site_title進行性核上性麻痺の疑いのある元植木職人のアルツ君(父)、アルツ君の愛妻キノコさん(母)、そしてアルツ君の息子ヤッチの日々の生活を紹介しています。
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生きるって大変なことなんだなあ…

2014/12/31 (水)  カテゴリー: 脳梗塞
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2014年12月27日のアルツ君

こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

12月27日土曜日です。

昼食介助は施設の職員さんがして下さるというので、正午過ぎに様子だけ見ようと特養に行ってきました。

生活相談員さん(新任では無い方)に廊下で鉢合わせになります。

生活相談員さん:「あ、どうも。いつもありがとうございます。」

ヤッチ:「どうも。」

生活相談員さん:「今日は僕がお父様の介助をしようと思ったんですが、ご機嫌が悪くて…。」

ヤッチ;「昨日の夜も食べていないんですよね?」

生活相談員さん:「実は、今日の朝も看護師から『絶食』と言われて…。」

ヤッチ:「じゃあ、朝ご飯も食べていないということ?」

生活相談員さん:「はい…。」

ヤッチ:「よくお腹が空かないよね?」

生活相談員さん:「ですよね…。今、お部屋でお休みになられているので、もう少し時間の間隔を空けてから、召し上がっていただこうと思いまして…。」

アルツ君、前日の昼から水分以外は何も口に入れていないことになります。

居室を覗きこむと、アルツ君横向きでベッドに横たわっています。

もともと仰向けで寝ることが多かったアルツ君ですが、ついに尾てい骨付近に褥瘡(じょくそう~床ずれ)が出来てしまいました。

たぶん、仰向けに寝ると、お尻が痛むのでしょう。

麻痺側を下にして寝る事は危ないような気もするのですが、麻痺側の方にベッドの手すりが有るため、そこに手を引っ掛けられるので、自分の姿勢を保ちやすいようです。

ちょっとまだ、様子を見ないとわかりませんが、過去に手術をした左腕が毎年冬になると痛み出すので、そっちをかばっているのかもしれません。

ずっとヤッチがそばに居て、時々体位変換をしてあげられれば良いのですが、夜通し施設にいるわけにはいきませんので、やはりここは職員さんにお任せするしかありません。

この左腕ですが、アルツ君の若い頃の古傷で、寒い時期になると、時折ピリッと激痛が走るらしいです。

こんな時にアルツ君の左腕を触ろうものなら、ヤッチといえども、アルツ君、後ろをとられたゴルゴ13のような形相になります。

ヤッチ:「旦那さん、腹ペコじゃないのか?」

アルツ君:「うるさいっ!!」

本気モードの『うるさい』です。

ヤッチ:「水は?喉渇かないか?」

アルツ君:「うるさいって言ってんだよ!!帰れ!!」

ヤッチ:「帰るところが無いんだよ…。」

アルツ君:「じゃあ、死んじゃえっ!!」

結局、仰せのとおり、帰ることに…。

(僕は死にましぇん!)

後で聞いた話では、1~2時間後に機嫌も戻り、昼食を3割程度食べてくれたようです。

再び、夕方、ヤッチの登場です。

扉を開けると、ベッドにはアルツ君、居室の椅子には姉が座っています。

アルツ君は姉を睨みつけています。

そして、姉は泣いています。

ヤッチは姉に話し掛けます。

ヤッチ:「なにかあったのか?」

姉:「パパが私のことを、『お前なんか娘じゃない。』って言うの…。」

ヤッチ:「まあまあ、一旦(居室の)外へ出よう!」

アルツ君:「出ていくのかっ!!」

姉:「外に出るのもダメなの?」

アルツ君:「ああ、そうだよ。○×△□#$…!!」

ヤッチ:「旦那さん、ちょっとこの女、外に連れ出してくるぞ?」

アルツ君:「…。」

ヤッチは姉と一緒に居室の外の廊下に出ます。

ヤッチ:「どういうこと?」

姉:「最初ね、ここの職員さんが二人、パパのオムツを取り替えに来たのよ…。」

ヤッチ:「うん…。」

姉:「そしたら、パパが嫌がって、暴れて…。」

ヤッチ:「うん…。」

姉:「で、手に負えないから、職員さんが別の職員さんを呼んで、4人がかりで、交換しようとしたんだけど、それでも暴れて…。ご飯も食べていないのに、よくあんなに力が出ると思って、ビックリしたわよ…。入れ歯をしていない口で、噛もうとまでしてたんだから…。」

ヤッチ:「まあ、若いころの鍛え方が違うからな…。で?」

姉:「どうにかみんなで押さえつけて、オムツの交換は済んだんだけど、その後私に敵意むき出しで…。」

ヤッチ:「その4人の中に加わっただろ?」

姉:「そりゃあ、あんだけ暴れるんだもの、手を出したくなるわよ。両手とも引っ掻き傷だらけよ…。」

ヤッチ:「気持ちはわかるけど、加わらないで外に出てればよかったんだよ。それにあなたは女なんだから、いくら娘とはいえ、恥ずかしいもんだぜ。俺だって、もし入院してオムツ交換なんていうことになったら、若いきれいな看護師さんには逆に取り替えてもらいたくないもんだぜ?」

姉:「そんなに責めないでよ…。」

ヤッチ:「悪かった、悪かった。たぶん、今旦那さんは相当混乱していると思うから、少し時間を置いてから、部屋に入った方がいいよ。最近30秒前というより3秒前のことも記憶から消えるみたいだから…。」

姉:「でも、パパ、私のこと、娘じゃないって言うんだよ…。」

ヤッチ:「引きずるなって!俺なんか、昔から存在が無いんだから。その場その場で、旦那さんにとって、『いい人』なら、それでいいじゃん。」

姉:「…。」

ヤッチ:「たまには『悪い人』になることもあるわ~。俺なんか、昼にここへ来た時、旦那さんのやつ、右手で俺の手を払いのけやがったからね。右手だよ?」

姉:「あそう…。」

ヤッチ:「ちょっと、様子を見てくるよ。あなたはここにいて。」

ヤッチは居室の扉をそーっと開け、アルツ君のベッドに近づきます。

アルツ君、寝息を立てています。

ヤッチはまた廊下に出ます。

ヤッチ:「眠ってる。そうとう激しいバトルを展開したみたいだね?」

姉:「うん~ん。両手両足動かして、立ち上がるんじゃないかと思ったくらいだから。よく何も食べてないのに、あれだけの力が出ると思って…。」

ヤッチ:「もしかしたら、誰も見ていないところで、こっそりドカ食いしてるのかもよ?旦那さんなら、あり得るかもな?」

姉:「まさか~。」

ヤッチ:「まあ、20~30分もすれば目を覚ますから、その時、もし機嫌が悪かったら、今日はあきらめて帰ろう。」

姉:「うん、わかった。」

ヤッチは少しだけ居室の扉を開け、廊下からアルツ君の様子が見えるように固定します。

やはり、アルツ君、20分くらいしたところで目を覚まします。

ヤッチは居室に入り、アルツ君にそっと声を掛けます。

ヤッチ:「旦那さん、寝てたのか?」

アルツ君:「寝てないよ…。」

ヤッチ:「寝てるんじゃ悪いから、帰ろうと思ったんだけど、どう調子のほどは?」

アルツ君:「まあ、まあかな…。」

ヤッチ:「『まあまあ』っていうのは、調子がいい方なのかね?悪い方なのかね?」

アルツ君:「わかんない…。」

ヤッチ:「じゃあ、調子は行方不明ということで。喉渇いてないか?」

アルツ君:「ちっとだけな。」

ヤッチ:「わかった。じゃあ、水を飲ませてやるな。」

ヤッチは居室に置いてあった吸い飲みをアルツ君の口元に近づけます。

ヤッチ:「『ちっと』って言ったんだから、ガブガブ飲むなよ?」

アルツ君:「そんな固いこと言うなよ~。」

アルツ君、やはり喉が渇いていたようです。

ちょうど、その時、施設の女性職員さんがアルツ君の夕食を運んできてくださいました。

女性職員さん:「お食事をお持ちしましたけど、どうなさいます?」

『どうなさいます?』は食事の介助を誰がやるか?ということです。

ヤッチ:「今日は、我々がやるより、○○さん(女性職員さん)にお願いした方がよさそうなのでお願いできますか?」

女性職員さん:「ああ、わかりました。じゃあ、ちょっとお待ちくださいね。」

食事介助にも準備や段取りが有るようです。

ヤッチ:「じゃあ、○○さんと一緒にゆっくりメシを食べて下さいね。」

ヤッチはそうアルツ君に言い残し、廊下に出ました。

すれ違いざまに女性職員さんもアルツ君の居室に入り、食事の介助を始めます。

廊下で待っていた姉が不安そうにヤッチに話し掛けます。

姉:「パパ、どう?」

ヤッチ:「機嫌も元通りに戻ってるみたいだよ。今日は俺らが介助するより、職員さんにやってもらう方が、旦那さんが食事に集中できると思って、○○さんにお願いしたよ。」

姉:「そうなんだ。食べてくれるといいけどね?」

ヤッチ:「さっき、暴れてるんだから、その分くらいは食べてくれるんじゃない?」

20分程度、姉と廊下で雑談していていると、居室から女性職員さんが出てきます。

女性職員さん:「途中で寝ちゃったんですよね?」

姉:「食事は?」

女性職員さん:「召しあがっていただきましたけど、半分いくかいかないかぐらいですかね…。」

姉:「でも、食べたんだ?」

女性職員さん:「はい。」

姉:「なら、良かった。」

女性職員さん:「お食事の方は下げちゃってもよろしいですか?」

姉:「寝ちゃってるんだったら、もう食べないと思うので下げてもらって結構です。」

女性職員さん:「わかりました。じゃあ、お下げします。」

おさげ髪のアルツ君を想像したのはヤッチだけでしょうか…。

姉とヤッチはこのまま帰ることにし、居室に自分たちの荷物を取りにそっと扉を開けます。

アルツ君が目を覚ましてしまいます。

アルツ君:「キノコか?」

姉:「キノコじゃないよ。○○(自分の名前)だよ。」

アルツ君:「そっか…。お前、来てくれたのか…。」

姉:「パパの顔が見たくて会いに来たんだよ。」

アルツ君:「そっか…。ありがと。」

アルツ君、『ケンケン泣き』です。

ヤッチ:「ついでに俺もいますけど?」

アルツ君:「お前はどっちでもいい。」

ヤッチ:「ひでーなあ。そのベッドのリクライニングのスイッチを押し続けて二つ折りにしてやろうか?」

アルツ君:「二人して、いろいろ言うなよ…。わかんなくなっちゃうんだよ…。」

脳梗塞によって、アルツ君のCPUにインテルは入っていません。

メモリも相当数破損してしまいました。

テンション高めの声で、たった二人でも、一度にものを言われると、アルツ君の脳はジリジリと言ってしまうようです。

これがいわゆる失語症と呼ばれるものかもしれません。

オマケに今は眠気も有ります。

姉:「パパ、お水飲む?」

アルツ君:「わかんないよ…。」

姉:「そっか~。でも、ちょっとだけ飲んでみれば?」

アルツ君:「ああ、ちっとだけな。」

姉が吸い飲みでアルツ君に水を飲ませます。

アルツ君:「はあ…、はあ…、苦しい…。」

ちょっととろみが多いと飲み込むのが大変そうです。

姉:「どっか入っちゃったかぁ?大丈夫?」

アルツ君:「大丈夫。美味しいよ。」

姉:「じゃあ、もう一口だけ飲む?」

アルツ君:「そんなに言われてもわかんないよ…。」

ちょっとアルツ君、半分眠りに就こうとしています。

まぶたが閉じたり、開いたり…。

姉が吸い飲みを再びアルツ君の口に…。

アルツ君は『ゴックン』と水を飲みます。

アルツ君:「はあ…、はあ…。でも、美味しいぞ。」

姉:「いつも『死んじゃう、死んじゃう。』ばかり言ってるけど、お水を飲まないとホントに死んじゃうんだからね?」

アルツ君:「そうか…。」

姉:「もう一口だけ飲む?」

アルツ君:「もういいよ…。眠いし、死んじゃうよ…。」

姉:「これくらいじゃ、死なないよ。生きなきゃ~。」

わずかですが、アルツ君が水を飲みほします。

アルツ君:「はあ…、はあ…。あうっ。おい、生きるって大変なことなんだなあ…。」

アルツ君が眠そうな目を大きく開け、そう言います。

姉とヤッチは爆笑です。

姉:「そっか、そっか~。パパにはお水を飲むのも大変なことなんだね。」

アルツ君:「そうだよ…。生きるのは大変なことなんだから、お前たちも、もう帰った方がいいぞ。」

アルツ君

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ

やっっっっっーーーーと、

出ました!!

アルツ君の切り返し!!

おわかりになりましたでしょうか?

もし、おわかりにならないのなら、アルツ君のCPUよりも演算処理能力が…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ


追記 2015/01/01
おわかりにならない方もいらっしゃるようなので、この記事のコメント欄に、『答え』を書かせていただきました。


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2014/12/31 | コメント (6) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

またしても絶食…

2015/01/08 (木)  カテゴリー: 脳梗塞
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2015年01月03日のキノコさんとアルツ君

こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

記事の更新が遅くなってしまいました。

何日か分のことを思いつくままに書かせていただきますので、乱文ご容赦下さい。

さて、アルツ君ですが、脳梗塞で倒れ、救急搬送ののち、去年の11月25日にK病院に約一ヶ月入院し、去年の12月24日、K病院を退院し、特別養護老人ホーム(特養)に帰って来ました。

K病院で、『脳梗塞は終息しつつある。』という医師の診断で、特養に戻って来ましたが、退院後の特養でも、食事、水分を上手く摂れない日が続いていました。

水分については、特養の嘱託医に一日に500cc以上水分を摂れない日が続くようであれば、『再び入院になる。』と言われていましたが、目安となる水分を摂れる日、摂れない日を繰り返し、今年になってから、決して十分とは言えませんが、500ccを超える日も出てきました。

食事についても、同様なことが言え、三食をすべて完食というところまでには至っていませんが、一日の食事摂取量はまあ、ムラがあるものの、上昇傾向だったのではないでしょうか。

ただ、気になるのは、相変わらずの事なのですが、食事を食べ終わると、疲れてしまうのか、すぐに眠ってしまうこと。

1月3日にキノコさんを連れて、特養に面会に出かけてきましたが、アルツ君、キノコさんの顔を見て泣き出すシーンもあり、最初のうちは、テンションも高めでしたが、すぐに疲れてしまい、眠ってしまいました。

眠っているところを起こして、食事を食べさせようとすると、不機嫌になり、余計に口を開けてくれなくなるので、アルツ君が起きるのを待って、食事や水分を摂ってもらうことにしましたが、結局、この日はキノコさんが会いに来たにもかかわらず、アルツ君、一日の大半を眠って過ごす始末…。

キノコさんが来て安心したので、アルツ君が熟睡できたという解釈もできますが、キノコさんからすると、お昼前から特養に来て、夕食時までほとんど眠っている夫の姿を見るのはさぞつらかったのではないでしょうか。

食事や水分以外のアルツ君の様子ですが、一番の問題は急に機嫌が悪くなることが増えたこと…。

アルツ君と会話していると、最初はニコニコ笑って話をしていますが、急に機嫌が悪くなって、感情のコントロールができなくなってしまうようです。

ブツブツと意味不明なことを独りでしゃべり出し、結果として、アルツ君の口から、『帰れっ!!』、『ぶん殴ってやる!!』、『死ね!!』など、かなり凶暴な言葉が発せられます。

たいていは眠くなる直前が多いように、ヤッチには感じますが、これが食事前だと、まず一旦寝てもらわないと、まずご飯を食べてもらえなくなります。

今年(2015年)になってから、アルツ君が独り言を言っている時の様子を記録したので、YouTubeにアップしました。

音声のみで、映像はありませんが、食事後、かなり眠くなっている時のアルツ君の音声の記録です。



いかがでしょうか?

入れ歯を装着していない状態ですが、呂律(ろれつ)の方はかなり改善されていることがわかります。

何についてアルツ君が語ろうとしているのかは、わかりませんが、何かに対して不平、不満を漏らし、人間不信に陥っているということは確かなようです。

このまま会話を続けていると、大声で怒鳴りだすことも…。

酔っぱらった人がよくこんなしゃべり方をすると思いますが、アルツ君の場合、これが脳梗塞の後遺症によるものなのか、あるいは認知症によって前頭葉が委縮し、人格が変わってしまうような前頭葉症状なのか、またこれらの複合なのか、よくわかりません。

アルツ君の機嫌の悪くなる『一因』として、排泄ケア、つまりオムツ交換のやり方に問題があるのでは?と考えています。

自分の股間を他人の目の前にさらすのですから、誰でも嫌なことはお分かりになると思います。

オムツ交換をされたという行為そのものは、おそらくアルツ君の記憶からすぐに消えてしまうと思いますが、『恥ずかしい』、『いやな気持にさせられた』というムシャクシャした感情だけは、消えずに残り、アルツ君の機嫌の悪さにつながるのではないかと…。

先日、姉がこのオムツ交換に立ち会い、アルツ君に泣かされたという記事を書きましたが、ヤッチも同じような場面に遭遇しました。

関連記事:生きるって大変なことなんだなあ… [ アルツ君は職人 ]

1月3日にキノコさんと一緒に面会に行った時の事です。

夕食前の夕方、ヤッチは、アルツ君とキノコさんを二人きりにしようと、居室の外の廊下に座っていました。

そこへ特養の女性職員さん二人がヤッチの前に現れ、そのうちの一人がヤッチに話し掛けます。

女性職員さん:「これから、お父様の排泄ケアをさせていただきますけどよろしいでしょうか?」

ヤッチ:「機嫌が悪いかもしれないよ。」

女性職員さん二人は足早に居室の中へ入って行き、アルツ君に話し掛けています。

女性職員さん:「これから、排泄ケアをさせていただきますね?」

たぶん、アルツ君には、なんのことを言っているのか、わからなかったと思います。

アルツ君:「ああ、どうぞ。」

アルツ君はベッドで仰向けに寝ています。

ヤッチも居室の中へ入ります。

女性職員さん:「ちょっと、ズボンを下ろしますので、腰をすこし浮かせられますか?」

まだ、この時はアルツ君の表情には余裕があります。

ズボンを下ろされた辺りで、急に表情がけわしくなります。

そして、ついに暴れ出します。

アルツ君:「なにしやがるんだっ!承知しないぞっ!」

手足をバタつかせます。

キノコさんの目の前だったことも手伝って、ものすごい暴れっぷりです。

慌ててヤッチはキノコさんの顔に上着を被せ、アルツ君のベッドに駆け寄ります。

仰向けに寝ているアルツ君から見れば、ヤッチは目の前、真上になるような格好です。

ヤッチ:「パンツを交換してくれるんだって。すぐ終わるよ。」

アルツ君:「うるさいっ!そんなの関係あるかっ!手をへし折ってやるっ!」

アルツ君がヤッチの腕をつかみ、思いっきり力を入れてきます。

とはいっても、アルツ君は仰向け、ヤッチは立った状態ですから、ヤッチの方が有利です。

それにアルツ君の右手は使えない状態ですから、左手を駆使してきます。

ヤッチ:「旦那さん、旦那さんの力にはかなわないよ。そんなことをしたら、腕が折れるって。痛いって。」

アルツ君:「そんなこと知るかっ!へし折ってやるっ!」

ヤッチはアルツ君のプライドが傷つくと思って、少し自分の力をセーブしながら、防御です。

そして女性職員さんがアルツ君のパッドを交換しようと、アルツ君の『息子さん(ヤッチのことではない)』をつまんだその瞬間、ヤッチの左目付近に鈍い痛みが…。

はい…。

アルツ君のパンチがヤッチにヒットです…。

こんな事も有ろうかと、事前にメガネは外しておきましたが、結構なクリーンヒットです。

しかも、グー(左こぶし)…。

『おいおい、そこ、ボトックス注射を打っている側のまぶただろうに…。』と一瞬ヤッチの頭をよぎりますが、アルツ君、容赦なしです。

極度のせん妄状態になったアルツ君からは、この後、何発ものパンチがヤッチに繰り出されます。

アルツ君の興奮がおさまるならと、ヤッチもアルツ君のパンチを顔面で受けます。

女性職員さん達のおむつ交換は終了し、居室から出て行きましたが、アルツ君の興奮はしばらくおさまりませんでした。

アルツ君はヤッチに敵意むき出しです。

姉に『加わるな。』と説教したくせに、この様です…。

こんなオムツ交換をしちゃいけないですよね…。

ヤッチが申し上げるのもおかしなことですですが、身体的拘束にもつながることだし…。

K病院に入院している時は、定時にオムツ交換が入っていましたが、一度もこんな場面に遭遇したことは無かったのに…。

男性の場合、オムツ交換の際、お尻側のパッドとは別にもう一枚パッドを使い、『息子さん』を包み込むように三角に折り、ホールドします。

この時に、『息子さん』をつままれることが、アルツ君のプライドを傷つけるのではないかと思います。

『息子さん』ホールドをせず、オムツ交換すれば、横漏れする可能性がありますが、ホールドしないでアルツ君が機嫌を損なわないのであれば、ホールドしない方を採用し、オムツ交換の頻度を増やす方法を増やすことは出来ないものなのでしょうかね…。

って、もちろん、ヤッチの事ですから、このことは特養の生活相談員さんには伝えましたよ。

いまだ、回答をもらっていませんが…。

アルツ君の機嫌の悪くなる原因や人間不信になる原因の一つとして、オムツ交換の事を推測入りで書かせていただきましたが、もっと他の原因があるかもしれません。

オムツ交換のあと、アルツ君の興奮は治まらなかったので、キノコさんと居室の外の廊下に出て、しばらく治まるのを待ちました。

でも、時間帯が時間帯だけに、すぐに施設では夕食の準備です。

アルツ君の居室にも夕食が運ばれてきました。

結果はもうお分かりになると思います。

食べてくれません…。

と、いうより食べるはずが有りません。

こんなことを繰り返していて良いはずも有りませんねぇ…。

まあ、こんな日もあれば、翌日は姉が昼食の介助に行き、完食…。

夜も姉の友人が面会に来てくれて、8割程度食べてくれるような日も。

ヤッチが面会に行かない方が良いのもしれませんね…。

今年になってからは、出来るだけ家族が食事介助をせずに、施設の職員さんに食事介助をしてもらうようにしています。

家族だと甘えも出るし、アルツ君がおしゃべりに夢中になってしまい、それで体力を使ってしまい、食事に集中できないと考えたからです。

1月6日も昼食時に面会に行きましたが、食事介助は施設の看護師さんがして下さるというので、ヤッチはアルツ君に顔を見せずに、廊下で様子を伺っていました。

看護師さんは食事介助について、当然手馴れているので、上手にアルツ君の口に料理を運びます。

ヤッチが食事介助する時、アルツ君はまだ、たいした量を食べていないうちから、『もういらない。』と言ってギブアップするので、かなりの時間を掛けて、アルツ君の口に料理を運びます。

食事の後半は眠ってしまうので、そこで食事は終了です。

でも、施設の看護師さんは手際よく、パッパとアルツ君の口にスプーンを持って行きます。

あとで考えると、あまりに手際が良すぎて、ギブ(ギブアップ)できない、わんこそば状態だったようにも思えます。

看護師さんが20分もかからないで、食器の載ったトレーを持って廊下に出てきます。

ヤッチ:「どんな様子ですか?」

看護師さん:「たくさん召し上がりましたよ。今日は全部。ほら?」

看護師さんはトレーを傾けてヤッチに見せます。

ヤッチ:「完食したんだ?すごいね。」

看護師さん:「朝もまあまあ召し上がっていますから、今日はお腹の調子が良いのかもしれませんね?」

ヤッチ:「ありがとうございました。」

居室を覗くとアルツ君、すでに眠ってしまっています。

ヤッチは30分くらいアルツ君の居室の中にいましたが、目を覚ます気配ではなかったので、アルツ君のベッドのリクライニングを倒し、アルツ君の頭を少し下げて帰って来ました。

同じ日の夜も様子を見に施設に伺いました。

居室へ向かうため、エレベーターを待っていると、施設の主任看護師さんに声を掛けられます。

主任看護師さん:「お父様のことで、ちょっとお話があるんですけど、よろしいでしょうか?」

ヤッチ:「夕食時に間に合うようにと、お伺いしたんですが、それに間に合うようでしたら…?」

主任看護師さん:「実は、その夕食の事なんですけど…?」

ヤッチ:「はい…。」

近くに有った長椅子に二人で腰かけます。

主任看護師さん:「実はお父様なんですけど、夕方近くに吐かれてしまいまして…。」

ヤッチ:「またですか~?」

主任看護師さん:「そうなんです。夕方4時くらいでしょうか、吐かれていまして…。」

ヤッチ:「で?」

主任看護師さん:「聴診器を当てると、お腹がグルグル動いているんですね。どういうことかと申しますと、お腹が張っているような音なんですね~。」

ヤッチ:「ということは、便秘気味ということ?」

主任看護師さん:「うん…、どうもその逆のようなんですね。お腹にガスが貯まっているようなんですけど、下痢のような症状なんですね。」

ヤッチ:「なんだか、想像しにくい症状ですね?」

主任看護師さん:「それで、今日の夕食は大事を取っていただいて、絶食ということにさせていただきました。」

ヤッチ:「せっかく、今日の昼も完食だと聞いて、調子が上向いていると思ったのにな…。」

主任看護師さん:「はい…。体重も8キロも減ってしまわれましたからね…。それで、お父様に飲んでもらう夜の薬なんですけど、飲んでもらえるかどうかわかりませんが、下剤だけその薬から外させていただきました。」

ヤッチ:「8キロ…。一ヶ月ちょっとで、8キロもダイエットするのは至難の技だな…。それに、ご飯を食べさせられないとなると、薬だけ飲んでもらえるかどうかわからないですね…。」

主任看護師さん:「そうですね…。」

ヤッチ:「水分の方は?」

主任看護師さん:「水分は補っていただいて構わないと思います。むしろ吐いてしまわれて、脱水気味になっているかもしれませんので…。」

ヤッチ:「わかりました。ちょっと申し上げにくいんですけど、申し上げますが…?」

主任看護師さん:「なんでしょう?」

ヤッチ:「今日、吐いたことと、因果関係があるかどうかわからないんですけど、食事介助のスピードにちょっと問題が有るんじゃないかと…?」

主任看護師さん:「と、おっしゃいますと?」

ヤッチ:「私が食事介助をする時は、一時間前後掛けて父に食事を摂ってもらっています。でも、大変失礼ですが、こちらの看護師さんが介助に入ると、半分に満たない時間なんですね。職員の皆さんは休憩を交代で取っていらっしゃるようなので、そういった都合も有ってそうなさってるのかもしれないんですが、もう少し時間を掛けて食事介助をしていただけるとありがたいんですが…?」

主任看護師さん:「そうですか…。」

ヤッチ:「失礼覚悟で申し上げさせてもらえば、今回吐いたのも昼ご飯の後ですよね。で、前回吐いたのも昼ご飯の後…。前回吐いた時も、別の方でしたが、こちらの看護師さんが昼食の介助に入っていらっしゃるんですね?で、どちらの方も手際よく親父の口に食事を放り込んでいるご様子でして…。みなまで申しあげないでも、おわかりになると思うんですが…?」

主任看護師さん:「なるほど…。」

ヤッチ:「飲み込むスピードも、腸の動きも、そして体力も今までとは違うので、今までの親父だと思って介助されてしまうとちょっと恐い気がするんですよね~。」

主任看護師さん:「そうですね…。もしかするとそういった事も関係しているかもしれませんね。わかりました。この事は、看護師だけでなく、介護スタッフの方にも私から申し送りしておきますね。」

ヤッチ:「申し訳ありません。いつもわがままばかりを申し上げて…。」

ヤッチはエレベーターに乗り、アルツ君の居室に向かいます。

居室に入ると、アルツ君、眠っているように見えましたが、目を開けます。

ヤッチ:「どう?気持ち悪くない?」

アルツ君:「別に…。」

ヤッチ:「お水を少し飲むかい?」

アルツ君:「いらない…。」

ヤッチ:「ちょっとだけ、湿らせる程度に飲もうよ?」

アルツ君:「ああ。」

ヤッチはアルツ君に吸い飲みで水を飲んでもらいます。

アルツ君:「寝ちゃう…。」

ヤッチ:「俺も帰るから、ゆっくり休みな。」

この後、姉も来ましたが、事情を話し、居室を後にすることにしました。

翌日、1月7日水曜日です。

お昼の昼食介助に出かけようと思っていましたが、なぜかわかりませんが、もう一人のヤッチが『行くな。』と言ってきたので、昼には面会に行きませんでした。

そのかわり、夕食の時間に間に合うように、面会に…。

居室に向かう前に、ナースステーションのところで、女性職員さんにアルツ君の様子を伺います。

ヤッチ:「今日は朝も絶食だったんですか?」

女性職員さん:「いえ。今日の朝は全部は無理でしたが、半分ほど食べられています。」

女性職員さんが記録表のようなものを見ながら、そう答えます。

ヤッチ:「昼は?」

女性職員さん:「お昼はご機嫌が悪くて、3割ほどしか召し上がられませんでした。」

ヤッチ:「水分の方はどうなんでしょう?」

女性職員さん:「水分の方も500ccに届いているか、届いていないかくらいのラインですね…。これから少し飲んでいただけば、確実に500ccは行くと思いますが…。」

ヤッチ:「今、機嫌はどうなのかな?」

女性職員さん:「おやつの時間帯に訪問歯科が有ったので、お父様の義歯を直してもらいました。」

ヤッチ:「え?もう直ったんだ?」

女性職員さん:「はい、その後義歯をつけて過ごしていらっしゃいましたが、眠ってしまわれたので、外していただこうと思ったんですね?」

ヤッチ:「はい…。」

女性職員さん:「こちら(施設)ではお休みになる時は、義歯を外してもらうようにしているんですが、それを申し上げたら、ご機嫌が悪くなってしまわれて、義歯を投げつけてしまわれました。」

ヤッチ:「ゲガしませんでしたか?」

女性職員さん:「はい。義歯の方も壊れていません。」

ヤッチ:「ご迷惑を掛けてすみません…。で、まだ、気分の悪いままでいるのかな?」

女性職員さん:「お父様ですよね?」

ヤッチ:「はい。」

女性職員さん:「今は、眠っていらっしゃるようですよ。今日はお風呂も有ったので入っていただきました。それで、疲れていらっしゃるみたいで、今申し上げた時以外はずーっと眠っていらっしゃるご様子です。」

ヤッチ:「風呂?入ったんだ?ありがとうございました。まあ、ちょっと覗いてみますわ。」

ヤッチはアルツ君の居室を訪ねます。

アルツ君、ベッドに横たわっていますが、起きている様子で、ヤッチが居室に入ると、ヤッチの方に顔を向けます。

アルツ君:「俺、ここで寝ててもいいの?」

アルツ君が弱々しい声で質問してきます。

答える方も自然と弱々しくなります。

ヤッチ:「いいんだよ、寝てても…。」

アルツ君:「どこに居たんだろうなぁ…。俺は…。」

ヤッチ:「ずっと、ここで寝てたんじゃないのかな?」

アルツ君:「そうかぁ…。寝てたのかぁ…。ここで寝ててもいいの?」

ヤッチ:「かまわないよ。旦那さんのベッドだし、ここは旦那さんの部屋だよ。」

アルツ君:「そうかぁ…。いろんなところに行ったけど、もうダメなんだってよ…。」

ヤッチ:「身体の事を言ってるのか?」

アルツ君:「そう…。もうダメなんだって言ってた…。それに寝るところなんて、無いんだってさぁ…。」

ヤッチ:「ここで寝ていて、構わないよ。旦那さんが眠るまで俺が見張っててやるよ。」

アルツ君:「そうかぁ…。でも、段々、こっち(右側の身体)が言うことを聞かなくなってるんだよ…。もうダメなんだってさぁ…。」

ヤッチ:「心配しないでも、寝れば、明日になったら、スッと動くようになるさ~。」

アルツ君:「そうかぁ…。誰かが少しずつ俺に毒を飲ませて殺そうとしてるみたいなんだぁ…。こっち(右側)が動かなくなって来てるんだよ…。」

ヤッチ:「それは疲れてるだけだよ。ご飯を食べて、体力が戻ってくれば、驚異的な回復力で動くようになるさ。明日になれば、もう一本、手がニョキニョキ生えてくるかもしれないぞ?」

アルツ君:「そうですか…。じゃあ、もう、寝かせてください…。」

なんで、敬語なんだろう????

うん…。

アルツ君、脳梗塞によって右手が麻痺していると考えていなかったようですね…。

それで、警戒して、食事を摂らなったのかもしれませんね…。

どう説明して良いのか、悩みますねぇ…。

直球勝負で『脳梗塞』と伝えても、理解してもらえそうもないし…。

結局、夜ご飯を食べずに眠ってしまいました。

前日に吐いて絶食となり、その翌日にあまり食事も水分もあまり摂っていないというのに…。

誰だ?

風呂に入れたやつは????


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FC2スレッドテーマ : 認知症を介護する家族の悩み (ジャンル : 福祉・ボランティア

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2015/01/08 | コメント (0) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top
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