site_title進行性核上性麻痺の疑いのある元植木職人のアルツ君(父)、アルツ君の愛妻キノコさん(母)、そしてアルツ君の息子ヤッチの日々の生活を紹介しています。

なぜ特養では点滴一本も打ってもらえないのか?

2015/01/16 (金)  カテゴリー: 脳梗塞
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点滴注射

こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

アルツ君のことを心配して下さっている方もいらっしゃると思うので、あまり記事としては面白い内容ではありませんが、ご報告をかねて、書き記したいと思います。(※追記を書きました。最新の情報はこの記事の後半部分にあります。 2016年5月

これから書かせてもらう内容は、ヤッチの主観がほとんどで、医療、介護のプロの方からすると、間違った考えや知識かもしれませんので、あらかじめご了承の上、ご覧下さいね。

まず、特別養護老人ホームでのアルツ君の生活ですが、一日の大半をベッドの上で過ごしているようです。

『ようです。』と書かせていただいたのは、一日中、施設内にいたことがないので、推測です。

『寝たきり』の状態がK病院退院後からずっと続いていることになります。

賛否の分れるところなのかもしれませんが、一日の大半をベッドの上で過ごしていることは、ヤッチには健全だとは思えません。

すぐに眠くなってしまうので、仕方のないことと言えば、それまでですが…。

せめて施設の職員さんが、アルツ君を介助し、車椅子に座ってもらう時間を増やすなどしてもらえれば、覚醒レベルも上がり、負のスパイラルから抜け出せそうな気もします。

K病院に入院中は、午前中にリハビリなどが毎日有ったわけですから、特別養護老人ホームに戻って来てからの方がベッドで過ごしている時間が長いことになります。

続いて食事面ですが、退院直後は、環境の変化にアルツ君自身が順応しきれていなかったのか、あまり十分な摂取量とは言えませんでした。

すぐに不機嫌になってしまうか、『俺はもう長いことはない…。』と弱音を吐き、口を開けてくれない日が続いていました。

でも、機嫌の悪くなったりする頻度も減り、少しずつですが、口を開けてくれるようになりました。

まだまだ、平均すると、イッパイ食べた日で、通常の6割程度ですが、食べる量が減ってきているわけではないので、まあ良しとしましょうか。

機嫌が悪くなるスイッチは脳梗塞で入院する前は、ヤッチなりにけっこう把握できましたが、最近のアルツ君は、ゲラゲラ笑いながら、怒り出すような時も有り、イマイチ、いつスイッチが入ったかわかりません。

余談ですが、このような時を、ヤッチは『竹中直人状態』と呼んでいます。

また、食事を摂ると、すぐに眠くなってしまうのも、いっこうに改善されません。

飲み込むのにエネルギーを消費するのか、食べた物を消化するのに、胃袋に脳に行く血液を奪われてしまうからなのかよくわかりませんが、以前はこんな事が無かったわけですから、脳梗塞の後遺症といっても過言ではないかもしれませんね。

ヤッチは、今年になってから、夕食の介助だけ毎日やらせてもらっていますが、アルツ君が食事を摂り終わって、あるいは食事を摂るのをギブアップしそうになった時、必ず、ある質問をします。

『食べてすぐ寝てしまうと…?』です。

アルツ君の前日の答えは、『牛になる。』

その前の日は、『象になる。』

そのまた前の日は『豚になる。』でした。

なんか気の利いた答えを期待して、質問していましたが、面白くないので、そろそろやめにしようかと…。

(-_-;)

水分の摂取ですが、何度も書かせていただいているとおり、特養の嘱託医に一日に500cc以上水分を摂れない日が続くようであれば、『再び入院になる。』と言われています。

これについては、最近もあまり変化が見られず、500ccを摂れる日も有れば、摂れない日も有り、以前として、十分な摂取量とは言えませんね…。

アルツ君の年齢の平均では、1000cc~1500ccが必要と言われていますから、いかに少ないかがわかると思います。

特養の職員さんの多くは、半袖のポロシャツ一枚で仕事をしています。

そう…、高齢者用の温度設定なので、寒い屋外から施設の中に入ると、ムッとするくらいです。

施設内の空気も乾燥しているので、のどがもっと渇いてもおかしくないはずなんですけど、アルツ君、あまり水分を欲しがりません。

というより、ヤッチの目には、アルツ君が水分を摂ること自体を億劫に感じているようにも映ります。

口元に吸い飲みを運べば、わずかですが、すすることもありますからね…。

まあ、食事摂取量がほんの少しだけ増えたというだけで、以前に書かせていただいた記事内容とたいして変わらないので、ブログの更新をためらっていた次第です。

m(__)m

で、今日の話題はアルツ君の水分摂取の話題です。

昨日(1月15日木曜日)は特養で特養の嘱託医の診察が有りました。

アルツ君も当然嘱託医の診察を受けています。

同じくその日の夕方5時過ぎに、ヤッチはいつものようにアルツ君の夕食介助に施設に向かおうとしていたところ、姉から一通のメールをもらいました。

▽引用
姉からのメール(本文)

15分くらい前にA看護師(特養の主任看護師さん)から電話がありました。

A看護師によると、
B先生(特養の嘱託医)から『あまりにも水分摂取量が少ないので、このままでは生命維持が難しい。病院に行き、点滴を勧める。』との診断が下されたとの事。

ご家族の意向を明日(1月16日)午前中までに下さいと言われました。

私も、今日の19時頃に特養に行けるので、その時また相談しよう。
△引用

姉からのメールの内容だけでは、具体的なことはなにもわかりませんよね。

『病院』といっても、どこの病院なのか?

嘱託医のクリニックなのか、それとも別の外部の医療機関なのか?

入院なのか、外来で診察を受けるのか?

誰がアルツ君を『病院』に連れて行くのか?

家族の付き添いが必要なのか?

どうやって連れて行くのか?

経口摂取によって水分をアルツ君が十分に補うことができないので、水分補給のために『点滴(注射)』を打つというのだけは、わかります。

姉が特養に来てから、もう少し詳しく話を聞こうと、ヤッチはアルツ君の夕食の介助を始めます。

介助と申し上げても、介助になりません。

アルツ君、『食欲が無い』と言って、2、3口しか食べてくれませんでした。

これでは、処方されている薬も飲めません。

(-_-;)

この日の日中にキノコさんがアルツ君のところへ面会に行き、昼食をめずらしく完食したということを聞いていたので、まあ食べなくても、いいかくらいに思いましたが、やはり心配は心配です。

また、キノコさんが面会に訪れた時、アルツ君のテンションがマックスで、『俺はどこも悪い所はない。もう家に帰る。』と言ったそうで、アルツ君の食欲が気分的なものに大きく左右されていることは、誰の目から見ても確かなはずです。

これは食事摂取に限らず、水分摂取についても同じことが言えると思います。

なのに…。

嘱託医の診察はアルツ君の昼食の後ですから、なぜ故今頃になって、このような診断を嘱託医が下したのかもよくわかりませんね…。

アルツ君はこの後、車椅子に座ったまま寝てしまったので、ヤッチは居室の外の廊下に出て、姉の到着を待ちます。

姉が夜の7時ごろ到着です。

姉:「パパは?」

ヤッチ:「今、車椅子で眠ってるよ。」

姉:「ご飯は?」

ヤッチ:「ほとんど食べてない…。」

姉:「薬も?」

ヤッチ:「飲ませられないよな…。」

姉:「メール、見たでしょ?」

ヤッチ:「見たけど、あれだけの内容じゃ、『意向』もなにも、判断できる情報が少なすぎるよ。」

姉:「私もここの看護師さんにそう言われただけだからさぁ…。」

ヤッチ:「もう、事務所にいる生活相談員さん、帰っちゃったかね?」

姉:「訪ねてみる?」

ヤッチ:「うん。」

姉と二人で、同じフロア内にある生活相談員さんの事務所をノックします。

普段だと、もう帰宅している時間帯ですが、幸い古株の生活相談員さんが事務所から出てきます。

姉が、施設の主任看護師さんからもらった電話のことをこの生活相談員さんに伝えます。

生活相談員さん:「いや、その話はうちの看護師からもらっていないですね…。何時ごろの話ですか?」

姉:「今日の夕方5時すぎだったと思います。」

そこへ、今度は新任の生活相談員さんが姿を現します。

姉:「どうも、お世話になっています。そちらの主任看護師さんから何か聞いています?」

新任の生活相談員さん、キョトン顔です。

どうやら耳に入っていないようです。

姉は古株の生活相談員さんに申し上げたことと、同じこと伝えます。

新任の生活相談員さん:「いや、私もその話は伺っていないですね…。」

姉:「でも、そちらの看護師さんから明日の午前中までに返事を下さいって言われてるんですよね…?」

新任の生活相談員さん:「そうなんですか。それは確認してみないとですね…。」

ヤッチ:「ダメだこりゃ。今居る人間がだれも詳しいことを知らないんじゃ、議論する余地はないね。『病院に行く。』って言ったって、家族が連れて行くのか、御所で連れて行くかもハッキリしないんでしょ?」

生活相談員さん:「ですね…。」

ヤッチ:「『入院』なんてことになれば、水分摂取は出来ても、本人の精神状態が悪くなるのは目に見えてる話だと思うんだけどね…。」

新任の生活相談員さん:「わかりました。明日の午前中までのご返事というのは保留にしていただいて、私の方でもう一度、主任看護師、嘱託医に確認をさせていただきます。詳細がわかり次第ご連絡差し上げるというのでいかがでしょう?」

姉:「私たちはそれで構いませんけど…。」

姉とヤッチは居室に戻り、車椅子に座ったままのアルツ君をベッドに寝かせます。

ちょっと愚痴を言わせてもらえば、ベッドから車椅子、車椅子からベッドへの移乗について、毎回ヤッチがやっているのはなぜなんでしょうね?

ここは特別養護老人ホームという介護施設で、ヤッチが在宅で面倒をみているわけじゃないんですけどねえ~。

しかもヤッチの移乗介助、全くスキルの無い力任せの介助方法です。

アルツ君を半ば担ぎ上げるパワー介助です。

アルツ君をベッドに寝かせ、ずり下がったアルツ君の身体を枕の方に引き上げていると、先ほど会話をした新任の生活相談員さんが居室に入ってきます。

新任の生活相談員さん:「先ほどの件でちょっとお話があるんですけど…。」

ヤッチ:「あっ、ちょっと待ってもらえます。もう少しで終わりますから。」

新任の生活相談員には廊下で待ってもらいました。

姉とヤッチはアルツ君に布団を被せ、離床センサーと転倒用のマットをセッティングして、居室の外に出ます。

姉:「ごめんなさい。お待たせしました。」

新任の生活相談員さん:「あ、いえ。こちらこそ申し訳ありません。」

かつてはアルツ君の『定位置』だった場所に三人で腰かけます。

新任の生活相談員さん:「今、うちの看護師に電話で確認いたしました。やはり、お姉さまがおっしゃられていたことと同じことを、うちの看護師も嘱託医から聞いた話として申しておりました。」

もう、このとき、ヤッチはこの先の会話が回りくどい展開になることを察知していました。

自分のブログは回りくどいのに、自分の普段の会話が回りくどくなるのを非常に嫌う性格です。

m(__)m

ヤッチ:「確認の確認をしただけでしょ?で、どうする?」

新任の生活相談員さん:「期日については、改めてご相談ということになると思いますが、外部の医療機関を受診していただきたいと…???」

ヤッチ:「その外部の医療機関というのは、嘱託医もクリニックを経営しているわけですから、そこで受診して、点滴を打ってもらうという方向でもいいの?」

新任の生活相談員さん:「確認してみないとわかりませんが、嘱託医が『OK』であれば、その選択肢も有りかと…?」

ヤッチ:「OKが出た場合、誰が連れて行くの?本人(アルツ君)は絶対嫌がると思うけどね?」

新任の生活相談員さん:「こちら(施設)の車をご用意して、受診していただくことも検討させていただきますけど?」

ヤッチ:「点滴を打つとなれば、10分やそこらじゃ帰って来られないよね?たとえば、2時間くらい掛かるということになったら、その間もそちらの職員さんが付き添っててくれるの?」

新任の生活相談員さん:「…。」

ヤッチ:「嘱託医のクリニックでなくても同じことだと思うけど、受診先で本人(アルツ君)が大声を出して暴れる可能性も大だよね?その時もそちらで面倒見てくれるのかな?」

新任の生活相談員さん:「その時は、やはりご家族様のご協力が必要にもなってくるかと…。」

ヤッチ:「仮に医療機関に連れて行ったとして、水分を補えても、帰って来てから、不穏になる可能性を考えると、今外に連れ出すことを俺は危険だと思うんだけどね?」

姉:「私もそう思う…。ちょっとずつだけど、ご飯を食べられるようになってきているのに、外へ連れ出したばかりに、またご飯を食べてくれなくなっちゃうかもしれないし…。こちら(施設)で点滴を打ってもらうというわけにはいかないかしら…???」

新任の生活相談員さん:「その件は、以前もお話しさせていただいたとおり、こちらは介護施設で、医療機関ではないので…?」

ヤッチ:「でもさ、こちらには施設の看護師さんもいらっしゃるし、嘱託医もいらっしゃって、毎週定期的に往診だか、訪問診療をやってるわけだよね?具合が悪い人が入れば、何かの処置などをして、医療行為を行ってるわけだよね?」

新任の生活相談員さん:「そうですね…。ただ基本的には病院という役割を担っているわけではないので…。」

ヤッチ:「建て前はそうかもしれないけど、軽く二、三本、(点滴を)ここで打っちゃおうよ?ここなら、穏やかに点滴に応じてくれると思うからさぁ~。」

新任の生活相談員さん:「ただ、そこは、嘱託医のご判断でするものなので、私にはお答えができかねるかと…。」

ヤッチ:「軽くチュッチュと打っちゃえば、いいじゃん。病院じゃないからダメ?」

新任の生活相談員さん:「たとえば、療養型の病院に入院されて、そこで、たとえば1週間とか点滴治療を行っていただくという選択肢も有るかと…?」

ヤッチ:「あのさ、たぶんおっしゃられていることは正論だと思うよ。でもさ、お宅の施設とK病院との間で、話し合いを進めて行く中で、病院で入院しているよりは、この施設の方が環境が整っているっていうことで、親父は退院してきたわけでしょ?何でそんな本末転倒な発想が出るかな…。」

姉:「お前、またやめな!言い過ぎだよ!」

ヤッチ:「いや、悪いけど、親父の命が掛かってるんだ。遠慮して後悔はしたくないからハッキリ言わせていただくよ。」

姉:「やめなって!」

ヤッチ:「嘱託医と以前話し合いを持った時に、回復の見込みのない人に点滴は打てないとおっしゃいました。でも、回復の見込みが有るか、無いかは点滴を一本打ってみて、判断してみたって遅くないんじゃないかな?」

新任の生活相談員さん:「おっしゃっているお気持ちは非常によくわかります。ですが、慢性期、あるいは回復期の介護や医療をどうやってしていくかは、こちらの課題でもありまして…。」

ヤッチ:「だったら余計、今がチャンスじゃない?嘱託医といっても、この施設と使用従属関係にあるわけでしょ?いわば、嘱託医は施設サイドの人間じゃない?施設側から、嘱託医に『ここ(施設)で、打ってよ。』って言えないの?」

新任の生活相談員さん:「は…。嘱託医といっても、少々意味合いが違いますからね…。嘱託医に直接お話ししていただくのが良いかと…。」

ヤッチ:「悪いんだけどさ…、いつもいろいろな提案をするのはこっちでさぁ…。どうして、施設から、なにかアドバイスとか提案をいただけないのかな?俺ら、介護のプロじゃないわけで、親父のことしか知らないわけじゃん?たくさんの利用者さんと接している方々から良きアドバイスをいただけないかな…????」

姉:「私も、同じことを申し上げたいです。私は弟以上に介護のことはわかりません。ですから、素人が申し上げる事なので、皆さんにとっては、大変失礼なことを申しあげているのかもしれません。ですから、余計に素人意見を言わせていただけるなら、何で、ここ特別養護老人ホームで点滴を打てないんですか?」

新任の生活相談員さん:「お姉さまのお気持ちもよくわかりました。こちらで何かできる事はないか検討してみたいと思います。」

ヤッチ:「今日の話だけじゃなくて、以前話した時もそうだったんだけど、うちら家族以外は、みんな『回復の見込みがない。』を前提に話しをするんだよね…。医療で補えない部分を介護でフェローし、逆に介護で補えない部分医療でフォローしていくことは有ってもいいんじゃないかな?親父さんが『食べられない。』、『飲み込めない。』をどう介護の力で克服させられるのか、そろそろ皆さんの本領を見せて下さいよ。」

新任の生活相談員さん:「…。」

ヤッチ:「今回、嘱託医に我々から『点滴を打って下さい。』と申し上げるのではなく、施設から嘱託医におっしゃって下さいよ。嘱託医の返事によって、また次を考えなくてはいけなくなると思うけど、そういう場合は、今度はそちらから何か良いアイデアを下さいよ?」

この後も、いろいろと話をさせていただきましたが、主要な部分ではないので、省略させていただきます。(ほとんどがヤッチの理不尽な要求です。)

話し合いの結果としては、嘱託医に施設から姉の言葉として『点滴を打ってください。』と連絡していただくことで終了です。

新任の生活相談員さんからは、『なぜ、特別養護老人ホームにおいて、点滴を打つことができないのか?』ということに関して、明確な回答をいただけませんでした。

翌日の今日(1月16日金曜日)の午後に姉から電話が入りました。

姉:「今度の1月の20日の火曜日に臨時のケース会議(サービス担当者会議)をやるでしょ?その後になるか、先になるかわからないけど、嘱託医が施設にいらっしゃるから、『直接会ってお話ししましょう。』ってことになったから。」

なんだか点滴一本で、なんでこんなに面倒なんでしょうかね…。

嘱託医は毎週アルツ君の診察をするのだし、アルツ君の診察だけをして帰るわけではないので、何時間か特養にいらっしゃるはずです。

その間に、自身のクリニックから点滴薬をはじめとする医療材料を持ち込んで、アルツ君に点滴を打てば、特に医療、介護と縦割りの話にはならず、問題は起こらないような気がするのですがね…。

ん…。

『なぜ、特別養護老人ホームにおいて、点滴を打つことができないのか?』ということについて、調べてみました。

どうやら厚生労働省保険局医療課から出されている「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」というのが根拠になっているようです。

pdfファイルで、結構な長文なのでリンク先だけ貼っておきます。

「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」の一部改正について
保医発0328第2号(平成26年3月28日)


これは厚生労働省(厚生労働省保険局医療課長)から、医療機関等の特定の人、もしくは特定の事業所に発せられた『通知』です。(国民全員が知っておかなければならない内容ではないので、一部の人にしか発せられていないということです。)

『療養の給付』というのは、お医者さんに行って受ける診察、処置、薬の支給、手術、入院などの事です。

この文章の中で、『なぜ、特別養護老人ホームにおいて、点滴を打つことができないのか?』に該当すると思われる箇所を抜粋して引用させていただきます。

▽引用
特別養護老人ホーム等の職員(看護師、理学療法士等)が行った医療行為については、診療報酬を算定できない。
△引用

全文を読んでも、『点滴を打ってはならない。』といったダイレクトな表現は出てきません。

※(重要)このブログの記事下に追記を書きました。ご参照ください。
2016年05月01日


上記の抜粋した文章でも『診療報酬を算定できない。』とあって、『点滴打ってはならない。』とは書いてありません。

どういうことかというと、点滴を医療機関で受けたことのある方ならご存知だと思いますが、医療機関においては、医療機関のお医者さんが看護師に指示を出し、看護師さんが点滴の針を刺し、薬液が落ちはじめると、時々カーテンを開けて、点滴の落ち具合を確認しに来ます。

何が言いたいのかというと、最近ではお医者さん自らが点滴の針を刺すことは少なくなって、ほとんど看護師さん任せの事が多くなって来ているということです。

点滴液が無くなれば、看護師さんが点滴の針を抜き、ゆっくり起き上がって終了になります。

これをもし、特養でやるとどうなるか?

引用文章には、『配置医師』という文言が使われ、施設の嘱託医がこれに該当するかは明らかではありませんが、一応、含まれるものとします。

わかりやすくするため、ちょっとドラマ仕立てで展開させていただきますね。

特別養護老人ホームにはそこで雇用されている看護師さんがいらっしゃいます。

嘱託医がアルツ君の居る特養に一人で診察にいらっしゃいます。

嘱託医は特養の看護師さんと一緒に一人一人の利用者さんの居室を訪ね、診察して回ります。

アルツ君の居室にも診察の順番が回って来ます。

嘱託医:「ちょっと、水分が足りてないね…。お水飲んでますか?」

アルツ君:「わかんない…。」

嘱託医:「ちょっと、水分不足だから、点滴を一本打とうか?」

嘱託医は特養の看護師さんに、水分補給のための点滴を打つように指示します。

点滴薬などの医療材料は、嘱託医のクリニックから持って来たものです。

ちょうど、アルツ君の順番が診察の最後だったので、嘱託医は特養の看護師さんに点滴の指示だけを出し帰ってしまいました。

ここで問題となる行為は『特養(特別養護老人ホーム)』の看護師が点滴の針を刺した場合…。

特養の看護師が点滴の針を刺し、点滴が終わるまでの一式をやってしまうと、嘱託医は診療報酬を市区町村などの保険者に請求できないということのようなのです。

もちろん、アルツ君に打った点滴薬の薬剤料もアルツ君に請求できないし、アルツ君が一部負担金を支払う必要も無くなるというお話なのです。

嘱託医としては、お金を取れないなら、点滴を打てば打つほど赤字になってしまいますから、打ちたくないですよね…。

ちなみに特養ではなく、老健(介護老人保健施設)では診療報酬を請求できるようです。(特養は介護老人福祉施設)
※老健でも診療報酬を請求できないとコメントを頂きました。(コメントNo.2166

これが、もし、嘱託医が自分のクリニックから連れてきた看護師に指示を出し、アルツ君にこのクリニックから来た看護師が特別養護老人ホームという施設内で点滴の針を刺すというのであれば、嘱託医は診療報酬を請求できるようなのです。

嘱託医が点滴の指示を特養の看護師に出し、特養の看護師がアルツ君の腕に点滴の針を刺しても、嘱託医も看護師もオナワになることはないようですが、嘱託医からすると、一円も自分の手元に戻って来ないので、やるメリットが無いというのがどうもカラクリのようですね。

特別養護老人ホームの看護師が点滴を打つ行為そのものは医療行為として認められ、かつ違法性は問われる事は無いのに、特別養護老人ホームも嘱託医も金銭としての利益を得ることができないということです。

少々というか、おおいにややこしい説明になりましたが、特養の看護師が点滴を打っても違法性は無い。

違法性は無いが報酬が発生しない。

報酬が発生しないのなら、損することはやりたくない…。

これを国が指導しているんですよ~!

もう超高齢化社会に突入していて、アルツ君のような人間はたくさん居るはずです。

弱って来ているところに、通院や入院で点滴を受けて来いというのはあまりにも酷かと…。

外部の医療機関の受診を拒否すれば、点滴を受けられず、最悪死に至る可能性だってあるわけです。

こんなわけのわからん矛盾を放置していてよいものなのか…。

ちなみに、特養に嘱託医が診察に来て、自ら持ち込んだ点滴薬を自らの手でアルツ君に投与することは問題ないような気がしますが、これもできないんでしょうかねぇ~????

特別養護老人ホームの看護師さんは何のためにいるんだろう…?????

間違えている箇所も有るかもしれませんが、是非この話、広めてください。


追記~01

後日談があります。
上記の記事と合わせてご覧ください。
  1. なぜ特養では点滴一本も打ってもらえないのか? [2015/01/16] - 現在ご覧の記事
  2. 予想通り?アルツ君、救急搬送!! [2015/01/17]
  3. アルツ君の救急搬送の詳細 [2015/01/19]
  4. 特養嘱託医との話し合いは物別れ [2015/01/21]
  5. アルツ君、明日から『入院』です! [2015/01/28]
  6. 病状説明は余命宣告 [2015/01/30]


追記~02(2016年05月01日)

上記の記事を書かせていただいたのは2015年(平成27年)1月のことです。
記事の中で『「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」の一部改正について』(平成26年3月28日 保医発0328第2号)という厚生労働省保険局医療課長からの『通知』を取り上げさせていただきました。
そして、この後、2016年(平成28年)に3月なって、新しい『通知』が発せられました。

「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」の一部改正について
保医発0325第9号(平成28年3月25日)


標題は同じですが、リンク先、そして内容が異なります。

新しく発せられた通知の中で改正されたところを抜粋して引用させていただきます。

▽引用
特別養護老人ホーム等の職員(看護師、理学療法士等)が行った医療行為については、診療報酬を算定できない。
ただし、特別養護老人ホーム等に入所中の患者の診療を担う保険医の指示に基づき、当該保険医の診療日以外の日に当該施設の看護師等が当該患者に対し点滴又は処置等を実施した場合に、使用した薬剤の費用については診療報酬の算定方法(平成20年厚生労働省告示第59号)別表第1第2章第2部第3節薬剤料を、使用した特定保険医療材料の費用については同第4節特定保険医療材料料を当該患者に対し使用した分に限り算定できる。

また、同様に当該看護師等が検査のための検体採取等を実施した場合には、同章第3部第1節第1款検体検査実施料を算定できる。

なお、これらの場合にあっては、当該薬剤等が使用された日及び検体採取が実施された日を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

「特別養護老人ホーム等における療養の給付の取扱いについて」の一部改正について
保医発0325第9号(平成28年3月25日)より抜粋して引用
△引用

上記内容から配置医師(嘱託医)が『健康管理』と称して特養に訪問する日でなくても、配置医師(嘱託医)が指示を出せば、特養の看護師が、点滴等の医療(治療)行為を行うことができると解釈できるのではないでしょうか。
ただし、点滴注射の手技料(注射に際しての手間賃、手数料のようなもの)などは、算定できないままなので、点滴に関して算定できるものは、点滴(補液)の薬剤料や特定保険医療材料(平成26年3月5日保医発0305第8号)の材料費のみです。(薬剤単独で保険請求できない注射もあるので、手技料も算定できるのではないかという疑問もありますが…。)
配置医師(嘱託医)が、あるいは特養自体が人員の確保等の理由で採算が取れないと判断すれば、点滴等の医療行為を行わないことも考えられます。
それでも特養入所者の立場からすると、施設内で点滴を受けられる可能性はかなり高くなったのではないでしょうか。
また特養の職員さんの立場からすると、提供できるサービスの幅が広がったのではないでしょうか。
『算定できない』から『算定できる』という文言が加えられたのですから、大きな一歩といえるかもしれません。

余談ですが、『通知』という言葉を何度も使用させていただきましたが、法律用語(行政用語)が実に難しい…。
比較的わかりやすい解説を見つけたので引用文を載せておきます。

▽引用
あくまで、一般的にどう理解されるかを踏まえて分けると、

  通知=事実を知らしめるためのもの。特定の人に伝える場合が多い。
     一般に広く知らしめる場合は「公告」という場合が多い。
  通達=法令の解釈運用のために、規範の実効性を補うための個別指針を示したものが多い。
     それ自体が法的拘束力があるものではないが、法規範と一体となって事実上法的拘束力を持つ。

通知に反した場合、それが直ちに「違法」ではなくても、知りながら従わなかったことの責任を追及される根拠にはなりえます。例として相応しいかどうかを敢えて無視して例に挙げれば、薬害エイズのときには、当時の厚生省が米国当局や関係機関から危険情報を得ていたにもかかわらず、これを黙殺して危険な血液製剤を製薬会社の在庫処理のために販売禁止措置を講じなかったことが問題にされました。
これと同じように「故意または過失」の存在を裏付ける証拠になりますから、法的な意味はあるものと思います。
△引用


今回のケースでは『特定の人』というのは、医療保険の診療報酬事務を行っているような保険医療機関(病院、診療所)、あるいは事業所等が該当し、介護報酬請求事務を行っているような特別養護老人ホームなどには、『通知』は送付されていない可能性が高いです。
さらに『保医発』とは『厚生労働省保険局医療課長発』という意味です。

(参考)
難しい法律用語と難しいアルツ君 [ アルツ君は職人 ]


今後もこのような改正が行われると思います。
機会があれば、追記していきたいと思いますが、確約できませんので、リンクを貼っておきます。
随時そちらでご確認していただくようお願い申し上げます。

厚生労働省平成○○年度診療報酬改定
最新の情報を得るには、○○年度の○○の部分を現在の年度に置き換えて、リンク先を探してください。(たくさん有り過ぎて、探すのが大変かも?)


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2015/01/16 | コメント (8) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

アルツ君、明日から『入院』です!

2015/01/28 (水)  カテゴリー: 脳梗塞
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体温計

こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

久しぶりに書かせていただく記事のタイトルが、毎度お騒がせムード満載で申し訳ありません。

記事のタイトル通り、アルツ君、明日(2015年01月29日)から『入院』です。

通常ですと、『脳梗塞で入院』とか、『誤嚥性肺炎で入院』など、『入院』の文字の前に『病名』が付される事が多いと思いますが。今回は、この『病名』というのが有りません。

アルツ君が去年脳梗塞で入院した辺りから記事をご覧になっている方なら、もうお分かりになっていると思いますが、この脳梗塞で入院し、退院して以来、アルツ君、ずっと水分摂取や食事摂取が上手くできない状況が続いていました。

途中、『特養で点滴(水分)を打ってもらえないか?』という話し合いも続いていましたが、平行線のまま…。

最近になってのアルツ君は38度台の発熱を繰り返し、また、『迷走神経反射』による意識消失などもあって、これ以上、特養においての点滴にこだわっているわけにもいかなくなってきてしまいました。

なので、『水分不足で入院』、『脱水気味で入院』ということになるのでしょうかね。

あるいは『施設の勧めがあって入院』とでもいうのでしょうか…。

もちろん、『病名』を決めることが『入院』の目的ではなく、アルツ君が元気になってくれさえすれば、家族はよいわけで、アルツ君の回復を願うばかりです。

また、『入院』と書かせていただきましたが、まだ医療機関を受診したわけではないので、『入院』になると決まったわけではありません。

ただし、施設での話し合いの結果、施設の嘱託医はその場にいらっしゃいませんでしたが、嘱託医は、『入院』を前提に診療情報提供書(紹介状)を書くとおっしゃっている様子なので、『日帰り』というわけにはならないようです。

入院先と申しますか、受診先はO病院で、明日の朝から検査になると思います。

幸い、O病院はキノコさんの部屋から(ヤッチの部屋からも)歩いて通える距離です。

ヤッチも明日は朝からO病院に行く予定です。

詳細については追々書かせていただきたいと思います。

明日の朝は施設の職員さんだけで、アルツ君を施設から病院に連れ出すようです。

『医者嫌い』のアルツ君ですから、一騒動起きなければよいのですが…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ


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2015/01/28 | コメント (0) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

入院中、退院後の向精神薬の投与の是非は?

2015/02/08 (日)  カテゴリー: アルツ君
▲ Page Top
アルツ君の腕

こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

ご報告が遅くなりましたが、アルツ君、2月5日木曜日に退院しました。

冷たい雪の降る中の退院となりましたが、生きて特養に戻ってきました。

この日のアルツ君は特別養護老人ホームに戻ってもほとんど眠ってばかりで、あまり元気とは言えない様子でした。

朝退院し、特養のベッドで夕方までいびきをかいて寝ていました。

入院している時と違って、もう点滴を外されてしまっていますから、水分摂取は自力で自分の口から摂るしかありません。

このままの傾眠傾向が続けば、また危うい状態になってしまうのは確実です。

そんなアルツ君ですが、食事摂取や水分摂取が上手くできず、熱も上がったり下がったりを繰り返していたので、特別養護老人ホームの職員さん、看護師さん、そして特養の嘱託医の勧めもあり、O病院に1月29日木曜日に入院しました。

結局のところ、O病院では、アルツ君の退院までの間、きちんとした病状説明というのは、前回記事にもさせていただいたものだけで終わってしまいました。

しかも入院時の病状説明は看護師さんから入院に際しての留意事項を聞き、いろいろな書類にサインをしてすぐの、まだパタパタしている時の午前中の病状説明でした。

ですから、細かな検査をした後の病状説明ではなかったのではないかという気がします。

アルツ君の入院中、アルツ君の病室内で、医師と質疑応答程度のことはあっても、結局、検査結果の数値だとか、画像を見せられて、時間を掛けて医師と話をする場面というのは、一度も有りませんでした。

当のアルツ君ですが、入院二日目から、同じ病室内の患者さんとトラブルになったらしく、早くも病室を移されてしまいました。

細かな事情はお伺いできませんでしたが、おそらく他の患者さんの話声にアルツ君が『うるさいっ!』と大声を上げ、『お前が一番うるさいんだよ状態』で病室を移されたんだと思います。

移された病室はアルツ君を含め、三人。

他の二人の患者さんは女性でしかも絶食状態の様子で静かな病室…。

お決まりになってしまったナースステーションから監視の目が届く病室でした。

入院初日はヤッチの食事介助の申し出を断られましたが、二日目から一変して、病院側から食事介助をお願いされる始末…。

『ああ、また、なんかやらかしたな?』と察しのつくような変りっぷりです。

入院初日の夕方からアルツ君の点滴治療が始まったようですが、退院日前日になっても、アルツ君の元気な姿を拝むことは出来ませんでした。

入院2日目からヤッチが昼と夜の2回、アルツ君の食事介助に毎日出かけましたが、いつ面会に行ってもアルツ君、眠っています。

声を掛けて起こそうとしても、全く起きてくれない日もあるし、起きてくれたとしても、何だか朦朧としています。

水分については点滴が入っているので、さほど心配しなくてもよいと考えましたが、食事摂取量を増やすための入院だったのにも関わらず、全入院期間を平均すると、まあ出された食事の5割程度の摂取だったのではないでしょうか。

アルツ君が起きてくれたとしても、アルツ君の出す声が日に日に小さくなっていく印象でした。

アルツ君の口元へ耳を近づけないと、しゃべっている言葉を聞き取れない日も…。

目を開けても、穏やかなのは良いのですが、何だか焦点が合わず、遠い目をしていて、アルツ君本来の目ではありません。

正直、入院先のO病院の先生の病状説明通りになってしまうのかと、ちょっと心が折れそうになる日もありました。

もちろん、ちゃんと起きていて、食事もモリモリ食べてくれる日も有りましたが、数えるほどしかなかったとヤッチは記憶しています。

こんな日が続き、入院も後半になって来ました。

2月2日月曜日にアルツ君のお昼ご飯の介助をしていた時、担当の先生が病室にいらっしゃいます。

ヤッチの食事介助の様子を背後からご覧になり、介助が終わるのを待って、先生がヤッチに声を掛けます。

アルツ君は眠ってしまいました。

先生:「そうやって、お父さんとコミュニケーションを取りながら食事を摂ってもらうのは実によいことだと思うよ。上手だね。」

ヤッチ:「いえいえ、まだ数えるほどしか、やった事が無いので…。」

先生:「実は今日は相談したいことがあって…。」

ヤッチ:「はい、何でしょう?」

先生:「実は、お父さんのことなんだけど。」

ヤッチ:「はい…。」

先生:「今は静かに眠っていらっしゃるし、ご家族がご面会にいらっしゃってる時は穏やかなんだけど、どうも夜中になると、さびしくなるのか騒ぎ出すらしいんですよ…。」

ヤッチ:「うん…。それは昔からなんですけどねぇ…?」

先生:「でね、昨日の夜もかなり大きな声を出すことが有って、ご存知のように、ここは病院でしょ?」

ヤッチ:「他の患者さんの迷惑になっちゃう…?」

先生:「そう…。」

ヤッチ:「で?」

先生:「ネットで検索して調べてもらってもいいんだけど、今日の夜から『リボトリール』っていう薬を使おうと思ってるんですよ。」

ヤッチ:「『リボトリール』…。」

先生:「そう、お父様の睡眠を改善するお薬です。これを0.5mgから始めようと思うんですよ。」

ヤッチ:「どんな薬かわからないから、0.5mgとおっしゃられても、弱いのか強いのかわからないんですけど…。」

先生:「その辺は心配しなくても大丈夫、そんなに強い薬じゃないから。」

ヤッチ:「…。」

先生:「ここにお父様が入院していらっしゃる間、僕がちゃんと様子を診させていただきますから。それに、その方がお父様の昼夜逆転傾向も改善されていいと思うし、施設に戻られてからだって、きっと睡眠のバランスが取れて今よりはずっと健康的になると思うよ。」

ヤッチ:「ん…。で使うのは、夜だけですか?あと、それは点滴で入れるんですか?」

先生:「今日の夜から使おうと思っています。点滴で入れるのではなく、飲薬です。夕食の時に服用してもらおうと思っています。」

ヤッチ:「なんだか、ちょっとこわいな…。」

先生:「その辺は注意深く見守らせていただきますから、心配しないで。お父様にとっても、他の患者さんのためにも決してマイナスになることではないから。」

ヤッチ:「一応、ここに父が居る間だけと考えてよろしいんですね?」

先生:「その辺は経過をみて判断させて下さい。」

ヤッチ:「ん…。他の患者さんのことを言われると、私の方も何も言えなくなっちゃうよな…。姉にも連絡させていただきますけどよろしいですか?」

先生:「もちろん、もちろん。」

ヤッチ:「『リボトリール』ですね?」

先生:「そうです。今日の夜から処方します。」

早速、家に帰り、O病院の先生のおっしゃった通りにネット検索です。

▽引用
リボトリール錠0.5mg
成分(一般名)
クロナゼパム
製品例
リボトリール錠0.5mg~1mg~2mg、リボトリール細粒0.1%~0.5%、ランドセン錠0.5mg~1mg~2mg、ランドセン細粒0.1%~0.5%
区分
抗てんかん剤/ベンゾジアゼピン系/抗てんかん剤
概説
てんかん発作を予防するお薬です。そのほか、体のふるえやパニック障害などの治療に応用されることがあります。
作用
脳の神経をしずめて、てんかん発作が起こりにくい状態にします。とくに、顔や手足がぴくつくミオクロニー発作に効果が高いです。他の抗てんかん薬が十分効かないときに切り替えたり、併用することもあります。
神経をしずめる作用があることから、医師の判断により、いろいろな精神・神経系の不調に使用されています。たとえば、体の不随意運動(無意識な体の動き・ふるえ)、レストレスレッグ症候群(むずむず脚症候群)、不安神経症やパニック障害をふくめ各種の不安障害、躁病やうつ病、さらに鎮痛補助薬として神経痛などの治療に応用することがあります。
特徴
ベンゾジアゼピン系の抗てんかん薬です。正式な保険適応症は各種のてんかん治療になりますが、それ以外のいろいろな精神・神経系の病気に対しても広く用いられています。
同類薬のなかでは、作用が強く、作用時間は長いほうです(作用/時間:強/長時間型 24時間以上)。比較的安全性が高く、副作用も少ないほうです。
重い副作用
依存..長期に多めの量を飲み続けると、体が薬に慣れた状態になりやめにくくなる。このとき急に中止すると、いらいら、強い不安感、不眠、ふるえ、けいれん、混乱、幻覚など思わぬ症状があらわれることがある(徐々に減量すれば大丈夫)。
呼吸抑制、睡眠中の多呼吸発作..息苦しい、窒息感、翌朝の頭痛、頭が重い。
刺激興奮..興奮、もうろう状態、取り乱す、かえって眠れない。(もともと精神障害がある場合などに、まれに出現)
肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
△引用

抗てんかん薬のようですが、『向精神薬』に指定されています。

抗てんかん薬の多くは服用するとたいてい『眠気』が伴いますから、O病院の先生は、アルツ君の睡眠導入剤として使おうと考えたのかもしれません。

この『リボトリール』という薬の名前ですが、あとあと厄介な話が出て来るので、記事をご覧になる間だけでも、記憶にとどめておいてくださいね。

釣り糸を巻き取る道具の名前ではありません。

O病院の先生がおっしゃったとおりに、アルツ君の夕食時にこの薬が出されました。

え?液体なの?

乳液などの化粧品のサンプルを小さくしたようなパッケージに液体が入っています。

ヤッチは看護師さんにたずねます。

ヤッチ:「今日から処方になった薬ですけど、これ、内服液なの?」

看護師さん:「そうみたいですね。」

ヤッチ:「にがくないのかな?チョクで飲ませるの?」

看護師さん:「はい。スプーンの上に薬を出してもらって、服用してもらうのがよいかと思いますよ。」

ヤッチ:「ちょっと、悪いんだけど、はじめてなんで、飲ませてもらえませんか?」

看護師さん:「わかりました。」

看護師さんが少量のおかゆをスプーンに載せ、薬をその上に出し、アルツ君の口へ運びます。

アルツ君:「にがい…。」

ヤッチ:「だよな。我慢してゴックンしちゃいな。」

アルツ君がしかめっ面をして、薬を飲みほします。

ヤッチ:「やっぱ、にがいみたいですね?」

看護師さん:「ですね?」

次の日の夕食時も同じ薬が出ました。

昨日看護師さんがやっていた時と同じやり方でアルツ君に飲ませます。

アルツ君:「にがい…。」

この日はアルツ君、薬を口から出してしまいました。

ヤッチはアルツ君が口から出してしまった薬を再びスプーンですくい取ります。

飲ますのは至難の技だよな…。

だいたい、自分の唾液でも誤嚥しそうになるのに、サラサラした液体は勘弁です。

ヤッチは看護師さんをさがします。

ちょうど昨日担当して下さった看護師さんを発見。

ヤッチ:「薬なんですけど、やはり、にがいらしく吐き出されちゃったんですけど…?」

看護師さん:「薬はどうされました?」

ヤッチ:「全部はキャッチできなかったけど、スプーンに残ってますよ。」

看護師さん:「じゃあ、もう一度挑戦してみましょうか?」

看護師さんがアルツ君に再び薬を飲ませます。

アルツ君:「にがい…。」

やはり、口から出してしまいます。

看護師:「口に含んだだけでもすこし薬の成分は体内に入ると思うので今日はこれくらいにしておきましょう。」

ヤッチ:「内服液(液体)じゃなくて、錠剤とかないんですかね?せめてOD錠辺りにしてもらえるとありがたいんですけど?」

看護師さん:「それでは、医師に報告して明日から剤形の変更ができるか聞いてみます。」

ヤッチ:「よろしくお願いします。」

翌日はこの薬、内服液から錠剤に改められました。

白い錠剤一粒です。

後から考えると、どうもこの錠剤、0.5mgではなくて、1mgだったような気がします。

この日はアルツ君の入院最後の夕食です。

姉も面会に来ていて、姉が食事介助をし、アルツ君にこの薬も飲ませます。

そこへ、O病院の先生が病室に入ってきます。

入院時の病状説明した先生でもあり、『リボトリール』を処方した先生でもあります。

先生:「ちょっといいかな?」

姉はアルツ君の食事介助中なので、ヤッチが応答します。

ヤッチ:「どうも、こんばんは。」

先生はA4サイズの用紙を2枚、ヤッチに手渡します。

先生:「一枚はお父さんのCRP血液検査の結果をグラフ化したもので、もう一枚はお父さんの入院中の体温変化をグラフ化したものです。」

▽引用
CRP血液検査とは?
 CRP血液検査とは、血液中に含まれる「C反応性たんぱく」の含有量を測定する検査のことです。
 C反応性たんぱくは、一般的に「免疫比濁法(定量法)」と呼ばれる一定量の血液中に含まれる定量を測定する形で検査が行われます。
 C反応性たんぱくは、人体内で炎症性の刺激や細胞の破壊が生じると急激に増加してくるタンパク質成分であり、このように症状に反応して増加する物質を「急性相反応物質」と呼びます。
 CRP血液検査は、炎症の発症時に体内に増加する「C反応性たんぱく」の血中量を測定することで炎症の度合いを測定する検査です。

CRP数値の基準値の範囲 単位(mg/dl)
一般的な基準値の範囲
 → 0.3以下
軽い炎症などが検討される範囲
 → 0.4~0.9
中程度の炎症などが検討される範囲
 → 1.0~2.0
中程度以上の炎症などが検討される範囲
 → 2.0~15.0
重体な疾患の発症の可能性が検討される範囲
 → 15.0~20.0
△引用

画像はO病院の先生からいただいた用紙ですが、拡大しても小さな文字を読み取ることは出来ないと思うので、こんなものをいただいた程度で、ご容赦下さい。

先生は続けます。

先生:「入院された時はCRPの値が15.84と結構高かったんだけど、抗生剤を点滴で入れて、ご覧のとおり今はそこそこの数値に落ち着いています。膀胱炎のほうも、もうよくなっていると思いますよ。」

アルツ君が膀胱炎も発症していたとは初耳です。

しかもアルツ君、結構入院時はヤバヤバな状態だったようですね。

ヤッチ:「…。」

先生:「こっちの用紙はお父さんの体温をご覧いただこうと思って持って来たんだけど、当初高かった熱も今は36度台に戻って来ています。」

ヤッチ:「ありがとうございました。」

先生:「明日、ご退院ですよね?」

ヤッチ:「はい、そうです。」

先生:「お父さん、ちょっと元気がなくてご心配でしょ?」

ヤッチ:「そうですね…。」

先生:「元気がないのは抗生剤の他に実はもう一つ薬を入れてるからなんで、特別養護老人ホームに戻られたら、徐々にいつも通りのお父さんに戻ってくると思いますよ。」

ヤッチ:「???」

先生:「点滴で、セレネースという薬を入れていましたが、今日はその点滴の針は抜いてあります。どういうことかというと、もうその薬は切れてくるので、だんだん覚醒してくれると思いますよ。あすの退院の時は僕も時間が有れば、お見送りできると思うので。それじゃあ!」

先生は足早に立ち去って行きました。

おいおい、また初耳事項…。

しかもセレネースというのは向精神薬(抗精神病薬)じゃん!

▽引用
セレネース注5mg
主成分
ハロペリドール(Haloperidol)
剤形
注射剤
この薬の作用と効果について
脳内の神経伝達物質(ドパミンなど)の働きを整えることにより、強い不安や緊張感をやわらげ、気分を安定させます。また、抑えることのできない興奮状態や行動を抑えます。
通常、統合失調症,躁病の治療に用いられます。
副作用
主な副作用として、パーキンソン症状(振戦、筋強剛、流涎、寡動、歩行障害、仮面様顔貌、嚥下障害など)、不眠、焦燥感、肝機能異常(全身倦怠感、食欲不振)、発疹、蕁麻疹、かゆみ、光線過敏症、喉頭れん縮(急に咳込む)、呼吸困難などが報告されています。このような症状に気づいたら、担当の医師または薬剤師に相談してください。
くすりのしおりより抜粋して引用
△引用

先生からもらった用紙の『体温表』の下の方にはアルツ君の入院期間中、どのような処置が行われたかの看護記録のようなものも書いてあったので、ヤッチはその場で細かくチェックします。

おいおい、『セレネース』という向精神薬、入院2日目からずっと入ってるじゃん!

アルツ君の入院期間中、この『セレネース』と『リボトリール』という向精神薬が2剤使われたことになります。

やられた感、満載です。

弱って体力のない人間に強い薬を投与してよいものなのか…。

ヤッチはさらに細かくチェックします。

O病院の先生がヤッチに『リボトリールをアルツ君に使いたい。』とおっしゃった日付に目をやります。

2月2日~2月4日です。

そこに書かれている文字は『リボトリール』ではなく、『リスぺリドン』…。

認知症の薬でおなじみのアリセプトも製薬会社が出している製品名で、一般名はドネペジルと言ったりしますから、別名が記載されているのかと最初は思いました。

は~い、また検索です。

▽引用
リスぺリドン
成分(一般名)
リスペリドン
製品例
リスパダール錠1mg~2mg~3mg、リスパダールOD錠0.5mg~1mg~2mg、リスパダール細粒1%、リスパダール内用液1mg/mL
区分
神経系用剤(含む別用途)/非定型抗精神病薬(SDA)/抗精神病剤
概説
心の不具合を調整し、気持ちをおだやかにするお薬です。心の病気の治療に用います。
作用
【働き-1】
気持ちの高ぶりや不安感をしずめるほか、停滞した心身の活動を改善する作用があります。そのような作用から、統合失調症にかぎらず、強い不安感や緊張感、抑うつ、そう状態などいろいろな精神症状に応用することがあります。
【働き-2】
心の病気の一つ「統合失調症」は、脳の情報伝達系に不調を生じる病気です。現実を正しく認識できなくなったり、思考や感情のコントロールが上手にできなくなります。幻聴など幻覚、妄想を生じることも多いです。
このお薬は、そのような脳内の情報伝達系の混乱を改善します。おもな作用は、ドーパミンとセロトニンという2つの神経伝達物質をおさえることです。2つをおさえることで、統合失調症の陽性症状(幻覚、妄想、興奮)と陰性症状(無感情、意欲低下、自閉)の両方によい効果を発揮します。
効能
統合失調症
副作用
悪性症候群(Syndrome malin)..急激な体温上昇、筋肉のこわばり、体の硬直、飲み込みにくい、発汗、ふるえ、意識がはっきりしない。
遅発性ジスキネジア..頻回なまばたき、口の周辺がピクピクけいれん、口をすぼめる、口をモグモグさせる、舌のふるえ。
麻痺性イレウス..食欲不振、吐き気、吐く、激しい腹痛、ひどい便秘、お腹がふくれる。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)..だるい、のどが渇く、頭痛、吐き気、けいれん、意識もうろう、気を失う。
肝臓の重い症状..だるい、食欲不振、吐き気、発熱、発疹、かゆみ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶褐色。
横紋筋融解症..手足のしびれ・けいれん、力が入らない、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。
重い不整脈..動悸、頻脈(120/分以上)、徐脈(50/分以下)、胸の痛みや違和感、胸苦しい、だるい、めまい、立ちくらみ、気が遠くなる、失神。
高血糖、糖尿病性昏睡..異常にのどが渇く、多飲、多尿、食欲亢進、多食、脱力感、もうろう、意識がうすれる。
低血糖..力の抜けた感じ、ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、強い空腹感、頭痛、不安感、吐き気、目のちらつき、イライラ、眠気、ぼんやり。さらに重くなると、異常な言動、けいれん、昏睡(意識がなくなる)。
無顆粒球症、白血球減少..発熱、喉の痛み、口内炎、咳、だるい。
静脈血栓症、肺塞栓症..手足(特にふくらはぎ)の痛み・はれ・むくみ・しびれ、突然の息切れ・息苦しい、胸の痛み、急な視力低下、視野が欠ける、目が痛む。
持続勃起症..不相応な続勃が長く続く。
△引用

『リスぺリドン』というより『リスパダール』の方が聞き覚えのある方が多いのではないでしょうか。

『リスぺリドン』と『リスパダール』は同じものですが、当初O病院の先生が使用するとおっしゃっていた『リボトリール』という抗てんかん薬とは明らかに違います。

同じなのは、『リスぺリドン(リスパダール)』も『リボトリール』も向精神薬であること…。

あとは、『リ』から始まる薬ということでしょうか…。

しかもしかも、この『リスぺリドン(リスパダール)』という薬、退院前日に0.5mgから1mgに増量されています。

もう先生は不在のようです。

翌日はアルツ君の退院日だというのに、またヤッチはお医者さんと喧嘩をしなくちゃいけないんですかねぇ…。

翌日になり、アルツ君の退院の日を迎えます。

朝から雪です。

午前9時に迎えに来るように言われていましたが、O病院の先生と話をしたかったので、早目に病院に向かいます。

病室に着くと、アルツ君、看護師さんに着替えをしてもらっています。

ヤッチ:「おはようございます。」

看護師さん:「おはようございます。今、朝食を召し上がられて、着替えをさせてもらっています。あとは下を履けば終わりです。」

アルツ君、目を閉じたままです。

ヤッチ:「旦那さん、帰るよ。目を開けられるかい?」

アルツ君:「わかんない…。」

ヤッチ:「『わかんない…。』って、今自分で言ったのはわかるかい?」

アルツ君:「わかんない…。」

ヤッチ:「名前は?」

アルツ君:「わかんない…。」

答える気力無しです。

看護師さんと一緒にアルツ君にズボンを履かせ、そのまま、特別養護老人ホームの車が迎えに来るまで、横になってもらうことに…。

すぐに寝息をたてて、眠ってしまいました。

ヤッチは看護師さんにたずねます。

ヤッチ:「退院後のことについて、先生とお話をしたいんですけど、先生は御不在ですかね?」

看護師さん:「お約束か何か、なさっていらっしゃるんでしょうか?」

ヤッチ:「いえ、アポなしです。」

看護師さん:「どういったご用件でしょうか?」

ヤッチ:「夕食後に服用している薬のことで。」

看護師さん:「リスぺリドン?」

ヤッチ:「そうです。増量になっているので、納得がいかないもので…。」

看護師さん:「すぐに先生をお呼びしないといけない重要なことなのでしょうか?」

ヤッチ:「はい。本人、家族にとっては、とても重要なことです。」

看護師さん:「わかりました。それでは担当医師と連絡を取ってみます。もうしばらくお待ちいただけますか?」

ヤッチ:「わかりました。施設の車が迎えに来てしまうので、出来ればお早目にお願いします。」

先生は朝礼中だということで、その間待つことに…。

ほどなく先生が病室にいらっしゃいます。

先生:「薬の事で何かご質問があると伺いましたが?」

ヤッチ:「申し訳ありませんが、廊下で?」

先生:「あ、ごめんごめん。」

二人で廊下に出ます。

ヤッチ:「実は『リボトリール』という薬のことなんですが?」

先生:「ごめんなさい。あれは僕の言い間違いでした。『リボトリール』ではなく、『リスぺリドン』の誤りでした。『ネットで調べて?』なんて言っておきながら、大変失礼しました。『リスぺリドン』というのは、『リスパダール』という薬で、そっちのほうがなじみがあるかな?」

ヤッチ:「いずれにしてもどちらも向精神薬ですよね?」

先生:「厳密な言い方をすると難しい面もあるけど、一般的にはそういうことになるかな?」

ヤッチ:「で、先生から昨日いただいた用紙を拝見すると、0.5mgから1mgに増量になっていますよね?このまま、先生の診療情報提供書(紹介状)をご覧になった施設の嘱託医はそのままの処方を継続すると思うので、その辺が気になって…?」

先生:「ああ、それはね、入院時から『セレネース』という薬を入れていました。そう、後半は『セレネース』と『リスぺリドン(リスパダール)』のダブルでお父さんの治療を行いました。」

ヤッチ:「…。」

先生:「でも、もう退院ですから、当然、点滴の針は抜いちゃってます。つまり、『セレネース』は入っていません。この『セレネース』が抜けた分を補うために『リスぺリドン(リスパダール)』を0.5から1.0に増量させていただいたんですよ。」

ヤッチ:「でも、向精神薬に抵抗が有るので、増量というのは勘弁願えないでしょうか?今、1mgに増量したら、増量分の0.5mgは『セレネース』ではないわけで、当然、今までの薬ではないわけです。どういった症状が出るかわからないわけで…。やはり、施設に戻るという現状もあるわけで先生に見守りしてもらえないんですよね?」

先生:「ただ、『リスぺリドン(リスパダール)』には、0.5mgの錠剤というのが確か無いんだよね。」

ヤッチ:「割線が有るなら、割って使うっていう方法もあるし、出来れば、ゼロmgにしてもらう方がなおいいんですけど…。ご存知のように、父には薬剤過敏も有るし、進行性核上性麻痺、レビー小体型認知症など、いろいろな診断を受けて来ています。ここへ来て、薬で苦しませたくないんですよ。それに施設の嘱託医は認知症専門医ではないので、単純に増量されてしまうことも有りうるし…。」

実際にはもう少し長い会話のやり取りがあります。

先生:「わかりました。息子さんがそこまでお父さんのことを考えておっしゃるなら、僕のほうももう一度、(診療情報提供書)を書き直します。お父さん、元気になるといいね?」

ヤッチ:「ありがとうございます。お世話になりました。」

あとで、『リスぺリドン(リスパダール)』に0.5mgの錠剤が有る事が判明し、看護師さんを通して後から訂正が入りました。

でも、結局、増量をやめてもらっただけで、向精神薬の『リスぺリドン(リスパダール)』の処方はゼロにはならず、0.5mgのままになってしまいました。

しかも特養で出されているのは、なぜか『リスぺリドン(リスパダール)』の1mgの錠剤を割ったもの…。



退院後のアルツ君ですが、前記事のコメント欄でもすこし書かせていただきましたが、回復しているのか、下降線なのか傾眠傾向が続いているため、よくわかりません。

薬が効きすぎてそうなのか、やはり体力的な衰えなのか、それともその両方なのか、もう少し様子を見ないとわからない感じです。

入院したものの、水分摂取、食事摂取、ともに上手くいっていないし、むしろ入院前よりも落ちているので、そろそろ施設から『看取り介護』を提案してきそうな気配です。

それにしても、アルツ君、何のために入院したんでしょうかねぇ…。

O病院の先生はなにかお考えがあって、こうした治療をされたのだとは思うのですが、十分な説明を伺えなかったのは残念です。

病室は精神科の病室ではなかった気がするが…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ

参考 2015年11月06日追記

日本老年医学会が「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」(案)を作成しました。
リンク
高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015(案)【PDF 20.8MB】
「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」に関するパブリックコメントの募集

上記ガイドライン中の用語の意味
エビデンス
その治療法がよいとされる証拠
ストップ
高齢者に対して、中止を考慮すべき薬物もしくは使用法のリスト
スタート
高齢者に対して推奨される薬物もしくは使用法のリスト



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アルツ君の退院日が決まりました。

2015/05/16 (土)  カテゴリー: アルツ君
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アルツ君の手の甲

こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

アルツ君の退院日が決まりました。

来週5月12日火曜日の午前中です。

アルツ君の入所している特別養護老人ホームの職員さんが病院に自動車で迎えに来てくれることになっています。

ヤッチも立ちあいます。

前回の記事で、アルツ君が出された食事を完食した記事を書かせていただきましたが、全体的に見れば、完食する日は少なく、平均すれば、4割~5割くらいの食事摂取量というのが、実際のところではないでしょうか。

現在入院中のOG病院では常時点滴で、脱水状態になる心配はさほどありませんが、特養に戻れば、点滴を受けることはできません。

果たして上手く水分摂取ができるか、気がかりなところです。

また、退院といっても、依然アルツ君の身体は低栄養状態のままです。

アルブミン値も低いし、その他の栄養素も正常値の範囲を下回ったままです。

植物でいえば、肥料切れを起こしている状態ともいえます。

今までとれていたコミュニケーションも少しずつ取れない場面も増えてきました。

独り言を言っていることが多く、ヤッチでも中々何をアルツ君が言っているのかわからないことが増えてきました。

特養に戻って、水分摂取や食事摂取が上手くできなければ、また入院なんていうことにもなりかねないかもしれませんね~。

今回の入院に際しての病院側からの病状説明の時に、主治医から『胃ろう(いろう~手術で腹壁を切開し、胃内に管を通し、食物や水分等を送り込む)』の話もちらほら出ていましたので、再度入院ということになれば、『胃ろう』を勧められるかもしれません。

これまでヤッチも『胃ろう』の造設には反対意見を唱えていましたが、積極的考えなくてはいけない日が来るかもしれません。

と、ここまで書いて、矛盾する話になりますが、昨日(5月15日金曜日)、アルツ君のところに面会に行ったときのこと…。

アルツ君に食べてもらおうと、水ようかんを病室にある冷蔵庫に入れて保管しているのですが、これを確認したところ、ストックがゼロです…。

確か5月13日水曜日の時点では4つほど冷蔵庫に入っていたのですが…。

13日、14日、15日の3日間で4つ消費したことになります。

一日に一つも食べられれば、アルツ君にしては上出来くらいに考えていたのですが、一日一つ以上のペースで無くなっていることになります。

ん…。

在庫切れになってはかわいそうなので、セブンイレブンに自転車を走らせ、水ようかんを購入し、再び冷蔵庫に入れておきましたよ…。

食欲が戻っているのなら良いのですが、もしかして看護師さんが…???

それともアルツ君が夜な夜なひとりで立ち上がって冷蔵庫まで…???

(; ̄ー ̄川 アセアセ

3つで大丈夫かな…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ


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2015/05/16 | コメント (0) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

転失気

2015/06/29 (月)  カテゴリー: アルツ君
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転失気

こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

記事を書くなら、ご覧いただく方のお役に立てるものをと思い、模索してきましたが、それらしいものも見つからず、前回の記事から一か月以上経過してしまいました。

今回の記事もその延長線上ですが、アルツ君の最近の様子を記したいと思います。

アルツ君の様子ですが、相変わらず食事摂取量は増えません。

ここ一か月で出された食事を完食した日は一度もありません。

平均すると4割~5割の食事摂取量といったところでしょうか。

水分摂取の方も三度の食事に含まれる食事の水分を除いて、経口摂取で一日に400cc~500ccというのが常態化しつつあります。

体重も去年(2014年)の7月時点で60kg近く有りましたが、今年の6月の初め時点で44.6kgです。

個人差があると思いますが、アルツ君の場合太ももの筋肉の衰えが顕著です。

アルツ君の太ももに手を回すと、太ももというより腕を握ってるんじゃないかという感覚さえおぼえます。

歩いてもらう前にまず立てるかどうかが今後の課題です。

食事摂取について話を戻しますが、どうやらアルツ君、まったく食欲がないというわけではないというのが最近分かってきました。

食事介助をしていると、ヤッチの介助が悪いのか、どうしても食事の途中でむせてしまいます。

出される食事はとろみのついたミキサー食ですが、それでもむせてしまいます。

食事形態に問題があるんじゃなくて、食事を飲み込むときに、自分のつば(唾液)で誤嚥してしまうようです。

でも、アルツ君本人は自分の唾液で誤嚥しているとは思わないようです。

アルツ君:「また、悪い奴が来やがった。チクショー!」

『悪い奴』の正体は自分の唾液なんですが、そうは考えてもらえないようです。

ヤッチ:「『チクショー』って、もっとでかい声で言ってみん?」

アルツ君:「うるさい!」

たちまち機嫌が悪くなってしまいます。

咳をするように促しますが、我々が普通にできる咳も、アルツ君にとっては相当体力を消耗するのでしょう、ちょっと咳をして気管に入ってしまったものがうまく出てこないと、呼吸を浅くして固まってしまいます。

目を見開いたまま、じっと一点を見つめ、フリーズです。

こうなってしまうと、ヤッチがタッピングで胸や背中を叩いても、『悪い奴』は出てきません。

返ってこの行為によって、アルツ君の機嫌を損ね、あるいは食べたものや唾液をアルツ君の体内で散らしてしまっているのではないかと思うような場面もあって、見守るしかないような時も…。

良いことなのか、悪いことなのかはわかりませんが、咳をしないでじっとしていることが、アルツ君なりの防御方法のようです。

ヤッチ:「旦那さん、息をするのも難しいか?ゆっくり息をしようぜ?」

アルツ君:「もう、食べない方がいいんだって…。」

アルツ君がかぼそい声で返します。

もうそれ以上食べさせることはできません。

アルツ君が咳をして、うまく『悪い奴』が出てくれば、食事を再開できるのですが、経験上、むせた直後はそうやすやすと『悪い奴』は出てきません。

たいていは、むせによって体力を消耗したせいで、この後アルツ君は眠ってしまいます。

30分程度待てば起きることが多いのですが、起きてくれなければ、食事は終了です。

また、運よく睡眠による体力の回復とその後の咳によって、『悪い奴』が体外に出てくれれば、その日の食事量は増えますが、なかなかうまくいきませんね…。

ヤッチ:「『悪い奴』はいなくなったか?」

アルツ君:「寝ちゃう…。」

それまでも眠っていたんですがね…。

ベッドのリクライニングを倒さずに、その日の食事介助は終了です。

ものを噛むときの唾液に『とろみ』がついて出てくれば、誤嚥も少しは減ると思うのですが、そんな都合のよい薬も無いようです。

最近はアルツ君が大声で笑ったりすれば、『悪い奴』も居なくなるのではないかと思い、食事の時、アルツ君に『古典落語』のCDを聴いてもらっています。

アルツ君のお気に入りは『転失気(てんしき)』という噺です。

『転失気』という言葉の意味を知らない寺の和尚が、知ったかぶりをすることがきっかっけで、とんちんかんなやり取りが展開する落語です。

アルツ君にこの落語を聞かせると大笑いです。

落語を理解する能力もまだ残っているようですね~。

でも、この落語を食事時にアルツ君に聞かせると、ある問題が…。

そう…。

アルツ君、落語に聞き入ってしまい、口を開けてくれません。

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ




[ 追記 ]
古いガラケーの場合、機種よって、『SSL通信が無効です。』と表示され、上記YouTubeのリンク先にジャンプできないようです。
その際は、下記をクリックしてみてください。
落語 『転失気』(YouTube)
林家たい平



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2015/06/29 | コメント (4) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top
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