site_title進行性核上性麻痺の疑いのある元植木職人のアルツ君(父)、アルツ君の愛妻キノコさん(母)、そしてアルツ君の息子ヤッチの日々の生活を紹介しています。
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特養の職員を怒鳴り飛ばす!

2014/02/12 (水)  カテゴリー: 特別養護老人ホーム
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ふざけんなー!!
こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

皆さまから、冷ややかな目を向けられそうですが、記事のタイトルの通り、はい、私、ヤッチ、またしても特養(特別養護老人ホーム)の職員を一喝、そう、おもいっきり怒鳴り飛ばしてしまいました。

しかも、アルツ君の目の前で…。

(-_-;)

これから書かせていただく内容には、不適切な表現や不快な表現が多数あります。

あらかじめご了承していただいた上、ご覧下さい。



さて、昨日、火曜日にアルツ君のところへ面会に行った時に事件は起こりました。

ヤッチは、アルツ君の居室を訪ねる前に、同じフロアにある生活相談員さんがいらっしゃる事務所に立ち寄りました。

実は、最近アルツ君の排泄ケアについて、どうも手抜きをされている気がしてならなかったんです。

アルツ君、最近リハパン(リハビリパンツ・紙パンツ)の上にもう一枚厚手のパッド(尿とりパッド)をつけています。

ヤッチが面会に行くと、かなりの高確率でこの尿とりパッドがグッショリなんです。

実際にリハパンを履いて用を足したことがある方はお分かりだと思いますが、いくら高分子吸収ポリマーが水分を吸収するといっても、大変不快なものです。

それに尿とりパッドを重ね履きするのですから、介護者の負担は軽減されると思いますが、被介護者に取ってみれば、さらに不快であることが想像できます。

ひどい時は、履いているズボンが濡れていることも…。

で、このことを相談しようと生活相談員さんのところへ…。

ヤッチ:「こんにちは。今大丈夫ですか?」

生活相談員さん:「はい、大丈夫です。なにか?」

ヤッチ:「実は親父の排泄ケアのことなんですけど。」

生活相談員さん:「どうかいたしましたか?」

ヤッチ:「前回のケース会議(サービス担当者会議)で、排泄についても介助が必要だということで、定期的に声掛けをしてもらって、トイレに連れて行くとか、リハパンの交換をしてもらうっていうことを約束してもらっていますよね?」

関連記事:サービス担当者会議~2013年(スマホ版 ⇒ こちら

生活相談員さん:「そうですね。」

ヤッチ:「ケース会議の後しばらくは、俺が面会に来ていても、職員さんが親父の居室に入ってきて、声を掛けて下さるということもあったんだけど、どうも最近それも皆無に近い状態なんで…。」

生活相談員さん:「すいません。それは改めなくてはいけませんね。」

ヤッチ:「先日、あそこのナースステーションのカウンターの上に、多分職員さんが置き忘れたんだと思うけど、『排泄ケアチェック表』が置いてあったんだよね。」

生活相談員さん:「はい、入所している方の排泄について、きちんとやったかどうか職員がこれでチェックすることにしています。多分、職員が無造作にそこに置き忘れたのかと…。」

ヤッチ:「見ちゃいけないもんだと思ったので、マジマジ覗き込まなかったけど、『ああ、これでちゃんと管理して下さってるんだぁ。』とも思ったんだけど、どうも俺には排泄ケアがちゃんとなされていると思えないんだよね…。」

生活相談員さん:「と、おっしゃいますと?」

ヤッチ:「ケース会議の時に13時とか14時に定期的な声掛けをするということを伺ってるので、多分その時間にリハパンやパッドを一度は取り替えて下さってるとは思うんだけど、俺が来ると最近またリハパンがビッショリなんだよね…。」

生活相談員さん:「そうですか…。」

ヤッチ:「俺が面会に来るのはだいたい14時から15時が多いじゃない!?定期的な声掛けからそう長い時間経過してないわけですよね?なのに、あのパッドの重さはとても短時間にやらかしちゃった重さじゃないよ。」

生活相談員さん:「そうだったんですか…。けっこう頻繁にそういうことがありますか?」

ヤッチ:「悪いけど、最近は毎回安打に近いね。仮に『排泄ケアチェック表』できちんと管理しているといっても、職員がチェックするわけで、親父の確認印だとか、サインをもらうわけじゃないですよね?悪い言い方をすれば、職員がケアをしていなくても、ケアをしたとチェックしちゃえば、ケアされたことになっちゃわない?」

生活相談員さん:「う~ん…。」

ヤッチ:「悪いけど、また疑いのまなざしだよ。」

生活相談員さん:「わかりました。現場の人間にも確認を取り、早急に改めたいと思います。」

ヤッチ:「同じことを何度も言わせないでね。というより、俺自身が同じことを何度も言う病気になってるかもしれないけど!?」

イヤミ混じりの言葉を残し、ヤッチはアルツ君の居室に向かいます。

居室に近づくと、アルツ君居室のドアのところで、ぴょこんと首だけ出しています。

アルツ君:「おい、お前、どこに行ってきたんだ?」

ヤッチ:「『どこへ行ってきた』って…。それだけは教えられないな~。」

アルツ君:「かー!!ケチ臭いこと言ってやがるなぁ~。ばあさん(キノコさん)はどうした?」

ヤッチ:「ばあさんは川に洗濯か、洗濯機と一緒に回ってるんじゃないのか?」

アルツ君:「かっー!!洗濯!?それよりお前、手に何を持ってるんだぁ?」

ヤッチ:「これ?これはね…。ボ…???」

アルツ君「ん?ボタモチ?」

ヤッチ:「速いし、目ざといね~。」

アルツ君:「当たり前さよ~。まだ目が有るんですから。」

ヤッチ:「節穴だろ?」

アルツ君:「うるさい!!」

ヤッチ:「これを食べたら、歩く練習を兼ねて、向こうの棟まで行って、そこで『大江戸捜査網』を観ようぜ?」

そう、アルツ君と外に散歩に出かけられない時は、施設の別棟まで行って、そこで一緒にテレビを観ることにしています。

現在、テレ玉(テレビ埼玉)で、松方弘樹主演の時代劇、『大江戸捜査網』を再放送しています。

おそらく、30年以上前の作品で、ドラマの後半のチャンバラシーン直前にナレーションで『隠密同心 心得の条』という名ゼリフが流れます。

▽引用
隠密同心 心得の条

隠密同心 心得の条

我が命我が物と思わず

武門の儀、あくまで陰にて

己の器量伏し

ご下命いかにても果すべし

なお

死して屍(しかばね)拾う者なし

死して屍(しかばね)拾う者なし
△引用

アルツ君:「行こう!!行こう!!」

外は先日降った雪が残っていて、公園に散歩というわけには行かないようです。

アルツ君にボタモチのパッケージのフタを開け、渡します。(フタを渡したんじゃないですからね。)

アルツ君:「かー!!いいねえ~。」

さっそくほおばります。

ヤッチ:「美味いか?」

アルツ君:「いわずもがな~。」

ヤッチ:「死んでもいいくらいか?」

アルツ君:「いわずもがな~。」

ヤッチ:「死して屍拾う者なしだぞ?」

アルツ君:「うるさい!!」

アルツ君が食べ終わったところで、ヤッチはアルツ君のリハパンの確認作業に入ります。

ヤッチ:「じゃあ、食べ終わったところで、着替えをして、大江戸捜査網を観に行こうぜ。」

アルツ君:「なんで、着替えるんだ?これでいいじゃんかよ。」

ヤッチ:「パンツもきれいなのを履いて行かないと、松方さんに失礼だろ?」

アルツ君:「そうかぁ…?」

ヤッチはアルツ君の後ろからリハパンを覗き込みます。

ん????

パッドが前の方にズレてしまっています。

お尻に当っていない状態…。

前から見ると、完全にパッドがリハパンの外にはみ出してしまっています。

アルツ君が力ずくで引き出したような形跡ではありません。

ヤッチ:「旦那さん、悪いけどパッドを交換するよ。ズボンとパンツを下ろすよ。」

パッドだけ交換すれば良さそうな気配なので、アルツ君につかまり立ちしてもらって、ズボンとリハパンをひざ上付近までずり降ろします。

クローゼットから、パッドの予備を取り出します。

????

在庫が一枚…。

これを使ってしまうとゼロ…。

(-_-;)

念のために居室のトイレの様子も確認します。

トイレの床はアルツ君のおしっこで洪水状態…。

まあ、アルツ君とテレビを観ている間に、職員が気づいてトイレの掃除もするでしょうし、パッドも補充するでしょう…。

古いパッドをアルツ君のリハパンから取り除きます。

う~ん…。

相変わらずグッショリですねえ…。

(-_-;)

重さからして、三回は失禁しているかな…。

(-_-;)

新しいパッドに交換です。

アルツ君ですが、相変わらず裸足のままのスギちゃん状態…。

アルツ君に洗濯したての靴下を履かせ、室内履きのカカトを入れて準備完了です。

↑この辺、あとで重要なポイントになるのでよく覚えておいてください。(遅延再生)

(^^ゞ

ヤッチ:「スーパーカー(歩行車)は使わないで歩くんだよ?」

アルツ君:「わかってる。」

居室を出て、廊下をアルツ君と歩きはじめます。

途中、廊下で女性職員さんに声を掛けられます。

女性職員さん:「あら?○○さん(アルツ君のこと)、浮かない顔をしているわね?」

アルツ君:「そんなこともないよ。普通だよ。普通…。」

この女性職員さんはアルツ君の居るフロアでのいわばチーフリーダー的な存在。

気さくに声を掛けて下さるので、アルツ君にも好印象のようです。

ヤッチは女性職員さんに向かって話しかけます。

ヤッチ:「ちょっと、あっちの棟までテレビを観に行ってきます。」

女性職員さん:「わかりました。お気をつけて。」

再びアルツ君と歩きはじめます。

少しすると、段々アルツ君の歩行が小刻みに…。

???

ヤッチ:「調子でも悪いのか?」

アルツ君:「いや…、別に…。」

アルツ君がボタモチを食べていた時の表情とは程遠く、返事にも覇気がありません。

ヤッチはさっき女性職員さんから、声を掛けられた時のことを思い出しました。

『○○さん、浮かない顔をしているわね?』…。

ヤッチはひらめきます。

ヤッチ:「旦那さん、トイレか?」

アルツ君がそっとうなずきます。

ヤッチ:「大、小?どっち?」

アルツ君:「大…。」

居室まで戻らないと近くにトイレは見当たりません。

ヤッチ:「部屋に戻ろう。我慢できるか?」

アルツ君:「わからん…。」

ひょっとして…????

ヤッチは、アルツ君の背後に回りこみ、リハパンの中を覗き込みます。

ヤッチ:「そういうことかぁ…。」

ヤッチは独り言を言います。

アルツ君:「まだ、出てないだろ?」

ヤッチ:「出てないというより、出切ってる…。部屋にゆっくり戻ろう。急がなくていいよ。」

遅かりし由良之介状態なので、急いでも無駄です。

(-_-;)

歩行速度は行きの半分くらい…。

ヤッチにもアルツ君が不快な状態で歩いているのが伝わってきます。

何だか早く気づいてあげられなくて申し訳ない気持ちです。

m(__)m

ようやく居室近くまで戻ってきたので、職員に声を掛けます。

といっても、フロアに職員の姿は見当たりません。

ヤッチ:「誰かいらっしゃいますか~!!」

ヤッチはフロアで少し大きな声を上げます。

どなたかの居室から若い男性職員が出てきます。

ヤッチ:「申し訳ないんだけど、トイレ介助お願いできる?」

ヤッチは自分のお尻を二度ほど叩いて、アルツ君が大の失禁していることをジェスチャーで示します。

男性職員:「わかりました。すぐお伺いします。お部屋でお待ちください。」

ヤッチはアルツ君の大の失禁の時は、ノロウイルスのことも考えて、自分では介助しません。

必ず、職員にやってもらうようにしています。

あたりまえの話なんですけどね…。

(-_-;)

アルツ君が座ってしまうと気持ちが悪いと言うので、居室でアルツ君に立ったまま職員が来るのを待ってもらいます。

しばらくして、声を掛けた男性職員が居室に入ってきます。

彼はアルツ君の腕を支え、トイレへ誘導します。

居室にあるトイレにはドアや扉は無く、シャワーカーテン一枚で仕切られています。

ヤッチは二人の背後から見守りです。

男性職員がそのシャワーカーテンを開け、トイレの電気をつけた瞬間、トイレの床に光るものが見えました。

はい…。

まだ掃除が済んでいなかったんですねえ~。

(-_-;)

光る物体はいつしたのかはわかりませんが、アルツ君のおしっこです。

(-_-;)

ヤッチは背後から男性職員に声を掛けます。

ヤッチ:「床が濡れているから、すべらないようにね。」

男性職員:「わかりました。」

床が濡れたままということは、当然クローゼットの中のパッドのストックもゼロのはず…。

(-_-;)

男性職員がアルツ君に声を掛けます。

男性職員:「○○さん、トイレに腰かけられますか?」

アルツ君:「このまま座っていいの?」

男性職員:「はい、ズボンを履いたまま、とりあえず座りましょう。」

アルツ君がトイレの便器に腰かけます。

男性職員:「上のズボンを脱いでしまいましょう。」

そう言って、男性職員はまずアルツ君の室内履きを脱がし、そのままアルツ君の足をトイレの床に置きます。

後ろからトイレの様子を見ていたヤッチは、とっさに大声を上げます。

ヤッチ:「お前!今、俺が『床が濡れている』って言ったばかりだろうがっー!」

男性職員:「え?なんでしょう?」

ヤッチ:「『なんでしょう?』じゃないよっー!それじゃあ、靴下が濡れるだろうがっー!何を考えてるんだよっー!」

男性職員:「す、すいません!」

ヤッチ:「『すいません』じゃないよっー!濡れてなくたって、いきなり直に足を置かないだろうがっー!常識の問題だろがっー!」

男性職員:「す、すいません!!すぐに床を拭かせていただきます。」

ヤッチは、はたと自分が怒鳴っているのがアルツ君の目の前である事に気づきます。

アルツ君、自分が怒られているのかと思い、ションボリしています。

(´・ω・`)

旦那さん、ごめん…。

m(__)m

男性職員もおそらく20代前半と思われるので、怒鳴られたことなんて無いのかもしれません。

完全に舞い上がってしまっています。

ヤッチは業務に支障をきたすので、しゃべるのをやめました。

というより、アルツ君の落ち込んだ表情を見てショックを受けたというのが正解かもしれません。

m(__)m

ヤッチは男性職員にクローゼットの中にパッドが無いことだけを伝え、アルツ君のお世話が済むまでしばし沈黙です。

男性職員のアルツ君のトイレ介助が済んだようです。

男性職員はアルツ君をベッドに腰かけさせます。

アルツ君は『寝る…。』とだけ言い残し、横になりそのまま寝てしまいました。

(-_-;)

完全にヤッチが引き金を引いちまったようです…。

_| ̄|○




この日のうちに、生活相談員さん、チーフリーダーの女性職員さん、ヤッチの三者で話し合いをしました。

この若い男性職員のとった行動についても話しましたが、排泄ケア全般が主な内容です。

特養側は謝るばかり…。

内容は御察しがつくと思うので省略します。

(-_-;)

最後にヤッチはこの二人に申し上げました。

ヤッチ:「ここに旦那さんを入所させてしまったのは、俺の『虐待』が原因です。すべての責任は俺に有ります。でもね、施設に居るほうが自宅に居るより幸福だという役所の判断で、ここに入所したんです。この施設に旦那さんを預けて良かったと思えるような施設になって下さいよ。そして、それ以上に、旦那さんがここへ来て良かったと思える施設になって下さいよ…。」

関連記事:高齢者虐待防止法(スマホ版 ⇒ こちら


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2014/02/12 | コメント (14) | トラックバック (0) | ホーム | ▲ Page Top

ごはんを食べさせてもらえない職人

2014/03/08 (土)  カテゴリー: 下の話
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こんばんは。

アルツ君の息子ヤッチです。

(^_^)/~

昨日、アルツ君のところに面会に行ってきました。

アルツ君は、いつも自分の居室にいるか、『定位置』に腰かけているか、どちらかです。

しかし、ヤッチが三階に上ると、珍しくアルツ君、別棟の大きなデイルームに居ました。

デイルームにあるテーブルの前に座り、女性の入所者さんとおしゃべりをしているようです。

女性の入所者さんに向かって何か話しているようです。

アルツ君の表情は険しいわけではなく、どちらかというと、ニコニコ顔です。

アルツ君:「最近、ずっとメシを食わしてもらってないんだよ…。」

女性入所者さん:「あら?そうなの?ここ(施設)の人に言って、何か食べさせてもらったら?」

アルツ君:「そうなんだけどさぁ…。俺が言ったところで、『さっき食べましたよ。』って言われるだけだからさぁ…。」

女性入所者さん:「そんなことないでしょ。言ってみたら?」

そこへヤッチが二人に近づいて行きます。

アルツ君がヤッチに気づきます。

アルツ君:「あ?お前どっから来たんだ?」

ヤッチ:「超高級三ツ星レストランからだよ。」

アルツ君:「かっー!高級レストランだってよ。こっちは10年くらいメシを食わしてもらってないっていうのによぉ~。」

女性入所者さんがヤッチに向かって話しかけてきます。

女性入所者さんは、当然ヤッチとアルツ君との関係を理解していません。

女性入所者さん:「この人、ずっとご飯を食べさせてもらってないんだって。なにか食べさせてあげたら?」

ヤッチ:「ありがとうございます。そう思って、ボタモチを持って来たけど、どうする?」

アルツ君:「どうするも、こうするもあるかよ。食うに決まってんだろ。」

まさか、施設のほうで、アルツ君だけ食事を支給しないということはないはず…。

(-_-;)

たぶん、食べたことを忘れてしまうんでしょうね。

(-_-;)

ただ、アルツ君に『食べたはずだ。』と言っても逆ギレされるだけです。

本人の記憶にないのだから、仕方のないことです。

(-_-;)

しかも食べた事は覚えていないのに、食べていないことは覚えているのも面白いところです。

ヤッチ:「じゃあさ、腹の足しになるかどうかわからないけど、部屋でボタモチを食べようぜ。」

ヤッチはアルツ君を立たせ、女性入所者さんに軽く会釈し、席をあとにします。

居室に戻る廊下で、ヤッチはアルツ君に質問します。

ヤッチ:「どいつが、旦那さんにメシを食わしてくれないんだ?」

アルツ君:「ドイツもエゲレスもあるかよ。みんなだよ。」

ヤッチ:「そうか…。そしたら全員タコ糸でふん縛る(ふんじばる)か?」

アルツ君:「そんなことしたって、食わしてくれるもんかよ。」

ヤッチ:「ふん縛った後はどうする?チャーシューにする?それとも炭火であぶる?」

アルツ君:「なにもそんなことまでしなくてもいいよ。」

ヤッチ:「そうかぁ…?それじゃあ、旦那さんの腹の虫が腹を空かせたままだろ?俺があとで旦那さんにちゃんとメシを出すようこっぴどく怒っておくよ。」

居室に戻り、ボタモチのパーッケージを拡げます。

アルツ君:「かっー!ボタモチなんて食うの何年ぶりだろ?10年は食ってないな…。」

ヤッチ:「俺はそのセリフ聞き飽きてるけどな?」

アルツ君すぐさまボタモチをパクつきます。

アルツ君:「やっぱりボタモチはいいね~。」

ヤッチ:「そうとう腹が減ってるみたいだな?」

アルツ君:「当たり前さよ~。もう10年もメシを食わしてもらってないぞ?」

ヤッチ:「水も?」

アルツ君:「ああ、水もお茶も。」

ヤッチ:「よく生きてるなぁ…???」

アルツ君:「そうなんだよ。それが不思議なんだよ…。」

アルツ君ですが、急に食べる手を止めてしまいました。

???

ヤッチ:「どうした?最初にパクつき出した時の勢いがないね?」

アルツ君:「何だかずっと食わしてもらってないのに、胃袋に入って行かないなぁ…。」

ヤッチ:「あんまり長いこと食わなかったから胃袋が拒絶反応を起こしてるのかもよ?」

アルツ君:「お前に少しやろか?」

ヤッチ:「めずらしいね。でもあと少しだから食っちゃえば?いつまた食わしてもらえるんだか、わからないんだから。」

アルツ君:「そうだよな~。食いだめしておかないとだよな~。」

結局、少し時間はかかったものの、ボタモチを一個完食。

(o^―^o)ニコ

ヤッチ:「そう言えば、カラオケの本、読んでるか?」

実は先月の2月27日はアルツ君の誕生日。

御年86歳。

アルツ君と近くのTSUTAYAまで行き、そこでヤッチがプレゼントしたものです。

当初は文字の少ない野鳥や樹木、花などの写真集があれば、それをプレゼントしようと思ったのですが、どうしても本人がカラオケの本がいいと言うので、それを購入…。

アルツ君:「ああ、あれかぁ!?読んでますよん!でもマイクが無いんだよなぁ…。」

ヤッチ:「どこでお披露目するんだよ?それにそれは本だから、音が出るわけじゃないんだぞ?」

アルツ君:「わかってますよ。でも、マイクが有ったら感じが出るぞ?」

ヤッチ:「引き出しの中に『なわとび』が入ってたべ?」

以前、アルツ君の歩行訓練に使おうとヤッチが100円ショップで購入した『なわとび』です。

関連記事:

アルツ君:「かっー!」

ヤッチ:「『かっー!』のあとは、『うれしい』か?」

アルツ君:「そういうことにしておく…。」

あれだけ難読漢字を読めたアルツ君ですが、今はもう、ひらがなも、読めないかもしれません。

時計の針はおろか、時計の数字を読めなくなってきています。

そのくせ、電柱などに貼られている広告の難しい漢字をときどき読めたりしますから、ちょっと脳の構造を確かめたくなります。

ヤッチ:「もうすぐ、『大江戸捜査網』が始まるけどどうする?」

アルツ君:「大江戸捜査網?なんだっけか?」

ヤッチ:「時代劇。テレビで再放送やってるよ。」

アルツ君:「ああ、チャンバラか?観る!観る!」

ヤッチ:「じゃあ、向こうの棟まで行って観ようぜ?」

アルツ君:「別に構いませんよん!」

ヤッチ:「その前に確認な?今、何食った?」

アルツ君:「なんか食ったか?」

ヤッチ:「ボ・タ・モ・チ。」

アルツ君:「ああ、食った食った!」

ヤッチ:「旦那さんが覚えていなくても、俺が覚えておくからな?」

アルツ君といつものように別棟まで歩行車を使って行き、設けてあるテレビで『大江戸捜査網』の視聴です。

アルツ君:「かー、やってやがる。ずいぶん古い映画だな?」

ヤッチ:「30年くらいは経ってるかもな?」

もうこの会話…。

86回はしています…。

(-_-;)

小一時間視聴してもらったところで、部屋に戻ります。

ヤッチ:「面白かったか?」

アルツ君:「まあね…。」

ヤッチ:「主演の俳優さん誰だかわかったか?松方弘樹だぞ?」

アルツ君:「そうかぁ…。松方弘樹かぁ…。」

アルツ君、なんか浮かない表情…。

はい…。

もうお分かりですね?

ヤッチ:「出ちまったか?」

アルツ君:「わからん…。」

ヤッチはアルツ君の背後に回りこみ、リハパンの中を覗き込みます。

アルツ君がヤッチに力の無い声で問いかけてきます。

アルツ君:「どう?出てるか?」

ヤッチはうなずきます。

(-_-;)

アルツ君:「おかしいなぁ…。メシは食ってないはずなんだがなぁ…。」

アルツ君

さすがです…。

(; ̄ー ̄川 アセアセ


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