site_title進行性核上性麻痺の疑いのある元植木職人のアルツ君(父)、アルツ君の愛妻キノコさん(母)、そしてアルツ君の息子ヤッチの日々の生活を紹介しています。
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アルツハイマー型認知症以外のもの忘れの病気

2012/01/18 (水)  カテゴリー: アルツハイマー型認知症
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こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

今日NHKの『ためしてガッテン』というテレビ番組をご覧になられたでしょうか?

新聞のテレビ欄に『もの忘れに効く薬』の文字が有ったのでちょっと面白そうということで早速観てみることに…。

番組の内容はというと、もの忘れの病気にアルツハイマー型認知症が有るが、最近60歳代からの方に認知症とは違う、別の原因でもの忘れの病気になる方がいらっしゃるとか…。

この番組、毎度のことだが、番組の後半にならないと答えを教えてくれない。

気の短いヤッチにはちょっとイラッと来るところだが、何とか最後まで我慢して観ることが出来ました。

ヤッチのように不愉快な想いをしなくて済むように、ご覧になっていなかった方のために先に答えを申し上げちゃいますね。

答えは『てんかん』

脳の神経細胞が過剰に興奮することで、いろいろな発作を起こしますが、代表的なものに失神やけいれんがあげられます。
「てんかんとは、種々の成因によってもたらされる慢性の脳疾患であって、大脳ニューロンの過剰な発射に由来する反復性の発作(てんかん発作)を特徴とし、それにさまざまな臨床症状及び検査所見がともなう。」
(WHO(世界保健機関)編:てんかん辞典より)

大脳の神経細胞(ニューロン)は規則正しいリズムでお互いに調和を保ちながら電気的に活動しています。
この穏やかなリズムを持った活動が突然崩れて、激しい電気的な乱れ(ニューロンの過剰発射)が生じることによって起きるのが、てんかん発作です。
このため、てんかん発作はよく「脳の電気的嵐」に例えられます。
また、てんかん発作は繰り返しおこることが特徴です。そのため、1回だけの発作では、ふつうはてんかんという診断はつけられません。

【原因】
てんかんの原因は人によって様々ですが、大きくは症候性てんかんと特発性てんかんに分けれます。
<症候性てんかん>
脳に何らかの障害や傷があることによって起こるてんかん
例)生まれたときの仮死状態や低酸素、脳炎、髄膜炎、脳出血、脳梗塞、脳外傷
<特発性てんかん>
様々な検査をしても異常が見つからない原因不明のてんかん

【発症年齢】
乳幼期から高齢期まで幅広く発病しますが、3歳以下の発病が最もおおく、80%は18歳以前に発病すると言われています。
しかし近年、人口の高齢化に伴い、高齢者の脳血管障害などによる発病が増えてきています。

【遺伝】
てんかんのほとんどは遺伝しません。
一部のてんかんには発病に遺伝子が関係していたり、発作の起こりやすさを受け継ぐことが明らかになっていますが、そうしたてんかんの多くは良性であり、治癒しやすいようです。

【てんかんという病名について】
「てんかん(癲癇)」という名称は、欧米諸国で使われている「エピレプシー」よりも起源の古い、古代中国医学に由来する言葉です。


  • 「癲」:紀元前200年、秦の始皇帝の時代に、倒れる・ひっくり返る病という意味で用いられ、「癲」1文字で、てんかんという意味で表された
  • 「癇」:7世紀初頭、隋の煬帝の時代、特に小児のてんかんという意味で用いられる

この、「癲」「癇」という言葉をあわせて、現在の「てんかん(癲癇)」として使われたのが、10世紀の初頭、唐の時代のことです。
つまり、「てんかん」という病名の由来は、てんかん発作の代表とも言うべき大発作である「倒れる病」という意味です。

【分類】
発作は大きく分けると、全般発作と部分発作に分けられます
<全般発作>
発作のはじめから、脳全体が「電気の嵐」に巻き込まれるもので、意識が最初からなくなるという特徴がある
<部分発作>
脳のある部分から始まる発作

引用:社団法人 日本てんかん協会ホームページより

なんでも子供のころになるてんかんとは違い、60歳辺りから後天的に発症するてんかんだとか…。

医学的なことはよくわかりませんが、脳の電気信号には興奮系のものと抑制系のものがあり、両者のバランスが保たれています。

小児期に起こるてんかんの多くはこの興奮系の神経細胞が過剰な興奮を起こして、痙攣したり、失神したりするのが主らしい。

小児期のてんかんは成人になるころまでには、消失するものも多いらしいが、高齢者のてんかんは同じてんかんでも抑制系の神経細胞が働かくなって起こるものらしい。

相対的に抑制系の細胞の働きが弱るために、興奮系の細胞に歯止めが効かなくなってしまう…。

脳全体がショートしたような状態ではなく、興奮は部分的にしか起きないのもポイントのようです。

小児期に起こるてんかんは体質などで起きることが多いのですが、高齢者場合は脳梗塞などの脳血管障害が主な原因ということです。

アルツハイマー型認知症と総じて同じような症状のため、誤診されることも多いそうですが、当然別の病気のため、認知症の薬を飲んでも症状が改善されることはありません。

アルツハイマー=もの忘れ、もの忘れ=認知症みたいなNHKの解説の仕方にちょっと疑問を感じましたが、主な症状はというと?

  • 60歳代からの発症
  • 突然のもの忘れ
  • 記憶がまだら状に抜け落ちる
    (去年の旅行の記憶は抜けているが、一昨年の旅行の記憶はちゃんと憶えているなど)

  • 短時間ボーっとする(意識が途切れる)ことがある
  • 衣服をまさぐるなどの無意識の動作・反復
  • 睡眠中の痙攣

などがあげられるようです。

てんかん治療は薬で改善されるケースが多いので、もの忘れが『てんかん』によるものであるとわかれば、抗てんかん薬を服用することで劇的に症状が改善されるというのが番組の答えでした。

でもこの報道の仕方どんなもんなんでしょうか?

てんかんによる発作の型はたくさん有るし、抗てんかん薬の種類だってたくさんあります。

てんかんを発症し、自分の発作の型に合った抗てんかん薬がすぐに見つかれば良いのですが、なかなか発作の型に合った薬が見つかるまで、発作を繰り返してしまう方も多いと聞きます。

薬さえ飲めば、もの忘れは治るみたいな報道にちょっと?マークです。

知っていることで早期治療につながるのは確かなことですが…。

(-_-;)


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2012/01/18 | コメント (4) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

アルツ君、脳梗塞!

2014/11/26 (水)  カテゴリー: 脳梗塞
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救急車の中

こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

11月25日(火)のお昼の2時ごろ、アルツ君ですが、入所している特別養護老人ホームの居室で倒れ、救急搬送されました。

知らせを聞いてヤッチも特養に駆けつけ、救急車に一緒に乗り込みました。

搬送先の病院で、CT、MRI、MRAなどを撮り、その結果、左側の脳に脳梗塞を起こしているとの事…。

入れ歯をつけていないせいもありますが、呂律(ろれつ)は回らず、右腕(上肢)に麻痺があります。

足の方は右も左も動かすことができます。

搬送された病院には、ベッドの空きがなく、また別の病院に救急搬送され、その病院で入院となりました。

姉や姉の旦那さんも2回目に搬送された病院に駆けつけてくれました。

三人で先ほど一緒に、アルツ君の入院先の病院から帰ってきました。

アルツ君ですが、三人が病院をあとにする頃には、言葉はよく聞き取れませんでしたが、意識は戻っているようです。

急なアルツ君の入院となったので、明日からヤッチもちょっとだけ、忙しくなりそうです。

少しの間、記事を書くことができないかもしれません。

後日必ず詳しい内容の記事を書かせていただきますので、どうかご容赦くださるようお願い申し上げます。

乱文もご容赦下さいませ。

m(__)m


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アルツ君の脳梗塞 ~ 救急救命室編

2014/11/30 (日)  カテゴリー: 脳梗塞
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brain_infarction_01

こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

申し訳ありません。

なかなか落ち着いて記事を書く時間がなくて、更新が遅くなってしまいました。

前回の記事で約束させていただいた通り、アルツ君の脳梗塞について、すこし細かく記事を書きたいと思います。

長い文章になりますので、寝落ちしないようご注意下さい。

また前回の記事と重複する箇所も出てきますので、お許しのほどを…。

まず、ご心配下さった方のために結論から先に…。

アルツ君、生きています。

右手は麻痺しているようで、丸まったまま動きません。

アルツ君、右利きなので、あとあとが気になります。

しゃべり方も舌が思い通りに動かないのか、発声が変で、聞き取れない場面がたくさんあります。

覚醒レベルも良いとはいえず、いびきをかいて寝ていることが多い状態が続いています。

記事を書くタイミングがリアルタイムではなくなってしまいましたが、出来るだけ現実に追いつくよう記事を書き足していきたいと思います。

まずは、施設で倒れてから、搬送されたときまでを書きたいと思います。

11月25日火曜日のお昼過ぎにアルツ君は入所している特別養護老人ホームの居室で倒れ、救急搬送されたのですが、この日はヤッチもアルツ君のところへ面会に行こうと思っている日でした。

冷たい雨がシトシトと降っていた日で、ヤッチはレインシューズを履こうか、スニーカーを履こうか悩み、結局、レインシューズを履き、部屋を出ようとした時でした。

時刻にして、ちょうど午後2時頃、会社にいる姉から電話が入ります。

姉:「今、施設から電話があって、パパが部屋で倒れちゃったんだって。施設の人が『右腕がダラッとしているし、呂律も回っていないみたいだから、すぐに救急搬送します。』っていうことだから!」

ヤッチ:「あちゃー…。俺も今、そっち(特別養護老人ホーム)に向かおうと思っていたところだけど、今日は雨模様だから、自転車で行けないよ…。」

姉:「うん。『救急車で病院に向かうのに家族の付き添いを待っていたら、パパの処置が遅れちゃうから、とにかく早く病院に連れて行って下さい!』って施設の人に言っておいたから。」

ヤッチ:「了解。とりあえず、施設に行ってみるよ。なんか有ったら電話するし、情報が入ったら連絡ちょうだい?」

姉:「うん。わかった!よろしく頼むね!」

ヤッチは合羽を着て自転車で施設に向かうか、少し迷いましたが、その暇が有ったら、走った方がマシだと思い、施設まで傘をさして走ります。

特別養護老人ホームまでは、普通に歩いても15分~20分はかかるので、走ったところで、アルツ君は救急搬送された後であろうことはわかっていたのですが、誰ともわからぬ第三者に自分のいいところを見せつけます。(今なお太ももが筋肉痛…。)

施設に到着すると、一階のエントランスの受付の女性職員さんは慌ただしく動いている様子…。

ヤッチ:「お世話になっています。もう、(救急車は)出ちゃいました?」

女性職員さん:「いえ。それがまだなんですよ…。」

ちょうど救急車のサイレンの音が聴こえてきます。

女性職員さん:「あっ!たぶんあれだ!裏(施設の裏)に行っちゃったのかしら?」

そこへ救急車がエントランスに横付けされます。

ヤッチ:「じゃあ、俺、救急隊の人達と三階に上がっちゃうね?」

女性職員さん:「あ、はい。」

ヤッチは救急救命士さん三人を案内し、ストレッチャーと一緒にエレベーターに乗り込みます。

3階に着き、アルツ君の居室まで行くと、居室の中はたくさんの人でごった返しています。

ヤッチは人の間をかいくぐり、ベッドに仰向けで寝かせられているアルツ君の足元へ到達。

ヤッチの目の前で、アルツ君、右ひざを立てる動作をします。

どうやら、足(下肢~太ももから足先)には異常が無いようです。

アルツ君の足元からでしたが、顔を覗き込みます。

かつてヤッチがそうであった左右非対称の顔にもなっていません。

ヤッチはアルツ君の右手の甲の辺りを指先で軽く叩きます。

ヤッチ:「旦那さん、これ感じるか?」

アルツ君:「…。」

反応がありません。

返事をしたのかもしれませんが、大勢の人の声が飛び交っているので、ヤッチには聞こえなかったのかも…。

一旦ヤッチは居室の外へ出ます。

廊下にも大勢のギャラリーが…。

そのギャラリーの一人からヤッチは声を掛けられます。

施設の生活相談員さんの上司にあたる方です。

職員さん:「どうも、こんにちは。」

ヤッチ:「あ、どうも。いつもお世話になっています。どんな状況で倒れたんですか?」

職員さん:「実は昼食を摂られて、少し経ってから、お部屋の方で興奮なさっているご様子でして…。」

ヤッチ:「また、暴れていたんですか?」

職員さん:「はい。かなりの興奮がありまして…。」

ヤッチ:「で?」

職員さん:「お父様の居室をうちのものが訪ねた時は、ベッドの横で倒れていらっしゃって…。」

ヤッチ:「床の上っていうこと?」

職員さん:「はい。で、呂律も回っていないし、右腕もダランとしていらっしゃったので、すぐにうちの看護師を呼んで診させたら、『すぐに救急搬送したほうがいい。』ということになりまして…。今はベッドの上で寝ていただいていますが…。」

ヤッチ:「なるほど…。」

アルツ君が興奮している最中に意識を失って倒れたのか、しばらく経ってなのか、定かでありません。

しばらく経ってから倒れたとすれば、その空白の時間がどのくらいの長さなのか?

空白の時間中、職員の見守りは有ったのか?

この辺はまだ詳細を伺っていないのでわかりません。

ヤッチと職員さんが居室の外の廊下で話をしていると、居室の中で救急救命士さんがアルツ君の担当の介護職員さんに質問をしているのが聴こえてきます。

救急救命士さん:「○○さん(アルツ君のこと)の要介護度はいくつなんですか?」

介護職員さん:「たしか、要介護度5です。」

廊下にいたヤッチが割って入ります。

ヤッチ:「要介護3じゃないの?5だったら、『寝たきり』じゃない?」

介護職員さん:「すいません…。3です。」

介護職員さんが訂正します。

おいおい、普段自分が世話をしている入所者の要介護度くらいは把握しておこうよ…。

(-_-;)

ヤッチは再び居室の外に出て、救急搬送の準備を待ちます。

アルツ君がストレッチャーに載せられて居室から出てきます。

ふたたび、エレベーターを使ってエントランスへと…。

救急車にはヤッチと施設の主任看護師さんが乗り込みます。

もちろん、アルツ君も…。

ヤッチは半袖姿の主任看護師さんに声を掛けます。

ヤッチ:「半袖じゃ、寒いんじゃないですか?上着を持って来た方がいいんじゃないですか?」

主任看護師さん:「いえいえ、大丈夫です。」

救急車の後ろのハッチが閉まります。

すぐに発車すると思いきや、なかなか発車しません。

搬送先がなかなか決まらないようです。

救急救命士さん:「どこか、掛かり付けの病院というのはありますか?」

ヤッチ:「ここには嘱託医がいらっしゃるからなぁ…。」

救急救命士さん:「外部で受診されたことは?」

ヤッチ:「それだったら、以前、意識を失って倒れて、やはり救急搬送されたJ病院が有るけど?そこなら診察券も有るし、認知症のことでも受診したことが有りますよ。」

J病院はアルツ君が以前大晦日にキノコさんの部屋で倒れ救急搬送された大学病院です。

また認知症の診察としては直近で受診した病院で、非薬物療法を進めてくれた病院。

付け足しですが、ヤッチが顔面神経麻痺で入院した病院です。

関連記事

アルツ君が誤嚥性肺炎で入院したOG病院という選択肢もありますが、手に負えぬという理由で追い出された経緯もあるので、あえて候補に上げませんでした。

第一、OG病院は脳神経外科や脳神経内科は専門ではありません。

救急救命士さん:「では、J病院に問い合わせさせていただきます。」

ヤッチ:「よろしくお願いします。」

しばらくたって、救急救命士さんが再びヤッチに声を掛けます。

救急救命士さん:「今、J病院に問い合わせたんですが…。たぶん、ご入院になると思うのですがベッドに空きが無いらしいんですよ。」

ヤッチ:「そうでしたか…。」

救急救命士さん:「ただ、診察や処置だけは行えるので、その後はベッドの空きのある病院に転院で構わなければ、お引き受けできると言ってきているのですが…?」

ヤッチ:「転院する場合、救急車で運んでくれるんでしょ?」

救急救命士さん:「それはもちろん。」

ヤッチ:「失礼しました。選り好みしている場合じゃないんだから、J病院にお願いします!」

救急救命士さん:「わかりました。確認が取れ次第、J病院に向かわせていただきます。」

J病院と確認が取れ、アルツ君はJ病院に搬送となりました。

搬送中の車内で、救急救命士さんからいろいろと質問されました。

日頃の生活や服用薬、倒れた時の状況等々、ヤッチは現場に居合わせていなかったので、この質問の多くは主任看護師さんが答えて下さいました。

ちょっと気になったのは、アルツ君が倒れていた時の状況です。

ヤッチは職員さんから倒れる前に興奮があったと聞いていましたが、この看護師さんは、違うニュアンスで答えていました。

この主任看護師さんが第一発見者なのかわかりませんが、施設の誰かがアルツ君の居室を訪ねると、床で倒れているアルツ君の姿が有ったとだけしかお答えにならず、その前に興奮があった事をおっしゃいませんでした。

まあ、同じことを搬送先の病院でも訊かれると思ったので、ヤッチは黙っていました。

J病院に到着です。

アルツ君は救急室に運ばれ、主任看護師さんとヤッチは救急室の外の待合室で待つように言われます。

今回、問診票を書かされる場面はありませんでした。

おそらく、救急車の中で救急救命士さんが色々と、我々から聞き取り調査を行っているので、それで間に合ったのだと思います。

日本の医療もすばらしい連携プレイですね。

ヤッチは待合室で待っている間、屋外に出て姉に電話を掛けます。

ヤッチ:「今大丈夫?」

姉:「うん。大丈夫だよ。」

ヤッチ:「一応搬送先はJ病院になったけど、どうもベッドに空きが無いらしくて、J病院では入院させてもらえないみたいなんだ。」

姉:「そうすると?」

ヤッチ:「ベッドの空きのある病院に転院になるみたい。」

姉:「J病院で探してくれるのかね?」

ヤッチ:「そりゃあ面倒みてくれるでしょ。『帰ってくれ。』って言われても帰れる状態じゃないんだから。」

姉:「で、パパの方はどうなの?」

ヤッチ:「救急車の中で、朦朧としてたけど、意識が有るのか無いのかはっきりしないな…。宇宙語をしゃべる場面もあったし…。」

姉:「呂律が回ってない感じ?」

ヤッチ:「うん…、そうだな…。うがいしているみたいなうめき声だった…。」

姉:「そっか…。右腕は?」

ヤッチ:「うん、指先は動いてなかったな…。救命士さんが『右の上肢(肩から手の先)は完全麻痺かな~。』って言ってた。」

姉:「そうかぁ…。」

ヤッチ:「でも、救命士さんの声が聴こえたのかどうかわからないけど、その声が聴こえた瞬間、目を覚まして、左手で自分の右腕を引っ張り上げるような仕草を見せたんだよ。」

姉:「へえ…。」

ヤッチ:「俺が『気合い入れてるのか?』って言ったら誰も反応してくれなかった…。」

姉:「ばーか。こんな時に当たり前だろ!」

ヤッチ:「でも、俺には若干、右肩に力が入ってるように見えたんだけどな…。」

姉:「麻痺していないっていうこと?」

ヤッチ:「うん、上腕部分は神経が繋がってるような気がしたけどな…。」

姉:「で、先生は何て言ってるの?」

ヤッチ:「検査中だからまだ話ができないよ。それであなたに電話したっていうわけ。」

姉:「じゃあ、また何かわかったら、連絡ちょうだい?私もなるべく早くそっちに行くし…。」

ヤッチ:「ただ、また違う病院になっちゃうかもしれないよ。」

姉:「そん時はそん時でまた連絡ちょうだいよ?」

ヤッチ:「了解。」

姉との電話を切ってしばらくして、主任看護師さんとヤッチはJ病院の救急救命の先生に呼ばれます。

小さな診察室のようなところです。

救急救命の先生:「今、お父様の脳のCTを撮らせていただいたのですけど、出血はしていないようなんですよね…。」

ヤッチ:「と、おっしゃいますと?」

救急救命の先生:「あくまでも可能性ということになりますけど、呂律が回らなかったり、腕がプランプランするということからも脳梗塞ではないかと…。」

ヤッチ:「は…。」

救急救命の先生:「まだ詳しく調べてみないとわからないですけど、症候性てんかん(脳に何らかの障害や傷があることによって起こるてんかん)の可能性も有ります。」

ヤッチ:「症候性てんかん!?肩を脱臼している可能性は?」

救急救命の先生:「それはないです!」

先生、即答です。

救急救命の先生:「で、CTは出血を判別するのにはきわめてすぐれた機械なんですけど、梗塞などを調べるのには弱いんですね。」

ヤッチ:「そうなんですかぁ…。」

救急救命の先生:「じゃあ、何が強いかっていうと、MRという機械です。正確にはMRIとかMRAというものです。CTは放射線で画像を撮るものですが、MRは強い磁気を発生させて画像を撮影するものです。脳梗塞などを調べる時は、CTよりもMRの方が判別しやすいんですよ。」

ここの病院の先生の特徴なのか、知識ひけらかしトークは、時々イラッとします。

ヤッチ:「で?」

救急救命の先生:「これから、MRIとMRAの検査をしたいと思います。特に身体の中に金属とか入っていませんよね?」

ヤッチ:「はい。ただ昔はハガネのようなカラダと言われていました。」

救急救命の先生:「…。わかりました。義歯は外されていますもんね?」

ヤッチ:「はい。」

足の小指にネイルをしているかもしれないという冗談を思いつきましたが、やめました。

もうこの時で、この病院に搬送されてから1時間以上は経過しています。

待つこと、さらに1時間以上です。

ヤッチは病院の診察で待たされるのに慣れているほうなので、この時はまだ、さほど苦にならなかったのですが、主任看護師さんがしびれを切らします。

救急の受付の人に何か聞きに行ったようです。

少し暗い面持ちで帰ってきました。

主任看護師さん:「『ただ今検査中ですので、もうしばらくお待ちください』ですって…。」

ヤッチ:「旦那さんの前に、頭のデカい人がMRIを受けているんじゃないですかね?」

主任看護師さん:「…。」

どのくらいの時間が経過したか覚えていませんが、もう外は暗くなっていたように思います。

ふたたび救急救命の先生に呼ばれます。

救急救命の先生は主任看護師さんとヤッチのほうにパソコンのモニタを向け、MRIの画像を見せます。

救急救命の先生:「これがお父様の脳の画像ですが、ご覧になられている画像の向かって右に白い部分が有るのがお分かりになりますか?」

ヤッチ:「はい。」

救急救命の先生:「この画像は首の方からカメラが覗き込んでいるとお考えください。つまり、白い部分はお父様の左側の脳に有るということになります。ここが梗塞を起こしている箇所です。大脳に梗塞を起こしているということが言えると思います。」

ヤッチ:「側頭葉だとか、前頭葉だとか脳にもいろいろ有るじゃないですか?具体的にはどの辺になりますか?」

救急救命の先生:「そうですね…。確かにそういう言葉がありますが、便宜上分けているだけで、脳に区切り線が引かれているわけではありません。まあ、あえて言うならですよ、側頭葉で、側頭葉でもやや後方になるのかなぁ…。」

ヤッチ:「そうですかぁ…。」

救急救命の先生:「それと、もう一つ。画面の右側の下のほうが、他の部分に比べて黒くなっているのがわかります?全体的に他の部分は灰色に近い黒ですが、この部分だけ黒いのが強くなっていると思うんですけど…??」

ヤッチ:「はいはい、えぐれたように黒くなっているところですよね?」

救急救命の先生:「そうです。そうです。そこが前にも同程度の梗塞をやってる跡です。」

ヤッチ:「えっー!ホントですか?」

救急救命の先生:「黒く写るのは脳の細胞が死んでしまっている箇所です。ご存知のように脳の細胞は一度死んでしまうと、もう元には戻らないので、そこが過去に梗塞を起こした箇所だと推測できるんですよ。」

今回、アルツ君が脳梗塞を起こしたのは、ヤッチにとってショッキングな出来事でしたが、前にも脳梗塞を起こしていると聞き、ダブルパンチのショックです。

いつ?

このブログを最初のほうからご覧いただいている方も思い当たるような箇所が結構あるのではないでしょうか。

迷走神経反射をはじめ、幾度となく意識消失してますからねぇ…。

救急救命の先生:「で、今度はMRAの画像なんですけど、こちらがお父様の脳の血管を撮影したものです。太い血管から分岐して細い血管が走っているのがお分かりになりますか?」

ヤッチ:「朝鮮人参みたいですね。」

救急救命の先生:「普通、健康な人の場合、ほとんど左右対称に血管が走っているのですが、ご覧になってお分かりのとおり、向かって右側の細い血管の影が段々薄くなっています。これも脳の画像ですから、右と左を逆に考えて下さい。」

ヤッチ:「血が通っていないということですか?」

救急救命の先生:「そういうことです。」

ヤッチ:「そうすると、先ほど先生は症候性てんかんの可能性も有るとおっしゃっていましたけど、画像から判断して、症候性てんかんの可能性は無いと考えてもよいわけですか?」

救急救命の先生:「はい。まず、脳梗塞と考えて良いでしょう。というより、症候性てんかんの発作と考えるなら、脳梗塞に起因していると考えた方がわかりやすいかな!?」

ヤッチ:「なるほど…。」

救急救命の先生:「それでなんですが…。」

いよいよ先生が本題を切り出します。

救急救命の先生:「施設で倒れられていたということなんですが…。この倒れられた時刻を13時半と仮定すると、まだ梗塞から4時間半を経過していないので、t-PAが使えるんですが…???」

ヤッチ:「なんですか?それ?」

救急救命の先生:「t-PA治療、血栓溶解療法と言います。」

ヤッチ:「なんだか、佐々木小次郎があみ出した技みたいだなぁ…。その何たらというのは、何をどうする話なんですか?」

救急救命の先生:「急性期(症状や徴候の発現が急激で、生命の危機状態にあること)の脳梗塞の場合、脳の血管内の血栓を溶かしてやって、血流を戻してあげれば、症状は回復します。血流を戻すことを血流再開というのですけど、血流再開が早ければ早いほど症状はもちろんですけど、後遺症も少なくなります。」

ヤッチ:「薬か何かを使うっていうことですか?」

救急救命の先生:「そうです。具体的にはアルテプラーゼという薬を使います。グルトバという言い方もあります。」

ヤッチ:「なんだか、ますます言いにくいし、難しい名前ですね。で、その過激派の薬は点滴か何かで入れていくんですか?」

救急救命の先生:「おっしゃられる通りです。ただ、このt-PAをやれるのが、先ほど申し上げたように4時半以内と言われています。もう少しで4時半経ってしまうので、早目にやるかやらないを決断しないとこの方法は使えなくなります。」

ヤッチ:「私に早く決めろということ?」

救急救命の先生:「そこでなんですが…。」

ヤッチ:「はい?」

救急救命の先生:「アルテプラーゼというのは強力に血栓を溶かしてくれる薬です。当然血流再開は早くなりますが、反面、強いお薬ですから、出血を引き起こしやすいというリスクを持ちます。ベネフィットとリスクの両方を併せ持つ薬なんですね…。」

久しぶりに聞きました。

『ベネフィット(恩恵)』という言葉…。

救急救命の先生は続けます。

救急救命の先生:「お父様の場合、86歳という、大変失礼ですがご高齢ということもあって、脳の血管も非常にもろくなっています。MRAの画像を診させていただいてもわかる箇所があります。t-PAをやれば、症状は劇的に改善する可能性も有りますが、それ以上は申し上げなくてもお分かりになりますよね?」

ヤッチ:「鼻血ブー?」

救急救命の先生がうなずきます。

ヤッチ:「で、その劇的に改善する方法以外にどんな治療法が有るのでしょうか?」

救急救命の先生:「t-PAに寄らない保存的治療になってくると思います。」

ヤッチ、この時、保存的治療と言われてもチンプンカンプン…。

後でわかったことですが、保存的治療というのは、手術を行わない治療法のことで、この場合はt-PA以外の薬を使って治していく方法ということらしいです。

ならば、『手術をしないで薬で治します。』とおっしゃってくれれば、親切なのに…。

ヤッチ:「先生ご自身は、そのPTAだかTPPだかをやった方がよいとお考えですか?」

救急救命の先生:「t-PAのことですね?繰り返しになりますが、利益も大きいかわりにリスクも大きいので、年齢的なことを加味すると難しい判断になるので、出来ればご家族様に御意向を伺いたいと考えています。」

ヤッチ:「リスクの少ない治療法を選んだ場合、後々父にどんな影響が出て来るのでしょうか?」

救急救命の先生:「リスクの少ない治療法というより、一般的治療、保存的治療のことをおっしゃられているのですよね?」

ヤッチ:「そうです。」

救急救命の先生:「ご本人様次第ではありますが、脳の部位からすると、お身体の右側に麻痺が残る可能性があります。ただ、右足は動かしていらっしゃったので、今現在動かない右腕だけともいえます。」

ヤッチ:「ほかには?」

救急救命の先生:「そうだな…。片側の視野が狭くなるとか、失語かな…。失語といっても、言葉が出なくなるのではなくて、部位的には、こっちが話している事が理解できない失語かな…。」

ヤッチ:「コミュニケーションがとれないのはつらいな…。」

救急救命の先生:「誤解しないでくださいね。これは最悪の場合ですから。」

ヤッチ:「だったら、早いとこ、TPP交渉(t-PA)をするのか決めないといけないですよね?難しいなぁ…。」

救急救命の先生:「一応、目安は4時間半ですからね…。もう時間的にきわどくなっていますね…。」

ヤッチ:「自分の脳ミソならサクッとやっちゃってくださいって言えるんだけど、親父とはいえ、自分の脳ミソじゃないからなぁ…。俺が勝手に決めて、後で家族に文句を言われるのも困りものだから、ちょっとだけお時間いただいて、姉に電話をしてきてもいいですか?そのくらいの時間の余裕はありますよね?」

救急救命の先生:「はい、大丈夫です。では、結論が出ましたら、もう一度こちらにお声掛けください。」

ヤッチは姉に電話を掛け、いきさつを伝えます。

姉:「リスクを背負ってまで、そんなこと、しなくてもいいんじゃない~。パパが生きてさえいれば、私はそれで満足だよ…。」

ヤッチ:「了解。俺も同じ意見だ。先生に伝えてくるよ。」

姉:「入院先は?」

ヤッチ:「まだ、土俵にも上がってない。また電話するよ。」

ヤッチは電話を切り、家族の意見を伝えに行きます。

救急救命の先生:「了解しました。では保存的治療でスケジュールを組ませていただきます。」

ここからまた1時間近く待って、ようやく主任看護師さんとヤッチは救急室に入るように言われます。

ようやくアルツ君とご対面です。

足早に歩く看護師さんに案内され、救急室の奥の方のブースに通されます。

救急室の中は、ベッドがいくつかあり、入院病棟と同じように、カーテンで間仕切りされています。

救急救命の看護師さん:「こちらに、いらっしゃいます。」

ヤッチ:「ありがとうございます。」

この看護師さん、忙しいのか、かなり不愛想…。

不機嫌さが顔に出てしまっています。

カーテンをものすごい勢いでピッシャーっと閉めて出て行きます。

カーテンを閉める際、口を尖らせながら、こう言い残していったのをヤッチはハッキリ覚えています。

救急救命の看護師さん:「枕を投げつけられましたぁ…。」

ヤッチは閉められたカーテンに向かって…。

ヤッチ:「なんだ、こいつ!」

アルツ君、朦朧としていますが、意識は有るようです。

左腕には点滴の針が刺さっています。

時折、寝返りを打つ仕草も見せます。

ヤッチには何だかアルツ君、非常に疲れているように見えました。

病気と闘って疲れているのではなく、あの捨て台詞を残して出て行った看護師と一悶着あったような印象です。

また、暴れた?

脳梗塞を起こしているというのに只者ではありませんね~。

右腕は麻痺しているので、利き腕ではない左手で看護師さんに向かって枕を投げたことになるのでしょうか…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ

ヤッチ:「旦那さん、暴れたのか?」

問いかけしても反応はありますが、何を言っているのかわかりません。

またしばらくして、救急救命の先生が戻ってきます。

救急救命の先生:「お父様ですが、ご覧のようにこれ以上梗塞が進まないようなお薬を点滴でお身体に入れています。」

ヤッチ:「それはわかったんだけどさ~。お宅の看護師、大そう不機嫌みたいだね。あんな態度で仕事をされちゃ困るんだけど…。真っ赤な顔して、さっきカーテンを勢いよくしめて行ったぜ?ちゃんと怒っておいてよ。」

救急救命の先生:「それは、大変失礼しました。私のほうから、きつく言っておきます。」

ヤッチ:「ほんとに?聞き流しているだけじゃないだろうね?ちゃんと伝えてよ。接遇に問題ありだぜ。」

救急救命の先生:「いえいえ、このことはきちんと私のほうで教育しておきます。」

ヤッチ:「失礼しました。話を元に戻しましょう。」

救急救命の先生:「脳神経内科の先生が外来診察を終えて戻って参りますので、この医師から病状についての説明と今後についてお話があると思います。いましばらくお待ちください。」

ヤッチには『脳神経内科』と聞こえましたが、『脳神経外科』とおっしゃったかもしれません。

また待たされるのかなと思ったら、すぐに脳神経内科の先生がいらっしゃいます。

脳神経内科の先生:「お父様の脳梗塞なんですが…。」

ヤッチ:「ごめんなさい。本人、意識が戻っているようなので、聴こえない場所でお願いできますか?」

脳神経内科の先生:「大変失礼しました。ではあちらの診察室で。」

診察室に通され、説明を受けます。

内容は救急救命の先生からお伺いしたこととほとんどかわりありませんので、少し省略させていただきます。

どうしてヤッチがお会いする脳神経系のお医者さんはこうも早口でしゃべるんでしょうかね~。

あまりに早口過ぎて、半分も理解できません。

かろうじて理解できたのは、t-PA(血栓溶解療法)をやらなくて正解だったことを力説されていたことです。

あと、今回ではなく、過去の脳梗塞で視野が狭くなっていたのではないかということを強調されていました。

アルツ君が目の前にあるおかずばかりを食べてしまい、視野が狭くなっているのではないかということは以前から気にはしていましたが、脳梗塞が原因ではないかということには驚きです。

半側空間無視(はんそくくうかんむし)については、進行性核上性麻痺などの脳の変性症に起因するのではないかとばかり考えていましたが、確かにそう言われてしまえば、納得できないことではありません。

この先生によれば、アルツ君に認知症も有るので、あくまでも可能性だそうです。

ヤッチ:「ちょっと、別件ですけど、せっかくMRIを撮ったのでお伺いしたいんですけど…?」

脳神経内科の先生:「はい、なんでしょうか?」

ヤッチ:「父の脳はそうとう委縮が進んでいますか?」

脳神経内科の先生:「大変失礼ですが、かなり…。今回の脳梗塞でどの程度、脳の細胞がダメージを受けるかもちょっとわかりませんね…。」

ヤッチ:「やっぱり、そうかぁ…。」

脳神経内科の先生:「で、脳梗塞になると、わかりやすく言うと、1週間くらいは、脳にむくみのようなものが出ます。その間はぼんやりされる事が多くなるかもしれません。」

ヤッチ:「むくんだままにしておいたら、脳の委縮は無くなりませんかね?」

脳神経内科の先生:「無くなるかもしれないですけど、別の障害が出てきますよ。第一、むくみを取るようなお薬も使います。」

ヤッチ:「やっぱ、ダメかぁ…。」

脳神経内科の先生:「私の方から説明は以上になりますが、何か他にご質問はございますか?」

ヤッチ:「今回、左の脳梗塞ということで、父の右側の腕が麻痺しているようですが、足は動くようなんですけど、これはレアケースなんでしょうか?」

脳神経内科の先生:「これは、梗塞を起こした部位によるもので、部位によってお父様のように足だけは動く方もいらっしゃるし、逆に足が動かないで、手は動くという方もいらっしゃいます。」

ヤッチ:「そうなんですか…。梗塞を起こすと、反対側の全部が麻痺になるとばかり思っていました。」

脳神経内科の先生:「ただ、だいたいこの辺に損傷を受けると、この辺が麻痺するということはわかっても、ピンポイントでここならここが確実に麻痺するということは人によって違ってきます。」

ヤッチ:「わかりました。ありがとうございました。」

脳神経内科の先生:「これからのことなんですが、うちの病院ではベッドの空きが無いので、お父様にご入院していだいて治療することができません。こちらで受け入れ先を探して、診療情報を受け入れ先の病院に提供する形で話しを進めさせていただきますけど、それでよろしいでしょうか?画像等はCD-ROMに焼いて、ご入院される病院に渡します。」

ヤッチ:「よろしくお願いします。」

ここからがまた長い…。

アルツ君の入院を受け入れてくれる病院がありません。

担当して下さったのは、救急救命の先生です。

ヤッチの住む町には脳神経外科で入院設備がある病院が非常に少ないのです。

近隣の自治体まで、問い合わせをしてもらいましたが、空が無い病院が多いのが現状でした。

認知症患者を拒む病院も少なくないようです。

救急救命の先生:「今、受け入れ先を探しているんですか、まずこの近隣の病院はすべてベッドが埋まっている状態です。どこかお心あたりの病院はありますか?」

ヤッチ:「やっぱ、今居る病院かなぁ…???」

救急救命の先生:「申し上げているように、うちもいっぱいでして…。」

ヤッチ:「ここ(救急室)に泊めさてもらってもいいんだけど…。空きができたら、病棟に移してもらうとか…。」

救急救命の先生:「いや、それはちょっと…。」

ヤッチ:「思い切って、本院まで運んじゃう?」

救急救命の先生:「本院の方がもっと空きが無いです!」

ヤッチ:「俺にはコネが無いからな…。」

救急救命の先生:「個室で探していますが、個室でなくても構いませんか?」

ヤッチ:「4人部屋だとかだと、おそらく他の入院患者さんの迷惑になっちゃうから、『個室』と申し上げましたが、受け入れてくれるのなら、うちは個室でも大部屋でも構いませんよ。うちの親父、相当な『ガオ(いびきがうるさい人~ヤッチ用語)』だけど…。」

救急救命の先生:「あと、個室でも、差額ベッド代を上乗せしていただくとか…?」

ヤッチ:「一泊とか、一日の料金が何十万円とかは無理ですよ。」

救急救命の先生:「わかりました。もうしばらくお待ちください。」

ヤッチ:「こちらこそ、お手数かけて、申し訳ありません。」

救急救命の先生が電話をあちこちにかけている声が聴こえてきます。

救急救命の先生:「今、問い合わせたところ、4人部屋なんですが、空が有る病院が出てきました。」

ヤッチ:「場所はどこですか?」

救急救命の先生:「○○です。」

ヤッチ:「おっと、若者の住みたい街ナンバーワン。」

救急救命の先生:「はい。」

ヤッチ:「先方に、父が暴れて看護師さん泣かせだと伝えてあります?」

救急救命の先生:「はい、むしろそういう患者さんと合い部屋になるかもしれないと言ってきています。」

ヤッチ:「問題無いなら、お願いできますか?」

ようやく、アルツ君の再搬送先が決まりました。

最寄り駅から徒歩10分程度の70床くらいの病院です。

すぐに再搬送になると思いきや、なかなか救急車が来ません…。

30分以上は待ったのではないでしょうか…。

ようやくアルツ君を再搬送する救急車の到着です。

再搬送先が決まったので、特養の主任看護師さんにはお引き取りいただきました。

ヤッチ:「長いことかかってしまって申し訳ありませんでした。」

主任看護師さん:「いえいえ、仕方ないことですよ。また、何か必要なものがございましたら、相談員宛てにご連絡下さい。」

ヤッチ:「本当にありがとうございました。」

再搬送先の病院に向かうため、アルツ君が救急車に乗ったのは午後の6時半を回っていました。

まだまだ『入院』という大事なミッションが残っており、完結していません。

(; ̄ー ̄川 アセアセ




記事は搬送先の病院の様子だけで、入院を受け入れてくれた再搬送先の様子を書いていません。

これについては次回ということで…。

何をしているというわけはありませんが、アルツ君のところに面会に行き、帰ってくると姉やキノコさんとの連絡で一日がすぐに終わってしまいます。

いましばらく、お待ちください。

m(__)m

って、だれも待ってないかぁ…。


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2014/11/30 | コメント (6) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

アルツ君の脳梗塞 ~ 再搬送先編

2014/12/02 (火)  カテゴリー: 脳梗塞
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RADICUT_a RADICUT_b

アルツ君の再搬送先がK病院に決まりました。

すっかり外は真っ暗、冷たい雨も降り続いているようです。

アルツ君に続き、ヤッチは救急救命士さんに救急車に乗り込むように促されます。

席につき、シートベルトつけようとして、救急救命士さんが『閉めますよ~。』と言ったところで、ネクタイ姿の男性が立ちはだかります。

男性:「あの、会計をまだしていただいていないのですが…???」

どうやら会計事務の職員さんだったようです。

ヤッチ:「あ、すいません。ご覧のとおり取込み中なので、後日というわけにはいかないでしょうか?」

男性:「後日ですか…。わかりました…。」

ヤッチ:「後日、なるべく早くにお伺いしますので、申し訳ありません。」

男性:「わかりました。それと、患者様(アルツ君のこと)がこちらの検査着を着ていらっしゃるので、洗濯をしないで結構ですので、ご返却いただけますか?」

ヤッチ:「わかりました。会計に伺う時に、必ず持参してお返しいたします。」

救急車の後部のハッチが閉まり、動き出します。

救急車のドライバー、幹線道路を走行すればよいのに、なぜか裏道ばかりを走りたがります。

救急車はサイレンを回しているので、何も裏道を走る必要はないと思うのですが、何か事情が有ったのでしょうか。

おかげでこっちは強い揺れを感じ、脳を損傷しているアルツ君のことも心配になってしまいました。

アルツ君、時折寝返りを打とうという仕草を見せますが、ベルトで抑制されているので動けません。

諦めたのか、眠ってしまいました。

15分か20分くらいかかったでしょうか、再搬送先のK病院に到着です。

後部ハッチをノックする音が聴こえ、ハッチが開きます。

ヤッチはシートベルトを外し、外に降り立ちます。

おっと。

屋根なし?

冷たい雨の水滴が雨滴感知機能の増しているヤッチの頭頂部にあたります。

救急の入り口は通りに面していますが、屋根がありません。

これ、ゲリラ豪雨の日だったらどうなるんだろう?

ストレッチャーに載せられ、救急車から出てきたアルツ君もさすがに一瞬目を見開き、空を仰ぐような素振りを見せました。

アルツ君に続いて、救急室の中にヤッチも入ります。

大変失礼な話ですが、救急室というよりも、ガレージのようなところです。

屋根付きの車庫と言った方がイメージしやすいかな!?

かろうじてルームエアコンが設置され、空調が確保されていましたが、ちょっと肌寒い…。

しばらくそこで待っていると、手術着にマスク姿の男性が姿を現します。

救急救命士さんがその男性にJ病院で書いてもらった診療情報提供書やCD-ROMを手渡しています。

その男性は立ったまま、ストレッチャーに載ったアルツ君とヤッチにお尻を向け、カウンターテーブルのような所に書類を拡げています。

定かではありませんが、担当してくれる医師ではなく、助手さんのような印象です。

男性が消え、しばらくの間沈黙が流れます。

ヤッチが外の方を見やると、くもりガラス越しにサイレンを回した別の救急車が次の受け入れのために待機しているようです。

ヤッチはすでにこの時、心の中で『ヤバそうだな…。』を連呼しています。

すこし経って、先ほどの手術着姿の男性と一緒に白衣姿の中年男性が姿を現します。

その風貌から医師であることは間違いないようです。

チラリとこちらを見ましたが、すぐにお尻を向け、カウンターテーブルの書類に目を通し始めました。

医師:「脳梗塞だって?」

医師は立ったまま、こちらにお尻を向けています。

ヤッチ:「はい。J病院でベッドの空きが無かったのでこちらへ…。」

医師:「なんか、(J病院で)言ってた?」

ヤッチ:「梗塞から4時間半以内ならTIMだか、TPPをやれると言っていましたが、年齢的にも無理だろうと…。」

医師と手術着姿の男性:「それ、t-PA(血栓溶解療法)だろっ!」

ヤッチ:「はい、すいません…。」

なんで、こんなに横文字を知らないだけで怒られなければいけないのかという印象です…。

グレてやる…。

医師:「なんか、薬は飲んでいるのかな?」

ヤッチ:「J病院でですか?」

医師:「うん。」

ヤッチ:「点滴に何を使っていたかは、よくわかりませんが、J病院の看護師さんが私の目の前でバイアスピリンを2錠、飲ませていました。」

▽引用
バイアスピリン
概説
血液を固まりにくくするお薬です。血栓や塞栓の治療に用います。
働き
血管内で血液が固まり、血流を止めてしまう状態を“血栓”といいます。また、血栓が流れ、その先の血管を塞いでしまうのが“塞栓”です。心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞)がその代表です。血管が詰まってしまうので、その先の組織が障害を受け機能を失ってしまいます。

このお薬の主成分はアスピリンです。アスピリンは少量で「抗血小板薬」として作用します。血小板の働きをおさえ、血液が固まるのを防ぐ作用です。おもに、狭心症や心筋梗塞、脳卒中(脳梗塞)などに用いるほか、川崎病にともなう心血管障害にも適応します。また、経皮経管冠動脈形成術(PTCA、PCI)においては、チエノピリジン系抗血小板薬との併用療法が推奨されています。
△引用

医師:「よく飲めたね?」

ヤッチ:「かなり無理やりでしたが、時間を掛けて…。むせずになんとかその時は飲んでいました。」

医師:「バイアスピリンじゃ、意味ないかもしれないよ!」

だから、俺が飲ませたんじゃないって…。

これからこの医師とフレンドリーになれるかはヤッチ次第だと思いますが、第一印象としては、苦手なタイプ決定です。

ヤッチ:「…。」

仮称K先生としましょうか。

何をおっしゃりたいのかヤッチにはわかりません。

K先生:「ま、ま、わかりした…。あっちで待っていて。」

手術着を着た助手と思しき男性がヤッチを案内します。

助手:「この廊下を歩いて行くと、待合室がありますので、そこでお待ちください。」

アルツ君とは一旦お別れです。

ヤッチは言われた通り、廊下を歩き、待合室にある長椅子に腰を下ろします。

外来の待合室のようです。

もう外来診療は時間的に終わっているのでしょう、人影はまばらです。

たぶん、救急患者のご家族なのでしょう、深刻な表情でひそひそと話しをしている姿も見えます。

この日、特養に行ってから今まで、ずっと水分を補給していなかったヤッチの喉はカラカラです。

飲料の自販機を見つけ、お茶を購入し、一気に飲み干します。

しばし、休憩と言ったところでしょうか。

事前に姉にはアルツ君がK病院に再搬送になったことを伝えてあります。

ここまで、アルツ君の最愛の妻であるキノコさんが登場していないことを不思議に思われた方もいらっしゃると思いますが、実はキノコさんずっと風邪をひいていて、やっとここへ来て治って、本調子ではありません。

なので、無理をさせてはいかんということで、ヤッチと姉がアルツ君のことをまかされているような状態です。

姉からキノコさんには連絡が行っていると思います。

一息ついていると、姉と姉の旦那さんがやってきます。

姉:「パパは?」

ヤッチ:「救急車でこの病院に来て、俺はここで待ってるように言われて、それっきり…。」

姉:「どこに居るの?」

ヤッチ:「さあ…。検査のほうは、J病院で済ませてるわけだから、後は病室だけだと思うんだけどね…。」

姉:「いろいろ大変だったでしょ?ごくろうさま。」

ヤッチ:「ほとんど座ってただけだからね。」

1時間くらい待ったでしょうか。

待合室にいる三人の前をアルツ君を乗せたストレッチャーが通り過ぎます。

いくつかある外来の診察室の一室に運ばれたようです。

姉:「あれ?今のパパだよね?」

ヤッチ:「だね。」

姉:「どこに居たんだろう?」

ヤッチ:「何だかこの病院、バンバン、救急患者を受け入れているみたいだから、ひょっとしたらずっと待たされていたのかもよ!?順番待ちしていたとか…。」

姉:「えっー!」

ヤッチが待っている間、待合室から見える外の大通りでは、引っ切り無しに救急車が出入りしています。

何でこの病院だけ、こんなにベッドが空いているんだろう…?

今度は医療事務をやっている職員さんが三人の前に現れます。

『入院のご案内』と書かれた冊子とこの病院のパンフレット、それに入院のための手続き書類一式を持ってきたようです。

姉が説明を聞き、印鑑が無いので、手続き書類の提出は翌日ヤッチが行うということでOKを貰いました。

ヤッチは後で書類に目を通せばよいことだろうと、姉にまかせてしまっていました。

姉から手続きの書類やパンフレットを預かり、家に持ち帰ると、書類の中には入院料金の記載がありませんでした。

『健康保険法に定める料金にて算定致します。』としか記載がありません。

国の診療報酬の改定が有った場合、案内書を刷りなおさなくて済むよう、コストを削減しているのでしょうか。

『入院保証金(任意):100,000円』はやたら目立つんですけどね…。

いずれにしても、入院してしまうわけですから、高いの安いの今さら言っても仕方がありません。

姉や姉の旦那さんとゴチャゴチャと入院の手続きについて話し合っていると、外来の診察室に呼ばれます。

アルツ君の運ばれた診察室の隣りです。

診察室には姉とヤッチが入ります。

診察室に座ってらっしゃったのは、先ほど救急室にいらしたK先生です。

K先生がいきなり切り出します。

K先生:「前にも脳梗塞をやってるね。はじめてじゃないね。」

ヤッチ:「それはJ病院の先生からも同じことを言われました。」

K先生:「そう。」

ヤッチ:「以前の脳梗塞って、いつぐらいのことなんでしょうか?」

K先生:「それはわからないな。」

ヤッチ:「そうなんですか…。」

K先生:「やったことはわかっても、いつっていうのはわからないな。」

ヤッチ:「…。」

K先生:「さっき、弟さんにちょっとお話ししたんだけど、普段バイアスピリンを飲んでいるらしいんだけど、シンゲンセイの脳梗塞だったら、バイアスピリンじゃダメだよ。」

姉:「シ・ン・ゲ・ン・セ・イ…???」

K先生:「ふふ、わからないようだから、コピーしようか?」

K先生はそうおっしゃって、コピーしたA4サイズ用紙をヤッチと姉に渡します。

一枚の用紙に裏表コピーしたものです。

一応もらった用紙を写メしてアップしましたが、意味をなしていませんね。

m(__)m

片面には脳の動脈の図説です。

もう片面には脳梗塞の種類の図説のようですが、今ひとつよくわかりません。

K先生は脳梗塞の種類の方を拡げて、説明を始めます。

K先生:「脳梗塞といっても、色々種類が有るんだよ。大きく分けると三つ。」

どうやら、『シ・ン・ゲ・ン・セ・イ』は『心原性』と書くようです。

このあと、K先生の説明が続きますが、ヤッチも姉もこの時は何を説明されているのか、全くわかりませんでした。

悔しいので、家に帰ってから、少し脳梗塞について調べました。

この記事をわかりやすくするため、調べたことを予備知識として載せておきます。

名称までおぼえる必要はなく、ヤッチのような素人レベルでは『そんなものがある』くらいでとどめておいた方が頭がかゆくならないで済むと思います。

脳梗塞にはK先生のおっしゃるように、大きく分けて三つあるようです。

▽引用
脳梗塞の成り立ち
「脳梗塞」は、脳の血管が細くなったり、血管に血栓(血のかたまり)が詰まったりして、脳に酸素や栄養が送られなくなるために、脳の細胞が障害を受ける病気です。

脳梗塞は詰まる血管の太さやその詰まり方によって3つのタイプに分けられます。症状やその程度は障害を受けた脳の場所と範囲によって異なります。

脳梗塞の種類
ラクナ梗塞
脳の細い血管が詰まって起こる脳梗塞【小梗塞】
脳に入った太い血管は、次第に細い血管へと枝分かれしていきます。この細かい血管が狭くなり、詰まるのがラクナ梗塞です。日本人に最も多いタイプの脳梗塞で、主に高血圧によって起こります。ラクナは「小さなくぼみ」という意味です。

アテローム血栓性脳梗塞
脳の太い血管が詰まって起こる脳梗塞【中梗塞】
動脈硬化(アテローム硬化)で狭くなった太い血管に血栓ができ、血管が詰まるタイプの脳梗塞です。動脈硬化を発症・進展させる高血圧、高脂血症、糖尿病など生活習慣病が主因です。

心原性脳塞栓症
脳の太い血管が詰まって起こる脳梗塞【大梗塞】
心臓にできた血栓が血流に乗って脳まで運ばれ、脳の太い血管を詰まらせるものです。原因として最も多いのは、不整脈の1つである心房細動。ミスターG・長嶋茂雄氏を襲ったのも、このタイプの脳梗塞です。
NO!梗塞.netより引用
△引用

K先生は説明を続けます。

K先生:「お父さんの脳梗塞がもし心原性、つまり心臓から来ていると、バイアスピリンを普段服用しているっていうけど、あまり意味が無いかもしれないよ。お父さん、不整脈が有るっていう話だからさ…。」

ヤッチと姉:「はい…。」

K先生:「バイアスピリンは抗血小板薬だから…。血液をサラサラにする薬でも違う薬を使わなくちゃ。」

ヤッチ:「ワーファリンかなにかということですか?」

K先生:「へー。よく知ってたね?」

ヤッチ:「母がたまたま飲んでいる薬だったものですから…。」

▽引用
ワーファリン
概説
血液を固まりにくくするお薬です。血栓症の治療に用います。
働き
血管内で血液が固まり、血流を止めてしまう状態を“血栓”といいます。また、血塊が流れ、その先の血管を塞いでしまうのが“塞栓”です。心筋梗塞や脳卒中(脳梗塞)がその代表です。血管が詰まってしまうので、その先の組織が障害を受け機能を失ってしまいます。

このお薬は「抗血栓薬」です。血管内で血液が固まるのを防ぐ強い作用があります。そのため、心筋梗塞や脳卒中の治療に用いられています。とくに、心臓の手術のあとや、心房細動などある種の不整脈により生じる脳卒中‘心原性脳塞栓症’の予防効果が高いことが分かっています。

そのほか、静脈血栓症、肺塞栓症、末梢動脈疾患、腎炎など、血栓や塞栓に起因するいろいろな病気に広く用いられています。ただ、効果発現までに1~2日かかるので、深部静脈血栓症などに対しては、まず低分子ヘパリンの皮下注射をおこない、維持療法としてこの薬を内服するのが一般的です。
特徴
抗凝固療法として用いる代表的な抗血栓薬(抗凝固薬)です。長年にわたり、血栓や塞栓の治療薬として、標準的に用いられてきました。ただし、できてしまった血栓を溶かす作用はありません。血栓の予防あるいは進行の抑制を目的に使用するものです。また、アスピリンなど抗血小板薬とは作用のしかたが違うので、適切に使い分ける必要があります。

とくに心房細動に起因する各種の塞栓症に有用です。上手に用いれば心原性脳塞栓症のリスクを3分の2ほど低減させるといわれています。そのほか、いわゆるエコノミークラス症候群と呼ばれる深部静脈血栓症や肺塞栓症の治療にも適します。

一方で、治療域がたいへん狭く、用量の設定に細心の注意を払わなければなりません。少ないと効きませんし、多すぎると出血を起こしてしまうのです。他の薬剤や食物との相互作用を起こしやすいのも難点です。
△引用

K先生:「バイアスピリンは抗血小板薬、ワーファリンは抗凝固薬。似て非なるものだから。」

あまりにわかりにくいので、ヤッチ的に整理してみました。

整理すると余計にわかりにくいかも…。

まず、名称はともかく脳梗塞には大きく分けて三種類あります。

ひとつは先生のおっしゃっている、心臓から流れ星(血栓)がイッパイ飛んできて、脳の血管を塞いでしまう脳梗塞。

残りの二つは脳の血管の太さによって二分されますが、脳の中の血管を詰まらせたり塞いでしまう脳梗塞で、ザックリ言えば、『脳内だけ』で起こる脳梗塞ということになります。

心臓から流れ星(血栓)が飛んでくる脳梗塞では、作られる血栓の種類が違い、主に心房細動(心臓の心房が細かく動く不整脈の一種)で作られる血栓は赤色血栓というもののようです。

赤色血栓をサラサラにするには、バイアスピリンよりワーファリンの方が適しているという話です。

転んだりして膝小僧などを擦りむくと出血しますが、この出血を止める時、血小板が一生懸命頑張って傷口に堤防を築きます。

作られる血栓の種類としては白色血栓です。

堤防の決壊を防ぐために、傷口付近の血液がネバネバ(赤色血栓)になって、血小板を応援する接着剤になります。

これが凝固作用で対義語は抗凝固作用です。

この二つの作用で出血を止めるわけで、傷を治すという面からは、ありがたい働きですが、血液をサラサラにするにはありがたくないので、病気に応じてこれらの働きを抑制する抗血小板薬のバイアスピリンや抗凝固薬のワーファリンが存在するというわけです。

で、K先生はアルツ君の不整脈が心房細動(心臓の心房が細かく動く不整脈の一種)で、アルツ君の脳梗塞が心臓から飛んでくる流れ星系の脳梗塞ではないかと考え、抗血小板薬のバイアスピリンは適さず、抗凝固薬のワーファリンの方が適しているという風に考えたのではないかと思います。

だからどうなのよっていう話ですが…。

姉:「で、父の脳梗塞は先生がおっしゃっている心臓から来ているものなのでしょうか?」

K先生:「それは、まだわからない。いろいろ検査してみないと。今日検査をするのは無理だから、明日だね、明日。」

姉:「はぁ…。」

K先生:「じゃあ、待合室で待っていて。」

K先生から、アルツ君の病状が回復に向かっているのか、それとも悪くなっているかの説明も無ければ、どんな薬を使って治療をしていくのかの説明も無かったように思えます。

診察室から追い出されるような格好になってしまいました。

ヤッチの頭に『転院』の文字が浮かびましたが、もう受け入れてくれる別の病院は無いわけで、アルツ君をホームレスにすることはできません。

姉も首を傾げていたので、たぶん同じことを考えていたのだと思います。

待合室に戻り、二人ため息をつきます。

それから、さらに1時間くらいして、ようやくアルツ君の病室が決まったようです。

事務の女性職員が姿を見せます。

女性職員:「病室が決まりましたので、ご案内いたします。こちらのエレベーターへどうぞ。」

姉:「何階ですか?」

女性職員:「三階の○○号室です。」

この時、すでに夜の10時近くだったと思います。

三階に上がると、小さなデイルームで待つように言われます。

看護師さんが現われ、そこで看護師さんからアルツ君の日頃についてのことを聞かれます。

看護師さんからはアルツ君が他の入院患者さんの迷惑になるような場合はベッドを移動することもありうることを聞かされます。

暴れないようにベッドに固定されたり、ミトンを着けられ、指先を使えない状態にする抑制もあることも…。

色々な書類にサインをさせられ、今後の看護について聞かされます。

ここでも、『保存的治療』(手術によらない治療)という言葉が出てきます。

流行語大賞にノミネートされた言葉なんですかね~。

一通りの手続きが終わり、ようやくアルツ君の居る病室に案内されます。

案内された病室はナースステーションの目の前。

6人部屋です。

4人部屋を無理やり6人部屋にしたような感じで、ベッドとベッドの感覚が非常に狭い…。

当然、消灯時間(でも部屋は明るいぞ?)は過ぎているので、他の入院患者さんは就寝中です。

全員、ガオ(いびきがうるさい人~ヤッチ用語)です。

アルツ君もガオです。

姉が寝ているアルツ君の顔に近づき、小声でアルツ君に呼びかけると、いびきをかいていたアルツ君が目を開けます。

姉の顔がわかったのか、アルツ君、急に嗚咽し、泣き出します。

姉:「うん、うん、いい子だ、いい子だ。泣かなくてもいいよ。心配しないで…。ゆっくり休みな。」

姉がそっとアルツ君の顔を撫でます。

アルツ君、その声を聞き、安心したのか再び眠ってしまいました。

長居はできないので、三人は病室を後にしました。


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2014/12/02 | コメント (0) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

アルツ君の脳梗塞 ~ 入院2日目

2014/12/03 (水)  カテゴリー: 脳梗塞
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こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

アルツ君が脳梗塞でJ病院に搬送され、それからまたK病院に再搬送された日(2014/11/25)を入院初日とするなら、11月26日は入院2日目になります。

この日も冷たい雨が降っています。

朝早く、ヤッチのところへキノコさんから電話が掛かってきます。

キノコさん:「昨日、おじいちゃん(アルツ君のこと)、どうだった?」

ヤッチ:「うん…。やっぱり右手は動かないようだな…。検査、検査の連続だったから、今一つよく観察できなかったよ。」

キノコさん:「しゃべれるの?」

ヤッチ:「入れ歯をしていないせいもあるんだろうと思うけど、残念ながら、何を言ってるかわからなかったよ…。」

キノコさん:「そう…。」

ヤッチ:「でも、こっちが言っていることを理解できないっていうわけでもなかったぞ。J病院で看護師さんが『枕がずれてるから、少しだけ頭を上げられますか?』って言ったら、頭を持ち上げていたから。」

キノコさん:「そう…。」

ヤッチ:「病院の先生はこっちの言っている言葉も理解できないかもしれないって言ってたけど、それほどでもないような気がするんだよな…。俺の問いかけにも反応してたしな…。ただ言っていることを理解して反応しているのか、音に反応しているかはちょっと微妙だね…。もう少し様子をみないと…。」

キノコさん:「足の方はどうなの?」

ヤッチ:「たぶん、麻痺があるとすれば、右足になるんだけど、右ひざを自分で曲げられるんだよな…。仮に麻痺が有ったとしても、程度は軽いんじゃないかな…。」

キノコさん:「だといいんだけど…。」

ヤッチ:「まあ、旦那さんのことだから、すぐに元気になって、病院追い出されるよ。そっちの心配をした方が前向きだよ。あなたの方こそ風邪はどうなの?」

キノコさん:「ちょっと寝込んじゃったから、本調子じゃないけど、風邪自体は治ってるわ。」

ヤッチ:「でも、まだ無理しない方がいいんじゃない?奥さんまで倒れて入院でもされたら、俺の身体、半分にできないよ。」

キノコさん:「でも、おじいちゃんのこと、心配だから、今日、病院に行ってみようかなあと思って…。」

ヤッチ:「なんだか、一人で出かけるような言い方だね?病院がどこにあるかも知らないくせに…。」

キノコさん:「そこはあんたにお願いしようと思って…。」

ヤッチ:「病院の入院手続きに行かなくちゃならないから、出かけることは出かけるんだけど、ホントに大丈夫なのか?」

キノコさん:「大丈夫よ。」

ヤッチ:「病院の面会時間が13時からだから、お昼回ったら、奥さんの部屋に迎えに行くよ。暖かい格好でな?」

キノコさん:「どうやって行くの?」

ヤッチ:「俺なら、自転車かバスだけど、あなたにバスは無理でしょ。バス停まで行くだけでバテちゃうから。タクシー呼んでここから病院まで直接行くしかないでしょ。」

キノコさん:「そーお、悪いわね。じゃあ、準備して待っているから。」

お昼を回ったところで、キノコさんの部屋に行きます。

ヤッチ:「出かける準備は万端?」

キノコさん:「うん、私のほうは大丈夫だけど。柿を剥いて持って行こうと思っているんだけど、あの人、食べるかしら?」

ヤッチ:「いやー、当面食事は無理でしょ。」

キノコさん:「いつぐらいから食べられるかしら?」

ヤッチ:「病院の人が食べられそうか見極めてからだな…。」

キノコさん:「じゃあ、柿を持って行くのはヤメにするわ。」

ヤッチ:「タクシーを呼ぶぞ?」

ヤッチは携帯でタクシー会社に電話し、タクシーを呼びます。

ヤッチ:「5分で来るって。ずいぶん早いね。ゆっくり歩いて、外に出れば、ちょうどいいタイミングで来るでしょ。」

キノコさんとアパートに面した通りに出ると、すでにタクシーが待機しています。

キノコさん:「あら?ずっと待っていてくれたのかしら?」

タクシーの後部座席にはヤッチが先に乗り込み、キノコさんが後に続きます。

ヤッチ:「K病院までお願いします。」

運転手さん:「わかりました。決まったルートがお有りですか?」

ヤッチ:「いえ、今日が初めてなんで、お任せします。」

時間にして、30分~40分というところでしょうか、K病院に到着です。

料金にして、3,000円弱。

うん…。

往復6,000円弱ですから、毎日タクシーでキノコさんを病院に連れて来るというわけにはいきませんね~。

K病院で、面会の手続きを済ませ、エレベーターに乗り込みます。

キノコさん:「何階なの?」

ヤッチ:「三階。降りてすぐのところだよ。」

エレベーターを降り、病室へと向かいます。

アルツ君、仰向けで眠っています。

右手首は、ベッドの手すりに固定され、左手には、固定はされていないものの、ミトンをはめられています。

ミトンをしている左腕に点滴のチューブです。

キノコさんがアルツ君の左手にはめられたミトンを指さし、ヤッチに小声で問いかけます。

キノコさん:「なんで、あんなところに、あんなものしているの?」

ヤッチ:「中華料理でも作ろうと、熱い鍋でも振っていたんじゃないか?」

キノコさん:「まさかぁー。」

ヤッチ:「冗談、冗談。たぶん、旦那さんが点滴の針やチューブを引き抜いちゃうから、手を使えないように手袋をさせているんだよ。」

キノコさん:「そうなの…。あそこも怪我をしたのかと思ってビックリしちゃったわ。」

ヤッチ:「むしろ、看護師さんたちに怪我をさせないための道具だね。」

キノコさん:「…。」

二人の気配を感じたのか、アルツ君が目を覚まします。

最初にアルツ君の視界に入ったのは、ヤッチだったようです。

目が合います。

沈黙のまま、アルツ君の視線が横に移動します。

その先にあるのはキノコさんです。

アルツ君、キノコさんの顔を見ると、嗚咽し、泣き出してしまいました。

脳梗塞という病気は涙腺までもろくしてしまう病気なのでしょうか。

『嗚咽』と書きましたが、上手い表現が見つからないので、そう書いただけです。

ヤッチと同じ年代の方でないとご存知ないかもしれませんが、アルツ君の『嗚咽』は懐かしのアニメのチキチキマシン猛レースに出て来る犬のケンケンの笑い声にそっくりです。

あのブラック魔王の愛犬です。

ご存知の無い方のために、YouTubeに動画が有ったので、リンクを貼っておきます。

曲の最後にケンケンの笑い声が出てきますのでお聞き逃しなく。


まあ、実際にはアルツ君の場合、笑い声ではなく、泣き声なのですが、キノコさんを見た途端、顔をクシャクシャにして『ケンケン泣き』をはじめてしまいました。

キノコさん:「(私のこと、)誰だかわかる?」

キノコさんがアルツ君の動かない右手を握りしめます。

アルツ君:「ハヒヒヒヒヒ!」←アルツ君のケンケン泣き

キノコさん:「なーに。どうしたの?」

アルツ君:「ハヒヒヒヒヒ!」

ヤッチは廊下に有った丸椅子をキノコさんに用意し、席を外します。

その間にアルツ君の入院の手続きです。

ナースステーションの中にベスト姿の女性がいらしたので、声を掛けます。

ヤッチ:「お忙しいところ、すみません。○○の次男なんですが…。下の受付で伺ったところ、入院の手続きはこちらでしてくれと言われたものですから…?」

女性職員さん:「はい、承っています。」

ヤッチは姉から預かった書類を女性職員さんに手渡します。

ヤッチ:「それで、こちらの書類には、入院保証金100,000円と書かれてあったのですが、今日お支払いしないとマズいですかね?」

女性職員さん:「大変申し訳ありません。書類のほうには、『任意』と書かせていただいていると思うのですが…?」

ヤッチ:「ちゅうことは、払っても払わなくてもよいということですか?」

女性職員さん:「はい、あくまでも患者様のご都合でということでお願いしていますから。」

ヤッチ:「では、申し訳ありませんけど、こちらも『任意』ということで…。」

女性職員さん:「承知しました。それと、身の回り品のご契約のことなんですが…???」

アルツ君の寝巻(病衣)や紙おむつ、タオル、食事用のエプロンといった備品類の契約書のことです。

ヤッチ:「はい?」

女性職員さん:「タオルですとか、病衣、食事用のエプロンについて、一日いくらというご契約をいただいているようなんですが…?」

ヤッチ:「それって、一日に何枚使っても、一定の金額っていう契約になるんですよね?ケータイでいうところのパケ放題みたいなやつですよね?」

女性職員さん:「はいそうです。ですが、○○様(アルツ君)の場合、まだベッドで過ごされる事が多いご様子なので、こちらのご契約だと、料金が多くかかってしまうかと…。バスタオルなどはそう毎日何枚も使うものではないと存じますので…?」

ヤッチ:「従量制みたいなプランのほうがよいということですか?」

女性職員さん:「おっしゃる通りです。その都度、使っていただくときに実費をご負担いただく方がよろしいかと…。紙おむつ等については、最初から実費をご負担いただく形になっていますので…。」

ヤッチ:「今からパケ放題から、普通の従量制のプランに変更してもらえるんですか?」

女性職員さん:「はい、大丈夫ですよ。」

ヤッチ:「そっちの方が安く済みそうなら、使ったら料金が発生する方のプランに変更してもらえますか?」

女性職員さん:「わかりました。それでは、身の回りのものは、お使いいただいたら、その都度、ご負担いただくということで?」

ヤッチ:「よろしくお願いします。」

一応、入院手続きについては終了です。

なんか、ちょっと意外でした、結構、良心的じゃないですか…。

今度、ヤッチは看護師さんに声を掛けます。

病院内でナンパしまくっているわけではありません。

ヤッチ:「お忙しいところ、すみません。○○(アルツ君)のことなんですが、ちょっと今どんな状態かお聞かせ願いたいのですが?」

看護師さん:「病状についてのご説明ですか?」

ヤッチ:「はい、そうです。」

看護師さん:「病状等の説明については、看護師から説明できないことになっています。医師からご説明をさせていただくことになっています。医師とそのお約束などはしていらっしゃいますか?」

ヤッチ:「いえ、アポなしです。」

看護師さん:「では、担当医師に連絡してみますので、しばらくお待ちください。席を外している場合も有りますので、次回から事前にご連絡いただけますか?」

ヤッチ:「わかりました。申し訳ありません。」

脳梗塞という病気はヤッチの腰をも低くさせる病気のようです。

看護師さんが内線電話でなにかを話しているようです。

看護師さん:「担当医師が上がって参りますので、デイルームか病室でお待ちいただけますか?医師が参りましたらお声掛けいたします。」

ヤッチ:「よろしくお願いします。」

ヤッチはデイルームで時間を潰します。

15分ほど経って、看護師さんから声が掛かります。

看護師さん:「担当医師が参りましたので、ナースステーションの方にどうぞ。」

ヤッチはデイルームからナースステーションに向かいます。

『向かいます』と書くと距離を感じますが、ナースステーションはエレベーターを挟んで、すぐ隣です。

担当医師とは、K先生のようです。

K先生はナースステーションの中で書類を整理しながら立っています。

ヤッチ:「お忙しいところ、すみません。」

K先生:「あー、昨日の今日だから、変らないですよ。昨日申し上げた通りですよ。」

『昨日申し上げた通り』と言われても、昨日は何も言われていないような気がするのだが…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ

ヤッチ:「はぁ…。」

K先生:「こう言っちゃなんだけど、お年を召した方にはよく有る事だから。」

そりゃあ、脳外科の先生なんだから、当たり前の話ですわな~。

八百屋さんの客に魚屋さんの客は来ませんわな~。

いつものヤッチならもう一歩踏み込んで、突っ込むのですが、気持ちが萎えてしまいました。

_| ̄|○

ヤッチ:「関係の有る事なのかもしれませんが、別件でお伺いしたいことが有るのですが…?」

K先生:「はい、なんだろ?」

ヤッチ:「何年か前の父の(脳)の画像を持って来たのですけど、この画像に父の脳梗塞はありますか?」

ヤッチは、アルツ君が以前に『進行性核上性麻痺』の疑いがあると言われた時、その判断材料として撮ったMRIの画像をK先生に見せます。

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K先生は画像に目を通します。

K先生:「脳梗塞は無いね。いつの画像なの?」

ヤッチ:「たしか、2012年です。ちょっと画像にブレがありますが…。」

K先生:「あー、ここに書いてあるね。2012年2月13日って…。」

ヤッチ:「手元に有る直近の画像がこれしかなかったんですけど、先生に『前にも脳梗塞をやってるね。はじめてじゃないね。』と言われたので、いつだったんだろうと気になったもので…。」

K先生:「この時点では、まだ脳梗塞の跡は無いね。」

ヤッチ:「そうですか。」

K先生:「まあさ、ここだけの話だけどさ。年齢を重ねていくうちに、脳梗塞なんて誰にでも起こりうる話だからさ。極端な話、僕だって梗塞が有るかもしれないんだからさ。患者さんの前ではこんな話はできないけどさ。」

どうもヤッチが求めているものと、K先生がおっしゃりたいことに距離感を感じます。

ヤッチ:「わかりました。貴重なお時間を拝借して申し訳ありませんでした。」

K先生:「一応、この画像、コピーを撮らせてよ。いい?」

ヤッチ:「どうぞ、構いません。」

2012年の2月というのは、アルツ君がまだ自宅に居る頃です。

ヤッチが自宅でアルツ君のお世話していた頃です。

この一か月後の2012年の3月に高齢者虐待防止法でアルツ君が保護され、そのまま5月の終わりか、6月の初めに今の特別養護老人ホームに入所しています。

そこから『現在に至る』ですから、もし脳梗塞が有ったとすれば、特別養護老人ホームに入所中の可能性が高いことになります。

『だからどうなの?』、『後戻り反対!』とヤッチの脳ミソがうるさく言ってきているので、今のアルツ君の脳梗塞の治療の方に専念することにしましょう。

ヤッチは病室に戻ります。

ヤッチ:「どう?」

キノコさん:「『お腹空いた~』だって。」

ヤッチ:「さすが、奥さんのパワーはすごいね。目覚ましい回復力。話ができたんだ!」

たぶん『お腹空いた~』といっても、まだ呂律が回っていないので、宇宙語であることは予想がつきます。

でも、コミュニケーションが取れたのは大きな一歩です。

三人揃ったところで、ちょうどアルツ君の担当のPTさん(理学療法士)が病室に入ってきます。

▽引用
理学療法士とは
理学療法士はPhysical Therapist(PT)とも呼ばれます。 ケガや病気などで身体に障害のある人や障害の発生が予測される人に対して、基本動作能力(座る、立つ、歩くなど)の回復や維持、および障害の悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法(温熱、電気等の物理的手段を治療目的に利用するもの)などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する医学的リハビリテーションの専門職です。治療や支援の内容については、理学療法士が対象者ひとりひとりについて医学的・社会的視点から身体能力や生活環境等を十分に評価し、それぞれの目標に向けて適切なプログラムを作成します。
△引用

ヤッチ自身、このPTさんとは初対面。

ヤッチ:「はじめまして。よろしくお願いします。」

PTさん:「こちらこそよろしくお願いします。理学療法士の○○と申します。」

PTさん、ベッドに縛りつけられていたアルツ君の右手の抑制、左手のミトンを外します。

PTさん:「血圧を測らせていただきますね?」

アルツ君:「アワワ…。」

PTさん:「それでは足を動かしますよ。」

アルツ君:「アワワワ…。」

PTさんはアルツ君のベッドの上に乗り、アルツ君の右足を持ち上げます。

サッカー選手などが他の選手から吊った足を直してもらうような格好です。

PTさん:「これ、痛いですか?」

アルツ君:「アワワ…。」

しかめ面をしないので、痛くないようです。

PTさん:「今度は膝を曲げますよ~。痛かったら教えてくださ~い。」

左足についても同様のことをして、血圧を測ります。

今度はPTさん、病室の外から車椅子を持ってきて、アルツ君のベッドの横に付けます。

PTさん:「ベッドの上で腰を下ろしますからね。身体を起こしますよ。」

PTさんはヒョイっとアルツ君の身体を起こし、お尻を支点にしてアルツ君の身体をひねり、ベッドに足を垂らすような格好で座らせます。

ヤッチ:「何だよ、ちゃんと腰かけられるじゃん。」

ヤッチはアルツ君の身体が右に傾いてしまうか、座る事もできないのかと思っていました。

PTさん:「そうですね…。結構しっかりされていますよね。」

アルツ君が怒ったような顔でヤッチの方をチラリと見ます。

『当たり前さよ~。』と言いたげなドヤ顔です。

座っているアルツ君の右手の指先はやはり力が入っていない様子で不自然な印象です。

どうしてもヤッチの目にはアルツ君の右手が『死んだひな鳥』に見えてしまいます。

PTさんはアルツ君の血圧を測り始めます。

その間、ヤッチはPTさんにアルツ君の耳に入らぬように小声で話し掛けます。

ヤッチ:「仕事中、悪いんだけど、親父さんの右手が動くか訊いてみていい?」

PTさん:「あ、どうぞ。」

ヤッチはベッドの手すりをアルツ君の左側に挿し込みます。

アルツ君に挿したわけではなく、ベッドにある挿し込み口です。

ヤッチ:「旦那さん、左手でベッドの手すりにつかまれるかい?」

アルツ君、またしてもドヤ顔で、ベッドの手すりに自分の左手を掛けます。

麻痺側ではないので、出来て当たり前の話ですが、アルツ君がヤッチの言っていることを理解できていることがわかります。

ヤッチ:「今度は倒れないように、右腕を持ち上げてみん?」

少し重そうですが、アルツ君が右腕を引き上げるように軽く持ち上げます。

右手に関しては麻痺が有るのは確実のようですが、肩から上腕、あるいは肩から前腕まで、動かせるかもしれません。

少し間を置いたところで、PTさんがアルツ君に声を掛けます。

PTさん:「今度は車椅子に腰かけてもらいますね。僕に体重を掛けてもらって構わないので、『せーの!』で車椅子に座りますよ。せーの!」

PTさんのテクなのか、アルツ君に体力があるのか、割と簡単に移乗成功です。

まあ、介助無しでは、ちょっと無理そうな感じでしたが、足の方に力が入る様子なので、スムーズな印象でした。

PTさん、血圧をまたしても測っています。

血圧を測り終わると、PTさん今度は時計を見ています。

アルツ君が車椅子に座ってどのくらい姿勢を維持できるか、計測しているようです。

また、間を置いてから、PTさんはアルツ君をベッドに寝かせました。

PTさん:「今日はこの辺で。」

キノコさん:「ありがとうございました。」

アルツ君、ベッドに横になると、また寝息を立てて、眠ってしまいました。

キノコさんはアルツ君が目を覚ますまで、そばに腰かけ、アルツ君の右手をずっと握っていました。

アルツ君が再び目を覚ますと、キノコさんがアルツ君にそっと声を掛けます。

キノコさん:「また来るわね。帰るわね。」

アルツ君はうなずくように目を閉じ、眠ってしまいました。


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2014/12/03 | コメント (4) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top
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