庫か…。」

ヤッチ:「冷蔵庫に入れると、甘くなくなっちゃうから、あまり入れたくなかったんだけどな。もう、イチゴも時期が終わりみたいで、痛むのが早いよ…。」

アルツ君:「腹の中に入っちゃえば、みんな、同じだ。」

ヤッチ:「まあ、多少腐ってようが、カビが生えていようが、俺が食うものじゃないからな。」

アルツ君:「バカっ!!」

ヤッチ:「それを食い終わったら、ベッドで横になりな?安静にしてないと治るもんも治らんから…。」

アルツ君:「眠くはないんだけどな!?」

アルツ君がイチゴを食べ終わったところでベッドで横になってもらいます。

ヤッチ:「今日は散歩にも出かけないし、夜飯まで、まだたっぷり時間が有るから、ゆっくりしてな。」

アルツ君:「そうかぁ…、たっぷりかぁ…。」

ヤッチ:「俺は帰るけど、布団を掛けて、目をつぶってな!?」

やはり、体調がすぐれないのでしょう…。

すんなりと、アルツ君、ベッドに横たわります…。

ヤッチ:「目をつぶったか?」

アルツ君:「ああ、つぶったよ…。」

ヤッチ:「何が見える?三途の川は見えてないかい?」

アルツ君:「見えない…。かつ丼が見える…。」

アルツ君

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ


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2013/05/08 | コメント (4) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

美女柳を眺める職人

2013/05/15 (水)  カテゴリー: アルツ君
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こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

アルツ君の風邪ですが、もう完治したと申し上げても良いでしょう…。

(*^_^*)

昨日も面会に行ってきましたが、鼻声はすっかり元通りになり、しっかりと裸足に転倒防止シューズという井出達で『定位置』に腰かけていました。

アルツ君:「今日はだ~れも来ないぞ。」

アルツ君は面会に今日は誰も来ていないと言っているわけですが、もの忘れもさらにひどくなって、数十秒前のことも忘れてしまうこともあるぐらいですから、仮に誰かが面会に来ていたとしてもおぼえているわけが有りません。

ヤッチ:「あのさぁ~。入院しているわけじゃないんだからさ…。普通、個人宅だったら、毎日来客が有ったら、返って迷惑な話しにもならないかい?」

アルツ君:「でもだ~れも美味いもの、持ってこないぞ?」

ヤッチ:「息子はそんな親に育てた覚えは有りません!!」

アルツ君:「かー!!きびしいねぇ~。」

ヤッチ:「毎日誰かが来るのを待つよりは、誰かを訪ねるっていうのが一般的じゃないのかい?もしかして歩けないんだろう?」

アルツ君:「ばか言っちゃいけないよ~。ちゃんとしてるさよ~。」

ヤッチ:「じゃあ、今日は散歩に行くべ?」

アルツ君:「構いませんよん!!」

昨日の東京は夏日で半袖でウェルカムの状態…。

アルツ君、なのに長袖にフリースのベストを羽織っています。

施設内は空調が入って、温度が一定なので、季節感というのを屋外に出ない限り感じられないのかもしれませんね。

ヤッチ:「外は結構暑いぞ。その格好じゃ、暑いかもしれないぞ?」

アルツ君:「大丈夫だよ。暑けりゃ素っ裸になるから。」

早速、アルツ君と表に出かけます。

当然、事前の紙パンツの確認は必須項目です。

立ち上がって、廊下を歩いてエレベーターを利用し、階下に下りるわけですが、もうすでに廊下を歩く足取りが、アルツ君、フラフラしています。

ヤッチ:「何だかフラフラしてるなぁ~。」

アルツ君:「ダンスしてるせいだろ!?」

ヤッチ:「つまんねー。」

アルツ君:「じゃあ、アルコールを飲んだせいだろ!?」

ヤッチ:「エチル?メチル?普通の人が飲むのは『酒』だろ?」

アルツ君:「うるさい!!メチルは『目が散る』だ!!」

ヤッチ:「それにしても、頼りない歩き方だなぁ~。風邪をひいてたせいかなぁ…。」

アルツ君:「多分そうだろ?そのうち、竹の子みたいに新しいのが生えて来るさ。」

ヤッチ:「いいですね~。前向きで…。じゃあ、今のうちに折り取って置くか?」

アルツ君:「嫌だ!!」

階下まで来て、玄関ロビーを通り抜けようとすると、施設内の清掃をして下さっている女性の職員さんたちがいらっしゃいます。

たいてい何人か一組で作業されているようです。

ご本人たちには失礼かもしれませんが、イメージとしては『掃除のおばちゃん』という方が想像しやすいかもしれません。

(^^ゞ

掃除のおばちゃんの一人がアルツ君に声をかけます。

掃除のおばちゃん:「あれ?どこに行くの?帽子なんて被っちゃって?デート?」

アルツ君:「散歩だよ、散歩。うるせーんだよ、歩けって。」

ヤッチ:「調教です、調教。日本ダービーに出る予定です。」

掃除のおばちゃん:「じゃあ、イッパイ歩いて来て!!」

掃除のおばちゃん達はアルツ君の顔をみると、いつも気さくに声をかけてくれます。

アルツ君も何だか仲間意識みたいなものが芽生えるらしく、普段よりにこやか顔になります。

アルツ君:「ふん、人を動物扱いしやがって。これじゃあ、手をついて歩かなきゃだな。」

ヤッチ:「それの方が速いかもよ!?」

アルツ君と施設の外に出ます。

ヤッチ:「やっぱりフリース脱いだ方がいいんじゃないかい?」

アルツ君:「まだ、外に出たばっかりだ。そんなに早く焦げやしないぞ。」

施設の廊下を歩くのと違って、やはり屋外に出ると急激に歩行が悪くなります。

アルツ君の身体がますます前傾し、正面を向いて歩くというより、下を向いて歩くことの方が多くなります。

ヤッチ:「坂本九も天国で悲しんでるぞ~。」

アルツ君:「どうも膝の調子が悪いんだよな~。チクショーっ!!」

アルツ君、何歩か歩くたびに立ち止り、自分の膝を叩いています。」

ヤッチ:「まだ鞭入れするのは早いぞ。ゆっくりでいいよ。ゆっくり歩こう。」

アルツ君:「どうも左がおかしいんだよな…。」

ヤッチ:「左足?」

アルツ君:「ああ。」

ヤッチ:「風をひいて、寝てたんだもんなぁ…。すぐに元通りにはならんだろう。」

アルツ君:「俺の場合、たいていのことは寝れば治るんだけどなぁ…。」

本人も自分の歩行に不安を感じているのでしょう…。

アルツ君の顔にあまり余裕が有りません。

ヤッチ:「今日は公園は取りやめにして、遊歩道をぐるっと一周して戻るか?」

アルツ君:「その方がいいらしいな…。」

施設の駐車場を抜け、遊歩道へ入ります。

暑かったので、適度に木陰有るので、直射日光の照りつける公園よりは良かったかもしれません。

何度もこの遊歩道に来ているのに、アルツ君にとっては毎回新鮮なようです。

アルツ君:「かー!!あんなに竹の子が伸びてやがる。あれじゃあ、食っても美味くないな。」

アルツ君:「かー!!ニシキギに花がびっしりついてるよ。こんなの活けたら面白いぞ!?」

アルツ君:「イロハもみじのやつ、もう花が咲いてるぞ。この花が飛ぶと、クルクル回ってきれいなんだぞ!?」

アルツ君:「どっかにカエルでもいないかなぁ…。」

ヤッチ:「いたら、どうだっていうの?」

アルツ君:「捕まえて、食ってやる。」

ヤッチ:「ああーあ、なんでも食い物にされちゃうな。そのうち、自分の腕とか噛むなよ?」

アルツ君:「…。」

遊歩道の後半まで来ると、もうアルツ君、ヘロヘロです。

(-_-;)

かなり長めの休憩を挟んでから歩き出すのですが、すぐに前のめりに転倒しそうになります。

自分でもそのことがこの日は良くわかったようです。

ことあるたびにいいわけです。

『お前が、疲れてるんじゃないかと思って休んでやった』、『靴が良くない』、『足元になんか落ちてた』等々…。

それでも何とか遊歩道を歩き終わり、施設の駐車場の入口まで戻って来ました。

屋外で歩いた距離はせいぜい200~300メートルほどでしょうか…。

施設の駐車場の入り口付近で、アルツ君の足が止まります。

ヤッチ:「どうした?休むか?」

アルツ君:「お前、見てごらん。『美女柳』の花が来てるぞ。」

アルツ君を指さした方向は施設の駐車場の植え込みです。

道路と駐車場の境に美女柳の植栽が有り、これらがつぼみを付けています。

美女柳は別名で、『美央柳』や『美容柳』と言ったりしますが、花市場のセリ人さんは、『ビジョヤナギ』と呼んでいたと記憶しています。

生け花などの枝もの(切り花)として出荷され、花は鮮やかな黄色で、おしべがヒゲのように長いのが特徴です。

あまり大きくならない低木なので、植栽の利用頻度も高いのでは!?

最近では、フラワーアレンジメントなどのアクセントとして人気のある赤い実の付く『ヒペリカム』というものも有りますが、確かこのヒペリカムも美女柳と同じ属名だったような…。

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ヤッチ:「おっ?ほんとだ!!よく気づいたね?」

アルツ君:「お前はどこをみて歩いてんだか…。」

ヤッチ:「すんまそん…、それでこの間、刈り込みをやってたときに、ここだけ切らなかったんだ!!」

アルツ君:「今から咲くのに、切ったらもったいないからな!?」

ヤッチ:「もう、じきに花が咲きそうだな!?そのころにまたここに来てみようよ?」

アルツ君:「そうだな。」

アルツ君と再び歩きはじめます。

施設の駐車場は自動車を何台も停められる広い駐車場なので、ここを歩くのも一苦労…。

やっとのことで施設1階のロビーまでたどり着きます。

ロビー付近では、先ほどの掃除のおばちゃん達がまだ清掃作業をしていました。

散歩に出かける前に声をかけてくれたおばちゃんが、我々の姿に気づき、近寄ってきました。

掃除のおばちゃん:「外は暑かったでしょ?部屋に戻ったらイッパイ水分を摂った方がいいよ。」

アルツ君:「ありがとう。」

掃除のおばちゃん:「どこまで行ってきたの?」

ヤッチ:「(施設の)前の遊歩道をグルっと。」

掃除のおばちゃん:「じゃあ、旦那さん、いっぱい歩いて来たんだ?」

アルツ君:「まあね!!駐車場のところに美女柳が有ったよ。そこをしばらく眺めて来たよ。もうそろそろ、きれいに咲きそうだよ。」

掃除のおばちゃん:「美女柳?」

アルツ君:「そう、美女柳。知ってるでしょ?」

掃除のおばちゃん:「ああ、知ってるよ。ここにも一人いるじゃない!?」

掃除のおばちゃんが自分で自分の顔を指さしています。

アルツ君:「珍種かなぁ…。」

アルツ君

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ


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2013/05/15 | コメント (2) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

歩行訓練~パーキンソンロードの復活

2013/05/18 (土)  カテゴリー: 進行性核上性麻痺
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こんにちは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

昨日、アルツ君のいる特養へ面会に行ってきました。

特に面会しに行く予定が有ったわけでありませんが、前日にアルツ君から電話をもらっていました。

もちろん、アルツ君が直接ヤッチに電話を掛けてきたわけではありません。

その日面会に来ていた姉からの携帯です。

姉:「あのさあ、パパがあんたに話したいことが有るんだって!?今代わるから!!」

アルツ君:「おーい!!お前か?明日は俺のところに顔を出すんだろうな?たまには顔を見せなきゃダメだぞ!!」

ヤッチにしてみると、しょっちゅう顔を合わせている気がするんですけどね。

(-_-;)

ヤッチ:「電話して来るなんて珍しいな!?なんか企みでもあるんだろ?」

アルツ君:「企みとは失礼だな。なんか美味いもんでも持って来てくれるんだろうな?」

ヤッチ:「美味いもんって、何がいいんだい?」

アルツ君:「お前、それをおれに言わせるのか?『言わずもがな』に決まってるだろ。俺より立派な脳ミソを付けてるんだから、自分で考えて下さいよ。」

ヤッチ:「美味いものを持って行くのはやぶさかではありませんが、明日までおぼえていられるんですかねえ?」

アルツ君:「そりゃあ、美味いものを持って来てくれるんだったら、死んでもおぼえてるぞ。」

ヤッチ:「じゃあ、死んでから持って行くよ。」

アルツ君:「それは困りますね。俺の口が有るうちに頼みますよ。」

姉:「…だって!?」

ブチッ!!(←電話の切れる音)

と、いうことで昨日は面会に行ってきたわけです。

(^^ゞ

あいにく、アルツ君の大好物であるボタモチはスーパーで売られていなかったので、セブンイレブンで『たっぷりだれで食べるみたらし団子』を購入です。

以前にもお話ししたと思いますが、このみたらし団子は冷蔵ショーケースに陳列してある商品で、アルツ君が好んで食す物でもあります。

ヤッチは特養3階のアルツ君の居室へと向かいます。

ヤッチ:「昨日、俺に電話を掛けて来たことをおぼえてるか?」

アルツ君:「昨日?昨日だっけ?なんかお前が美味いもんを持ってくるとか言ってたような気がするなぁ…。」

ヤッチ:「おっ!!そこまでおぼえてれば、たいしたもんだ。冴えてるねえ~。」

アルツ君:「それほどでもないよ。普通だよ、普通…。」

ヤッチ:「『持って行く』と約束はしていなかったけどな!?」

アルツ君:「まさか、手ブラで来たんじゃないだろうな?早くよこせ!!」

ヤッチ:「まったく、失礼だな。ちゃんとジャーブラ着けて来たよ。あいよ。」

ヤッチはアルツ君に買ってきたみたらし団子を渡します。

アルツ君:「おっ?冷たいぞ。かー!!1,2,3…。7つも入ってるじゃないか!?かー!!半分にするのが難しいなぁ…。」

ヤッチ:「俺が一つ食べてやろうか?」

アルツ君:「嫌だっ!!」

ヤッチ:「どうでもいいけど、ゆっくり食えよ。喉に詰まらせたりしたら、流行おくれだぞ!?もう、とっくに正月は終わってるんだから…。」

アルツ君:「あんまりこういうもんはゆっくり食うと、口の中で味が無くなっちゃうんだよなぁ…。」

ヤッチ:「どうでもいいけど、後で何を食べたか質問するから、ちゃんとおぼえておけよ。今何を食べてる?」

アルツ君:「まんじゅう!!」

ヤッチ:「ダメだこりゃ!!質問は取り消し!!食べ終わったら、散歩に行こうよ。今日はいい天気だぞ。」

アルツ君:「ちょっと待ってろよ。このまんじゅうを食い終わってからな。」

ヤッチ:「だから、まんじゅうじゃないって…。」

アルツ君がみたらし団子を堪能したところで、散歩の準備をして、二人で屋外に繰り出します。

前回、散歩に出かけた時は、風邪ひき後であったこともあり、遊歩道を一周したところでギブアップ…。

その後、公園まで足をのばすことはできませんでした。

(-_-;)

今日は遊歩道へは行かず、公園へ先に行く予定です。

ヤッチ:「今日は公園に行こうよ。公園にある鉄棒につかまって屈伸運動でもやってみようよ。」

アルツ君:「かー!!そんな事したら、肩が外れちゃうんじゃないかぁ?大丈夫かなぁ?」

ヤッチ:「ガッツリ腰を落としちゃうと、二度と浮上できないから、様子を見い見い、ゆっくりやってみな。」

アルツ君:「昔は、蹴上がりだって、大車輪だってスイスイできたのになぁ…。」

ヤッチ:「85歳で大車輪ができれば、テレビ局が取材に来るよ。」

公園の鉄棒までやってきました。

以前、アルツ君に鉄棒にぶら下がってもらったときは、腰を落としたものの、自分で懸垂して、身体を起こすことができませんでした。

この日のアルツ君は比較的身軽…。

高低差のある3つの鉄棒が有りましたが、中くらいの鉄棒をチョイス。

アルツ君:「おっ。ぶら下がってやれば、何とか膝が曲がるぞ!?」

ヤッチ:「『100回やれ』って言ったら無理でしょ?」

アルツ君:「お前は俺を殺す気か!!」

ヤッチ:「でも今日は調子がいいみたいだな?」

アルツ君:「いつだって俺は調子いいぞ。」

ヤッチ:「公園に来るまで俺にぶら下がってたからな。」

アルツ君:「そう言うなよ。膝の奴が言うことをきかないんだから…。」

ヤッチ:「鉄棒はその辺で切り上げて歩く練習をしようよ。」

いつもならこの公園はたくさんの子供たちで、とてもにぎやかですが、この日は子供たちの姿はまばら…。

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アルツ君の歩行訓練には、持って来いの環境です。

子供が障害物となって転倒でもしたら大変なことになりますからねぇ…。

ヤッチはアルツ君に歩行訓練のために、ちょっとよいことを思いつきまました。

パーキンソンロードの復活です。

パーキンソンロード
パーキンソン病者が身体の機能を回復するため、階段に似た状態をつくるという訓練方法です。パーキンソン病者の場合、何もないところでは足が止まってしまうのに階段なら昇れたり、障害物がある方が容易に乗り越えられたりというようなことが少なくありません。そこで、得意なことを利用する、つまり階段を登る能力をうまく利用したものがこれです。家の廊下などにカラーテープを階段と同じかやや広めの25cm幅くらいの間隔で、進行方向と直角になるように貼り、テープとテープの間に足を出し入れしていくことで、歩く機能の回復につなげます。

以前、このブログでも紹介させていただきましたが、この時は、アルツ君の居室内にヤッチがマスキングテープを貼り、簡易的なパーキンソンロードを作ったわけですが、その日のうちにアルツ君に剥がされてしまいました。

関連記事:パーキンソンロード [ アルツ君は職人 ](スマホ版はこちら

実に簡単なことですが、公園の広い地面に線を引くことです。

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これなら、アルツ君の居る施設の職員さん方に遠慮なく線を引けますし、何と言っても長い距離のパーキンソンロードを作ることができます。

剥がされる心配も有りません。

辺りに棒切れが落ちていないかと探したのですが、こういう時に限って見当たらず、ヤッチは自分のスニーカーのつま先で線を引きました。

細長い棒状のものでこの線を引いた方がはっきりして良いかもしれません。

アルツ君の立っている場所から30~40m先の木製のベンチまで線を引きます。

線を引く間隔は、25cmが一般的のようですが、目見当で30cmから40cm程度の線になってしまいました。

というのも、最初は25cm程度に引いていたのですが、段々アバウトになり、ベンチのところまで引くころには、すっかりヤッチの方が良い歩行訓練になってしまいました。

(^^ゞ

この線を跨ぐようにしてアルツ君に歩いてもらいます。

ヤッチ:「地面に線を引いたから、この線を跨ぐようにして歩いてみて?俺は手を貸さないから、最初はゆっくりね。」

ちょっと無謀ですが、介助なしの歩行訓練です。

アルツ君:「大丈夫さよ~。こんなのわけないさ~。」

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2013051715160000
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途中、こっちがドキドキする場面もありましたが、何とか自力で木製のベンチのところまでたどり着くことができました。

\(^o^)/

アルツ君に言わせると、やはり地面に引いた線の間隔は狭い方が歩きやすいそうです。

アルツ君が転倒しそうになるのは、決って線の間隔が広いところ…。

手抜きはいけませんんね。

(^^ゞ

人によって個人差はあると思いますが、跨ぐと言いっても、厳密には全部跨いでいるわけではなく、線を踏んでいるところもあります。

跨ぐのが目的ではなく、歩くことができれば良いのですから、結果オーライです。

久々に自分一人で手すりなどにつかまらず歩いたのですから、アルツ君、かなりお疲れ…。

2013051715170000
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まあ、このパーキンソンロードというのは、パーキンソン病をはじめとするパーキンソン関連の病気を持っておられる方のために考え出されたもののようですが、これだけ長い距離の線を引くと、特にパーキンソン関連の病気でなくても、面白がって歩くのでおススメかもしれません。

しばらく公園で休憩した後、公園を後にして施設へ戻ります。

ヤッチ:「歩くパワーはまだ残っているかい?」

アルツ君:「大丈夫さよ~。ちゃんと二本有る。」

施設は道路を挟んで対面ですが、けっこう長い駐車場を抜けて行かなくてはなりません。

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ヤッチ:「ここにも線が引いてあるから、これを跨げば?」

アルツ君:「バカ言うな!!なんぼ、俺が足が長くたって、股が裂けるわいっ!!」

アルツ君に本当にパーキンソン症状が有って、小刻み歩行になるのかは未だ定かでは有りませんが、線を引いていない箇所を歩くと、歩行がおぼつかなくなるのは確実で、駐車場内の線の無いところでは介助なしでは歩けない様子です。

(・ω`・?ハテナ?

居室に戻り、アルツ君、ベッドに腰かけます。

ヤッチ:「今日はずいぶんがんばったね?疲れたでしょ?」

アルツ君:「バーカ、あれぽっちで疲れるわけないだろ。」

ヤッチ:「でも、いつもよりは体力使ったんだから、少し休めば?夜飯までは、まだ時間が有るから、昼寝でもしたら?」

アルツ君:「お前がそう言うんじゃ仕方ありませんね~。ど~れ、ちっとばかし、横になるか~。」

アルツ君、そのまま倒れ込んで、ベッドで横になろうとします。

ヤッチ:「昼寝するんだったら、靴下脱いだ方がいいぞ。」

アルツ君:「おお、そうだな。」

アルツ君、再び身体を起こします。

がんばったご褒美にヤッチがアルツ君の靴下を脱がします。

アルツ君:「おい…。」

ヤッチ:「なに…?」

アルツ君:「俺の膝小僧の裏にアブラゼミがとまっていないか?」

今日の今頃は筋肉痛かもしれませんね~。

(; ̄ー ̄川 アセアセ

アルツ君

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ


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2013/05/18 | コメント (0) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

認知症の非薬物療法 ~ 回想療法

2013/05/23 (木)  カテゴリー: 進行性核上性麻痺
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過去の記憶

こんにちは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

今日の記事はかなりの長編なので、時間の余裕のある時、寝苦しい夜がおススメかもしれません。

交通機関を利用し、車内などで閲覧の方は降車駅を確認しつつ、読み進めてくださいね。

さて、5月20日の月曜日にアルツ君と大学病院で診察を受けてきました。

以前の記事でも書かせていただいたように、アルツ君は去年の大晦日にキノコさんのアパートの部屋で意識を消失し、救急搬送されました。

[関連記事:救急搬送される職人(スマホ版はこちら)]

幸い、大事には至らず、入院することもなく、すぐに帰宅することができましたが、その後、このことに関して、何の診察も受けていません。

また、アルツ君の入所している特養で手違いが有り、飲んでいないはずのメマリー(認知症の薬)を今年になってアルツ君が服用している事が発覚し、施設や施設の嘱託医と相談の上、徐々にメマリーを減薬し、最終的にはゼロにするという話が付いていました。

[関連記事:何でメマリー飲んでるの?(スマホ版はこちら)]

このメマリーの服用については、今年の4月9日にゼロになっています。

その後、認知症薬と呼ばれるものは、何も飲んでいません。

さらに、アルツ君が特養に入所する前の話になりますが、去年の2月に認知症専門医から『進行性核上性麻痺の疑い』という診断を受けています。

[関連記事:アルツ君の診断結果~進行性核上性麻痺の疑い(スマホ版はこちら)]

この診断から、おおよそ1年が経過しているわけですが、未だ『疑い』のままで、本当に進行性核上性麻痺(認知機能の低下を伴うパーキンソン病関連疾患で難病指定)なのか、そうではないのか、わからない状態です。

さらにさらに、最近のアルツ君、歩行の方もおぼつかなくなって、フラフラしています。

以上のことについて、すべていっぺんに解明されるとは考えていませんでしたが、とりあえず、大きな病院で診てもらおうと、月曜日に大学病院で診察を受けて来たわけです。

診察を受けた大学病院はアルツ君が救急搬送された病院でもあり、ヤッチが顔面神経麻痺で入院した病院でも有ります。

アルツ君が救急搬送されたときに診察券は作ってあります。

今回、アルツ君に受診してもらおうと思っていたのは、脳神経内科です。

事前に大学病院で確認したところ、診察券が有っても、はじめての診療科では、『紹介状』が無いと、診察はできないとのご回答…。

(-_-;)

アルツ君が救急搬送されたときの診療科は救急・集中治療科です。

ただし、月曜日だけは、予約をしていない患者や、紹介状無しの患者を専門的に診る医師が来るので、月曜日に来てもらえれば、診てもらえるということを病院から教えていただきました。

ただし、これについての診察の順番は先着順…。

_| ̄|○

この大学病院では、朝7時に受け付けを開始しているので、早く診察してもらいたければ、『早く来い』っていう話です。

というわけで、月曜日にちょいとばかり早起きして、小雨の降る中、7時に間に合うように、ヤッチは大学病院に向かいました。

診察時間が何時になるかわからないので、アルツ君は特養で待機です。

特養には姉に行ってもらって、ヤッチの電話連絡で、姉がアルツ君をタクシーで連れて来るという作戦です。

ヤッチは顔面神経麻痺やら脂肪腫のことで幾度となく、この病院を受診しているので、おおよそこの病院の手続き的なことを把握しているつもりです。

総合受付は朝の7時に開いたとしても、各外来の受付が開くのは8時半です。

そして医師が診察室に入るのは、多分9時頃です。

医師が診察室に入ると、外来患者よりも入院患者優先で診察をします。

ですから、どんだけ早くこの大学病院に出向いても、9時以降でないと、診察してもらえないことになります。

ヤッチが総合受付に到着したのは、時計ではっきり確認したわけではありませんが、6時50分ごろではないかと思います。

当然、窓口は開いていません。

すでに20人くらいの飛び込みでの診察を待つ患者さん達が、設けられたソファに腰かけています。

7時を回りました。

窓口はまだ開く気配ではありません。

恋愛の上なら、焦らし上手のプロのなせる技かもしれません。

7時半くらいでしょうか…。

受付の事務を行うと思われる女性職員さんの姿が見えます。

腰かけている方達はその姿が目に入ったのか、一斉に、窓口の前に歩み寄り、列を作ります。

中には走っている人もいます。

ヤッチはその列が整然とするのを待って、ゆっくりと立ち上がり、最後尾に並びます。

ヤッチの後ろへは少し遅れて車椅子の女性が並びます。

アルツ君と同じくらいの年齢でしょうか…。

車椅子を押す介助者はおらず、一人で車椅子の車輪を回して列に着いたようです。

足の不自由な方は当然スタートが遅れるは当たり前…。

ヤッチ:「お母さん、お先にどうぞ。」

お母さん:「いえいえ、悪いからいいですよ。」

ヤッチ:「そんなことをおっしゃらずに、私の前をどうぞ。」

お母さん:「でも、悪いから…。」

ヤッチは体を入れ替え、お母さんの車椅子の後ろに着きます。

ヤッチ:「押しますよ?」

無理やりお母さんをヤッチの前に並ばせてしまいました。

(^^ゞ

混雑している駅のホームで、降りる人を待たずに、われ先に電車に乗り込んでくるマナーのないサラリーマンの姿を思い浮かべたのはヤッチだけでしょうか…。

どうも、ヤッチは順番待ちの列に並ぶのが得意ではありません。

(-_-;)

雑誌やテレビで紹介されたラーメン店の前で、よく並んでいる人を見かけますが、あそこまでして、食べたいと思ったことがありません。

ヤッチは車椅子のお母さんと雑談しながら、順番を待ちます。

聞けばそのお母さん、診察前に月が替わって、保険証をまだ提示していないので、心配になって見せにきただけのこと…。

病院側もこういう方のための窓口を設ける必要がありそうですね。

そこまでしないでもみんなで譲ればそこまでする必要はないかっ!?

しばらくしてヤッチの順番が回ってきました。

アルツ君の保険証と診察券を窓口に出します。

ヤッチ:「受診するのは認知症の父なんですが、去年の大晦日に、こちらの病院に救急搬送されたことが有ります。その後診察を受けていないので、受診しようと思っているのですが、どちらの科を受診すればよいかわからないんですが…。私自身は、脳神経内科の先生に、まず診てもらうのが良いのかなと考えているんですが~??」

受付の女性職員さん:「今日は紹介状をお持ちですか?」

ヤッチ:「いえ、有りません。診察券だけです。」

受付の女性職員さん:「受診されるお父様は今日はこちらにいらしていますか?」

ヤッチ:「いえ、施設に居ます。私の連絡を待って、姉がこちらに連れて来ることになっています。すぐにお伺いできるとは思いますが…。」

受付の女性職員さん:「そうですか…。認知症関連だと、おっしゃるように脳神経内科になるのですが、(脳神経内科の)医師は9時にならないと診察室に入らないんですよ…。医師が来てから、医師と相談して、脳神経内科で受診していただくか、それとも他の科を受診していただくか、ご返事させていただきますけど、よろしいでしょうか?」

ヤッチ:「お願いできますか?」

受付の女性職員さん:「はい、わかりました。それでは、今から9時頃までお待ちいただくことになりますが、ここでお掛けになってお待ちいただきます?それとも席を外されますか?」

ヤッチ:「プラプラしてようかな~。」

受付の女性職員さん:「それでは診察券と保険証をお返ししますね。9時頃にまたお戻りなられたら、ここに声を掛けて下さいね?」

ヤッチ:「わかりました。」

9時まで時間が空いてしまいました。

病院内で携帯電話を利用できる所に移動し、姉に電話をかけ、今のやり取りを伝えます。

姉:「私もまだ家に居て、パパのところに行ってないんだわ~。パパのところに行って、9時くらいに施設を出ればいいかね?」

施設と大学病院までの距離はタクシーでおそらく30分程度…。

ヤッチ:「9時過ぎに診察してもらえる時間が決まるからさぁ~。もしかすると診察時刻が午後になっちゃう可能性も有るんだよな~。9時過ぎになって、診察時間がわかったらもう一度電話するよ。」

姉:「わかった!!パパも早く行きたがってるだろうから、じゃあ、9時にパパと施設を出るよ!!」

相変わらずですが、お姉さま、全く人の話を聞いていません…。

(-_-;)

ヤッチは、9時まで、1階のエントランスにある病院内の休憩ロビーのような所で、コーヒーを飲んで時間を潰します。

まだ、時間が早いせいか、患者さんより、病院内で働いている人たちが自分の持ち場に向かう姿の方が、目立ちます。

病院内の仕事も朝が早くて大変ですね。

しかも昼夜を問わずですから、頭が下がります。

ゆっくりコーヒーを飲み終え、9時になったので総合受付へ再び戻ります。

ヤッチ:「○○と申しますが、9時になったら、伺うように言われていたんですが…???」

ヤッチは女性職員さんにアルツ君の診察券を手渡します。

受付の女性職員さん:「はい。」

職員さんは診察券にハンドスキャナーのようなものをかざし、目の前にある端末を眺めています。

受付の女性職員さん:「○○さんですね?医師に確認いたしましたところ、やはり脳神経内科で診させてもらうとの返事が来ました。こちらに診察の予定時刻が書いてありますから、これをお持ちになって、脳神経内科の外来窓口にお出しください。」

受付の女性職員さんにヤッチはA4クリアファイルに入った書類を手渡されます。

そこには医師の診察する予定時刻が記載されています。

診察予定時刻:『10:00~10:30』

あくまでも目安時間なので、絶対にこの時間という意味ではありません。

総合受付と各科の外来受付は違う場所に有ります。

ヤッチは脳神経内科の外来受付に向かいます。

ここの外来診療科は、ほとんどが総合受付と同じフロアに有るので、迷わず向かうことができます。

ヤッチは、脳神経内科の外来受付の女性に、総合受付でもらった書類と診察券を手渡します。

脳神経内科:「こちらの科を受診されるのは初めてですか?」

ヤッチ:「はい。」

脳神経内科:「紹介状はお持ちですか?」

ヤッチ:「持っていません。」

脳神経内科:「承知しました。では、こちらの問診票をお席に掛けてご記入ください。お書きになったら、こちらにお出しください。」

ここで、ヤッチの携帯のバイブが振動します。

姉からのメールです。

メール本文:『もう、着いちゃった。パパと1階でコーヒーを飲んでいます。』

ヤッチは問診票を書き終わったら、1階に二人を迎えに行く旨のメールを送り返し、問診票を書きはじめます。

最初の方の問診票の質問に、ちょいと一人でニヤついてしまいました。

だって…。

『問.どこが悪いのですか?』

さすがに、答えの欄に、『頭が悪い』とは書けんでしょう…。

(-_-;)

一応、真面目に問診票に記入し、受付に提出します。

脳神経内科:「ありがとうございます。血圧は測られていますか?」

ヤッチ:「いえ。まだ、受診する人間がこちらに来ていないので…。」

脳神経内科:「そうですか。おみえになられたら、奥に血圧を測定する機械が有りますので、そこで血圧を測っていただいて、お手数ですが、機械から出てきた紙を再度こちらにお出し願えますか?」

ヤッチ:「わかりました。」

診察予定時刻は10時からですが、まだ十分に余裕が有ります。

ヤッチはエスカレーターを使って階下に下り、アルツ君と姉を迎えに行きます。

エスカレーターで下りている途中で、二人の姿を発見です。

ヤッチはテーブル付の椅子に腰かけている二人に近づきます。

ヤッチ:「何飲んでるの?」

アルツ君:「おっ?お前…。どっから来たんだ?」

ヤッチ:「どっからって二階の受付からだよ。」

アルツ君:「へー。お前、ここの二階に住んでるのか?」

ヤッチ:「なんで、病院に俺が住まなきゃならないんだよ!!」

アルツ君:「まあ、どっちでもいいや。それよりコーヒー飲むか?美味いぞ!!」

姉:「コーヒーはパパがおごってくれるんだって!!ねっ?」

アルツ君:「おお、いいぞ。100杯でも200杯でも飲め!!」

ヤッチ:「ずいぶん景気いいな~。金は有るのか?」

アルツ君:「おお有るぞ。140円!!」

特養に居ると、お金を使うということがないので、アルツ君、入所してからは、お金を持ち歩いていません。

ただ、お守り程度に、小銭入れに姉が140円だけ、お金を入れています。

今回は姉が病院を受診することを成年後見人さんに告げると、成年後見人さんは、5万円を姉の口座に振り込んでくれたそうです。

もちろん、その5万円は成年後見人さんのものではなく、アルツ君のお金を成年後見人さんが管理しているものです。

たぶん、その話を姉から聞いて、なんとなくおぼえていたのでしょう…。

ヤッチ:「140円持ってることをおぼえてるとは大したもんだ~。でも俺はさっき飲んだから遠慮しておくよ。」

アルツ君:「へー、ずいぶん控え目だな。珍しい…。」

姉:「パパね、病院に来るのを昨日と勘違いしてたらしいよ。待てど暮らせど誰も来ないから、一人でビービー泣いてたらしいよ!!」

アルツ君:「余計なこと、言うな!!」

姉:「あっ、だってホントじゃない!!施設の職員さんに言わせると、持って行くものを一生懸命準備してたらしいよ!!」

アルツ君:「余計なこと、言うな!!」

文章では伝わりにくいですが、誤解の無いよう、この会話は終始アルツ君、ニコニコ顔です。

ヤッチ:「へー、病院嫌いの旦那さんが、病院に行きたがるなんて、珍しいじゃないか?」

姉:「パパも、最近、歩けなくなってきてるのが、どうも変だって思うらしくて、イッペン診てもらわないとと、思うみたいよ!?」

アルツ君:「余計なこと、言わんでもいい!!」

姉:「あっ、だってホントじゃない!!『足がむくんでるからじゃない?』って私が言ったら、『そうかなぁ…。』って言ってたじゃない!!」

アルツ君:「うるさいっ!!」

姉:「それでね、今日は病院の先生にカンナで足を削ってもらうんだって!!ねっ?」

アルツ君:「もう、いいっ!!」

姉:「自分で削るより、プロに削ってもらったほうが、綺麗になるって言ってたじゃん!!」

アルツ君:「まあね!!削ればスッとするからな!?足を細くしてもらわんとなぁ!?」

ヤッチ:「カンナとは恐れ入ったなぁ…。血だるまになるぞ?」

アルツ君:「いいんだよ。少しぐらい血が出たって。お前とは鍛え方が違うんだから、少しぐらいの痛みは、ヘッチャラだよん!!」

ヤッチ:「今日はいつになく、元気がいいなぁ???」

姉:「久しぶりに外の空気を吸うからじゃない!?施設に居た時から、もう遠足気分よ!!」

アルツ君:「お前、こいつ(ヤッチ)にそんなことを吹きこんだら、大変なことになるぞっ!!」

姉:「でもね~。車椅子なんだよ~。」

アルツ君:「うるさい、うるさいっ!!」

アルツ君の腰かけている椅子の横には、病院で借りた車椅子が有ります。

ヤッチ:「長丁場になりそうだから、車椅子に乗っている方がいいでしょ。」

アルツ君:「お前に貸してやろかっ?俺は要らないぞ?」

ヤッチ:「旦那さんが借りたんだろ?だったら遠慮しておくよ。後で高いもんに付くからな!?」

アルツ君:「あーいうこと言ってやがるんだからなぁ…。」

ヤッチ:「そりゃそうと、診察なんだけど、10時からだって。その前に血圧を測ってくれって?」

アルツ君:「ケツ圧でもムネ圧でも、なんでも測ってやるぞ。美味いもの食わしてもらってないから、肉が最近減ってきてるけどな!?もう、もう行くか?」

ヤッチ:「まだ、コーヒー飲んでからでいいよ。そんなにノンビリはできないかもしれないけどな!?それにしてもそのテンションの高さじゃ、相当血圧高いんじゃないかぁ…。」

アルツ君:「そんなこともないよ…。上の中くらいだよ。」

姉:「それじゃあ、高いじゃん!!」

アルツ君:「そっか!?」

アルツ君がコーヒーを飲み終えたところで、3人でエレベーターを使って2階に上がり、脳神経内科に向かいます。

アルツ君、車椅子のステップに載せた両足が、少し飛び出したような格好になるので、車椅子を押しているヤッチが、エレベーターなどで壁際に寄ろうとすると、不安になるらしく、小さな悲鳴を上げます。

アルツ君:「あぁぁぁぁ…。お前、気をつけてくれよ。足は二本しか生えてないんだから。」

ヤッチ:「大丈夫だよ。だいたい、カンナで削ってもらうって言ってんだから、少し荒削りしておいた方がいいんじゃないか?」

アルツ君:「嫌だっ!!」

遠足気分のまま、血圧測定です。

特に正常値の範囲…。

ヤッチは血圧計から出てきた測定結果の紙を受付に出しに行きます。

戻ってきたヤッチにアルツ君が不安そうな顔で話しかけてきます。

アルツ君:「何だって?やっぱり入院だって?」

ヤッチ:「まだ、診察したわけじゃないよ。血圧の測定結果を出しに行っただけだよ。その前に、そんなうるさい患者は、入院お断りだよ。」

アルツ君:「俺はうるさくないよ。こいつ(姉のこと)がうるさいんだよ~。」

姉:「あっ?そういうこと言うなら親子の縁切るよ!!」

アルツ君:「へへーんだ!!俺は構わないぞ。」

姉:「そしたら、美味しいもの、もう食べられないよ!!いいの?」

アルツ君:「それは困るなぁ…。」

この二人、ここが病院であるという認識がすでに欠落しているようです…。

(-_-;)

血圧の測定を終え、脳神経内科の受付で、受付前に設けられている椅子に腰かけて、順番を待つように言われます。

まだ診察室前の待合室には入れません。

受付で渡された紙には、診察室の番号と自分の受付番号が記載されていて、受付横の表示板に、自分の受付番号が表示されたら、はじめて診察室のある待合室に入って良いことになっています。

要は二段階で順番を待たなくてはならないわけです。

たくさんの患者をさばかなくてはならないので、混雑緩和の策なのでしょう…。

アルツ君は車椅子なので、受付前の三人掛けのソファには腰かけられません。

受付から少し離れた位置ある場所に陣取って、表示版に自分たちの番号が表示されるのを待ちます。

ようやくアルツ君も落ち着いてきたのでしょうか。

少し辺りを見回す余裕が出てきます。

アルツ君:「かー!!こんなに人が大勢いるのか?みんなどっかしら悪いんだろう?かー!!いやだいやだ…。」

姉:「パパだってそのうちの一人じゃないっ。」

アルツ君:「俺はちょっと足が太ってるだけだからな!?」

姉:「他は悪い所はないの?」

アルツ君:「ちっとだけ頭がな!?それは昔からだからな!?」

姉:「ふ~ん…。」

アルツ君:「だからってお前(姉)よりは頭はいいぞ。」

姉:「失礼なやつだっ!!」

アルツ君、この日ヤッチと顔を合わせてから、ほとんどしゃべり放し…。

約一名、同類項の女性もいますが…。

(-_-;)

大きな病院なので、まず診察予定時刻に診てもらえることは、少ないと考えた方が良さそうです。

10時半を回ったところで、ようやく診察室前の待合室へのゴーサインが出ます。

まだ、ここから診察している先生に、スピーカー越しに自分の名前を呼ばれるのを待たなくてはなりません。

診察室前の待合室の奥には、脳神経内科だというのに、大きな文字で『中央処置室』と書かれた看板が、目に飛び込んできます。

アルツ君にもそれが目に入ったようです。

アルツ君:「おい!!あんなところに死人を入れておく部屋が有るぞ!?」

姉:「違うよ!!あれは処置室だよ!!霊安室じゃないよ!!」

アルツ君:「そっか!?そうじゃないのか…。俺は、また死人を放り込んでおく部屋かと思ったぞ!?」

姉:「そっか、そっか…。パパも死にたいのか???」

アルツ君:「バカっ言え!!俺はまだピンピンしてるっ!!」

ヤッチ:「あのさぁ…。ここは病院なんだからさぁ…。『死人』とか『死』とか口にしちゃ、まずいでしょ…。頭抱えて座っている人もいるんだから…。」

姉:「…だって!?怒られちゃった!!やっぱりパパとあたしは頭の構造が一緒なんだよっ!!この子の脳ミソを少しもらった方がいいかもね!?」

アルツ君:「俺はそんなもんよりは、ボタモチもらった方がよっぽどいいぞ!?」

姉:「お腹空いたかぁ???」

アルツ君:「俺は年中、空いてるね~。」

気付けば、姉は自分のカバンから、饅頭らしきものを取り出し、アルツ君に盗み食いさせています…。

(-_-;)

恐るべし親子…。

(-_-;)

この親子のことを書いていると、いつまで経っても先に進まないので先に進みます。

( ̄^ ̄)

診察室のあるドアの横には、この日担当して下さる医師の名前が、プレートのようなもので表示されています。

この先生、大きな病院にしては珍しく、一人の患者さんにものすごい多くの時間を割いています。

一人の患者さんに30分以上は割いているのでは!?

ふと時計を見ると、診察予定時刻10時を超えて、11時半…。

アルツ君がお腹が空くのも、無理もない話かもしれません…。

ようやく、アルツ君の名前がアナウンスされました。

\(^o^)/

病院で借りたアルツ君の車椅子を廊下に置き、三人でゾロゾロと診察室に入ります。

この日担当して下さる先生はお若い先生…。

30代かな!?

先生:「問診票を拝見しましたが、今日はどういった?」

ヤッチは1年前に撮ったアルツ君のMRIの画像を持参してきました。

それを先生に差し出します。

アルツ君が、MRIのあまりのうるささで、装置の中で動いてしまったときの画像です。

[関連記事:アルツ君の診断結果~進行性核上性麻痺の疑い(スマホ版はこちら)]


ヤッチ:「これは去年撮ったMRなんですが…。」

先生:「はい、それでは拝見させていただきます。」

ヤッチ:「その時診断して下さった先生は、『正直、難しいなぁ…』とおっしゃり、『進行性核上性麻痺(PSP)の疑い』という診断でした。」

先生:「はいはい、そうですね…。私も難しいなあ…。というのも、何で難しいかというと、お父様は85歳という年齢です。正直、年齢的にみてもいろいろな症状が出て来るわけですよ。」

この先生、実に早口でお話になります。

たぶん、アルツ君には、あまりに早口過ぎて、何をおっしゃってるのか、わからなかったと思います。

ヤッチ:「その時診断して下さった先生は、『明るいレビー(レビー小体型認知症)』みたいな表現もしておられました。」

先生:「問診票に書かれている事と、今の話をお伺いする限りでは、まあ、雑な言い方をすれば、混合型の認知症かな!?今、申し上げたように、年齢を重ねると、どんな方でも、パーキンソン症状が出てきたりもします。55歳くらいから健常な人でもアルツハイマーが始まっていて、じわりじわりと進行しています。初期段階ではそれをアルツハイマー病という表現を使わないだけですから…。」

ここから先に書かせていただく文章ですが、診察時に先生がおっしゃった表現とかなりズレが有るかもしれません。

なんせ、早口過ぎて、聞き取るのに必死で、踏切で急行列車の通過を目で追っているかのようです。

\(◎o◎)/!

先生:「じゃあ、お父さん、僕の指先を見て。僕が指を動かすから、僕の動きについて来て。」

先生は立ち上がり、アルツ君の目の前から少し離れた距離で、左右に指を動かします。

先生がアルツ君の左側に、指を持って行きます。

アルツ君、今回は首を動かしません。

1年前のドクターが同じことをやった時は、首を一緒に動かしてしまいました。

アルツ君:「左!!」

どうやらアルツ君、首も眼も動かさずに、視野を確かめているようです。

先生:「首を動かさないのは結構ですが、眼は動かしてよ。」

アルツ君:「あんまり得意じゃないね…。」

何回かやるうちに、先生の指の動きに眼を動かすようになりましたが、アルツ君が理解してやっていない様子なので、あまり先生の参考にはならなかったようです…。

(-_-;)

このあと、長谷川式簡易知能評価スケールをやります。

何回かアルツ君にこれをやってもらっていますが、毎回爆笑物の珍解答が飛び出します。

先生:「お父さん、歳はいくつですか?」

アルツ君:「80…いくつだっけな!?忘れちゃったよ。」

先生:「じゃあ、今日はいつだかわかる?何年何月何日?」

アルツ君:「今日は今日だよ。」

先生:「そうじゃなくて、何年何月何日?」

アルツ君:「あんまり気にしたことないよ。」

先生:「じゃあ、ここはどこだかわかる?」

アルツ君:「ここはここだよ。」

先生:「今居るところは病院、家?」

アルツ君:「病院かな…。」

この後も先生の質問は続きます。

過去にアルツ君がこれと同じことをやった時の記事を書かせていただいているので、ご興味のある方はご覧になってみてください。

だいたい同じような結果です。

[関連記事:長谷川式簡易知能評価スケール(スマホ版はこちら)]

今回は先生の採点が甘かったのか、30点満点中15点だそうです。

以前より成績アップです。

先生:「まあね…、これの点数が悪いからと言って、あまり気にしないでください。逆に良いからと言って、安心もしないでください。ね、その程度のテストですから…。」

この後も先生は、いろいろなテストをして下さいました。

両手の指を使って数を数えたり、ひざの上でグーチョキパーをやらせたり、ひじを曲げさせ抵抗を診たり、診察室の中を歩かせてみたり…。

盛りだくさんの内容で、ヤッチも全部を思い出せないので、長谷川式では、満点を採れないかもしれません。

(^_^;)

アルツ君:「ずいぶんといろんな体操するんだね?」

先生:「体操じゃなくて、お父さんのことを調べてるんです。」

アルツ君:「どっこも悪くないでしょ?」

先生:「まあね…、いろいろ調べてみないとね…。」

ヤッチ:「先生、進行性核上性麻痺じゃないかって言われているんですけど、この辺はどうなんでしょうかね?」

先生:「はい、じゃあ、お父さん。自分の胸のところで、腕を十字に結んでみてください。」

アルツ君:「結んだら、ほどけなくなっちゃうよ!?」

先生はご自身でお手本を示します。

絵に描いて示せば良いのですが、絵心が無いので、うまく伝わるかどうか…。

ちょうど、着替え中の女子更衣室の戸を開けてしまったときの、女子の反応です。

胸の前で腕を交差させ、胸を『キャー!!』と言って、隠す仕草です。

先生:「そうそう。その格好のまま立ち上がれるかな?」

アルツ君:「そんなのヘッチャラだよ。」

アルツ君、普段は、何かにつかまらないと立ち上がれないのに、この時はスーッと立ってしまいました。

工エエェェ||li(´;д;`)il||ェェエエ工

姉:「えっ…、普段は絶対こんな事できないのに…。」

先生:「今はいろいろなことをやって、お父様は普段より興奮しているんだと思います。脳の中で何が起こっているかというと、ドーパミンという物質がたくさん出ている状態です。普段できないことが、できたりすることは良く有る事です。」

姉:「はぁ…。」

先生:「第一の医師より、第二の医師ってご存知ですかね?」

先生がこのような表現をしたか、はっきり言って、おぼえていません。

(-_-;)

先生:「初めて診察を受ける患者さんは、医師とも初対面で、興奮していることが多いですよね。でも、二回目以降は落ち着いて、普段通りの症状が出るんですよ~。よく私のところに来られる患者さんのご家族は『いつもはもっと元気がないんですけどね…。先生のところに来ると急に元気になっちゃうんですよ…。』って、おっしゃる方が大勢います。ね、これは当たり前です。ドーパミンがいっぱい出てるんですから…。ですから、二回目に診察したり、あるいは、違う先生に改めて診てもらう方が、症状について、医師もご家族も把握しやすいのかもしれません。」

姉:「はぁ…。」

先生:「でもね、仮にいつもよりお父さんが元気だとして、もし進行性核上性麻痺なら、こんな風にスーッと立てません。そう言ったことから、現時点で進行性核上性麻痺ではないと言えます。」

姉:「そうなんですか…。よかった!!」

先生:「でもね、勘違いしないでくださいよ。これだけ年齢を重ねている方なわけですから、いろんな症状が今後出て来る可能性は有りますからね。」

ヤッチ:「今現在は進行性核上性麻痺ではない、ということですか?」

先生:「そうですそうです。私はたくさんある症状の中で、どれが突出しているかを申し上げているのであって、1年後は違う症状が突出してくるかもしれません。現時点での重症度をみて、申し上げていると言ったらわかりやすいかな!?」

ヤッチ:「なるほど…。」

先生:「歩いているところを見させてもらいましたが、若干の小刻み歩行は有ります。パーキンソン症状だと言えるかもしれませんが、レビー小体型認知症なら、もっと、すくみ足で歩幅は、小さくなると思います。あと、お父様は、ここ数年で人格がガラリと変わってしまったということは有りますか?」

姉:「それはないと思います。」

先生:「そうですか…。脳の委縮は前頭葉と側頭葉、側頭葉については、どちらかというと左側の委縮が大きいかな…!?そう言った意味では、前頭側頭型認知症、いわゆるFTDも考えたんですがねぇ~。」

姉:「ただ、最近施設の生活でストレスが貯まっているのか、興奮して声を荒げることもあるようなんですが…。」

先生:「うん…。まあ、前頭側頭型認知症、いわゆるFTDなら、ガラリと人格が変わってしまうことが多いですから、要素は無きにしもあらずかな…。」

姉:「そうなんですかぁ…。」

先生:「ただ、前頭側頭型認知症(FTD)は、脳の神経細胞が死んでしまう変性疾患という点では、アルツハイマーやレビー小体型認知症と同じです。ただ、後者二つの認知症は、脳の後方で、変性が起きます。FTDは、名前のとおり、脳の前方です。お父様の場合は、どちらかというと、脳の後方…。時間や空間の認知機能が低下しています。アルツハイマーの方が強く出ているかな…。」

もうここまで来ると、自分の脳ミソをパックリ先生の前で開けて、『どこ?』って聞きたくなります。

おまけにこの先生、前頭側頭型認知症のことをFTD、アルツハイマー型認知症のことをADとおっしゃったり、ATDとおっしゃったり、レビー小体型認知症のことをDLBとおっしゃるので、ヤッチの脳ミソの中では、アルファベットが喧嘩しまくりです。

(-_-;)

ちなみに東京ディズニーランドは何でしたっけ?

先生:「今の重症度からは、この言葉は曖昧な表現ですが、混合型の認知症で、動脈硬化+アルツハイマー型認知症+BPSDかな~。BPSDは周辺症状と呼ばれるものです。脳の後方に変性が有ると考えられ、時間や空間の認識が薄くなっているというのが、現時点です。」

姉:「はい…。それで、先生、時々、父の左足がカックンってなるんですが…???足のむくみもひどくなってきているんですが…???」

先生:「左足ですか?右足じゃないの?」

姉:「いえ、左足です。」

先生:「MRを見させてもらった限りじゃ、右足に障害が出るはずなんだがなぁ…。」

姉:「でも、私も、時々、父と一緒に歩きますけど、左足がカックンってなることが多いんです。」

アルツ君:「そうだよ。左がおかしくなるんだよ。足も太っちゃってるしな!?」

姉:「それで、父は先生に『カンナで削ってもらう』、『カンナを貸してもらう』なんて言ってるんですよ。」

先生:「最近、歩いていますか?」

姉:「施設に入所してしまったんで、機会は減っていますね。」

先生:「お父さん!!それは運動不足。ね、取り繕いが上手なお父さんだから、なんとかかんとか言って、歩いてないんでしょ?」

アルツ君:「『なんとか』は言うけど、『かんとか』は言わないよ。」

先生:「それもお父さん、取り繕い。少しでもいいから、歩くのが一番の薬。まだ若いから、イッパイ歩いて下さいよ~。カンナでなんか、僕は削りません!!」

アルツ君:「そうだね!?まだ若いもんな?」

先生:「そうです、そうです!!」

ヤッチ:「それと先生、もう一つお伺いしてよろしいでしょうか?」

先生:「どうぞ。」

ヤッチ:「去年の年末に意識消失して、こちらの病院に救急搬送されているんですが、何か今までのお話の中で関係することって、あるんでしょうか?」

先生:「そうですね…。アルツハイマー型認知症の方には、よく有る事ですよ。脳に有る海馬も委縮して、脳室が拡大しますから、これが意識消失に繋がるんですよ。」

ヤッチ:「けいれんはしませんでしたが、私自身はてんかんの発作なのかなとも思ったのですが…???」

先生:「海馬の委縮によって、てんかんのようなけいれん発作もおきます。場合によっては自律神経発作、意識消失…、いわゆる失神って言うやつです。」

ヤッチ:「そうだったんですか…。」

先生:「もし、御心配なら、脳波をとって調べる必要が有りますね。」

姉:「父の負担を考えると、それはちょっと無理かな…。もし倒れるようなことが有れば、改めて考えたいと思います。」

先生:「まあ、てんかんの可能性は低いと考えて良いと思いますよ。頻繁に起こるようなら、検査する方が良いかもしれません。」

姉:「先生、今、父は認知症の薬は飲んでいないんですけど、薬を飲んでもらった方が良いのでしょうか?」

先生:「今までは飲んでいたの?」

ヤッチ:「はい。飲んでいたんですけど、どうも薬剤過敏が有るらしく、飲むと調子が悪くなってしまうんです。それで、進行性核上性麻痺ではないかと言われたときに、この病気なら効果は期待できないからと、やめてしまいました。その後、施設で手違いが有って、1年ほど飲むことになりましたが、この4月に飲むのをやめています。」

先生:「どうでしょう!?飲んでいて何か変化は有りましたか?」

ヤッチ:「メマリーについて言えば、5mgからマックス20mgまで行きましたが、どちらかといえば傾眠傾向が強くなるだけで、何か劇的に変化が有ったという様子は無かったように思います。」

先生:「5mg飲んだ時と、20mg飲んだ時と、違いは有りましたか?」

ヤッチ:「目に見えての変化は、有りませんでした。」

先生:「そうしましたら、飲まなくても良いでしょう。」

ヤッチ:「と、おっしゃいますと…?」

先生:「20mgまで増やして変化がみられないなら、薬が効いていないと考えられます。反対に言えば、薬が効く人は5mg飲んだところで、明らかな変化が出ますよ。薬の量の問題じゃないんだな…。量の…。」

ヤッチ:「そういうもんなんですか?」

先生:「はい、『どうして?』って訊かれると、私もまだ勉強中ですけれども、多くの患者さんを診察していると、メマリーに関しては、効く人は少ない量でも『元気になった』とか、『スッキリした』っておっしゃるものですからね…。」

ヤッチ:「他の認知症の薬も同じようなことが言えるんですかね?」

先生:「正直、はっきりしたことは、わかりません。ドネペジル(アリセプト)、ガランタミン、リバスチグミン(リバスタッチ、イクセロン)、メマチン(メマリー)…、といろいろな薬が出ています。ご存知のようにどれも病気の進行を遅らせる薬であって、病気そのものを根治する薬ではありません。メマチン(メマリー)なども、グルタミン酸を抑制するって言ってますけど、じゃあ100人患者さんがいらしたら、全員が同じような効き目、つまり進行を遅らせることができるかというと、そうじゃないんだなぁ…。」

ヤッチ:「じゃあ、今のところは薬は飲まなくても良いということで…?」

先生:「だいたい、お父様は薬に過敏に反応してしまうんでしょ!?だったら、なおさら多くの量の薬は使わない方がいいと思いますよ。DLB(レビー小体型認知症)なら、たくさんの量の薬を飲むと、返って症状が悪化する人もいますからね。」

ヤッチ:「私自身もこれといった決め手のない薬を飲んで、返ってグッタリするようなら飲まない方がいいのかな!?って考えています。薬以外になんか良い方法ってあります?」

先生:「ん…。どれも明確な根拠は有りませんが、何よりも大事なのは、日常生活に支障をきたさないようにサポートしてあげる事です。原点に立ち返って、『怒らない』、『否定しない』、『説得しない』の、この三つを守ってください。ね!?御病気の方でも尊厳が有ります。自尊心を傷つけるのは、一番してはいけないことだと僕は考えますよ。」

ヤッチ:「うむ。おっしゃる通りだ…。」

先生:「薬が使えないのなら、薬を使わないアプローチで、お父様の尊厳を傷つけないように、明るく、楽しく過ごしてもらう…、非薬物療法ですよ。ね?お父さん?」

アルツ君:「まあね!?」

先生:「非薬物療法の中に、回想療法というものがあります。短期の記憶に障害のある方でも、昔のことはよく覚えています。これに働きかけてあげるんですよ。懐かしいこと、楽しかったことなどの遠い過去のことを思い出してもらって、精神的に落ち着く環境にしてあげるんですよ。話をするだけでも良いし、時には一緒にやるということもしてみてくださいよ。もしかすると、遠い記憶を呼び起こすことで、どんどん忘れてしまっていたことを思い出して、記憶が結びついていくかもしれない。そうだ!?お父さん、昔は何をしていたの?」

アルツ君:「だれ?俺?昔?昔も今も遊んでたかなぁ…。」

先生:「はい、おなじみのト・リ・ツ・ク・ロ・イ…。昔の職業は?」

アルツ君:「昔?昔は『花屋』だよ。」

(。´・д・)エッ

ちょっとビックリ…。

アルツ君の中で『花屋』の記憶は抜けています。

たしかに『花屋』時代は長いものになりますが、『植木屋』とか『植木職人』と言うかと思っていました…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ

先生:「じゃあ、花に興味はある?」

アルツ君:「どうかなぁ…。花は、食えないものが多いからな…。」

先生:「またト・リ・ツ・ク・ロ・イ…。じゃあ、盆栽は?」

アルツ君:「盆栽?どうかなぁ、俺が凡才だよ!!」

ヤッチ:「先生は、『剪定』に興味はありますか?って訊いてるんだよ!!」

アルツ君:「剪定?あー頼まれれば、何ぼでも切るぞ!!そのかわり、金くれないと、切らないぞ!?」

先生:「その調子その調子…。」

ヤッチ:「時々私が、『地下たび履いて散歩しよう』なんて言ったりするんですが、あながち、間違ってはいなかったんですね?」

先生:「良い事だと思いますよ。」

アルツ君が、特養で月に2回受けている音楽療法なども、昔の懐かしい童謡などを歌ったり、それに付随して、その時に何をしていたかなどの質問をしたりしますから、非薬物療法になりますかね!?

ヤッチ:「じゃあ、旦那さん、今度から公園に地下たびで行くか?」

アルツ君:「今日は天気悪いからなぁ…。」

先生:「僕の方はこの辺でいい?繰り返しになりますが、現時点で言えるのは、お父様の場合、動脈硬化、それにアルツハイマー型認知症、いわゆる後方型です。時間や空間に対しての認識が薄くなる、それにBPSD。今後は、年齢とともに、別の症状も予想されます。その時は、またこちらにいらしてきてください。そして、『怒らない』、『否定しない』、『説得しない』のこの三つを守ってください。ご家族や周囲は、ご本人の自尊心を傷つけない努力をして下さい。お父さん、いっぱい歩いて早く元気になってね!!」

かれこれ、1時間以上は診察室に居たのではないでしょうか…。

時間をかけて、いろいろ説明して下さった先生に感謝です。

医師にとって、病名を特定することは重要なことかもしれませんが、家族には病名の特定より、どうお世話するかの方が大事な事…。

改めて、初心に帰らなければいけませんね…。

ヤッチの場合は、アルツ君の自尊心を傷つけないギリギリのラインで、自尊心を刺激しつつ、やる気みたいなものを起こさせようとしてきましたが、改めて考える必要が有るかもしれません。

診察室を出ようというところで、姉がヤッチに耳打ちしてきます。

姉:「フェルガードのこと、訊かなくていいの?」

質問事項盛りだくさんで、すっかり忘れていました。

(^^ゞ

ヤッチ:「先生、すいません。もう一つだけ、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

先生:「どうぞどうぞ。」

ヤッチ:「父に、フェルガードというサプリメントを飲ませているのですが、これを継続して飲んでもらって良いものかどうか、お伺いしたいんですが…???」

先生:「フェルガード?」

ヤッチ:「フェルラ酸が主成分のサプリです。」

先生:「サプリメントでしょ!?医薬品ではないんですよね?」

ヤッチ:「いわゆる栄養補助食品っていうやつですかね…。」

先生:「ふんふん、サプリメント…、医薬品と言うのは、長い期間をかけて、臨床試験をクリアしてきたものです。臨床試験をパスして、厚労省が認めたものだけが、医薬品です。今は黒酢だとかの、いろいろなサプリが出ています。でも、これらは臨床試験を通っていないので、医薬品ではありません。言い方をかえると、サプリメントの類は医薬品ではないので、効果や効能をうたってはいけないものです。うたってしまうと、医薬品になってしまいます。医薬品でないものを医薬品としてしまえば、当然、法律に触れることになります。サプリメントではありませんが、よくコマーシャルなどで、『効果については個人差があります』なんて小さな文字で書いてあるのをご存知ですかね!?サプリメントなら、これすらもうたっちゃいけないんじゃなかったかな…。」

ヤッチ:「たしかに、なんとなくその言葉が脳裏に焼き付いていますね…。」

先生:「ね!?そういうものがサプリメントです。もし効果があるのなら、それは医薬品です。でも現在の認知症薬で認知症を完全に治す薬はまだ出ていません。私の口から医薬品ではないものを『はい、どうぞ』とはね…。あくまでも、『個人やご家族の御判断で…』ということでよろしいでしょうか?」

ヤッチ:「そうですよね!?どんなお医者さんの言葉も、説得力がありますからね!?そう、おっしゃっていただいた方が、先生に対しての信頼感が増しますよ。」

ちょいと歯切れの悪いご回答でしたが、確かに正論です。

否定も肯定もしないナイステクです。

ヤッチ自身も最近、サプリメントに疑問を感じはじめているのは事実です。

姉やキノコさんは、サプリメントに対して肯定的ですがね!?

これについては、賛否両論あると思われるので、この辺にしておきましょうかね!?

診察を終え、先生にお礼を言い、再び待合室に出てきます。

アルツ君をトイレに連れて行き、会計を済ませます。

成年後見人さんから5万円も用立ててもらっているのに、支払った金額はたったの70円…。

工エエェェ━━||liil||━━ェェエエ工

病院内のレストランで少し遅い昼食をとります。

アルツ君が食事を待っている間、ぼそりと、つぶやきます。

アルツ君:「おい、あの先生、俺に、いいこと言ったな?」

ヤッチ:「なんで?」

アルツ君:「俺に『もっと歩け』って言ったよ。薬は、『飲まんでいい』とも言ってたよな?」

薬嫌いのアルツ君にしてみると、病院は、薬を出すところという印象が強いのでしょう…。

ヤッチ:「今日は素晴らしい記憶力ですね?」

アルツ君:「まあね。あの先生、俺に『若い』って言ってたからな!?」

ヤッチ:「たしかに言ってた…。」

アルツ君:「でも、あの先生、俺にカンナを、貸してくれなかったんだよなぁ…。」

アルツ君

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ

食事を終え、アルツ君と姉はタクシーで施設に戻りました。

ヤッチは自宅へ…。

自宅に着いたところで、姉からの携帯が鳴ります。

姉:「今、施設から自宅に帰ったんだけどさぁ、施設の人に診察結果がどんなだったか、いろいろ訊かれたんだわ~。」

ヤッチ:「それで?」

姉:「今日の先生の話を、だいたいは伝えたんだけどさぁ~。私もパパと同じで、右から左だからさあ~。『詳しいことは、弟がきいているから、弟に聞いて下さい。』って言っておいたから?」

ヤッチ:「で、どんなことをしゃべったの?」

姉:「現時点で、進行性核上性麻痺の症状は出ていないって言うのと、あと、あの先生、『三つを守りなさい』って言ってたじゃない?」

ヤッチ:「三原則のこと?」

姉:「そうそう!!それを施設の人に言ってきたのよ!!『怒らない』、『否定しない』、それと…、うぬぼれさせる!!」

お姉さま

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ


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2013/05/23 | コメント (4) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

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